経理と言うと女性のイメージが強いかと思います。
それでは男性の方が経理なるのは難しいのでしょうか?
あるいは女性の方が経理になりやすいのでしょうか?
今回は男性・女性それぞれが経理になる場合のポイントをお伝えしていきます。
自分にあてはまるポイントをチェックすることで、経理としてより充実したキャリアを送ることができます。
1. 経理の男女比
経理の男女比はどのくらいでしょうか?
正直なところ明確な答えはなく会社ごとにかなり異なりますが、私の経験上は「男性:女性=5:5」あたりが多かったです。
マイナビAGENTの調査でも経理の女性比率が46%となっているため、一般論としても半分程度との認識で良いかと思います。
人によってはもう少し女性の方が多いのでは?と感じるかもしれません。
確かにパートの方など正社員以外を含めると比率はさらに女性の方に傾きます。
上記はあくまで社員の人数比だと考えてください。
いずれにしろ、女性の割合が他の職種に比べると多いというイメージは間違っていないと考えられます。
ただ、女性の割合が多いからといって必ずしも女性の方が有利というわけではございません。
男性として、あるいは女性として経理をやっていく際のポイントをそれぞれ押さえれば、性別による有利・不利はほとんどないと考えて良いでしょう。
それでは男性・女性のそれぞれのポイントについて次項以降で解説していきます。
2. 男性経理のポイント4選!
1) 女性に対する気遣い
男性経理の方が押さえるべきポイントの1つ目は、女性に対する気遣いです。
他の職種と比べて女性の割合が高く、職場に女性が多いため、女性に対する気遣いが必要となります。
ちょっとした言動がセクハラ・パワハラととられる可能性もあります。
・独身女性に対して「結婚はまだなの?」と聞く
・既婚女性に対して「子供はまだなの?」と聞く
・「女のくせに○○」と言う。
例えばこのようなケースで過去にセクハラと認定された事例もありますので注意が必要です。
話し手の男性がどのような意図で話そうが、受け手である女性がセクハラ・パワハラと感じればそうなってしまいます。
過度な気遣いは逆にお互い疲れるのでやめた方が良いですが、少し意識して普段の業務に臨む必要があります。
自分がした行動に対して「まずかったかなあ、、」と後から感じたことがあったら、奥さんや彼女、あるいは親しい女性の同僚などに実際に聞いてみるのが早いです。
女性の気持ちは女性に聞いてみるのが一番です。
もしまずい行動だったら相手に謝り、次に同じ行動をとらなければ問題ないかと思います。
2) 未経験者の転職は苦労する
男性の経理の求人は女性に比べて相対的に少ないです。
そのため、男性の場合は競争倍率が高く未経験での転職はかなりハードルが高いです。
特に小さい企業であればあるほど過去の経験を求められる傾向があります。
小さい企業は経理の人数が少なく、場合によっては自分一人のケースもあるため、即戦力が求められます。
逆に大きい企業の方がOJTなどもしっかりしており、過去の経験よりもやる気や、あるいは単に男女比の問題で男性を欲っしていたりと、男性経理にとってハードルが低いです。
そのため、割と大きめの企業で経験を積んで、その後小さい企業に移ってキャリアを積むのも1つの方法です。
経理のキャリアプランについては「経理のキャリアプラン5選!働き方から見えるメリット・デメリット」も合わせてご確認ください。
いずれにしろ、未経験の男性の経理への転職はかなり難しいという点は頭に入れておいてください。
3) 幹部や役員を目指す
経理の現場は女性の方が多い傾向がありますが、逆にCFOや経理部長などの経営層については男性の方が多い傾向があります。
明確な理由はわかりませんが、「産休や育休で一時的に職場を離れる女性の方がキャリアを積みにくい」「まとめ役(リーダー)は男性がやった方いい」などの昔ながらの考えがいまだに残っている結果かもしれません。
この考え方自体は時代にそぐわないものであり、今後普及していくとは思いませんが、現在の実態としてはまだ男性の方が幹部や役員を務めることが多く、求人もそうなっていることが多いです。
そのため、男性経理の方は幹部や役員を比較的目指しやすいということも頭に入れておいてください。
4) 育休
今後お子様を作られる予定のある男性は、育休についても調べておいた方が良いです。
男性が育休?と思われるかもしれませんが、本来女性が子育てをしなければいけないというルールはどこにもありません。
男女共働きが一般的になっていくなかで、育休や時短勤務などを男性が積極的にとっていく時代に今後はより一層なっていくでしょう。
他の職種と比較して経理は仕事内容や納期が明確であり、引継ぎもしやすいため、育休や時短勤務に向いております。
育休や時短勤務・在宅ワークなどの体制が整っているかどうかを調べておくことで、同僚の女性経理の方の働きやすさも理解することができるので、ぜひこの機会に調べてみてください。
3. 女性経理のポイント4選!
1) 産休・育休
女性経理のポイントの1つ目は、育休・産休について会社に受け入れ体制が整っているかという点です。
育休・産休についてはそもそも制度として保障されているものであり、会社としては本来拒否できるものではありません。
しかし、実態としては取りづらい雰囲気や産休・育休によりキャリアが中断されてしまうなど、会社によって体制は異なります。
ただ、経理の場合は女性の割合が多いだけあって、他の職種に比べると産休・育休に対する理解があります。
そのため、女性にとっては比較的働きやすい環境であると言えるでしょう。
2) 石橋を叩き過ぎない
男性と比較して女性の方が、出産や育児などのライフプランを想定した現実的なキャリアプランを設定している方が多いです。
それ自体は悪いことではないのですが、あまりに慎重になりすぎてキャリアを早い段階からあきらめてしまう方が多いのも事実としてあります。
ライフプランは思い通りにならないことが多々あるため、事前にあまり想定しすぎてキャリアを狭めるのはおすすめできません。
ご自身で想定された現実的なキャリアプランとは別に、理想でもいいので少し飛躍したキャリアプランも頭に入れておくことをおすすめいたします。
いつそのチャンスが訪れるかはわかりませんが、チャンスが転がってきたときに一歩踏み出せる体制は整えておくべきです。
経理のキャリアプランについては「経理のキャリアプラン5選!働き方から見えるメリット・デメリット」もご確認ください。
3) 求人は多い
経理の求人は女性の方が多い傾向にあります。
そのため、こだわり過ぎなければ働き口は割と見つけやすいです。
受け皿が多いというのはそれだけで大きなメリットです。
他の職種と比べて女性にとって転職や復職がしやすいのが経理と言えます。
一点注意していただきたいのは、転職の際は同じ業界内の他社に移るのが転職しやすいという点です。
基本的な会計の考え方はどの会社でも一緒なのですが、業界特有の会計処理やその業界のビジネスに対する理解と言った点で、同業界の方が高く評価され転職しやすいためです。
4) 男性が少しでもいる職場を選ぶ
これは男性にも言えることなのですが、同性だけで構成された職場は良い面もあるのですがやりづらい面もあります。
うわさや悪口・派閥争いなど、本来の業務とは関係のないところで神経をすり減らすことがあります。
そのため、若干名でもいいので男性がいる経理部を検討してみるのも1つの方法です。
男性がいると他部署の男性部長などとうまく交渉してくれることもあるため、この点も頭に入れておいてください。
4. おすすめ資格3選
それでは最後に男性・女性に関わらず、経理におすすめの資格を3つご紹介していきます。
1) 簿記検定
経理としての基礎的な知識を押さえておきたい場合はやはり「簿記検定」は必須となります。
特に経理であれば2級までの取得を検討してみてください。
通常であれば初学から2級まで半年~1年程度の期間を必要としますが、経理で実務を経験されている方であれば、だいぶ期間を短縮できるかと思います。
簿記検定の勉強期間については「簿記3級・2級の勉強時間は?一ヶ月・二ヶ月での合格は可能?」も合わせてご確認ください。
また、経理経験者であれば3級と2級の併願もおすすめです。
簿記検定の3級と2級のダブル受験については「簿記の併願(同時受験)はやめた方がいい??」をご参照ください。
2) 建設業経理士
経理の中でもより専門性を持った分野に進みたいという方には「建設業経理士」がおすすめです。
建設業の経理に特化した資格であり、公共事業を建設会社が受注する際に建設業経理士の人数が審査の評価対象としてあるため、非常にニーズの高い資格となります。
上述の審査の対象となるのは2級以上であるため、2級までの取得が推奨されます。
2級の合格率は35%前後であり、しっかりと対策をとれば十分合格可能な試験と言うことができます。
建設業経理士については「建設業経理士とは?ビジネス会計検定・簿記検定との共通点は?」も合わせてご確認ください。
3) ビジネス会計検定
経理におすすめの3つ目の資格は「ビジネス会計検定」です。
簿記や建設業経理士が財務諸表を「作る」側の知識を学習するのに対して、ビジネス会計検定は財務諸表を「読み解く」ための知識を学習します。
ビジネス会計検定の詳細については以下をご確認ください。
・難易度:「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」
・簿記検定との比較:「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」
・転職、就職について「ビジネス会計検定は就職・転職に有利?関係ない?」
5. 終わりに
経理について男性・女性という切り口で見ていきましたが、いかがでしたでしょうか?
それぞれのポイントを押さえつつ、経理としてのキャリアプランをしっかり計画してください。
そして、そのプランを実行に移してください。
6. まとめ
◆女性に対する気遣いや未経験だと転職が難しい点などが男性経理のポイント。
◆産休・育休や求人の多さが女性経理のポイント。