経理のキャリアプラン5選!働き方から見えるメリット・デメリット

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新しく経理の職に就かれた方だけでなく、既に活躍されている方にとっても、経理のキャリアプランは少しイメージしにくいのではないでしょうか?

企業の規模や働き方によっては、大きく可能性を開く事もできるのが経理という職種です。

今回は企業規模や働き方における、経理のキャリアプランや、メリット・デメリットについて詳しくお伝えしていきます。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 中・大企業のキャリアプラン

中・大企業でのキャリアプラン

1) 得られるキャリア

中・大企業で経理を担当する場合は、社内教育体制やOJTが整備されている場合が多く、経理の基礎業務を覚える事から、キャリアをスタートできます。

スキルを磨き、経験を積むことで昇進していく事が、明確なキャリアプランとなります。

経理部の課長や部長などの管理職へのキャリアを築くことで、経理だけでなく財務も含めたスキルや知識を身に付ける事が可能です。

また異動希望や、担当業務の変更希望を尊重する企業も多くなっているため、経理を経験した後に、財務部での企業財務の管理や、資金調達に関わる道も選択肢としてあるでしょう。

経験を積みたい方であれば、比較的女性を中心に求人が多いのも特徴です。

求められるスキルは様々ですが、派遣や紹介で入社し経理の業務経験を積む事も方法の一つです。

知名度もある企業なら、その後のキャリアを優位に進めることもできるでしょう。

 

2) メリット・デメリット

① メリット

業務に必要となる資格も、一般的に簿記3級は最低限必要となりますが、業務を進めながらでも簿記2級等キャリアアップに必要な資格取得がしやすいメリットがあります。

(経理におすすめの資格については「経理・会計系資格の難易度&おすすめ7選!」も合わせてご確認ください。)

所属人数の多い企業ですので業務負担も分担しやすく、受験勉強の時間も確保しやすい他、社内研修制度や資格取得のサポート制度が整備されている企業も多いです。

また社内での異動や昇格を含めた、キャリアアップの制度もほとんどの企業で用意されています。

経理から財務への異動はもちろん、昇格を含めたキャリアパスの中で必要になるスキルや経験を、上司のアドバイスや研修制度から積上げる事も可能です。

企業の知名度があれば、転職する場合も経験や実績がキャリアアップの助けになるでしょう。

 

② デメリット

個人のキャリアアップに視点を置いた場合、昇進・昇格の難易度も比較的高く、担当する裁量も限られているため、成長意欲の高い方には物足りない場合もあります。

入社する規模感だけでなく、自身のキャリアイメージに合致するかの確認も、事前に行っておくと良いでしょう。

 

3) 中・大企業経理に向いている方

社内制度の整った環境で、基礎的な知識からスキルを積上げていきたい方に向いています。

また多くのスタッフの一員としての業務となるため、業務負担は調整しやすく、着実に経験や実績を積みたい方に向いています。

一方で会計入力や経費管理など、経験が浅い場合は必然的にルーティーンワークが多くなります。

昇格などでのキャリアアップを目指す方は、難易度も比較的高くなりますので、長期的に実績を積みたい方や、確固たる覚悟のある方には、やりがいも充分に感じられる環境と言えます。

 

2. 小企業・会計事務所のキャリアプラン

小企業・会計事務所でのキャリアプラン

1) 得られるキャリア

小規模の企業や会計事務所の場合は、実績やスキルに特化したキャリアプランをイメージして働くことが効果的です。

小人数の企業や事務所では、即戦力として働く事が求められる分、大企業では経験できない業務や業務量を経験することができます。

小企業の場合は経理だけでなく財務まで一緒になった企業も多く、経験を積めば決算書や貸借対照表を基に、資金計画を立案することもできるでしょう。

もちろん経理・財務の管理職や、関連する業務も多い経営企画へのキャリアアップも選択肢の一つです。

会計事務所の場合も、昇進や昇格でのキャリアアップは可能ですが、所属するスタッフの多くは税理士や会計士を目指していたり、転職の経験を積むため事務所に所属しているケースが多いです。

また、一般企業では数回しか経験することができない決算業務等も、会計事務所だからこそ年間に数十回関わる事もできます。

様々な業界や業種の会計管理にも関わる事ができますので、スピード感ある経験やスキルの習得に最適の環境と言えます。

 

2) メリット・デメリット

① メリット

小企業も会計事務所も、幅広い業務や専門的な経理業務を習得するキャリアプランに、メリットがある環境です。

小企業の場合は、経理や財務だけでなく、経験次第では営業事務や経営企画を兼務するケースもあります。

財務の状況から資金計画を立てたり、経営企画に携わる事は、コミュニケーション能力を含めたスキル向上にも繋がり、キャリアを形成していく上での大きな強みになります。

会計事務所の場合も様々な案件に携わる事で、経理や会計の経験をテンポよく積上げれらるのが大きなメリットです。

また、目的意識を持ったスタッフが多いため、資格取得の意欲が高まり、キャリアに関する有益な情報を得る事もできるでしょう。

 

② デメリット

デメリットとしては、良くも悪くも経営者の方針や性格が、大きく企業や事務所の方針に反映される事です。

方針や性格の合う経営者の場合、この上なく快適に業務を進められますが、逆の場合は業務負担や経営の方針に振り回される事も少なくありません。

効率的なキャリアプランを理想とする場合は、経営者の理念や、職場環境にも注意を払った方が良いでしょう。

 

3) 小企業・会計事務所に向いている方

たくさんの業務に関わる事のできる、小企業・会計事務所には他の経理との差別化を目的とした、幅広い経験を積みたい方に向いています。

特に小企業の場合は、経理以外の仕事も業務範囲となりますので、企業に貢献しているやりがいも感じられます。

周囲に貢献する事がモチベーションとなる方にとっては、経験やスキルを習得する速度を早め、キャリプランにもいい影響を与える職場となるでしょう。

会計事務所の場合は、経験の少ない場合は勘定科目を覚える等、基礎的な業務になりますが、経験のある方なら決算業務にも関わる事ができるので、転職を前提としたキャリアプランを持つ方に最適です。

どちらの場合も、深く幅広い業務の習得にはぴったりの職場環境と言えます。

 

3. ベンチャー企業のキャリアプラン

ベンチャー企業でのキャリアプラン

1) 得られるキャリア

企業自体も成長意欲の高いベンチャー企業では、経理だけでなく財務や労務・法務、人事まで、意欲次第で様々な経験やキャリアを積むことができます。

人数がさほど多くないベンチャーの場合は、小企業と同じく経理や財務の部署区別がない場合も多いため、財務の経験等も積みながら昇進していくのが一般的です。

企業と共に成長していく事ができる環境と言えるでしょう。

また、実力主義のベンチャーも多く、昇進や昇格のスピードも早い特徴もあります。

企業によっては1年程度での昇進も少なくないため、必然的に自身の資格取得やスキルを身に付ける速度が上がり、短期間で様々な経験をする事ができます。

企業の制度や経験、意欲によってはコンプライアンスに関わる法務や、採用に関わる人事なども経験することができるでしょう。

また、上場を控えたベンチャー企業の場合、上場に関わる書類の申請や手続き等にも関わる事もできる場合があります。

 

2) メリット・デメリット

① メリット

キャリアプランを考える上でメリットとなるのは、経理や財務だけではなく、コンプライアンスや勤怠に関わる労務や法務まで習得できる環境です。

経理のIT化も進んでいる中では、経理以外の知識や経験を積んでいる事は、以降のキャリアにおいても大変有利になります。

また小規模のベンチャー企業の場合は、自身の成長が企業の成長に繋がると感じる事ができ、やりがいも感じながら向上できる事はメリットと言えます。

大企業に比べ、企業の中枢の業務を任されるまでの期間をさほど必要としないため、実績や努力次第では経営幹部までのキャリアを描く事もできます。

 

② デメリット

デメリットとしては、小企業と同じく経営者の人格が、方針に反映されやすい面があります。

勤務時間等を含めた制度整備が遅れている企業も多くありますので、残業時間や業務範囲の確認等は、入社前にしっかり行っておく必要があります。

 

3) ベンチャー企業に向いている方

意欲と実力次第で様々な経験のできるベンチャー企業の場合は、成長意欲の高い方や好奇心旺盛な方に向いています。

自発的に業務を進め、経理の枠を飛び出した幅広い業務にチャレンジできます。

経理だけでなく、人事や労務、上場手続きや決算まで関わる事で、その経験を次のキャリアに活かす事も可能です。

また組織に貢献しながら、企業を動かす幹部を目指す事も、ベンチャーでのキャリアプランの一つです。

個人の責任も重い業務もありますが、組織と共に成長できる環境は、責任感の醸成ややりがいにも繋がるはずです。

★経理の転職エージェント
転職エージェントを利用するなら、管理部門特化型の中規模エージェントである、以下の3つがおすすめです。

・MS-Japan
・Hupro(ヒュープロ)
・WARCエージェント

ただし、地方求人がないため、地方での転職の場合は大手エージェントのdoda(デューダ)がおすすめです。

詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。

 

4. 外資系企業のキャリアプラン

外資系企業でのキャリアプラン

1) 得られるキャリア

外資系企業の場合、国内企業と異なり国際的な取引を多く扱うため、英文会計や特殊な管理会計等を習得する事ができます。

多くの外資系企業は、ベンチャー企業と同じく年功序列ではなく、実力や実績でキャリアを築いていくのが一般的です。

経理の場合は実績が見えづらい分野ですが、評価基準に従った結果やマネジメント、企画実行力等が重視されます。

チームやグループでのディスカッションも企業によっては活発ですので、外国語を含めたコミュニケーション能力も身に付ける事ができるでしょう。

社内でのキャリアプランとしては、経理部門のマネージャー等を経て、外資特有の管理会計FP&Aを担当する事も目標になります。

コストダウンのプロジェクトや会計視点からの事業計画を策定する部門で、外資系企業では重要とされている部門です。

CFO等の幹部までのキャリアパスをイメージする場合は、FP&A等ファイナンス部門での活躍が近道と言われています。

 

2) メリット・デメリット

① メリット

外資系企業の経理を経験するメリットとしては、グローバルな視点での経理業務と、外国語スキルが身に付く事が上げられます。

実力主義の環境でキャリアプランに必要なスキルも、スピーディーに習得しやすいと言えます。

また社内でのキャリアアップを計る事で得られる報酬が、日系企業より高い事もメリットかもしれません。

外資系の場合は、スキルや経験を活かした転職は一般的であるため、個人のスキルアップに注力し、次のキャリアプランに反映させる事ができます。

外資系企業はヘッドハンティングやエージェントをきっかけとした転職でのキャリアアップも活発なので、スキルや経験は他の企業でのキャリア形成にも役立つことになります。

 

② デメリット

一方で、外資系特有の経理や会計システムもあるため、日系企業に転職する際には、実績を過小評価される事も少なくありません。

また外資系企業の場合は、仕事の範囲があらかじめ決められ、幅広い業務に関わる事ができない場合が多いです。

外資系企業での転職を視野に入れたキャリアプランとしては最適ですが、日系企業でも働きたい場合は、スキルの幅や、転職の選択肢を狭くする場合もあるので注意が必要です。

 

3) 外資系企業に向いている方

外資系企業を軸に今後のキャリアプランを考えている方には向いています。

始めは規模の小さな外資系企業からスタートすれば、仕組みとコミュニケーションに馴染みやすく、その後のキャリアプランにも活かしやすいでしょう。

またグローバルな環境で経理の知識を活かしたい方や、頑張りをしっかり反映されたい方にも向いています。

国内での転職は難しくなる反面、海外での活躍も視野にいれたキャリアプランなら、FP&A等の部門への所属も含め、成長するための目標は大いに用意されている環境と言えます。

 

5. フリーランスのキャリアプラン

フリーランスとしてのキャリアプラン

1) 得られるキャリア

フリーランスの経理として活動する場合、経理業務の受託や経理周りのコンサルタントなど、自分の裁量で様々な業務に関わる事ができます。

多くの企業がリモートワークや外注での業務を推進していますので、スキルや経験によっては企業に所属している場合より、収入が上がるケースもあります。

まずは繋がりのある企業から担当し、実績と信頼を集める事が大切です。

また、クラウドソーシング等のWEBサイト等も活用すれば、幅広い業種、職種のクライアントからの業務を担当する事も可能です。

WEB会議やメールでの書類のやり取りで充分に完結する事が可能な経理業務ですので、営業方法を確立する事で、得られる経験も多くなるでしょう。

 

2) メリット・デメリット

① メリット

フリーランスとして経理業務を行うメリットとしては、経理に付随する業務を提供する事で、自分の能力に向き合い成長する事ができます。

経理処理だけでは依頼も限られますが、経理のコンサルやアドバイス、研修や勉強会等ニーズを想像して、自分で企画実行する能力も習得できるでしょう。

依頼が給与に直結するフリーランスですので、足りない知識や能力を習得する習慣がおのずと身に付く環境は、メリットと言えます。

また自分の時間を有効に使えるように計画できる点も、フリーランスのメリットです。

 

② デメリット

デメリットとしては、業務量が不安定になりやすく、収入面が安定しないことが挙げられます。

スキルの向上と収入の安定を計るためにも、コンスタントに依頼を請ける事ができる受注方法の確保は必須と言えます。

 

3) フリーランスに向いている方

今まで培った経理経験を幅広く還元したい、経理の枠に囚われず様々な業務に携わりたいという意思のある方はフリーランスに向いています。

自由がある反面、全てが自分の責任になるため、経理に付随する知識を習得し続ける意思はとても大切になります。

自分で獲得した依頼を、経験や知識を基に行うので、大きな自信になるのは間違いありません。

仮に上手くいかなかった場合も、個人で活動した実績や経験は、その後のキャリアプランにも充分に活かすことができるでしょう。

フリーランス経理については「経理がフリーランスになるのは可能?押さえるべきポイントは?」も合わせてご確認ください。

 

6. 終わりに

今回は企業の規模や働き方に合わせた、経理のキャリアプランについてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?

企業の屋台骨を支える縁の下の力持ちである経理業務ですので、普段はキャリアプランについて考える余裕もない方も多いはずです。

しかし、自分の現在地に合わせた働き方を選ぶことで、様々な活躍の方法があるのも経理職種の特徴です。

ぜひ今回のそれぞれのキャリアプランや特徴を参考に自分らしい働き方を見つけて、能力を存分に発揮できる環境で活躍して下さい。

 

7. まとめ

Point! ◆中・大企業では経理の基礎習得にも適しており、財務への道もある。
◆小企業・会計事務所では差別化となる、幅広く・深い業務が経験できる。
◆ベンチャー企業では企業と共に、スピード感のある成長ができる。
◆外資系企業は実力主義が魅力。ファイナンス知識を積み、昇進も可能。
◆フリーランスは経理経験を基に、自己責任の環境で成長できる。

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