銀行業務検定の財務2級を受験する必要がある皆様の中には、財務2級の難易度をまだ調べていない方も多いかと思います。
また、財務には3級もあるのですが、いきなり2級から受験してもいいのでは?と思われている方もいるでしょう。
そこで今回は、財務2級の難易度や、いきなり2級から受験することのリスクについてお伝えさせていただきます。
最後に同時取得おすすめ資格として、ビジネス会計検定についても解説しておりますので、ぜひご確認ください。
・公認会計士
・ビジネス会計検定講座講師
・大手監査法人→経理部に出向
→教育×ITベンチャー→自営業
1. 銀行業務検定財務2級の難易度は高い?
2. おすすめテキスト&過去問
3. いきなり2級からの勉強はNG?
4. 合格の秘訣は過去問!
5. 同時取得ならビジネス会計検定
6. 終わりに
7. まとめ
1. 銀行業務検定財務2級の難易度は高い?

1) 銀行業務検定財務2級とは?
(銀行業務検定については「銀行業務検定財務3級とは?テキスト・過去問や合格率を解説」をご参照ください。)
銀行業務検定の財務2級とは、財務3級が与信判断などに必要となる基礎的な財務知識を学習するのに対して、より上級者向けの応用的かつ実践的な知識の習得を目的とした試験となります。
銀行員として活躍するためには、2級までの財務知識は必須となります。
2) 試験概要
① 試験日
年2回(毎年6月と10月)
財務2級 | 3月 試験 |
6月 試験 |
10月 試験 |
試験日 | – | 2022/6/5 | 2022/10/23 |
申込期間 | – | 2022/4/4 ~4/20 |
2022/8/18 ~9/7 |
② 試験時間
3時間
③ 出題形式
記述式10問(各10点)
④ 科目構成
財務諸表・財務分析
⑤ 合格点
60点以上
3) 難易度・合格率
実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2022/6/5 | 4,269 | 916 | 21% |
2021/10/24 | 4,867 | 1,302 | 27% |
2021/6/6 | 5,273 | 1,518 | 29% |
2020/10/25 | 4,924 | 1,159 | 24% |
2020/6/7 | 中止 | – | – |
2019/10/28 | 5,133 | 1,188 | 23% |
2019/6/2 | 5,887 | 1,869 | 32% |
2018/10/28 | 6,133 | 1,561 | 25% |
2018/6/3 | 6,683 | 1,332 | 20% |
合格率が30%前後であり、比較的難易度の高い試験となります。
基本的に銀行員など金融機関にお勤めの方が対象となりますので、分母となる受験者の財務に対する知識は一定程度あると考えられるため、簡単に受かる試験とは言えません。
4) 勉強時間
財務2級の合格に必要な勉強時間は、1つの目安ですが150時間程度となります。
財務3級合格レベルの知識があるのが前提となりますため、そうでない方はさらに時間が必要となります。
財務3級については「銀行業務検定財務3級とは?テキスト・過去問や合格率を解説!」をご参照ください。
5) 他の資格と比較すると、、
財務2級の難易度は、他の資格と比較するとどうなのでしょうか?
ここでは、財務ということで会計・財務系資格として、簿記検定2級・ビジネス会計検定2級と比較していきます。
まず、合格率から比較してみましょう。
資格名 | 合格率 |
財務2級 | 30%前後 |
簿記2級 | 20%前後 |
ビジネス会計検定2級 | 40%前後 |
合格率だけで見ますと、簿記検定2級が一番難しく、財務2級は2番目となります。
次に、必要な勉強時間の観点から見てみましょう。
資格名 | 勉強時間 |
財務2級 | 150時間 |
簿記2級 | 200時間 |
ビジネス会計検定2級 | 200時間 |
勉強時間だけで言うと、あくまで一般論ですが、財務2級が少しだけ少ないです。
ただ、これは受験者層の質の違いによるところが大きいです。
銀行業務検定の財務2級を受験する層は、基本的に銀行員などの金融機関にお勤めの方であり、普段の業務と試験内容に関連性があり、試験のコツをつかむのが早いです。
そのため、他の資格に比べて勉強時間が少なくなっております。
他方で、例えばビジネス会計検定は他の2資格に比べてまだ認知度が低く、受験者層も様々な層となっており、今まで会計に触れてこなかった層もいるため、勉強時間が長くなっております。
(「国家資格並みに評価・評判が高い?!ビジネス会計検定」に記載しているのですが、ビジネス会計検定は近年徐々に人気が高まっている資格であり、これから注目度はさらに高まっていく資格となります。)
そのため、勉強時間の観点からは、どの資格も難易度に大差はないと考えられます。
比較しておいて何ですが、資格同士の難易度を比較することは、あまり意味がないと思います。
自分にとって必要な資格であれば、難易度がどうであれ取得すればいいですし、自分にとって不要な資格であれば、例え簡単そうでも取得する必要はないです。
ただ、明確に目標がない場合は、単に自分の中で1つ専門知識がほしいという理由で、資格を受けるのはありだと思います。
かくいう私も、自分の中で矜持(≒プライド)となるものがほしいと思い、公認会計士試験を受験しました。
2. おすすめテキスト&過去問

1) テキスト
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テキスト目次
財務諸表
1.財務諸表のしくみ
2.貸借対照表・損益計算書の様式・区分
3.流動資産の分類・内容 / ほか
財務分析
1.財務分析一般
2.収益性分析
3.損益分岐点分析 / ほか
財務2級のおすすめテキストは「公式テキスト財務2級」となります。
王道ですが、公式テキストがある資格試験については、公式テキストを仕上げるのが一番効率的かつ効果的な方法となります。
2) 過去問
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財務2級のおすすめの過去問は「財務2級 問題解説集」となります。
「4. 合格の秘訣は過去問!」で詳しく解説しますが、財務2級の試験において、過去問こそが一番の教材です。
この1冊は絶対に用意してください。
3) 他の参考書には手を出さない!
調べていくといくつか他にも参考書はでてくるかと思いますが、財務2級に合格するためには上記以外は手を出さないでください。
財務2級は特に難易度が高いので、あれこれ手を出している時間がありません。
また、複数の参考書を使って1つ1つの理解が50%になるよりも、1つの参考書を使用してその理解が80%になった方が、合格の可能性は高まり効率的な勉強と言えます。
3. いきなり2級からの勉強はNG?

財務には2級の他に、より簡単な3級があります。
しかし、受験者の中には、いきなり財務2級から受験しようと考える方もいます。
いきなり2級を受験することについて、以下に解説していきます。
1) 2級は3級の知識を前提としている
まず大前提として、2級は3級の知識を前提としたものです。
これは何も銀行業務検定の財務に限らず、全ての資格試験に共通しております。
そのため、仮に2級から取り掛かったとしても、結局のところ3級の内容から勉強することになります。
どうせ勉強するのであれば、財務3級から勉強するのがおすすめとなります。
2) 3級はあまり時間がかからない
先ほど財務2級には150時間程度の勉強時間が必要とお伝えしましたが、財務3級は何時間程度の勉強時間が必要なのでしょうか?
「銀行業務検定財務3級とは?テキスト・過去問や合格率を解説!」でご紹介している通り、30時間が1つの目安となります。
2級に比べるとたった五分の一であり、3級から勉強しても大きな負担はないと考えられます。
また、前述のとおり、2級には3級の勉強も含まれるため、3級の勉強を30時間してすぐに2級の勉強を開始すれば、2級の勉強時間はより短縮される可能性があります。
この点からも、3級からの受験がおすすめとなります。
3) 2級で挫折しないように
3級の合格率が30%~40%であるのに対して、2級の合格率は30%前後となり、合格率だけを見ると難易度にはあまり大きな差はないように見えます。
しかし、必要な勉強時間の違いからも分かる通り、実際は2級から格段に難易度が上がります。
そのため、いきなり2級から始めた人の中には、割と早い段階で挫折してしまう人も多いです。
この点、まずはより簡単な3級を勉強することで、基礎知識を積み上げることができ、また、3級に合格することで成功体験を積み自信をつけることができます。
その結果として、財務2級の勉強をする際の挫折を減らすことができるため、財務3級からの学習がおすすめとなります。
4) 他の資格、あるいは実務経験があるならOK
それでは、財務2級から勉強することは、絶対にNGなのでしょうか?
実は、そんなこともありません。
財務3級に相当する基礎知識を有している人であれば、財務2級からの受験でも問題ないと考えられます。
具体的には、以下に当てはまる人が該当します。
・ビジネス会計検定3級に合格している。
・実務経験が3年以上ある。
実務経験については、同じ銀行員でも業務内容により異なるところがあり、単純な年数というよりは、融資や与信業務などについて関わったことがある人が想定されます。
4. 合格の秘訣は過去問!

財務2級の合格には何が一番大事なのでしょうか?
ずばり合格の秘訣は、「過去問」を正しい使い方で使い倒すことです。
それでは具体的に見ていきましょう。
1) 過去問は何割できれば良いでしょうか?
過去問は何割正解できれば、問題ないでしょうか?
5割でしょうか?
7割でしょうか?
ずばり、「9割」解けるようになるまで過去問は解くべきです。
もう少し具体的に言うと、過去問の中にはちゃんと勉強した人であればみんなが解けるような問題と、勉強していても苦戦する問題があり、このうちみんなが解ける問題は100%解けるようにしてください。
全体として9割程度、毎年でているような基本的な問題は100%解けるまで、過去問は同じ問題でも何回も解いてください。
2) 過去問は3度味わう
過去問は3つのタイミングで使用してください。
① 勉強前
1つ目のタイミングは、勉強を始める前です。
財務2級は範囲が広く難しい試験ですので、闇雲に勉強していては非常に効率が悪いです。
勉強を開始する前に過去問を「読む」ことで、理解はできなてくも、どのような問題がでているのか?どんな単語がでてくるのか?などの勘どころを押さえることができます。
初めに過去問を読んでおくだけで、後からテキストを読んだときに、過去問で触れられていた大事なところがわかり、的を絞った勉強ができます。
② 勉強後すぐ
2つ目のタイミングは、テキストで内容を理解した後です。
ある程度テキストで内容を掴んだら、本当に理解しているか試す意味で、同じ単元の過去問を解いてください。
問題を解くことができれば、ひとまずは理解できていると判断して良いでしょう。
③ 最後の総復習
3つ目のタイミングは、勉強が一通り終わった後や試験前の総復習のタイミングです。
実際に過去に出題された問題なので、実力試しには非常に向いています。
この際には前述のとおり、9割程度解けるようになるまで何回も解いてください。
3) 書き方や言い回しは過去問のまま覚える!
銀行業務検定の財務2級は記述試験であり、毎年似たような問題が出題されます。
そのため、過去問の模範解答に記載されている、書き方や言い回しはそのまま覚えてください。
オリジナリティのある解答をすれば高得点がもらえるわけではなく、あくまで試験委員が想定している模範解答を記述することが大切です。
そして、この模範的な解答を学習する上でも、過去問が欠かせない存在となります。
ぜひ過去問を使い倒してください。
5. 同時取得ならビジネス会計検定

最後に、銀行業務検定財務2級との同時取得をおすすめする資格として、「ビジネス会計検定」について紹介させていただきます。
1) ビジネス会計検定とは?
ビジネス会計検定とは、財務諸表を読み解くための能力を測定する試験です。
年2回10月と3月に開催されており、合格率は3級で65%、2級で55%となります。
受験資格がないので誰でも受験することができ、簿記と比較してもより実践的な分析力をつけることができるので、受験者数も順調に増加しております。
ビジネス会計検定については「ビジネス会計検定とは?試験の内容をご紹介!」も合わせてご確認ください。
2) 金融資格と相性がいい
「金融」と「会計」は、実はかなり相性がいいです。
もっと言うと、不可分の関係にあると言えます。
経済の資金流通の流れ全体のことを「金融」と言い、その資金の流れの結果発生した売上・費用・利益などを利害関係者に説明するのが「会計」という分野になります。
金融という分野がなければ会計の意味がなく、逆に、会計という分野がなければ金融を利害関係者が理解することはできません。
金融の分野で資金の流れを管理する分野のことをファイナンスといい、ファイナンスと会計の基礎的な内容を学べるのがビジネス会計検定となります。
詳細については「ビジネス会計検定と金融資格(銀行業務検定/証券アナリスト/FP)の相性は?」をご参照ください。
3) 多くのメリットがある!
ビジネス会計検定の学習には以下のようなメリットがあります。
・その結果として人脈の拡大につながる。
・法人営業などの際に取引先の財務数値を分析できるようになる。
・就職、転職、キャリアアップに役立つ。
・株式投資の基礎知識が身につく。
・起業の際に必要な分析力の基礎が身につく。
詳細については「ビジネス会計検定はメリット・価値がない!?」をご確認ください。
6. 終わりに

銀行業務検定財務2級の試験概要や合格の秘訣について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
財務2級は3級と異なり記述となるため、一気に難易度が上がります。
一番の合格の秘訣である過去問をやり続けて、合格を勝ち取りましょう。
7. まとめ
◆財務3級程度の知識を持っている場合を除いて、いきなり2級受験はおすすめできない。
◆とにかく過去問を使い倒すのが合格の王道。