ビジネス会計検定とは?試験の内容をご紹介!

posted in: ビジネス会計検定 | 0

キャリアアップに役立つ資格の1つである、「ビジネス会計検定」。

近年は、ビジネス会計検定の受験を促している、企業や学校も出てきています。

その一方で、「経理や財務しか関係ないでしょ?」と考える人も多くいます。

しかし、ビジネス会計検定で得られる知識は、多くの職種で役に立つ知識です。

また、仕事だけでなく、株式投資など普段の生活の中でも、様々な活用ができる資格なのです。

そこで本記事では、ビジネス会計検定に関する概要や、資格を取ることで得られる知識・スキルについて、解説していきます。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・ビジネス会計検定講座講師
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. ビジネス会計検定とは?

ビジネス会計検定とは?

1) ビジネス会計検定とは?

① 財務諸表を「読み解く」試験

ビジネス会計検定では、企業が公表する決算書類(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書など)の内容を理解し、企業の財務分析ができる能力を、試験によって判定します。

会計の資格で有名な「簿記検定」は、決算書類を『作成する』ためのスキルを身につけるのに対して、ビジネス会計検定では出来上がった情報を『読み解く』スキルを身につけることができます。

例えば、ビジネス会計検定と簿記検定では、それぞれ以下のような問題が出題されます。

 

簿記検定

【問題】

銀行から20万円を借り入れた場合の仕訳は?

【解答】

借方 貸方
現金預金 200,000 借入金 200,000

 

ビジネス会計検定

【問題】

ビジネス会計検定 流動比率 当座比率-問題

【解答】

ビジネス会計検定 流動比率 当座比率-解答

 

簿記検定のスキルで銀行からの借り入れに関する仕訳を切り、その結果として作成された貸借対照表の短期の安全性を分析したのが、上記のビジネス会計検定の例題となります。

簿記検定とビジネス会計検定の比較については、「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」も合わせてご確認ください。

 

② 大阪商工会議所が主催して始められる

大阪商工会議所主催のもと、2007年に第1回が開催された、ビジネス会計検定試験。

第1回は3級のみが開催され、2,541人が受験し2,224人が合格しました。

そして2008年からは、2級の検定試験がスタート。

2級の初回は1,528人が受験し、627人が合格しました。

その後は以下の通り申込者数が増加しており、ビジネス会計検定の注目度が高まっていると言えます。

ビジネス会計検定3級&2級申込者数推移(第10回~第33回)

 

③ 2011年には1級の検定が開始される

それからしばらくの間、2級と3級の検定試験が開催されていました。

そして2011年からは、1級の検定試験がスタート。

1回目の検定試験には、393人が受験し98人が合格しました。

 

2) ビジネス会計検定試験の概要

① 試験は「年2回」全国各地で受験可能

ビジネス会計検定は年2回(10月、3月)開催されます。(1級は3月の1回)

受験地は首都圏や関西のみならず、札幌から福岡まで全国の主要都市で、受験することができます。

 

② 試験時間は2時間(1級は2時間半)

試験時間は、3級と2級が2時間、1級が2時間半となっております。

実施級 試験時間
3級 10時~12時
2級 13時半~15時半
1級 13時半~16時

 

③ 受験料は4,950円から

受験料は、税込価格で以下となります。

実施級 受験料
3級 4,950円
2級 7,480円
1級 11,550円

 

④ 受験資格は特になし

受験を希望する人は、全員受験可能です。

国籍や性別は問われません。

また、学歴・年齢の制限もありません。

 

⑤ 難易度・合格率

合格率は、3級が約70%、2級が約50%、1級が約20%となります。

3級 合格率
33回 70%
32回 62%
31回 67%
30回 64%
29回 69%
28回 68%
27回 71%
26回 63%
25回 59%
24回 62%
23回 62%

 

2級 合格率
33回 47%
32回 59%
31回 53%
30回 54%
29回 52%
28回 52%
27回 46%
26回 54%
25回 49%
24回 48%
23回 36%

 

1級 合格率
32回 21%
30回 11%
28回 24%
26回 20%
24回 29%
22回 22%
20回 16%
18回 17%

ビジネス会計検定の難易度の詳細については、「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」をご参照ください。

 

⑥ 受験時は電卓の使用が可能

受験の際、電卓を使用することができます。

ただし、以下の機能が付いた電卓は、使用できません。

・音声が出るもの
・携帯電話や通信機能のある腕時計
・印刷機能があるもの
・プログラム機能があるもの
・辞書機能があるもの

 

⑦ 一般的な迷惑行為や違法行為は不可

カンニングや代理受験といったものから、携帯電話や通信機能のある腕時計をカバンなどに収めない場合、受験が認められません。

 

3) ビジネス会計検定の出題範囲

① 3級の出題範囲

3級では、基本的な財務諸表(個別)の構造を理解し、基本的な財務分析ができることを目標として、以下のような内容を学習します。

◆財務諸表に対する基本的知識
◆基礎的な財務分析手法
・安全性分析
・収益性分析
・成長性分析
・1株当たり分析

ビジネス会計検定3級の詳細については、「ビジネス会計検定3級が必要ない人とは?受験要項や難易度は?」をご確認ください。

 

② 2級の出題範囲

2級では、連結財務諸表の構造と分析、そして、キャッシュフロー分析や損益分岐点分析など、より多くの財務分析指標を習得します。

3級との主な違いについては、以下となります。

◆連結財務諸表を前提とした知識
◆多様な財務分析手法
・キャッシュフローの分析
・セグメント情報の分析
・連単倍率、規模倍率
・損益分岐点分析

ビジネス会計検定2級の詳細については、「ビジネス会計検定2級とは?3級との違いは?挑戦すべき5つの理由」をご確認ください。

 

③ 1級の出題範囲

1級では、企業が作成する有価証券報告書に関して、総合的な理解と作成の実務能力を持つことを目指します。

企業のディスクロージャーに関する知識、各種資産に関する理解と計算方法、そして企業価値分析についての理解が求められます。

 

4) ビジネス会計検定の受験方法

① インターネットやコンビニで手続可能

個人で受験する場合、注意事項を確認の上、インターネットやコンビニで申込をして、受験料を納付します。

その後、主催者から受験票が送付され、検定を受験します。

ビジネス会計検定の申込方法の詳細については、「ビジネス会計検定の申し込み方法・期限・試験会場・受験料」をご参照ください。

 

② 10名以上であれば団体で申込が可能

団体で受験する場合、先に団体として登録する必要があります。

受験票や成績表、そして合格証は個別に送付されますが、「受験者成績一覧表」が団体担当者あてに送付されます。

受験料の支払に関しても、「個別払い」と「団体払い」を選択できます。

さらに、団体申込でテキストを一括購入すれば、割引価格で手に入れることができます。

 

5) ビジネス会計検定の勉強方法

① 主催者公式のテキスト

ビジネス会計検定では、主催者である大阪商工会議所が編集した、「公式テキスト」があります。

そのため学習に関しては、公式テキストを中心に進めていくこととなります。

また、テキストと同様に大阪商工会議所が編集した、「公式過去問題集」も発売されていますので、テキストと合わせて利用するのが、王道の勉強法方法となります。

ビジネス会計検定の各種教材の詳細については、「ビジネス会計検定の過去問・テキストは公式一択で決まり!」をご参照ください。

 

② 受験対策講座

受験対策講座には、大阪商工会議所が主催するものや、各予備校が主催するものがあります。

短期間でビジネス会計検定に合格したいなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。

頻出論点短時間で講義するので、効率的に合格を目指すことができます。

・3級講義時間:約15分×20回
・2級講義時間:約20分×19回
・確認テスト、予想問題つき

まずはガイダンス動画をチェックしてみてください!

 

2. どんな人が受験するの?

どんな人がビジネス会計検定を受験する?

ビジネス会計検定で得られた知識は、会計や財務の仕事だけに役立つものだと、当初は思われていました。

しかし近年では、ビジネス会計検定の合格を目指す人達の目的も多様化しており、受験者数が増加しております。

例えば、以下のような人達の受験が考えられます。

 

1) 企業の管理職を目指す人

管理職になれば、企業全体の業績を踏まえながら、管理する部門の運営を進める必要があります。

この時にビジネス会計検定の知識があれば、自社の現状をより深く理解することができます。

例えば、キャッシュフロー計算書から、会社全体として投資に積極的なのか?それとも消極的なのか?といった点を読み解き、自部門として投資をすべきか否か、判断することができます。

具体的には、ビジネス会計検定3級や2級で、以下のようなキャッシュフロー情報の分析について学習します。

 

(例題:CF分析)

【問題】

CF分析:CFの循環パターン③ー問題

【解答】

CF分析:CFの循環パターン③ー解答

 

2) 取引先企業の現状把握をしたい人

営業職になると、他の企業と取引を行う機会が増えます。

また、実生活においても、保険・不動産や各種サービスなどにおいて、企業と長期的な契約を結ぶ機会があります。

このような場合に、ビジネス会計検定の知識を用いて、取引先企業の現状を分析してから契約を結べば、より安全な取引ができるようになります。

例えば、取引先の短期の安全性を分析して、短期的に資金繰りに困るほど危ない企業でないか、判断することが可能となります。

具体的には、ビジネス会計検定3級や2級で、以下のような安全性に関する分析について学習します。

 

(例題:安全性分析)

【問題】

安全性分析:流動比率 当座比率ー問題

【解答】

安全性分析:流動比率 当座比率ー解答

 

3) 健全な株式投資をしたい人

さらに近年は、自らの資産形成を目指して、株式投資を行う人が増えています。

そして、株式投資の際にビジネス会計検定の知識を使えば、株価の割高・割安や企業の状態・企業価値・問題点を把握して、投資を行うことができます。

例えば、株式投資の主要指標であるPERを以下の例題のように計算して、株価が割高か割安かを判断して、投資を行うことが可能となります。

 

(例題:1株当たり分析)

【問題】

1株当たり分析(2級):PER割高割安ー問題

【解答】

1株当たり分析(2級):PER割高割安ー解答

 

その他のビジネス会計検定の役立て方については、「ビジネス会計検定は意味ない?役に立つ?」をご参照ください。

 

3. なぜ受験者数が増えているの?

なぜ受験者数が増えているの?

前述の通りビジネス会計検定は、毎年受験者数が増加している、最近ではめずらしい資格試験です。

これまで日本では、「会計は専門家に任せればよい」、という風潮がありました。

しかし近年では、会計は企業を分析する重要なツールであり、専門家以外のビジネスパーソンにとっても役立つものであると、認識され始めました。

そのため、経済社会で生きるために役立つ会計知識を身につけようとする人が、年々増えてきております。

また、公認会計士や税理士などの難関資格と比較して、難易度が低いわりに得られる知識は非常に実践的なため、ビジネス会計検定に注目が集まり、結果として、受験者数が増加していると考えられます。

 

4. 終わりに

ビジネス会計検定の概要について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

ビジネス会計検定を勉強することで、ビジネスパーソンとしての視野が広がり、現場で大いに役立つ知識を得ることができます。

この機会に、受験を検討されてみては、いかがでしょうか?

 

5. まとめ

Point! ◆財務諸表を読み解く能力を得る試験。
◆2007年から始まった検定。
◆年2回、全国各地で受験可能。
◆3級から1級までの3段階。
◆試験では電卓の使用が可能。
◆管理職が自社の状況把握のため受験。
◆安全な企業取引を目指す人が受験。
◆株式投資を行う上でも大切な知識。
◆受験申込者数は毎年増加。

おすすめビジネス会計検定講座 >>