ビジネス会計検定や株式投資の勉強を進めていく中で、キャッシュフローの各種比率が重要な論点となってきます。
ただ、財務諸表分析には多くの指標があり、覚えるのが大変です。
特に、各種利益をもとにした指標とキャッシュフローをもとにした指標は、似て非なるものなので混同せずに覚える必要があります。
そこで今回は、キャッシュフローの中でも、「比率分析」の指標について解説していきます。
1. 営業キャッシュフロー・マージン
2. 自己資本営業キャッシュフロー比率
3. 営業キャッシュフロー対流動負債比率
4. 設備投資額対キャッシュフロー比率
5. おすすめ資格はビジネス会計検定!
6. 終わりに
7. まとめ
1. 営業キャッシュフロー・マージン
まず、営業キャッシュフロー・マージンについて見ていきましょう。
式は以下となります。
営業キャッシュフロー・マージンは、売上高からどの程度キャッシュフローが創出されたのかを把握する指標となります。
分子の営業キャッシュフローが少ないと、次の仕入れのための資金が枯渇しており、望ましくありません。
逆に、営業キャッシュフロー・マージンが多ければ多いいほど、それだけ売上債権を回収できており、望ましいということができます。
こちらは「収益性分析とは?ビジネス会計検定で学べる各指標をご紹介!」で解説した、「売上高営業利益率」と合わせて確認しておいてください。
例えば、売上高営業利益率は前期と変わらないのに、営業キャッシュフロー・マージンが下がっていた場合、利益の質が下がっている、つまり利益のうちキャッシュとして当期中に回収できている割合が、下がっている可能性があります。
営業キャッシュフロー・マージンの詳細については、「キャッシュフローマージンとは?分析方法・求め方をご紹介!」をご参照ください。
(例題)
【問題】
【解答】
2. 自己資本営業キャッシュフロー比率
次は、自己資本営業キャッシュフロー比率について見ていきましょう。
式は以下となります。
自己資本営業キャッシュフロー比率は、自己資本を利用してどれだけ営業キャッシュフローを獲得したかをあらわす指標となります。
済の必要のない株主からの出資で構成される自己資本をもとに、どれだけ効率よく本業のキャッシュフローを稼いでいるかをみることができます。
(例題)
【問題】
【解答】
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3. 営業キャッシュフロー対流動負債比率
次は、営業キャッシュフロー対流動負債比率について見ていきましょう。
式は以下となります。
営業キャッシュフロー対流動負債比率は、1年以内に返済が必要な流動負債を営業キャッシュフローで賄えているのか?という指標となります。
こちらは「安全性分析とは?各指標を学ぶにはビジネス会計検定がおすすめ!」で解説した、「流動比率」や「当座比率」と合わせて確認しておいてください。
貸借対照表の流動資産や当座資産ではなく、実際のキャッシュで流動負債を賄えるのかを見ており、大きければ大きいほど望ましいと言えます。
(例題)
【問題】
【解答】
4. 設備投資額対キャッシュフロー比率
次は、設備投資額対キャッシュフロー比率について見ていきましょう。
式は以下となります。
*設備投資額=有形固定資産の取得による支出-有形固定資産の売却による収入
設備投資額対キャッシュフロー比率は、営業キャッシュフローで設備投資額を賄えているのかを見る指標となります。
分子の設備投資額は、投資活動によるキャッシュフローに区分される「有形固定資産の取得による支出」と、「有形固定資産の売却による収入」の差額となります。
気をつけていただきたいのは、今までと分母と分子が逆になって、分母に営業キャッシュフローがきている点です。
分母の営業キャッシュフローが大きいほど設備投資額を賄えていると言えるため、設備投資額対キャッシュフロー比率は小さいほど望ましいと言えます。
営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計で求められるフリーキャッシュフローと同じ概念で、フリーキャッシュフローが絶対額であるのに対して、設備投資額対キャッシュフロー比率は比率で表したものとなります。
(例題)
【問題】
【解答】
5. おすすめ資格はビジネス会計検定!
キャッシュフロー比率の勉強にはビジネス会計検定がおすすめです。
以下その理由を解説していきます。
1) ファイナンスの勉強ができる
売上・費用・利益といった計算上の数値を扱う「会計」とは別に、実際のキャッシュの動きを扱う「ファイナンス」という分野で、キャッシュフロー比率は重要となります。
そして、このファイナンスの勉強におすすめなのが、ビジネス会計検定となります。
詳細につきましては「ファイナンスに資格の勉強は必要??」をご確認ください。
2) 他資格との相性がいい
ビジネス会計検定は同じ会計系資格との相性だけでなく、金融系や法律系資格との相性も良い資格となります。
キャッシュフロー比率の勉強に留まらず、他の資格とのダブルライセンスを検討されている方には、非常におすすめです。
各資格との関係については以下をご参照ください。
会計系資格①
「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」
会計系資格②
「ビジネス会計検定から公認会計士・uscpaへのステップアップ!?」
金融系資格
「ビジネス会計検定と金融資格(銀行業務検定/証券アナリスト/FP)の相性は?」
法律系資格
「ビジネス会計検定×法律資格で他者との差別化!」
3) 財務諸表分析全体の基礎知識が身につく
キャッシュフロー比率を勉強される皆様のほとんどは、キャッシュフロー比率だけでなく、財務諸表全般の分析力をつけることを目指されているかと思います。
そして、財務諸表分析の基礎知識を体系的に学べるのが、ビジネス会計検定となります。
あくまで基礎知識ですが、基礎なくして応用は身に付きません。
4) 受験者数が増加している注目の資格
国家資格の多くが受験者数が減少している中で、ビジネス会計検定は受験者数が増加しており、徐々に注目が集まっております。
受験者数の増加というのはまさに、市場のニーズを反映しており、今後が期待される資格と言えます。
ビジネス会計検定の評判については「国家資格並みに評価・評判が高い?!ビジネス会計検定」も合わせてご確認ください。
6. 終わりに
キャッシュフロー比率について、具体的な指標を見ながら紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
1つ1つは難しい内容ではないですが、他の指標と混同しやすいので、しっかり頭に入れておいてください。
また、必要に応じてぜひビジネス会計検定の受験を検討してみてください。
7. まとめ
◆自己資本営業キャッシュフロー比率:営業キャッシュフロー ÷ 自己資本
◆営業キャッシュフロー対流動負債比率:営業キャッシュフロー ÷ 流動負債
◆設備投資額対キャッシュフロー比率:設備投資額 ÷ 営業キャッシュフロー