「将来は経理のプロになりたい!」
漠然とこのような目標を掲げている人は、以下の質問に答えてみてください。
・そもそもプロとはどんな人のことを指すのでしょうか?
・プロになるために必要なことは何でしょうか?
もし即答できたのであれば、本記事は読まなくて問題ございません。
一方で、即答できなかった人は、本記事で上記2点について解説しますので、ぜひ確認しみてください。
1. 経理のプロとはどんな人?
1) 独立しても食っていける
2) 年収1,000万円以上
3) 年次決算を10回以上経験
4) 公認会計士などの資格を保有
5) 不正をしない・許さない
6) 安定したパフォーマンス
2. 経理のプロになるために必要なこと!
1) 会計・税務知識をつける
2) 経験を積む
3) 肩書をつける
4) 転職する
5) 提案・アドバイスを増やす
3. 終わりに
4. まとめ
1. 経理のプロとはどんな人?
まず、私の考える経理のプロとはどんな人か、お伝えしていきます。
以下の全てに当てはまる人というよりは、以下の複数を満たしている人のことを、本記事ではプロとして定義しております。
1) 独立しても食っていける
経理のプロの1つ目の特徴としては、「独立しても食っていける」ことが挙げられます。
プロとは、自分のスキルをお金に換えて、食っていける人です。
つまり、経理として独立しても、普段生活する程度のお金を稼げる人のことを指します。
「経理がフリーランスになるのは可能?押さえるべきポイントは?」でお伝えしている通り、中小企業やスタートアップにおけるフリーランス経理の需要は、今後拡大していくと考えられます。
であれば、経理経験者は誰でもフリーランスとしてやっていけるのか?というと、当然そんなことはありません。
今までは「○○社の経理の△△さん」であったため相手にされていたのが、「フリーランス経理の△△さん」になった途端に、相手にされなくなるということは、容易に想像できるかと思います。
会社の肩書がなくても、経理としての実力を買われて仕事を受注できることは、プロである証明と言えるのではないでしょうか。
以上より、「独立しても食っていける」ことは、経理のプロの特徴と言えます。
2) 年収1,000万円以上
経理のプロの2つ目の特徴としては、「年収1,000万円以上」が挙げられます。
独立することで経理としての市場価値がわかり、それでも食っていける人は経理のプロとお伝えしましたが、会社勤めの人の場合は、どのように経理としての価値を判断すればいいのでしょうか?
この点については、プロかどうかの判断基準の1つとして、経理で年収1,000万円を参考にしてみてください。
あくまで1つの目安に過ぎませんが、東京都の経理の平均年収が500万円程度であるため、その倍の金額を経理として稼いでいる場合は、経理のプロとして評価されていると考えられます。
ちなみに、経理で年収1,000万円を達成するためには、そもそも全体的な給与水準が高い会社に入り、役員や部長といった役職まで上り詰める必要がありますので、かなり大変な道のりとなります。
以上より、「年収1,000万円以上」は、経理のプロの特徴と言えます。
3) 年次決算を10回以上経験
経理のプロの3つ目の特徴としては、「年次決算を10回以上経験」していることが挙げられます。
経理のプロになるためには、経理業務を一通り経験している必要があり、1年間の経理業務の総まとめである年次決算の経験回数が、1つの指標となります。
ここで、一般的に何の分野でもプロと呼ばれるためには、その分野での1万時間の経験が必要と言われております。
年間の出勤日を250日と考え、1日あたりで集中して経理業務に取り組んでいる時間を4時間とすると、10年間で1万時間を達成できる計算となります。
(毎日ランチを除いて8時間会社にいる場合でも、休憩時間や手待ち時間を引いて、かつ、本当に集中して仕事をできている時間となると、かなり時間が圧縮されると考えられ、ここでは4時間としています。)
つまり、おおよそですが、10回決算を経験すると、1万時間の経験を積めたことになります。
以上より、「年次決算を10回以上経験」していることは、経理のプロの特徴と言えます。
4) 公認会計士・税理士などの資格を保有
経理のプロの4つ目の特徴としては、「公認会計士・税理士などの資格を保有」していることが挙げられます。
ある意味では、一番客観的な指標と言えるかもしれません。
実際に私も、公認会計士であることを伝えただけで、その道のプロと判断していただいた経験は多々あります。
どのレベルの資格からが経理のプロと言えるかは、何とも言えませんが、1つの目安として以下を参考にしてみてください。
・税理士
・USCPA(米国公認会計士)
・簿記1級
注意点として、これらの資格はあくまで知識面を担保しているに過ぎず、経理のプロと呼ぶためには、経理としての経験が当然に必要となります。
以上より、「公認会計士・税理士などの資格を保有」していることは、経理のプロの特徴と言えます。
5) 不正をしない・許さない
経理のプロの5つ目の特徴としては、「不正をしない・許さない」ことが挙げられます。
「不正をしないなんて当たり前だろ!」
という声が聞こえてきそうですが、経理はお金を扱う部署であるため、悲しいことに一定数の不正が起きてしまいます。
自分が不正をしないのは当然として、他人の不正行為を目の当たりにした際に、放置せず指摘して正せることは、経理のプロの条件と言えます。
自分には関係ないと思う人もいるかもしれませんが、皆様が思うよりはるかに身近なところに、不正の機会というのは潜んでいます。
不正が発生してから対処するのではなく、そのような不正の機会を事前に潰しておくことも、プロの経理には求められるのです。
以上より、「不正をしない・許さない」ことは、経理のプロの特徴と言えます。
6) 安定したパフォーマンス
経理のプロの6つ目の特徴としては、「安定したパフォーマンス」が挙げられます。
プロと呼ばれる人たちの中でも分野によっては、パフォーマンスの最大値が人より高くあることが求められる分野もあります。
一方でプロの経理には、パフォーマンスの最大値が高いことよりも、いつ頼んでも、どんな内容でも、誰と組んでも、安定してパフォーマンスをあげることが求められます。
「先月の月次決算は調子良かったからいつもの1.5倍のペースでできたけど、当月は調子悪くていつもの0.5倍くらいのペースだった。」
という人は、プロの経理ではありません。
経理はバックオフィスであり、縁の下の力持ちです。
つまり、経理が安定していることで、皆が気付くかどうかは別として、会社全体に好循環をもたらすことができるのです。
そして、安定したパフォーマンスを発揮して、そんな環境を構築できるのが、プロの経理となります。
以上より、「安定したパフォーマンス」は、経理のプロの特徴と言えます。
2. 経理のプロになるために必要なこと
1) 会計・税務知識をつける
1つ目の経理のプロになるために必要なこととしては、「会計・税務知識をつける」ことが挙げられます。
プロの条件として当たり前すぎて、前項では省略しましたが、会計・税務の専門知識があることは、プロの経理としての最低限の条件です。
つまり、経理のプロになろうと思った場合に、まず身に付けないといけないのが、会計・税務知識となります。
学習の方法はいろいろありますが、例えば資格試験を中心に考えた場合、現状のレベルに合わせて以下の初級から上級までのステップを踏んで、会計・税務知識を身に付けていってください。
・簿記2級
財務諸表を「作成」する知識を学ぶ。
参考:「簿記2級は独学では無理?」
・ビジネス会計検定2級
財務諸表を「分析」する知識を学ぶ。
参考:「ビジネス会計検定2級とは?3級との違いは?挑戦すべき5つの理由」
・経理実務の本
参考:「経理実務の勉強におすすめの本4選!」
以上より、「会計・税務知識をつける」ことは、経理のプロになるために必要なことと言えます。
2) 経験を積む
2つ目の経理のプロになるために必要なこととしては、「経験を積む」ことが挙げられます。
知識ももちろん大切ですが、結局のところ経理のプロになろうと思った場合は、最終的には経理の経験を積むしかありません。
先述の通りプロとなるためには、10年程度は経理での経験を積む必要があります。
長いな、、と思われた皆様に、少しでもこの年数を短くするためのコツを3つご紹介します。
① 向上心のある人に関わる
同じ職場で少しでも向上心の高い人と関わることで、自分の向上心も引き上げられて、より短時間で経験を積むことができます。
できれば経理の同僚が良いのですが、無理であれば経理以外の同僚、あるいは他社の経理で向上心のある人に積極的に関わってみてください。
② 1つ1つの作業に対して感想を持つ
毎日自分がやった作業に対して、感想を持つクセをつけてください。
どんな感想でもかまいません。
感想を持つためには、1つ1つの作業を客観視する必要があります。
作業を客観視することで、改善の余地や他者の作業に自然に目が行き、新しい気付きや経験を積むことが可能となります。
③ 経験したことを定期的に書き出す
定期的に経理として経験したことを書きだすことで、新しい経験を積めているか確認することができます。
そして、新しい経験を積めていないとわかれば、積極的にチャンレジする必要があります。
以上より、「経験を積む」ことは、経理のプロになるために必要なことと言えます。
3) 肩書をつける
3つ目の経理のプロになるために必要なこととしては、「肩書をつける」ことが挙げられます。
肩書に意味はないという人もいますが、個人的には意味があると思っています。
肩書を与えられることで、その肩書に釣り合うように必死に努力するようになるためです。
つまり、経理のプロと言われるような肩書をまず身に付けることで、否が応でも努力せざる負えない環境に自分を追い込むことができます。
肩書の例としては、役職であれば「課長」「部長」あるいは「CFO」、資格であれば「公認会計士」「税理士」「簿記1級」などが考えられます。
また、経理のプロになるためにまず肩書を身に付けようとする過程で、経理のプロとして必要な要素を身に付けることができるため、肩書を得た頃には経理のプロとなっているケースもあります。
以上より、「肩書をつける」ことは、経理のプロになるために必要なことと言えます。
4) 転職する
4つ目の経理のプロになるために必要なこととしては、「転職する」ことが挙げられます。
経理のプロというのは、今勤めている1社でしか使えない経理スキルを持っている人ではなく、どの会社でも経理という職種であれば活躍できる人のことを指します。
この点については、共通して使える経理スキルと各社固有の経理スキルの区別をつけるために、転職して複数社の経理を経験することがおすすめとなります。
また、自分の力が本当にどの会社でも使えるものなのか試す意味でも、転職を経験しておく必要があります。
経理であれば他の職種と比べると、比較的転職しやすいかと思いますので、今の会社で経理として一定の経験を積んだのであれば、転職も視野に入れてみてください。
(経理の転職については、「経理が転職しやすい7つの理由」もご参照ください。)
以上より、「転職する」ことは、経理のプロになるために必要なことと言えます。
転職エージェントを利用するなら、管理部門特化型の中規模エージェントである、以下の3つがおすすめです。
・MS-Japan
・Hupro(ヒュープロ)
・WARCエージェント
ただし、地方求人がないため、地方での転職の場合は大手エージェントのdoda(デューダ)がおすすめです。
詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。
5) 提案・アドバイスを増やす
5つ目の経理のプロになるために必要なこととしては、「提案・アドバイスを増やす」ことが挙げられます。
知識は他者に伝えることで体系化されて、本当の意味で理解することができます。
そのため、同僚が困っていた場合や、周りが知らない経理ノウハウを自分が持っている場合は、積極的に周りにアドバイスをしてください。
先にGiveすることで、後から多くのTakeをもらえる可能性もあります。
また、上司や経営層に対して会計・税務面からの提案をすることで、自分の価値をアピールすることができ、評価が高まることも考えられます。
専門知識の理解が深まり、また、他者からの評価が高まることで、経理のプロに近づくことができます。
以上より、「提案・アドバイスを増やす」ことは、経理のプロになるために必要なことと言えます。
3. 終わりに
そもそも経理のプロとは何なのかについてお伝えした上で、経理のプロとなるために必要なことについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
どこを目指すかは人それぞれです。
ただ、せっかく経理という職に就いたのであれば、経理のプロを目指してみるのも、おもしろいかもしれません。
4. まとめ
◆年収1,000万円以上。
◆年次決算作業を10回以上経験。
◆公認会計士・税理士・簿記1級などを保有。
◆不正を許さない。
◆安定して成果を発揮できる。