「決算書の会計数値を分析できたらいいな..」と思ったことはありませんか?
ただいざ興味を持っても、どうやったら決算書分析の知識を身に付けられるのかわからない..という人も、多いかと思います。
そこで本記事では、決算書分析の習得の第1歩として、資格の取得、特にビジネス会計検定の取得をおすすめします。
決算書分析に関して正しく理解し、自分のものにしていきましょう。
1. 決算書分析とは?
1) 決算書分析とは?
決算書とは、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの財務諸表のことを指します。
そして、この決算書を様々な面から分析するのが、決算書分析となります。
決算書分析の対象となる決算書には、切り口により以下のような違いがあります。
・決算書に含める企業の範囲:連結財務諸表・個別財務諸表
・決算書の期間:通年の財務諸表・四半期財務諸表
また、決算書の主な分析方法には「安全性分析」「収益性分析」「成長性分析」の3つがあります。
2) 安全性分析
安全性分析とは、企業の債務支払能力や財務健全性を評価する分析のことを指します。
簡単に言うと、「借りたお金を返済できるのか?(債務支払能力)」「借入の割合は適切か?(財務健全性)」といった点に、着目する分析となります。
分析指標としては、以下のようなものがあります。
・正味運転資本(短期)
・当座比率(短期)
・手元流動性比率(短期)
・ネットキャッシュ(短期)
・固定比率(長期)
・固定長期適合率(長期)
・負債比率(長期)
・自己資本比率(長期)
・インタレスト・カバレッジ・レシオ(短期)
詳しくは「安全性分析とは?各指標を学ぶにはビジネス会計検定がおすすめ!」をご参照ください。
3) 収益性分析
収益性分析とは、利益を獲得するために投資した資本から、どの程度利益があがっているかを分析することを言います。
簡単に言うと、「かけたお金に対して稼いでいるのか?」といった、企業の利益獲得能力に着目した分析となります。
具体的な指標としては、以下のようなものがあります。
・総資本事業利益率
・経営資本営業利益率
・自己資本当期純利益率
収益性分析については、さらに上記指標を売上高利益率と資本回転率などに分解して、収益性改善・悪化の詳細な原因分析を行います。
詳細につきましては「収益性分析とは?ビジネス会計検定で学べる各指標をご紹介!」をご参照ください。
4) 成長性分析
成長性分析とは、一定期間の間に売上や資産などの項目が、どの程度変化したのか?を分析することを指します。
具体的な指標というよりは、分析方法の種類となりますが、成長性分析には以下のようなものがあります。
・伸び率
・対基準年度比率
注意点として、上記指標では単位が「率」となっておりますが、比率だけを見るのは適切ではなく、絶対額にも着目する必要があります。
例えば、以下のような2つの企業があった場合、成長性分析の1つである対前年度比率だけで言えば、B企業の方が良く見えますが、絶対額で言うとA企業が1億円に対して、B企業は100万円しか利益が増加していません。
・売上高:100億円
・前年度利益:10億円
・当年度利益:11億円
・対前年度比率:110%
【B企業】
・売上高:100億円
・前年度利益:100万円
・当年度利益:200万円
・対前年度比率:200%
比率だけでなく絶対額でみると言うのは、成長性分性に限らず全ての分析に言えることですので、頭に入れておいてください。
成長性分析の詳細につきましては「成長性分析とは?各指標をご紹介!」をご参照ください。
2. 決算書分析が必要な場面は?
決算書分析は、どのような場面で使用されるのでしょうか?
いくつか例示を、確認していきましょう。
1) 株式投資
1つ目の決算書分析を使用する場面としては、株式投資があります。
株式投資で投資先企業を選定する際に、対象企業の決算書分析が必要となります。
上述の安全性分析・収益性分析・成長性分析に加え、以下のような一株当たり分析などの指標も使用します。
・PER(株価収益率)
・BPS(1株当たり純資産)
・PBR(株価純資産倍率)
・一株当たり配当額
・配当性向
・配当利回り
・株式益回り
・時価総額
2) 取引先の選定
新規の取引先を増やす際にも、相手先企業の決算書分析は必要となります。
どうしても今現在の収益性に目が行きがちですが、売上高などの過去の推移にも注意が必要です。
法人同士の取引は通常単発ではなく、長期的な付き合いを前提としておりますため、安定的に売上を上げているかどうかは重要な要素となります。
3) 業界調査
現在属している業界や、新規事業を始める際の新たな業界の調査などにも決算書分析は必要となります。
業界で売上を伸ばしている、あるいは利益を出し続けている企業の決算書をチェックし自社と比較することで、欠けている点、あるいは優れている点を把握することができます。
4) 自社の状況把握
自社の状況を把握する上でも、決算書分析は必要となります。
自社の分析の場合は、必要に応じてより自分に直接的に関係のある部分をチェックするのも、1つの方法です。
例えば、給料や賞与・退職給付引当金などの人件費や福利厚生費などが、対象として考えられます。
3. 決算書分析に資格の取得は必要?
1) 独学でも可能
それでは、決算書分析に資格の取得は必要でしょうか?
結論から言うと、独学でも決算書分析に必要な知識を学ぶのは、十分可能です。
資格はあくまで手段であり、最終的に決算書を分析する力がつくのであれば、独学でも問題ありません。
ただ、次項以降でお伝えする理由から、資格の取得を通じて決算書分析の勉強をする方がおすすめです。
2) 網羅的に基礎知識を学べる
1つ目のおすすめの理由としては、決算書分析に必要な基礎知識を体系的に学べる点です。
自分の知らない分野を独学で勉強する際は、全体像がわからず闇雲に勉強することとなり、余計な時間がかかってしまいます。
また、必要な知識に抜け漏れが生じる可能性もあります。
一方で資格試験であれば、試験として学ぶべき知識が体系的に整理されており、最短ルートで漏れなく必要な知識を学ぶことができます。
3) 点数にすることで自分の進度がわかる
2つ目のおすすめの理由としては、自分の理解度が点数として明確にわかる点です。
独学だと自分が今どの程度理解できているのか?といった点が不明瞭となります。
一方で資格試験であれば、点数という客観的な数値で、自分の理解度がわかります。
また、合格点という超えるべき目標もありますので、非常に勉強しやすいです。
4) 成功体験を積める
3つ目の資格の勉強がおすすめな理由としては、成功体験を積める点が挙げられます。
「自分はやればできる!」という成功体験をたくさん積むことは、決算書分析を学ぶだけでなく、ビジネスパーソンとして自信をつけていくためにも必要なことです。
資格の勉強であれば、合格することで手軽に成功体験を積み重ねることができます。
何か学びたい分野がある際に、いくつかマイルストーン(物事の進捗を管理するために途中で設ける節目)を用意することで、小さな成功体験を積み重ねることができます。
資格取得は目的達成のための、1つのマイルストーンとして非常に有効です。
成功体験というのは、心の拠り所になります。
私もサッカーを12年間続けたことや公認会計試験に合格したことなどは、今でも何が新しいことを始める際に「自分ならきっとやればできる!」と思わせてくれる、精神的な支柱となっています。
1つ1つの難易度が高くなくても、成功体験の数を積み重ねるというのも、1つの方法です。
資格試験合格も必ず1つの成功体験になりますので、興味のある方はぜひ挑戦してみてください!
4. 決算書分析と言えばビジネス会計検定!
決算書分析には「ビジネス会計検定」がおすすめです。
簿記が決算書を「作成」する力がつくのに対して、ビジネス会計検定は決算書を「分析」する力がつきます。
以下、ビジネス会計検定がおすすめな理由を、いくつか列挙していきます。
1) 手ごろな難易度で基礎知識が身につく!
ビジネス会計検定では、奇をてらった(*)問題は出題されません。
(*奇をてらう:わざと普通と違っていることをして人の注意を引こうとする。)
つまり、基礎的な知識を身に付けるための、基本的な問題が出題されます。
難関資格の場合は「落とすための試験」となるため、奇をてらった難しい問題が出題されます。
一方でビジネス会計検定の場合は、必要最低限の知識を持った人を「受からせるための試験」となるため、基礎的な出題となります。
(ビジネス会計検定の難易度については「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」も合わせてご確認ください。)
2) 3級と2級の同時受験ができる!
2つ目のおすすめの理由としては、3級と2級の併願ができる点が挙げられます。
決算書分析の知識を身に付けたい人にとっては、極端に言うと合格は重要ではなく、最小限の時間で必要な知識(2級まで)を勉強することが重要となります。
この点、ビジネス会計検定は受験資格の制限がなく、また難易度的にも3級と2級の同時受験がしやすい試験と言えます。
そのため、2級までを同時受験することで、勉強時間を最小化することができ、効率的に決算書分析の力をつけることができるのです。
(ビジネス会計検定の同時受験の詳細については、「ビジネス会計検定は併願(ダブル受験)がおすすめ?」をご確認ください。)
3) 簿記よりも実践的!
3つ目のビジネス会計検定がおすすめな理由としては、より実践的な知識がつく点が挙げられます。
簿記検定の知識もビジネスパーソンにとっては必須の知識です。
しかし、決算書を分析するという目的を考えれば、より実践的な分析手法を学べるビジネス会計検定の方が、おすすめとなります。
ビジネス会計検定では、前半で簿記検定と同様に財務諸表の基礎的な知識を学び、後半で分析手法について学びます。
一方で、前半部分の財務諸表の知識については、簿記検定ほど詳しくはやらず、あくまで後半の実践的な財務諸表の分析手法の勉強に重きを置いております。
ビジネス会計検定と簿記検定の違いについては、「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」をご参照ください。
短期間でビジネス会計検定に合格したいなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。
頻出論点を短時間で講義するので、効率的に合格を目指すことができます。
・3級講義時間:約15分×20回
・2級講義時間:約20分×20回
・確認テスト、予想問題つき
5. 終わりに
決算書分析の概要と、決算書分析にはビジネス会計検定の勉強がおすすめな理由を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ビジネス会計検定3級は、入門としては非常に勉強しやすい内容となっておりますので、まずは勉強を開始してみてください。
想像するよりも実際に勉強をしてみた方が、合う合わないを判断しやすいです。
ビジネス会計検定を通じて、皆様の決算書分析力が向上することを、応援しております。
6. まとめ
◆決算書分析は会社の状況を把握することで株式投資や取引先選定などに役に立つ。
◆資格の勉強は決算書分析に必要な知識を効率的かつ効果的に学ぶ上でおすすめ。
◆決算書分析には実践的で適度な難易度のビジネス会計検定がおすすめ。