建設業経理士という資格を、皆さんご存知でしょうか?
そこまでメジャーな資格でもないですが、実は社会的にニーズの高い資格です。
そこで今回は、建設業経理士について解説していきます。
同じ会計資格である、簿記検定やビジネス会計検定との共通点についてもお伝えします。
また、結局何から取り始めればいいのか?と言った疑問点に対する回答ついても最後に記載しておりますので、ぜひご確認ください。
1. 建設業経理士とは?
1) 建設業経理士とは?
商業簿記の「売上高」にあたるものが建設業では「完成工事高」となるなど、建設業は会計処理に特殊な点が多い一方で、建設業における財務・経理の重要性は日増しに高まっております。
そんな中で、建設業の専門性を持っていると認められる財務・経理の担当者の創出を目的として実施されているのが建設業経理士試験であり、その合格者のことを建設業経理士と言います。
昨今インフラの整備は需要が高く、建設業界が活気を見せており、建設業経理士の社会的ニーズも拡大しております。
建設会社や工務店は全国にあるため、建設業経理士として働く場所も全国にあり、場所を選べるのも魅力の1つです。
2) 就職・転職に有利な資格
建設業者が公共工事に参加する際に実際される「経営事項審査」の審査項目の中に、建築業経理士の在籍者数があります。
(「経営事項審査 」とは、公共工事の入札に参加する建設業者が必ず受ける必要がある審査です。)
つまり建設会社側からすれば、できるだけ多くの建設業経理士を抱え込んでおきたいという心理になります。
そのため、建設業経理士を持っていれば就職・転職を有利に進めることが可能となります。
不動産会社が5人に1人宅地建物取引士(宅建)を置いておかなければならない関係で、宅建のニーズが非常に高いのと同じ構造となっております。
一般的な経理職で求められる簿記検定の知識よりもより専門性が高く、希少性が高いため、自分の市場価値を高めることができます。
この点も建設業経理士が就職・転職に有利な理由の1つです。
3) 安定したい方におすすめ
職場となる建設会社や工務店は全国に多数あり、就職先を探すのが比較的簡単な職業となります。
そのため、長期的に安定して働きたい方には非常におすすめの資格となります。
半年程度で取得できることが多いため、コストパフォーマンスも高いのが人気の理由です。
4) 試験概要
①受験資格
なし。(年齢・学歴・国籍などに関係なく誰でも受験可能です。)
②試験時期
2級・1級:年2回(9月・3月)。
③試験形式
大問5問の記述形式。
④難易度・合格率
2級の合格率は40%前後となっており、しっかりと対策をとれば十分に合格できる難易度となります。
建設業経理士 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
第34回 R5 9/10 |
8,920 | 4,255 | 47.7% |
第33回 R5 9/10 |
8,985 | 3,796 | 42.2% |
第32回 R5 3/12 |
9,636 | 3,411 | 35.4% |
第31回 R4 9/11 |
8,847 | 2,993 | 33.8% |
第30回 R4 3/13 |
9,288 | 4,163 | 44.8% |
第29回 R3 9/12 |
9,318 | 3,678 | 39.5% |
第28回 H3 3/14 |
8,766 | 3,600 | 41.1% |
第27回 R2 9/13 |
10,099 | 6,308 | 62.5% |
第26回 R1 9/8 |
8,635 | 3,578 | 41.4% |
5) 2級からの取得がおすすめ!
「経営事項審査」の審査対象となるのは2級以上となります。
つまり採用する側から見れば2級以上でないと価値を感じません。
また、2級以上は年2回試験が実施されるのに対して、3級・4級は年1回しか試験が実施されません。
そのため、建設業経理士試験を受験する場合は、2級からの取得をおすすめいたします。
6) 2級の勉強時間
一般的に建設業経理士2級に合格するためには、100時間程度の勉強時間が必要とされております。
1ヶ月で25時間程度の勉強を4か月継続すればいいので、働きながらでも十分合格を目指すことは可能です。
建設業経理士の講座を選ぶ際は、以下の3つが基準となります。
①「通学講座」or「通信講座」
②「2級まで」or「1級まで」
③「実績」or「コスパ」
そしてこの判断基準をもとに、以下の2つのおすすめ予備校の講座について、解説してみました。
・資格の大原(実績重視)
・ネットスクール(コスパ重視)
詳細は「建設業経理士の通信講座おすすめ2選!実績重視?コスパ重視?」をご確認ください。
2. 簿記検定との共通点は?
それでは、同じ会計資格として有名な、簿記検定との共通点はあるのでしょうか?
建設業経理士特有の科目もありますが、実は基本的な点は簿記検定で扱う内容とかぶります。
簿記の一部分(建設業会計)を深堀していったのが建設業経理士、と言うこともできます。
前の項でお伝えしたように、建設業経理士は2級から取得すべきですが、いきなり2級から受験するのはハードルが高いです。
そこで、まず簿記2級までを取得して、その後建設業経理士2級を取得すれば、段階的に取得することができ、かつ、簿記2級も取得できるので就職や転職の際に選択肢が広がります。
3. ビジネス会計検定との共通点は?
もう1つ会計資格として注目されているビジネス会計検定と建設業経理士に、共通点はあるのでしょうか?
(ビジネス会計検定の詳細については「ビジネス会計検定とは?試験の内容をご紹介!」をご参照ください。)
上述の通り建設業経理士と簿記検定は、学習内容が似ている資格です。
そのため、ビジネス会計検定と簿記検定の共通点がそのまま、ビジネス会計検定と建設業経理士の共通点にあてはまります。
ビジネス会計検定と簿記検定の共通手については、「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」をご参照ください。
ちなみに、簿記検定や建設業経理士は財務諸表などの書類を「作成」する側の知識を学びますが、ビジネス会計検定では財務諸表などを「分析」して利用するための知識を学びます。
短期間でビジネス会計検定に合格したいなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。
頻出論点を短時間で講義するので、効率的に合格を目指すことができます。
・3級講義時間:約15分×20回
・2級講義時間:約20分×20回
・確認テスト、予想問題つき
4. どの資格を選べばいいの?
結局のところ、建設業経理士・簿記検定・ビジネス会計検定の、いずれの資格を取得すればよいのでしょうか?
自身の置かれている状況に分けて整理してみましたので、以下をご参照ください。
簿記検定3級⇒簿記検定2級⇒建築業経理士2級⇒ビジネス会計検定3級⇒ビジネス会計検定2級
・経理部以外だけど実務で使える得意分野を作りたい方
ビジネス会計検定3級⇒ビジネス会計検定2級
・起業や独立を考えている方
ビジネス会計検定3級⇒ビジネス会計検定2級⇒簿記検定3級⇒簿記検定2級
フリーランスと資格の関係については「フリーランスに資格は必要ない!?」も合わせてご確認ください。
5. 終わりに
いかがでしたでしょうか?
会計資格と一言で言ってもいくつか資格はあります。
それぞれの資格の良し悪しをしっかりと見極めて、自身に必要な資格の勉強を開始してください。
6. まとめ
◆2級からの取得がスタンダード。
◆簿記検定取得後に挑戦するがおすすめ。
◆財務諸表などを「作成」する:簿記検定・建設業経理士。
◆財務諸表などを「分析」する:ビジネス会計検定。