「ファイナンシャルプランナーに興味があるな。。でも勉強して意味のある資格なんだろうか?」
FPに興味を持った人であれば、一度はこのように思ったことがあるのではないでしょうか?
そこで今回は、始めにFPは意味がない資格と言われる理由を紹介した上で、後半ではFPの価値についてお伝えしていきます。
FPを受験するか否か判断する時は、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。
1. FPは意味ないと言われる3つの理由
1) 就職・転職に役立たない
FPは意味がないと言われる1つ目の理由としては、「就職・転職に役立たない」ことが挙げられます。
FPを取得していることは、金融分野に関して一定の知識があることの証明となります。
金融機関によってはその価値が評価され、持っているだけで就職・転職や昇進に有利に働くことがあります。
特に、保険会社の営業や、銀行のリテール部門(個人向け)の人は、仕事の面でプラスに働きやすいです。
しかし、金融機関以外の業界への就職・転職を考えた場合に、FPの資格が直接的に有利に働く機会は非常に少ないです。
経理における簿記のように、特定の職種に対して必須となる技能ではないためです。
以上より、「就職・転職に役立たない」ことは、FPは意味がないと言われる理由となります。
2) 独占業務がない
FPは意味がないと言われる2つ目の理由としては、「独占業務がない」ことが挙げられます。
医者や弁護士、公認会計士などの独占業務を有する資格は、資格取得がそのまま仕事につながります。
そのため、非常に難易度は高いですが、取得する価値があります。
一方で、FPは比較的取得しやすい資格ですが、独占業務はありません。
そもそも試験に合格していなくても「ファイナンシャルプランナー」と名乗れます。
そのため、「資格を取得してもしなくても、あまり差がないのではないか?」と考えられることがあり、その結果として「FPって役に立たない資格なのでは?」という意見が一部に浸透しています。
以上より、「独占業務がない」ことは、FPは意味がないと言われる理由となります。
3) 給料が上がるわけではない
FPは意味がないと言われる3つ目の理由としては、「給料が上がるわけではない」ことが挙げられます。
会社によっては資格手当という名目で、FPを取得することで給料が上がるケースも稀にあるかもしれません。
ただ、この場合も別にFPである必要はなく、簿記などでも代替できるケースが多いかと思います。
FPを取得していることそれ自体が人事評価で評価されるケースはめずらしく、人事評価の対象とはならないので給料も上がりません。
資格取得の目的は人それぞれかと思いますが、多くの人が稼ぎをアップさせたいと思われているのではないでしょうか?
そのため、稼ぎをアップさせる一番身近な方法である給料アップに貢献しないのであれば、FPは意味がないと考える人が一定数いてもおかしくありません。
以上より、「給料が上がるわけではない」ことは、FPは意味がないと言われる理由となります。
FPは意味がないと言われる理由について説明してきましたが、本当にFPは意味のない資格なのでしょうか?
いえ、意味のある資格です。
その理由としては、「無駄な支出を減らせる」「資産形成できる」の2つが考えられます。
次項より、順に解説していきます。
2. 無駄な支出を減らせるので意味がある!
1) 住宅選びに失敗しない
FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる1つ目の理由としては、「住宅選びに失敗しない」ことが挙げられます。
住宅購入は多くの人にとって、人生で一番高い買い物となりますので、慎重に判断する必要があります。
にもかかわらず、不動産営業に言われるがままに、割高な家や多額のローンを選択する人が多いのも事実です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
それは、住宅購入や住宅ローンに関する情報格差があるからです。
知っていれば何百万円、何千万円と言った金額を損せずに済んだかもしれないのに。。。といったケースが現実に起こりえます。
この点FP試験では、例えば以下のような項目について学ぶことができます。
・必要な自己資金。
・住宅ローンの種類。
・住宅ローン金利。
・住宅ローンの優遇税制。
・住宅ローンの借り換え。
しっかりとした知識を身に付けることで、人生で一番の買い物を賢く行うことができます。
以上より、「住宅選びに失敗しない」ことは、FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる理由と言えます。
2) 保険選びに失敗しない
FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる2つ目の理由としては、「保険選びに失敗しない」ことが挙げられます。
「FP試験では民間保険についても詳しく学習するんだ!」
と思われた方もいるかもしれませんが、民間保険について個別具体的に学習する試験ではありません。
ではなぜ保険選びに影響するのかというと、FPの学習をすることで公的保障制度に詳しくなることができ、そもそも民間保険に入らなくても、公的保障である程度のリスクは補えることを理解できるからです。
例えば、子供もできていざという時のために生命保険に入っておこうと思っても、具体的にいくらまで保障してもらえばいいのかわからない、という方も多いかと思います。
この場合は、国民年金や厚生年金の加入実績に合わせて、遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給されます。
仮に子供が成人するまでに3,000万円必要で、遺族基礎年金や遺族厚生年金で1,500万円入ってくると想定すると、死亡時に1,500万円受け取れる生命保険に加入すれば、子供の資金は賄えることになります。
=
3,000万円(成人まで子供にかかる費用)
- 1,500万円(死亡時の年金)
*実際は、日々の生活費などその他の要素を考慮するため、より複雑になります。
また、その他にも「高額療養費制度」などの公的保障制度についても学んでおくことで、必要な民間保険の選択に活かすことができます。
このように、公的保障制度の内容を理解しておけば、民間保険の取捨選択が可能となり、保険にかける不要な支出を減らすことができます。
以上より、「保険選びに失敗しない」ことは、FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる理由と言えます。
3) 節税できる
FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる3つ目の理由としては、「節税できる」ことが挙げられます。
税金の知識を得ても、一般の会社員には関係ないのでは?
と思われるかもしれません。
確かに会社員として給料をもらって働いてる分には、源泉徴収などの理屈を理解する程度にとどまり、あまり税金知識は必要ないとも言えます。
一方で、今後は給料だけでなく副業をしないと、老後の資金など生きていく上で必要な資金を賄えない、という話を聞いたことはないでしょうか?
この話の真偽は定かではありませんが、いずれにしろ、人生を豊かに生きていく上で副業で所得を増やすことは大切です。
そして、副業をする際にFP試験で学べる税金の知識が活きてきます。
副業をする場合は所得が一定の基準を超えると、確定申告が必要となります。
この確定申告の際に必要となる税金知識として、例えば以下のような内容についてFP試験で学ぶことができます。(日本FP協会が公表しているFP2級の試験範囲から抜粋しています。)
D タックスプランニング
1.わが国の税制
2.所得税の仕組み
3.各種所得の内容
4.損益通算
5.所得控除
6.税額控除
7.所得税の申告と納付
8.個人住民税
9.個人事業税
10.法人税
11.法人住民税
12.法人事業税
13.消費税
14.会社、役員間および会社間の税務
15.決算書と法人税申告書
16.諸外国の税制度
17.タックスプランニングの最新の動向
FP試験で学べるのはあくまで税金の基礎知識ですが、基礎なくしてその先にある節税知識は身に付きません。
副業をして所得を増やすだけでなく、節税により支出を減らすためにも、FPの知識は必要となります。
以上より、「節税できる」ことは、FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる理由と言えます。
4) 家計を見直すことができる
FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる4つ目の理由としては、「家計を見直すことができる」ことが挙げられます。
FPの勉強をすると、「家計を見直そう」と多くの人が考えます。
先述の公的保障や民間保険、住宅ローンや税金の知識など、日頃の生活に関係のあるお金に関する知識を得ることができ、すぐに実践したくなるからです。
FPで得た知識を活かすのはもちろん大切なことなのですが、知識を活かすかどうかは別としても、家計を見直すきっかけ作りなるのはFPを勉強する大きなメリットと言えます。
きっかけがないと、家計の見直しを行う機会はなかなかありません。
家計を見直す結果として、家計の無駄な支出を抑制することができます。
FPの勉強のために捻出していた時間を、試験合格後は家計の見直しにあてることで、時間も有効活用できます。
以上より、「家計を見直すことができる」ことは、FPを取得することにより、無駄な支出を減らせる理由と言えます。
家計を見直す際のコツとしては、とりあえず「記録」する習慣をつけることです。
支出について毎日記録する習慣が付けば、「食費に意外に多くのお金を使ってるな。」「携帯料金は案外低いな。」など、自然と気になる点が増えてきます。
このような気付きが増えれば、より現実的な改善案が見えてきます。
いきなり改善案を考えるのではなく、まずは記録を習慣にしてみてください。
3. 資産形成に役立つので意味がある!
1) 老後資金を予測できる
FP取得が資産形成に役立つ1つ目の理由としては、「老後資金を予測できる」ことが挙げられます。
FPの勉強をすることで自身のライフプランニングが可能となり、具体的な老後までの資金計画を立てることができます。
例えば、国民年金や厚生年期の仕組みを理解することで、老後にいくらもらえるのか予測がつきます。
あるいは、毎年の給料から生活費や住宅ローンなどを差し引くことで、老後への蓄えを予測することも可能となります。
あとは老後必要な資金・確保しておきたい資金を設定して、足りない部分について副業などで資産形成すればOKです。
副業などで資産形成することは、もちろん簡単なことではないですが、目標が明確になることで、より現実的にやるべきことが見えてきます。
資産形成の必要額を理解する上で、老後資金を予測できるFPの勉強は大切となります。
以上より、「老後資金を予測できる」ことは、FP取得が資産形成に役立つ理由と言えます。
2) 株式や投資信託を始めるきっかけになる
FP取得が資産形成に役立つ2つ目の理由としては、「株式や投資信託を始めるきっかけになる」ことが挙げられます。
初めにお伝えしておくと、FPの勉強内容が、直接的に株式投資などの金融商品への投資に活きてくることは少ないです。
と言いますのも、FPで学べるのは金融商品の概要程度であり、実践的な内容は含まれていないためです。
ただ、株式投資や投資信託などを始めるきっかけ作りにはなります。
・NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)って聞いたことあるけど何なの?
このような入門的な内容について知っているだけで、株式投資や投資信託を始めるハードルはグッと下がります。
資産形成の入り口である、金融資産への投資について学ぶきかっけ作りになるという点も、FPを勉強するメリットと言えます。
以上より、「株式や投資信託を始めるきっかけになる」ことは、FP取得が資産形成に役立つ理由と言えます。
株式投資に興味がある方には、ビジネス会計検定もおすすめとなります。
どの企業に投資するか判断する際に、各企業の決算書の売上や利益、資産・負債といった数値から、企業の財務状況を読み解くスキルが必要となります。
決算書の財務数値を分析するスキルを身に付けるのに、ビジネス会計検定の勉強は非常に役に立ちます。
詳細につきましては、「ビジネス会計検定とは?試験の内容をご紹介!」をご参照ください。
3) マネーリテラシーが上がる
FP取得が資産形成に役立つ3つ目の理由としては、「マネーリテラシーが上がる」ことが挙げられます。
FPは個人の「お金」の専門家です。
つまり、FPの勉強をすれば、自分という個人のお金の専門家になることができます。
公的保障や住宅ローン、金融資産、税金、贈与、相続、ライフプラン設計といった、個人のお金に関する知識(マネーリテラシー)を身に付けることで、収入を増やして支出を減らし、その結果として資産を形成することができます。
会社員として仕事に没頭するだけでは身に付かない、マネーリテラシーを学べることも、FPを勉強する大きなメリットとなります。
以上より、「マネーリテラシーが上がる」ことは、FP取得が資産形成に役立つ理由と言えます。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
4. FPのおすすめ記事
最後に、FPに関してより深く知りたいという方向けに、おすすめの記事を箇条書きで紹介させていただきます。
・難易度
「ファイナンシャルプランナー3級の難易度は?簿記3級より難しい?」
「ファイナンシャルプランナー2級の難易度/合格率は?3級と何が違う?」
・受験資格
「ファイナンシャルプランナー:いきなり2級受験は不可?受験資格は?」
・勉強方法
「ファイナンシャルプランナー3級・2級は独学?通信講座?通学講座?」
・資格の種類
「ファイナンシャルプランナーの違いとは?FP技能士・AFP・CFP」
5. 終わりに
FPは意味のない資格と言われる理由と、本当は意味のある資格である理由について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
最終的な意味のある・なしを判断されるのは皆様ご自身です。
意味のない資格と思えば勉強しなければいいだけですし、意味のある資格と思ったら今すぐに勉強を始めるべきです。
どちらか判断がつかない場合は、とりあえず3級から勉強を始めてみてはいかがでしょうか?
6. まとめ
◆保険選びに失敗しない。
◆税金の基礎知識が身に付く。
◆家計を見直せる。
◆老後資金の予測が立つ。
◆株式投資を始めるきっかけ作りになる。
◆マネーリテラシーが上がる。