ファイナンシャルプランナーの仕事内容について、皆様ご存知でしょうか?
ファイナンシャルプランナーの勉強をされている方でも、具体的にどうやって働いていくのかイメージがわかない方も多いかと思います。
そこで今回は、まずファイナンシャルプランナーになるにはどうすれいいのかについて解説したうえで、ファイナンシャルプランナーの仕事内容についてお伝えしていきます。
仕事内容を理解することで、ファイナンシャルプランナーとしての将来像をより具体的にイメージしていきましょう。
1. ファイナンシャルプランナーになるには?
まずは始めに、ファイナンシャルプランナーになる方法について紹介していきます。
1) 実は無資格でも名乗れる?
「ファイナンシャルプランナー」というのは、実は無資格者でも名乗れることをご存知でしょうか?
「ファイナンシャルプランナー」はあくまで一般的な呼称であり、正式な資格名ではないからです。
ファイナンシャルプランナーの資格試験に合格した際に名乗れる名称としては、「FP技能士」「AFP」「CFP」の3つがあります。
つまり、この3つについては資格試験に合格したり、登録しないと名乗ることはできませんが、単にファイナンシャルプランナーと名乗るだけであれば、誰でも可能となります。
(3つの違いについては「ファイナンシャルプランナーの違いとは?FP技能士・AFP・CFP」をご参照ください。)
そのため、ファイナンシャルプランナーになること自体は、実は特別な方法は必要なく、名乗ったその時点からなることができます。
ただ、ファイナンシャルプランナーの実務に必要な知識を得るために、また、正式名称を名乗ることで顧客の信頼を勝ち取るためにも、実質的にはFP技能士又はAFP・CFPの資格が必要となります。
以上より、ファイナンシャルプランナーになるためには、FP技能士・AFP・CFPのいずれかを取得する必要があると言えます。
2) 実務に活かすなら2級までは必須
では、ファイナンシャルプランナーの実践的な知識を学びたいと思ったら、どの資格まで取得すべきなのでしょうか?
結論としては、FP技能士2級(以下FP2級)までの取得は必須と考えられます。
前提として、各資格の難易度は以下の関係にあります。
*FP3級とFP2級の難易度については以下をご参照ください。
・FP3級:「ファイナンシャルプランナー3級の難易度は?簿記3級より難しい?」
・FP2級:「ファイナンシャルプランナー2級の難易度/合格率は?3級と何が違う?」
まず、FP3級は非常に基礎的な内容であり、ある種の社会常識的な知識について広く浅く学びます。
合格率も70%となっており、多くの人が合格できる試験であるため、3級の内容だけで実務に活きる知識が得られるとは考えにくいです。
あくまで2級の受験資格を得るための試験と考えた方が良いです。
(FP2級の受験資格については「ファイナンシャルプランナー:いきなり2級受験は不可?受験資格は?」をご確認ください。)
一方でFP2級については、「中小法人の資金計画」「法人税・消費税」「事業承継」など、FP3級では学ばない、より実践的な知識についても学ぶことができます。
また、合格率も30%となっており、FP3級と比べると難しく、より専門性が問われる試験であると言えます。
以上より、ファイナンシャルプランナーの実務に活かす知識を得たいなら、FP2級までの取得は必須となります。
3) 1級は?CFPは?
FP2級までは取得が必須とお伝えしましたが、それではFP1級やCFPまで取得する必要はあるのでしょうか?
結論としては、費用対効果を考えると、FP1級やCFPまでを(すぐに)取得する必要はないです。
FP1級の合格率は10%前後、CFPは10%以下となっており、共に非常に難易度の高い試験となっております。
にもかかわらず、FP1級やCFPを取得したからといって、短期的には給料は変わりません。
また、FP1級相当の知識は、実務をやりながら必要な部分だけ身につける方が、2級までの広い知識と1級相当の深い知識をうまく利用して効率的にキャリアを積むことができます。
そのため、費用対効果を考えた場合は、FP2級合格後すぐに、FP1級やCFPまで取得する必要はありません。
一方で、以下のようなケースに該当する場合は、長期的な視点でFP1級やCFPの取得を目指すのも1つの方法となります。
① 自信をつけたい場合はFP1級
FP1級はファイナンシャルプランナーの中では最上位の資格であり、合格すれば自信がつきます。
、、、それだけ?と思われたかもしれませんが、自身をつけることはとても重要です。
FP2級合格後にファイナンシャルプランナーとして活動する際に、皆様一度はFP1級合格者に劣等感を覚えることがあると思います。
先述のように、実務の中で必要な分野についてFP1級相当の知識を身につけていけばいいので、本来はFP1級合格者と自分を比較する必要はありません。
ただ、自分より上位資格を持っている人が自分と同じ活動をしていたら、どうしても劣等感を感じしてまいますので、長い目で見たら、FP1級を取得して自信をつけておくことは、ファイナンシャルプランナーとして活躍するうえで得策かもしれません。
② 国際的に活躍したい場合はCFP
ファイナンシャルプランナーとして国際的に活躍したい場合は、CFPの取得がおすすめです
CFPは北米、アジア、ヨーロッパ、オセアニアを中心とした、ファイナンシャルプランナーの国際的な資格となります。
CFPに登録することで、金融分野において国際的な評価を受けることができ、世界をまたにかけて活躍することができます。
CFPの登録者数は全世界で18万人を突破しており、その注目度がわかります。
以上より、基本的にはFP1級やCFPをすぐに取得する必要はないですが、自身をつけたい・国際的に活躍したいといった希望がある場合は、両資格を取得することをおすすめいたします。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2. ファイナンシャルプランナーの仕事内容
次に、ファイナンシャルプランナーの仕事内容について順にみていきましょう。
1) ライフプラン設計
1つ目のファイナンシャルプランナーの仕事内容としては、「ライフプラン設計」が挙げられます。
顧客の状況に応じて、これからの人生で想定されるキャリアやライフイベントを考慮しながら、顧客の財産計画を立てるのが、ライフプランニングとなります。
キャリアやライフイベントを考慮したお金周りの出来事としては、例えば以下のようなものが想定されます。
・医療保険の加入
・結婚、出産に伴うキャリアプラン
・住宅は購入か?賃貸か?
・子供の教育資金
・生命保険
・住宅ローンの借り換え
・昇進、転職、起業などのキャリアプラン
・退職金、年金
・老後資金
・退職後のライフプラン
・介護保険、介護サービス
・相続対策
単に顧客の財産を最大化することを目的とするのではなく、金銭化できない生きがいや健康といった側面からも、顧客のライフプランを考えていく仕事となります。
2) 家計診断
2つ目のファイナンシャルプランナーの仕事内容としては、「家計診断」が挙げられます。
家計診断とは読んで字のごとく、顧客の現状の収支を見ながら、改善すべき点を一緒に探っていく作業となります。
家計診断と言うと、後述の資産運用による所得の増加をイメージされる方もいるかもしれませんが、まずメスを入れるべきは支出の削減となります。
資産運用にはファイナンシャルプランナーとしての専門的な知識が必要となりますが、支出削減についてはどちらかと言うと、まずしっかりと状況を聞いて、客観的に使いすぎている点を指摘するといった、専門知識というよりは常識的な感覚が必要となります。
車にかけるお金や娯楽費・雑費など、客観的に見て削減ができそう支出を指摘して、顧客の家計を診断するのもファイナンシャルプランナーの業務の1つとなります。
普段の仕事やプライベートの中で、同じようなことを言っているのに、誰が言っているかで受けての受け取り方が異なる、といった経験はないでしょうか?
本来的には発言内容で評価されるべきなのですが、権威ある人が発言すると重みがでるのも事実です。
ファイナンシャルプランナーの業務内容においても、常識的な範囲の家計診断であれば、極端な話、無資格者でも十分診断できるような内容ですが、「FP技能士」という資格を持った専門家が診断するからこそ、顧客が安心するという側面もあります。
資格の権威性を意識的に使うことも、覚えておいてください。
3) 資産運用アドバイス
3つ目のファイナンシャルプランナーの仕事内容としては、「資産運用アドバイス」が挙げられます。
顧客の資産をいかに最大化していくか?というのもファイナンシャルプランナーが考えるべき重要な仕事であり、資産を最大化するためには資産運用についてアドバイスを行う必要があります。
一口に資産運用と言っても、不動産投資・株式などの金融商品投資・副業・週末起業・積立保険の利用など、多種多様な方法があります。
ファイナンシャルプランナーとしての専門知識を活かして、顧客の資産運用に対して適切にアドバイスをする必要があります。
株式投資や不動産投資などについては、知識だけでアドバイスをするのは危険です。
知識を持っているのと実際にやるのとでは、天と地ほどの差があります。
知識だけであれこれ言われると、「一度でも経験してから言ってくれ」と相手から思われてしまう可能性もあります。
何事もまず一度は、経験してみることをおすすめします。
3. 独立・開業するのは難しい?
ファイナンシャルプランナーのなり方や仕事内容についてお伝えしてきましたが、そもそもファイナンシャルプランナーとして独立・開業することは可能なのでしょうか?
独立・開業について重要な点を、順に解説していきます。
1) 独立・開業の割合
ファイナンシャルプランナーとして独立している人の割合がどの程度か、皆様ご存知でしょうか?
以下のグラフは、FP協会が開示している「AFP・CFP®認定者 業種別属性・年代別属性データ」になります。
このうち、「FP事務所・士業事務所」がファイナンシャルプランナーとして独立している人の割合と考えられるため、独立・開業している人の割合は「7%」となります。
少なくとも、独立・開業できることは間違いありませんが、予想よりも少ない印象を持たれた方もいるかと思います。
背景としては、「証券」「銀行・金融」「生保・損保」といった金融機関に勤めている方がFP試験を受験するケースが多く、最初から独立志望ではない人が多いことが考えられます。
また、ファイナンシャルプランナーとして独立・開業することは、それほど簡単ではないことも意味しております。
そこで次項以降で、ファイナンシャルプランナーとして独立・開業するためのポイントを3つ紹介していきます。
2) コミッションと相談料の2本柱
1つ目の独立するためのポイントとしては、「コミッションと相談料の2本柱」で稼ぐことが挙げられます。
ファイナンシャルプランナーの収益獲得方法としては、保険などを代理販売して一定のマージンを得る「コミッション」と、顧客のライフプランなどの相談に応じた際に支払われる「相談料」の2つがあります。
2つのうち片方だけで生計を立てようと考えている人は、以下の注意が必要です。
① 1つだと収益が安定しない
収益が安定するまでは、複数の方法で生計を立てられる体制にしておかないと、日々の生活が安定しません。
初めは仕事を取ってくるだけで一苦労であり、どちらの方法で仕事が獲得できるかはやってみないとわかりません。
また、そもそも自分にどちらの方法があっているのかも、やってみないとわかりません。
② 法人顧客と個人顧客でリスク分散
「コミッション」も「相談料」も相手をするのが個人である点に変わりありませんが、お金を貰う相手は「コミッション」の場合は法人、「相談料」の場合は個人(お客様)となり異なります。
法人・個人どちらの方がお金を貰う相手として良いかは時と場合によって変わるため、法人・個人2つの相手先を確保しておくことで、リスクを分散させることができます。
以上より、「コミッションと相談料の2本柱」で稼ぐことは、独立する際のポイントと言えます。
「コミッション」や「相談料」の他に、講師としてセミナーなどに登壇して、講師料で稼ぐ方法も考えられます。
一対多になるので苦手な方も多いかもしれませんが、人前で話すのが得意な方は挑戦してみると面白いかもしれません。
セミナーから法人や個人のお客様と繋がることもありますので、やっておいて損はないです。
3) 他士業との連携
2つ目の独立するためのポイントとしては、「他士業との連携」で稼ぐことが挙げられます。
ファイナンシャルプランナーはあくまで金融の専門家であるのに対して、お客様は「税金」や「法律」など、一度に全ての問題を解決したいと考えています。
そのため、例えば税金周りついては「税理士」や「公認会計士」と、法律周りについては「弁護士」や「司法書士・行政書士」と連携して業務を進めることで、お客様のニーズに応えることができます。
相手が士業の先生となると少し尻込みしてしまうかもしれませんが、相手からしてもお客様を紹介してもらえるので、お互いにwin-winの関係となるため、臆することはありません。
何よりファイナンシャルプランナーも立派な専門家ですので、士業の先生方に変に気後れする必要はありません。
以上より、「他士業との連携」で稼ぐことは、独立する際のポイントと言えます。
4) まずは副業として始める
3つ目の独立するためのポイントとしては、「まずは副業として始める」ことが挙げられます。
本業を辞めてファイナンシャルプランナー一本でやっていくというと、聞こえはいいですが、リスクは高いです。
ファイナンシャルプランナーの利点として、まずは副業として軽く始められる点が挙げられます。
副業であれば本業で稼ぎも安定しているため、精神的にも楽です。
人様の資産設計を考えるファイナンシャルプランナーが、自身の資産設計がままならないようではいけません。
副業である程度の手ごたえを感じ取ってから、ファイナンシャルプランナー一本に絞るという方法が堅実でおすすめです。
以上より、「まずは副業として始めてみる」ことは、独立する際のポイントと言えます。
何の分野でも、いきなり独立するのはリスクが高いです。
私も育児のため前職を退職して独立したのですが、特に独立の準備が事前にできていたわけではありませんでした。
そんな中で独立してまず直面したのが、「収入が安定しない」ことと、「社会的立場がない」ことでした。
会社という後ろ盾があるわけではないので、当たり前ですが初めのうちは収入が安定しません。
周りの人から「今何しているの?」と問われて明確に答えられる社会的な立場もなく、また、実際に独立したら感じると思いますが、一定以上稼ぐまでは自分の社会的立場がかなり弱く感じられます。
まずは副業として始めることで、事前にリスクをある程度抑えることができますので、無理せず徐々に独立するのがおすすめです。
4. 終わりに
ファイナンシャルプランナーになる方法や、仕事内容について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ファイナンシャルプランナーとしての自分の将来像を、少しでも具体的にイメージできましたでしょうか?
イメージできたのであれば、それは実現可能性があるということです。
恐れずに進んでいきましょう。
5. まとめ
◆実務をこなすうえで最低限FP2級は取得する必要がある。
◆ライフプラン設計・家計診断・資産運用などの仕事内容がある。