近年簿記検定の試験範囲が改定されており、従来は簿記1級の試験範囲となっていた論点が、簿記2級の試験範囲に繰り上がっております。
そのため、簿記2級の難易度が上がっており、「簿記2級くらいなら合格できるかな」といった軽い気持ちで受けた受験生が、落ちてしまうケースが増えていると考えられます。
そこで今回は、まず簿記2級の難易度について解説した上で、簿記2級に落ちた場合に考えるべき7つのことについて、解説していきます。
簿記2級に落ちて次回の受験を悩んでいる人は、本記事でお伝えする内容を確認してみてください。
1. 簿記2級の難易度
2. 簿記2級に落ちたら考えるべきこと
1) 教材や予備校のせいか?
2) 何時間勉強したのか?
3) 苦手な論点を放置してないか?
4) 簿記3級を飛ばしてないか?
5) 手を動かして勉強したか?
6) あきらめようとしてないか?
7) 次回までやる気を保てるか?
3. 終わりに
4. まとめ
1. 簿記2級の難易度
まず、簿記2級の難易度について、見ていきましょう。
「簿記の難易度・真の合格率とは?他資格と徹底比較!」でお伝えしている通り、簿記2級の合格率は20%程度ですが、受験しなかった層や記念受験の層を除いた、実質的な合格率は30%前後と考えられます。
「30%であれば何とかなるかな」と思われたでしょうか?
ただ、簿記2級を実際に受験した人や、勉強中の人からすれば、合格率以上の難易度を感じている人も多いです。
その理由の1つとして、前述の試験範囲の改訂があります。
従来は簿記1級の試験範囲となっていた論点が2級まで繰り上がっており、勉強すべき範囲が増えたため、合格率以上に難しく感じる人も多いです。
例えば、以下の論点が、簿記2級に含まれるようになりました。
・連結会計
・圧縮記帳
・外貨建取引
・税効果会計
・クレジット売掛金
また、実質的な合格率が30%だったとしても、10人中7人が落ちる試験となるため、簿記2級に落ちること自体は、何ら不思議なことではありません。
2. 簿記2級に落ちたら考えるべき7つのこと
それでは、簿記2級に落ちた場合、どうすればいいのでしょうか?
ここでは具体的に、簿記2級に落ちた際に考えるべき7つのことについて、順に紹介していきます。
1) 教材や予備校のせいにしてないか?
1つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「教材や予備校のせいにしてないか?」です。
「やっぱりこのテキストで合格するのは、無理があったのかな。」
「○○予備校の講座を利用したけど、合格できなかった。」
簿記2級に落ちた際に、このように考えた人も、いるのではないでしょうか?
確かに、落ちた時はその原因を、外部に求めたくなる気持ちはわかります。
また、他の教材や予備校が予想していた問題がたまたま当たった場合、相対的に見て、自分が使用した教材や予備校が不利だったのは、1つの事実です。
ただ、ここで考えていただきたいのは、その教材や予備校を利用して合格した人が、誰もいなかったのか?という点です。
どの教材、どの予備校でも、基本的に一定数の合格者は必ずいます。
市販されている多くの教材や、一定規模以上の予備校であれば、基本的にどれを利用しようが、最低限合格点に達する力はつきます。
つまり、あなたが落ちた原因は、教材や予備校ではないということです。
まずはこの事実を受け入れないと、一歩も前に進むことができません。
以上より、「教材や予備校のせいにしてないか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
2) 何時間勉強したのか?
2つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「何時間勉強したのか?」です。
「あんなに一生懸命勉強したのに、自分には簿記2級合格は無理なのだろうか。。」
このように考えて、次回の簿記2級の受験をあきらめる人も、一定数いるかと思います。
確かに、努力しても結果が出なかったら、誰しもあきらめたくなるものです。
ただ、一度冷静になって考えていただきたいのは、「具体的に何時間勉強してきたのか?」といった点です。
どうしても主観的に判断してしまい、自分の努力を過大に評価してしまいがちですが、客観的に一度勉強時間を数値化してみてください。
「簿記3級・2級の勉強時間は?一ヶ月・二ヶ月での合格は可能?」でお伝えしている通り、簿記2級に合格するためには、少なくとも200~250時間程度の勉強時間が必要となります。
この時間に足りていましたでしょうか?
おそらく落ちた人の多くが、足りていないことが想定されます。
キツイ言い方かもしれませんが、あなたが簿記2級に合格できなかったのは、単に努力不足である可能性があります。
裏を返せば、勉強時間をしっかりとかければ、次回の簿記検定で合格できる可能性は、十分あるでしょう。
以上より、「何時間勉強したのか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
3) 苦手な論点を放置してないか?
3つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「苦手な論点を放置してないか?」です。
「連結や税効果会計はよく理解できなかったから、ほとんど勉強しなかった。。」
簿記2級に落ちた人の中には、このように苦手な論点を放置してしまった人も、多いはずです。
特に、前述の通り簿記1級から繰り上がってきた「連結会計」や「税効果会計」は、苦手とする人が非常に多い論点となります。
私も公認会計士試験時代に、この2つの論点に非常に苦しめられたので、簿記2級で連結会計や税効果会計を理解しろというのは、非常に難易度が高いのは理解できます。
ただ、連結会計や税効果会計など苦手な論点は、できるだけ早い段階で取り組んだ方が良いです。
わからないからと放置していると、本来簡単であるその他の論点を勉強する際も、「苦手論点がこの後残っているな。。」と精神的に引きずりながら勉強することになり、勉強効率が非常に悪いためです。
確かに連結会計や税効果会計は難しい論点ですが、時間をかけてパターンを暗記してしまえば、少なくとも苦手意識をなくすことは可能となります。
いつまでも取り組まないから、余計に苦手意識が大きくなり、さらに取り組みにくくなるといった負のループに入る前に、できるだけ早い段階で苦手論点を重点的に勉強しましょう。
以上より、「苦手な論点を放置してないか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
4) 簿記3級を飛ばしてないか?
4つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「簿記3級を飛ばしてないか?」です。
「簿記3級は簡単そうだし、受験料ももったいないから」といった理由で、簿記2級から勉強を開始した人も、多いのではないでしょうか?
確かに、簿記2級に受験資格はなく、いきなり簿記2級から受験した方が、効率が良さそうにも思えます。
ただ、「簿記2級からいきなり受験?受験資格はないので可能?」でお伝えしている通り、簿記2級は簿記3級の内容を前提としているため、まずは簿記3級の内容から勉強すべきと考えられます。
簿記2級に落ちたのは、そもそも基礎的な簿記3級の内容を理解できていない可能性も十分あるため、少しめんどうかもしれませんが、簿記3級の内容から再度勉強してみるのも、1つの方法となります。
以上より、「簿記3級を飛ばしてないか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
5) 手を動かして勉強したか?
5つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「手を動かして勉強したか?」です。
「テキストを読めばだいたいのことは理解できたので、問題集も問題を見て頭の中で解答を思い浮かべ、解答解説をチェックしていた。」
簿記2級に落ちた人の中には、このような勉強方法を採用していた人も、一定数いるのではないでしょうか?
確かに、簿記2級がいくら難しくなったと言っても、テキストを読んで全く理解できないレベルの内容は含まれておらず、上記の方法でも問題ないようにも思えます。
ただ、この方法だと、かなりの確率で簿記2級に落ちてしまいます。
「簿記はスポーツ」と言われるように、簿記は理屈ではなく体に覚え込ませるものです。
そもそも、「理解できる」ことと「解ける」ことは全く異なり、いくら頭で理屈を理解したところで、実際に試験本番で時間内に問題を解く力は身に付きません。
もし、今まで手を動かして勉強していないのであれば、落ちて当然と言えます。
逆に言えば、手を動かしながら勉強すれば、まだまだ伸びしろはあります。
以上より、「手を動かして勉強したか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
6) あきらめようとしてないか?
6つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「あきらめようとしてないか?」です。
「次回の試験は数か月先で、モチベーションが持ちそうにないから、簿記2級はあきらめようかな。。」
こう思いたくなる気持ちは、非常にわかります。
特に、真剣に取り組んできた人ほど、落ちた時のショックも大きく、あきらめたくなるものです。
この点、まずは「なぜ簿記2級を勉強したのか?」といった、目的を思い返してみてください。
その目的は達成できなくなりますが、本当に大丈夫でしょうか?
一時の感情に左右されて、当初の目的を忘れてしまうのは、非常にもったいないです。
また、あと少し勉強していれば合格できたかもしれず、成功体験を積むチャンスをみすみす逃すのは、得策とは言えません。
簿記2級は、多くの職種・業界で活きてくる、とても汎用性の高いスキルです。
もしまだ少しでもやる気があるのであれば、あきらめずに次回の試験を目指してみましょう。
以上より、「あきらめようとしてないか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
7) 次回までやる気を保てるか?
7つ目の簿記2級に落ちた人が考えるべきことは、「次回までやる気を保てるか」です。
前述の通り、次回試験をあきらめたくなる理由の1つに、モチベーションを保てないことが挙げられます。
簿記検定の場合は4か月程度は間が空くことが想定され、確かにモチベーションを維持するのが大変かもしれません。
そこでおすすめしたいのが、間に関連のある検定試験を挟む方法です。
例えば、簿記検定との相性がいい「ビジネス会計検定」などが考えられます。
簿記検定が財務諸表を「作る」側の視点であるのに対して、ビジネス会計検定は財務諸表を「使う」側の視点であり、似たような内容を、違う角度から見ることができます。
結果として、簿記に対する理解が深まり、また、やる気を継続することが可能となります。
簿記検定とビジネス会計検定の詳細については、「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」をご参照ください。
以上より、「次回までやる気を保てるか?」は、簿記2級に落ちた人が考えるべきことと言えます。
3. 終わりに
簿記2級に落ちた場合に考えるべきことについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
今までの勉強を、全くなかったものにするのは、非常にもったいないです。
次回試験に向けて、少しずつ勉強を再開していきましょう。
4. まとめ
◆勉強時間は足りていたか?
◆苦手論点にも時間をかけたか?
◆簿記3級から勉強したか?
◆手を動かして勉強したか?
◆あきらめようとしてないか?
◆次回試験までやる気を維持できるか?