大阪商工会議所が主催するビジネス会計検定は、簿記検定などの他の多くの検定試験と同様に、3級から1級までの階層があります。
これから勉強を開始する皆様は、まず3級から取り組まれるかと思いますが、最終的にどの級まで勉強するか決めておりますでしょうか?
勉強を開始する前にゴールを決めておくことで、自身の勉強の進捗具合を把握でき、勉強の終わりの目安を決めることができます。
そこで今回は、難易度の一番高い1級まで取得する必要があるのか否かを、解説していきます。
1. ビジネス会計検定は1級まで必要?
1) 1級の難易度は高い!
ビジネス会計検定1級の合格率は20%前後で低い合格率となっており、難易度が高い試験と言えます。
1級 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
34回 | 231 | 61 | 26% |
32回 | 211 | 45 | 21% |
30回 | 223 | 24 | 11% |
28回 | 217 | 53 | 24% |
26回 | 188 | 37 | 20% |
24回 | 211 | 62 | 29% |
22回 | 224 | 50 | 22% |
20回 | 205 | 33 | 16% |
18回 | 193 | 32 | 17% |
16回 | 206 | 39 | 19% |
14回 | 232 | 30 | 13% |
1級では論述式の問題もあり、これがさらに1級の難易度を高めています。
どの程度のレベルかは、実際に問題を見た方がイメージしやすいかと思いますので、ビジネス会計検定1級例題(*ビジネス会計検定公式HPより抜粋)をご参照ください。
ビジネス会計検定の難易度につきましては、「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」も合わせてご確認ください。
2) 1級の費用対効果は低い!?
1級は会計基準や内部統制など勉強すべき知識の幅も広がり、また、財務諸表分析のみならず企業価値分析も学ぶため、勉強時間は500時間程度は必要になると考えられます。
500時間ということは1日2時間勉強しても、8ヶ月半はかかります。
また、1級は1年に1回のみの開催であり、勉強を開始する時期次第では、より多くの期間を要することとなります。
1級の内容自体は非常に価値のあるものですが、8ヶ月半かけて1級に合格するならば、他の難関資格の方が費用対効果が高い可能性があります。
会計系でおすすめの資格については、「経理・会計系資格の難易度&おすすめ7選!」をご参照ください。
3) 1級の内容は実務で必要な部分を学ぶべし!
費用対効果の面であまり高くない一方で、ビジネス会計検定1級で学ぶ内容は非常に多岐にわたり、1つ1つの知識は大変有意義なものとなります。
そのため、1級は合格を目指すのではなく、実務で関係のある分野だけを勉強して、その知識をすぐに実務で使用するのが望ましいです。
それでは、ビジネス会計検定は何級までを取得すれば良いのでしょうか?
この点について、次項でお話させていただきます。
短期間でビジネス会計検定に合格したいなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。
頻出論点を短時間で講義するので、効率的に合格を目指すことができます。
・3級講義時間:約15分×20回
・2級講義時間:約20分×20回
・確認テスト、予想問題つき
2. 3級では不十分!?
1) 3級の難易度は低い!
ビジネス会計検定3級の合格率は60~70%と高く、難易度は低い試験となっております。
何も勉強しなくて受かるほどやさしくはありませんが、しっかりと対策をすれば十分合格可能な試験と言えます。
2) 3級では基礎を学ぶ
3級では財務分析に必要な知識や分析手法について、基礎を学ぶことができます。
具体的には、財務諸表を構成する各書類(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の構造や、流動比率や営業利益率などの基礎的な財務分析手法について学んでいきます。
何事も基礎が一番大事なため、3級の内容は非常に重要となります。
3) 3級では不十分!?
一方で、あくまで学べるのは基礎であるため、実践で使用するとなると少し不十分となります。
また、他者との差別化要素としても少し弱いです。
取得しやすさ(合格率等)と希少性(差別化)は基本的にトレードオフの関係にあり、合格率が60~70%と高いがゆえに、希少性が低く、他者と差をつけにくいです。
そのため、次項で説明する2級まで取得することを、おすすめいたします。
(ビジネス会計検定3級の詳細については「ビジネス会計検定3級が必要ない人とは?受験要項や難易度は?」をご参照ください。)
3. 2級までの取得を推奨!
1) 2級は適度な難易度
ビジネス会計検定2級の合格率は40~50%であり、合格率だけを見ると簿記検定2級より高く、適度な難易度となっております。
2級から連結財務諸表の内容が入ってくるため、独学で勉強するのは難しくなってきますが、講座などを利用して3級同様にしっかりと対策をすれば、十分合格可能な試験となっております。
2) 財務諸表分析の全体像を把握できる!
2級では連結財務諸表を前提としており、また、財務諸表の分析手法も一通り勉強できるため、全体像を把握できより実践的な力がつきます。
具体的には、3級で学んだ知識に加え、連結財務諸表に関する知識、セグメント情報の分析や損益分岐点分析などについても学んでいきます。
3) 2級までの取得がおすすめ!
せっかくビジネス会計検定の取得を目指したのであれば、ぜひ2級までの取得を検討してみてください。
3級では基礎に留まる一方で、1級では専門的すぎる内容になってきますので、通常のビジネスシーンを想定するのであれば、2級までの取得がベストな選択です。
3級との併願も可能なので、受験のタイミング次第では、併願での受験もおすすめです。
(ビジネス会計検定2級の詳細については、「ビジネス会計検定2級とは?3級との違いは?挑戦すべき5つの理由」をご参照ください。)
4. 終わりに
いかがだったでしょうか?
繰り返しになりますが、勉強を開始する前にゴールを決めておくことは、非常に重要です。
これからビジネス会計検定の勉強を開始されようとしている皆様、あるいは既に勉強を開始している皆様の目標設定に、本記事を役立てていただければと思います。
5. まとめ
◆3級では土台となる知識学べるが基礎的なため3級だけでは不十分。
◆より実践的な知識を身につけるためには2級までの取得がおすすめ。