「経理って別に必要ないのでは?」
このように考えたことがある人も、いるのではないでしょうか?
また、経理として働いている人の中には、そのような周りの冷たい目を感じたことがある人も、多いかと思います。
本当に経理はいらない部署なのでしょうか?
そこで今回は、経理がいらないと思われている理由について、解説していきます。
後半では、いらないと思われている理由を踏まえ、今後の経理に求められるものについても、お伝えしていきます。
・公認会計士
・大手監査法人→経理部に出向
→教育×ITベンチャー→自営業
1. 経理がいらないと思われている理由
1) クラウド会計ソフトの台頭
2) AIに代替される
3) 売上に直結しない
4) 誰でもできる
2. 今後の経理に求められるものとは?
1) クラウド会計ソフトを使いこなす
2) AIについて理解する
3) 利益につながる経営管理を行う
4) 高い専門性
3. 終わりに
4. まとめ
1. 経理がいらないと思われている理由

1) クラウド会計ソフトの台頭
経理がいらないと思われている1つ目の理由としては、「クラウド会計ソフトの台頭」が挙げられます。
経理部で働いている人であれば、「freee」や「マネーフォワード」といったクラウド会計ソフトについて、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
従来人手を介して行っていた作業について、クラウド会計ソフトを使用すればある程度自動化できるため、より少ない人数で作業ができます。
例えば、銀行口座と連携することで、銀行口座の入出金情報から自動で日次の仕訳を切るといった作業を、クラウド会計ソフトが代替してくれます。
その結果、経理の人数が減少するため、「経理がいらなくなっている」という印象が世間一般に広まっています。
以上より、「クラウド会計ソフトの台頭」は、経理がいらないと思われている理由と言えます。
2) AIに代替される
経理がいらないと思われている2つ目の理由としては、「AIに代替される」ことが挙げられます。
経理業務の多くは定型化された作業であり、AIに代替されるといった話を聞いたことがある人も、多いかと思います。
「近いうちにAIに代替されるから、経理はいらない部署だ」といった風潮があるのも事実です。
確かに、経理作業の中にはAIに取って代わるであろう作業もあります。
例えば、ミスや不正を発見する業務が該当します。
経理はお金周りの最後の番人であり、各種経費や請求書などをチェックする必要があり、単純なミスやあるいは故意による不正があった場合は、それを見抜く必要があります。
AIに過去数年分の取引データを覚え込ませることで、通常と異なる取引が発生した場合はそれを検知できるようになるため、ミスや不正を発見する業務はAIに代替される可能性があります。
以上より、「AIに代替される」ことは、経理がいらないと思われている理由と言えます。
3) 売上に直結しない
経理がいらないと思われている3つ目の理由としては、「売上に直結しない」ことが挙げられます。
営業などは契約を結んだ分だけ売上があがり、会社の利益を稼いでいるため、プロフィットセンターと呼ばれています。
一方で、経理などのバックオフィスは、直接的には売上に貢献しないため、コストセンターと呼ばれています。
会社というのは営利目的で運営されているものであり、稼ぐことがまずは大事となります。
そのため、プロフィットセンターの方が評価されやすく、コストセンターは評価されにくい傾向にあります。
評価されないということは、極端な言い方をすれば、「大した作業はやっていない」と思われてしまい、結果として「経理って別にいらないのでは?」という風潮を社内に作ってしまいます。
以上より、「売上に直結しない」ことは、経理がいらないと思われている理由と言えます。
4) 誰でもできる
経理がいらないと思われている4つ目の理由としては、「誰でもできる」ことが挙げられます。
経理の作業は単純作業であり、誰でもこなすことができると思っている人も、多いのではないでしょうか?
会計・税務上の論点について議論するなど専門性の高い業務がある一方で、確かに誰でもできそうな単純作業が多くあるのも事実です。
前述の通りそのような単純作業はAIに代替されるため、余計に「経理はいらない」と思われることがあるのです。
また、AIだけでなく、RPAによって代替される可能性もあります。
(RPAについては「経理の将来性は?RPA導入で経理業務はどう変わる?」をご参照ください。)
以上より、「誰でもできる」ことは、経理がいらないと思われている理由と言えます。
2. 今後の経理に求められるものとは?

1) クラウド会計ソフトを使いこなす
1つ目の今後の経理に求められるものとしては、「クラウド会計ソフトを使いこなす」ことが挙げられます。
先ほど、クラウド会計ソフトの台頭について、お伝えしました。
確かにクラウド会計ソフトが経理の仕事を奪っている側面もあるのですが、電卓と同じで便利な経理のツールとして使いこなすことで、自身の差別化要素にもなっていきます。
クラウド会計ソフトを使いこなすためには、クラウド会計ソフトを使い倒すしかありません。
まだ自社がクラウド会計ソフトを導入していないのであれば、まずは導入することから始めてみてください。
また、副業やフリーランス・自営業をやっている方であれば、プライベートで使用してみるのも一つの方法です。
以上より、「クラウド会計ソフトを使いこなす」ことは、今後の経理に求められることと言えます。
2) AIについて理解する
2つ目の今後の経理に求められるものとしては、「AIについて理解する」ことが挙げられます。
AIと聞くと脅威を感じる人が多いですが、むしろ定型的な雑務をAIにお願いすることで、本来経理として取り組むべき作業に自分のリソースをあてられるため、歓迎すべきものです。
そのためには、最低限AIのできること、できないことを理解する必要があります。
ディープラーニング協会が実施している、非エンジニア向けのAI検定試験である「G検定」は、基礎的な知識を理解する上でおすすめです。
また、AIの基礎となるプログラミングについて学んでみるのも、一つの方向性です。
(経理とプログラミングの関係については「経理こそプログラミングを学習すべき4つの理由!」をご確認ください。)
以上より、「AIについて理解する」ことは、今後の経理に求められることと言えます。
3) 利益につながる経営管理を行う
3つ目の今後の経理に求められるものとしては、「利益につながる経営管理を行う」ことが挙げられます。
先述の通り経理はコストセンターであり、直接的には利益に貢献することはありませんが、経営管理を通して間接的に利益に貢献することは可能となります。
そのため、今後の経理には、以下のような経営管理スキルが求められます。
・事業のボトルネックの特定。
・各部署の目標設定。
・節税対策。
・資金運用。
・資金調達。
(詳細については「経営管理の肝は経理にあり!経営管理のポイントをご紹介」をご参照ください。)
以上より、「利益につながる経営管理を行う」ことは、今後の経理に求められることと言えます。
4) 高い専門性
4つ目の今後の経理に求められるものとしては、「高い専門性」が挙げられます。
先述の通り、経理には誰でもできる作業がある一方で、専門性の高い業務もあります。
そして、今後の経理に期待されている業務は、言わずもがな専門性の高い業務です。
それでは、会計分野について高い専門性を身に付けるためには、何をすれば良いのでしょうか?
そこれに関して近道はなく、日々の勉強の積み重ねが大切となります。
経理・会計の具体的な勉強法については、「経理の勉強方法とは?おすすめ4選をご紹介!」をご一読ください。
専門性を身に付けるには時間がかかりますが、逆に言えば、時間がかかる分簡単にはマネされません。
これからの自分の武器となる専門性をm磨いていきましょう。
以上より、「高い専門性」は、今後の経理に求められることと言えます。
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3. 終わりに

経理がいらないと思われている理由と、これからの経理に求められていることについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
経理はこれからも引き続き、会社にとって大切な部署です。
いらなくなると怯えるのではなく、今後も活躍していくために、必要な知識を身に付けていきましょう。
4. まとめ
◆AIやRPAに代替されると思われている。
◆コストセンターであり会社の利益に貢献しないと思われている。
◆誰でもできると思われている。