経理の役割と聞かれて皆様は何を想像しますでしょうか?
仕訳を切ることでしょうか?
経費の承認をすることでしょうか?
請求書を整理することでしょうか?
これらは経理の作業内容であり、経理が担っている「役割」を説明したものではありません。
そこで今回は、経理の役割について解説していきます。
経理の本来の役割を意識することで、日々の経理業務の必要性を再認識し、経理として働くことに自信が持てるようになります。
また、後半では経理としてレベルアップする方法についてもお伝えしておりますので、ぜひご一読ください。
1. 経理の役割とは?
1) お金の最後の番人
経理の役割の1つ目としては、「お金の最後の番人」であることが挙げられます。
経理には各部署から情報が集まり、以下のようなお金周りの業務が行われます。
・現預金の管理
・経費の管理
・給与や賞与などの人件費の管理
・税金の管理
お金周りに関して経理の後に控えている部署はないので、経理は「お金の最後の番人」となります。
取引先との契約書や社内規定、法令に基づいて適正に処理されているか?といった視点はもちろんのこと、単純なミスや不正がないか?といった視点で各業務を行う必要があります。
会社というのは基本的に営利目的であり、お金を儲けることを目的としております。
つまり、お金の管理というのは会社にとって最重要事項であるとも言えます。
経理がうまく機能しておらず、どんぶり勘定でお金の管理が行われていた場合、例え営業成績がよくても、資金がショートする可能性があり、会社が倒産するかもしれません。
以上より、「お金の最後の番人」であることは、経理の役割と言えます。
2) 会社の過去・現在を伝える
経理の役割の2つ目としては、「会社の過去・現在を伝える」ことが挙げられます。
経理が作成する財務諸表は、会社の過去・現在の経営成績や財産状況を表した書類となります。
例えば、100万円で仕入れた商品を150万円で販売した場合、以下のような財務諸表が作成されます。
・売上 150万円
・売上原価 100万円
・売上総利益 50万円
【貸借対照表(財産状況)】
・現金預金 50万円
(*損益計算書と貸借対照表については「損益計算書と貸借対照表の違いは??」をご参照ください。)
上記は過去・現在の取引を財務諸表に記帳したものであり、「多少販管費にお金をかけてもまだ利益が十分でるな。」「新しいプロジェクトに100万円の投資が必要なので、追加で借入が必要だな。」といった経営者の将来の意思決定を助ける情報となります。
つまり、経理が過去・現在の情報を正確に財務諸表に記帳することは、会社の将来を設計することに繋がっています。
以上より、「会社の過去・現在を伝える」ことは、経理の役割と言えます。
経理というと、間違いなく正確に取引を記帳することが一番重要だと思われがちです。
確かに正確性も大事なのですが、作成スピードも大切な要素です。
先述のように経理の作業が経営の意思決定に繋がっているということは、経理の作業が1日早く終われば経営の意思決定も1日早く終わるかもしれないことを意味しております。
ビジネス環境が日々変化する現代で生き残るためには、素早い意思決定は必須です。
経理の先にある経営の意思決定にまで目を向けられる経理になりましょう。
3) 経営管理を担う
経理の役割の3つ目としては、「経営管理を担う」ことが挙げられます。
経理管理とは、会社全体や各部署・チームの目標達成のために、人・モノ・金・情報といった経営資源を効果的に配分することを言います。
先述のように、経理は会社や各部署・チームの過去・現在の状況を把握しております。
つまり、各組織の課題を数値情報として把握しており、課題に合わせて最適な経営資源の配分を考えることができます。
「人」が不足しているのであれば人事にその情報を伝えて人を増やす、「モノ」が足りなければ必要なモノを追加で購入する、「金」が足りなければ予算を増やすなど、必要な対応を経理が行う必要があります。
会社全体の情報が集まる経理という部署だからこそ、担うことのできる役割が経営管理となります。
(詳細については「経営管理の肝は経理にあり!経営管理のポイントをご紹介」も合わせてご確認ください。)
以上より、「経営管理を担う」ことは、経理の役割と言えます。
2. 経理としてレベルアップするには?
経理の役割について解説してきましたが、経理がその役割を全うするためには、一人一人が経理として実力を上げていく必要があります。
そこで、経理としてレベルアップしていく方法について、順に解説していきます。
1) 向き・不向きを把握する
経理としてレベルアップする方法の1つ目としては、「向き・不向きを把握する」ことが挙げられます。
これは何も、経理に向いていないことがわかったら、経理を辞めろと言っているのではありません。
1つでもいいので経理に向いている要素を見つけて、それを意識して自信に変えることで、経理としてレベルアップできることを意図しております。
例えば、経理に向いている人の特徴としては、以下のようなものがあります。
・数字アレルギーがない。
・細かいことはあまり気にならない。
・勉強することが苦痛ではない。
・人と関わるのがキライではない。
・誰かに頼るよりは自分の力で仕事をしたい。
・人に説明するのが苦手ではない。
・自己主張が強い方ではない。
・外に出るよりデスクで仕事をしたい。
・口が堅い。
(詳細については「経理に向いていない人、向いている人の特徴10選!」をご確認ください。)
自分に当てはまる項目を1つでもいいので見つけてみましょう。
以上より、「向き・不向きを把握する」ことは、経理としてレベルアップする方法と言えます。
2) 勉強する
経理としてレベルアップする方法の2つ目としては、「勉強する」ことが挙げられます。
勉強することで経理としての実力を付けることができるのは、何となくイメージできるかもしれませんが、具体的にどうような勉強をすれば、経理実務に直結した力が付くのかわからない方も多いかと思います。
例えば、以下のような勉強方法がおすすめです。
・監査法人、企業会計基準委員会、金融庁、キュレーションアプリ、SNSを利用した最新の会計情報の収集。
・経理実務に精通している同僚に質問する。
・営業のプレゼン資料、大口取引先のHP、広告宣伝費の内訳などから会社のビジネスそのものを理解する。
(詳細については「経理の勉強方法とは?おすすめ4選をご紹介!」をご確認ください。)
大人になっても勉強することに抵抗がある人もいるかと思いますが、経理の場合、勉強した分だけ成果に結びつきやすいので、毎日少しずつ勉強を積み重ねていきましょう。
以上より、「勉強する」ことは、経理としてレベルアップする方法と言えます。
3) 読書する
経理としてレベルアップする方法の3つ目としては、「読書する」ことが挙げられます。
会計関連の知識を得るのに読書はおすすめです。
だた、闇雲に読書をしても効率が悪いので、とりあえず経理実務に関連した以下の書籍をおすすめいたします。
・『3年で「経理のプロ」になる実践PDCA』
・『コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方』
・『ビジネス会計検定試験公式テキスト2級』
(詳細については「経理実務の勉強におすすめの本4選!」をご参照ください。)
読書した内容を知識として定着させるコツとしては、アウトプットすることが挙げられます。
ブログやSNSで発信する、友人に話すなど、方法は何でもかまいません。
マーカーで線を引くだけでも、「どこが重要なのか?」と考えることで頭を使い、マーカーを引くために手を動かすため、実は十分なアウトプットになります。
以上より、「読書する」ことは、経理としてレベルアップする方法と言えます。
4) 目標設定をする
経理としてレベルアップする方法の4つ目としては、「目標設定をする」ことが挙げられます。
適切な目標設定をして(Plan)、行動し(Do)、行動した結果を振り返って(Check)、改善プランを立てる(Action)といった、いわゆるPDCAサイクルを回すことで、経理として成長することができます。
PDCAサイクルを回すためにも、まずは適切な目標を立てる必要があります。
経理の具体的な目標設定例としては、例えば以下のようなものが考えられます。
・会計関連資格の取得。
・働く時間の削減。
・Excelをマスターするなどの業務効率化。
・会計関連書籍の読破。
・他部署との適切なコミュニケーション。
・経理部内でのコミュニケーションの活性化。
(詳細については「経理の目標設定とは?人事面談の前に押さえておきたい目標例7選!」をご参照ください。)
上記はあくまで参考例ですが、試しにどれか1つを目標として、具体的に考えてみてください。
以上より、「目標設定をする」ことは、経理としてレベルアップする方法と言えます。
3. 終わりに
経理の役割や経理としてレベルアップする方法についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
経理は企業運営上欠かすことのできない、大切な職種です。
経理として誇りを持って、日々の業務に取り組みましょう。
4. まとめ
◆財務諸表を通じて会社の過去・現在の状況を報告する。
◆経営管理を主導する。