経理の繁忙期はいつ?事前にやっておくべき6つのこととは?

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「経理の繁忙期はいつ?」と聞かれて、皆様即答できますでしょうか?

既に経理として働かれている方であれば、ご自身の経験をもとに回答できるかもしれません。

ただ、せっかく繁忙期が分かっているのに、事前に対策をとっていない人が多いのも事実です。

のどもと過ぎれば熱さを忘れると言いますが、つらかった繁忙期も過ぎてしまえば一時的につらさを忘れて、また繁忙期がくると思いだす、ということを繰り返してしまいがちです。

そこで今回は、そもそも経理の繁忙期とはいつなのかを解説した上で、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことについてお伝えしていきます。

事前にしっかりと対策を練ることで、繁忙期を乗り切りましょう。

 

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1. 経理の繁忙期はいつ?

経理の繁忙期はいつ?

1) 年間スケジュール

3月決算の企業を想定した場合、月次決算業務を除いた、年間の大まかな経理業務のスケジュールは、以下のようになります。

4月
・年次決算業務。
・財務諸表作成。
・会計監査対応。

5月
・法人税等、消費税などの確定申告/納付。
・決算短信提出。

6月
・定時株主総会。
・有価証券報告書の提出。
・賞与(ボーナス)支払い。

7月
・健康保険、厚生年金保険の定時決定。
・四半期決算業務。

10月
・四半期決算業務。

12月
・年末調整。
・賞与(ボーナス)支払い。

1月
・支払調書の作成/提出。
・四半期決算業務。

3月
・実施棚卸。
・経過勘定、仮勘定の処理。

これとは別に、毎月の月次決算業務をこなしていく必要があります。

 

2) 繁忙期はいつ?

それでは、経理の繁忙期と言えば具体的にいつを指すのでしょうか?

一番の繁忙期は、年次の決算業務がある「4月」となります。

月次でも苦労する決算業務の年次版であり、4月の単月で終わらせようと思うと、大変な労力を要します。

また、決算書の内容をもとに法人税などの各種税金の納付額を計算するため、税金の納付額を誤らないためにも、4月の決算書作成作業は大切な業務となります。

4月以外で言えば、年末調整や支払調書の作成、四半期決算などが行われる「12月~1月」の時期も繁忙期となりやすいです。

 

2. 事前にやっておくべき6つのこと

事前にやっておくべき6つのこと

1) やった内容を記録しておく

1つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「やった内容を記録しておく」ことが挙げられます。

経理の作業をやる際に、何回かやったことがある作業でも、「あれ、、これってどうやるんだっけ?」となった経験が皆様一度はあるのではないでしょうか?

特に年次決算の作業は年に1回なので、毎年忘れがちです。

しっかりと毎回の業務内容・手順を記録しておくことで、次に作業をする際に、作業内容や手順を思い出すのに時間をとられなくて済みます。

理想は業務フローマニュアルのような、その業務を経験したことがない人が見ても作業できるレベルのものが良いですが、とりあえずはポイントだけを箇条書きしたものでもかまいません。

毎年・毎回少しずつブラッシュアップしていけば問題ありません。

少しでも次回に情報を残すことが大切ですので、まずは続けられる範囲で記録をしてみてください。

以上より、「やった内容を記録しておく」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

2) 担当を明確にしておく

2つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「担当を明確にしておく」ことが挙げられます。

繁忙期に備えて何か対策を打ちたくても、自分の担当する範囲がわからなければ、できることは限られます。

逆に、早めに自分の担当がわかればわかるほど、自分が担当する作業に特化した準備が可能となります。

例えば知識の面でも、「売上周りの勘定科目」を担当するのか、「費用周りの勘定科目」を担当するのかで、事前に勉強しておく内容が異なります。

注意点としては、人が辞めそう、あるいは新しく入ってきそうな時は、担当を事前に決めていても変わる可能性があるという点です。

この場合、あまりに自分の担当に特化した準備だけをしておくと、直前になって担当が変更になった場合に、気持ちの切り替えが難しくなります。

人の入れ替えが起こりそうな時は、事前に自分の担当が発表されても参考程度にとどめておきましょう。

以上より、「担当を明確にしておく」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

3) システム化を進めておく

3つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「システム化を進めておく」ことが挙げられます。

ITに関して拒否反応を示す人がまだまだ多く、システムを利用すれば本来もっと楽になるはずの業務があっても、導入しないケースが多いです。

例えば、クレジットカードやSUICAなどの電子マネーの決済履歴から、自動で仕訳を切ってくれるシステムなどを導入するだけで、繁忙期の業務負担がかなり減ることが考えられます。

また、請求書や契約書に関してもクラウドサインなどの電子はんこを利用することで、紙で保管する必要がなく、業務負担が軽くなります。

さらに、単純な定型作業に関しては、RPA(Robotic Process Automation)を導入することで、自動化することも考えられます。

(RPAに関しては「経理の将来性は?RPA導入で経理業務はどう変わる?」も合わせてご確認ください。)

システムの導入は一朝一夕でできるものではありませんが、費用対効果が高い方法ですので、繁忙期前にぜひ取りかかっておく必要があります。

以上より、「システム化を進めておく」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

4) 月次決算をしっかりやる

4つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「月次決算をしっかりやる」ことが挙げられます。

四半期決算や年度決算に対する事前策として、月次決算をしっかりやることは非常に効果的です。

四半期決算も年度決算も、月次決算の積み上げがベースとなります。

つまり、月次決算を毎月しっかりやっておけば、四半期決算や年度決算の負担を分散することが可能となります。

一番王道の方法ではありますが、意外に月次で手を抜いている人は多いかと思います。

例えば、どちらの会計処理を採用するかといった会計上の論点が発生した際に、とりあえず期中は現状のままで処理して、年度決算の際に公認会計士などの専門家と話し合って決めようと考えるかもしれません。

しかし、一番の繁忙期となる年度決算の際に、会計論点に関して深く検討できるかは何とも言えず、であれば、期中の月次決算の際にしっかりと検討しておいて、繁忙期の負担を軽くする必要があります。

最終的な結論は年度決算の際に出すとしても、事前にどうような処理があって、ぞれぞれのメリット・デメリットは何か?といったことについて洗い出しておくだけで、年度決算の負担が軽くなります。

以上より、「月次決算をしっかりやる」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

5) スキルアップする

5つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「スキルアップする」ことが挙げられます。

経理部員一人一人が実力を上げることで、できる業務の幅やスピードが上がります。

結果として、同じメンバーでも繁忙期をより楽に乗り越えることが可能となります。

具体的なスキルアップ方法としては、以下のようなものが考えられます。

 

① 資格の勉強

1つ目のスキルアップ方法としては、「資格・検定の勉強」が挙げられます。

経理としての基礎的なスキルを上げるためには、体系的にまとまっている資格・検定試験がおすすめとなります。

また、漠然と勉強するよりは、試験合格という目標があった方がやる気も出て、スケジュールも組みやすいです。

自身も経理部で働いた経験があり、公認会計士でもある筆者がおすすめするのが「日商簿記検定2級」と「ビジネス会計検定2級」です。

(筆者の経歴については「ビジネス会計検定と出会うまで:公認会計士が語る体験談!」をご参照ください。)

 

・日商簿記検定2級

財務諸表などの決算書類を「作成」する際に、必須となるのが簿記のスキルとなります。

そもそも簿記の知識がなければ経理の会話についていけないことも多く、最低限3級は取得しておく必要があります。

ただ、経理の繁忙期を乗り切るためには、簿記2級まで取得しておくことを強くおすすめいたします。

簿記2級の難易度については「簿記の難易度・真の合格率とは?他資格と徹底比較!」をご確認ください。

 

・ビジネス会計検定2級

簿記との同時取得をおすすめしたいのが、ビジネス会計検定となります。

経理には会計数値を集めて財務諸表を作成することのみが求められるのではなく、各会計数値を「分析」して、会計面や財務面での会社の課題を経営層に提供する役割もあります。

そしてこの財務諸表を分析するスキルを養うことができるのが、ビジネス会計検定となります。

簿記検定と同様に、経理であればより実践的な内容を身に付ける必要があるため、ビジネス会計検定2級までをぜひ取得してみてください。

ビジネス会計検定2級については「ビジネス会計検定2級とは?挑戦すべき5つの理由」をご確認ください。

 

② 読書

2つ目のスキルアップ方法としては、「読書」が挙げられます。

特に、自社の置かれている業界特有の会計処理については、早い段階で書籍で勉強することをおすすめいたします。

業界別の会計知識については、「業界別会計シリーズ(新日本監査法人)」などが分かりやすいです。

詳細につきましては、「経理実務の勉強におすすめの本4選!」をご参照ください。

 

③ 勉強会への参加

3つ目のスキルアップ方法としては、「勉強会への参加」が挙げられます。

各種セミナーに参加して、登壇者から知識を得ることももちろん大事なのですが、より大切になってくるのが、セミナーに参加していた人達との横のつながりです。

例えば、他社の経理の人であれば、普段の業務の中でどのような工夫をしているのか情報交換するなどが考えられます。

また、エンジニアの人と知り合った場合は、おすすめの会計システムについて聞いてみるのも良いかもしれません。

自社内にいるだけでは気付けない、新たな発見がきっとあります。

 

④ IT知識の向上

4つ目のスキルアップ方法としては、「IT知識の向上」が挙げられます。

クラウド会計システムやRPAなどについては、知っているか知っていないかで差がつきます。

ネット上で調べるだけでも多くのIT知識を得ることができるため、最低限は自分で調べてITリテラシーを上げていきましょう。

また、必要に応じてプログラミングを学んでみるのも1つの方向性です。

詳細については、「経理こそプログラミングを学習すべき4つの理由!」をご参照ください。

 

⑤ ビジネス理解

5つ目のスキルアップ方法としては、「ビジネス理解」が挙げられます。

会計というのはビジネスの各取引を数値化して、利害関係者に報告するための技術であるため、ビジネスを理解することは不可欠となります。

しかし、経理に従事する人の多くは、会計の勉強ばかりで、自社のビジネス・商品の理解を怠ることが多いです。

では具体的にどのようにして、自社のビジネス・商品を理解すればいいのかというと、決算説明会資料や営業資料の読み込みなどが考えられます。

外部に公表する資料であり、ポイントがキレイにまとまっておりますので、自社のビジネス・商品を理解する上でおすすめの方法となります。

 

以上より、「スキルアップする」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

6) 体力をつけておく

6つ目の繁忙期に備えて事前にやっておくべきこととしては、「体力をつけておく」ことが挙げられます。

どれだけ事前に対策を練っても、結局のところ繁忙期は体力勝負であることも事実です。

であれば、事前に最低限の体力作りをしておく必要があります。

と言っても、何か特別なことをするのではなく、基本に立ち返り、以下の3つを徹底してみてください。

・健康的な食事。
・十分な睡眠。
・適度な運動。

繁忙期に上記を徹底するのは難しいかもしれませんが、普段から上記の3点をしっかり守って体力を作っておけば、繁忙期の1ヶ月程度であれば多少生活が乱れても乗り切れるはずです。

以上より、「体力をつけておく」ことは、繁忙期に備えて事前にやっておくべきことと言えます。

 

3. 終わりに

経理が繁忙期を乗り切るために事前にやっておくべきことについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

大切なのは、知識を得て納得することではなく、実際に行動に移すことです。

「明日からやろう!」ではなく、さっそく「今日から」取り組んでみてください。

 

4. まとめ

Point!

◆作業内容を記録しておく。
◆業務担当を明確にしておく。
◆システムの導入を進める。
◆月次決算をしっかりやる。
◆スキルアップ。
◆体力づくり。

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