経理と聞いて、激務なイメージがありますでしょうか?
それとも楽なイメージでしょうか?
結論としては、激務な会社もあれば、そうでない会社も当然あり、会社ごとに異なります。
経理としてこれから働く人、あるいは既に働いている人にとって、もしこれから激務が待ち受けているのであれば、事前にその内容を知って覚悟を決めておいて損はありません。
そこで今回は、経理の激務あるあるについてご紹介していきます。
それぞれに対して対応策についても言及しておりますので、参考にしてみてください。
また、後半では激務のメリット・デメリットについても解説しておりますので、ぜひご一読ください。
1. 経理の激務あるある
1) 専門性が高く仕事が終わらない。。
1つ目の経理の激務あるあるとしては、「専門性が高く仕事が終わらない」ことが挙げられます。
経理は単純作業も多いですが、一方で、会計や税務といった専門性の高い分野について問題が発生することもあります。
単純作業の場合はどの程度時間をかければ終わるか予想がつきますが、会計上の論点や税務上の論点が発生した場合はいつ解決するか予想がつかず、精神的にも疲弊して、結果として激務に繋がることが多いです。
経理の場合、金融商品取引法や会社法で定められた決算書の提出期限がありますので、専門性の高い問題が発生した場合でもその分期限を延ばせるわけではなく、必然的に毎日の残業でカバーせざる負えなくなります。
顧問税理士や会計士に相談することもできますが、専門性が高い分野だと相談内容をまとめるのも一苦労であり、また、専門家からの回答内容についても鵜呑みにするしかなくなります。
以上より、「専門性が高く仕事が終わらない」ことは、経理の激務あるあると言えます。
専門性の高い分野に対応するには、自分自身の専門性を高める他に方法はありません。
地道な作業ですが、自分の市場価値を高めることもできるため、積極的に取り組んでいきましょう。
経理に必要な専門知識を身に付ける方法としては、例えば以下のような方法が考えられます。
・資格、検定試験の勉強。
・会計、税務のトピックを定期的にチェック。
・より詳しい周りの人に聞く。
・ビジネスそのものに対する理解を深める。
詳細については「経理の勉強方法とは?おすすめ4選をご紹介!」をご参照ください。
2) 人手が足りない。。
2つ目の経理の激務あるあるとしては、「人手が足りない」ことが挙げられます。
社員を採用する際に、経営者としてはどうしても、営業など売上に直接関わる部署から採用したくなります。
その結果として、経理の採用は後回しなってしまい、経理の人手が足りないといった状況を作ってしまいます。
仕事量に対して人手が足りなければ、当然一人当たりの負担が増えて、激務に繋がってしまいます。
また、経理部の人達もただ「人手が足りない。。」と言っているケースが多く、どの業務にどの程度の時間をかける必要があるので何人採用してほしい、といった具体案を示さないと、いつまでたっても採用が進まず激務は解消されません。
以上より、「人手が足りない」ことは、経理の激務あるあると言えます。
人手が足りない業務がある場合は、アウトソーシングを検討してみるのも一つの方法です。
一般的に社員を採用するよりもコストダウンでき、また、必要に応じて使用量を調整することで変動費化できるのも、アウトソーシングの利点となります。
特に単純な定型業務については、アウトソーシングすることで手間が省けて激務解消につながります。
ただ、アウトソーシングにあたっては、以下の点に注意が必要です。
・業務フローをマニュアル化できているか?
・アウトソーシング先は実績のある業者か?
・本当に業務が効率化されるか?
・本当にコストダウンになるのか?
詳細については「経理をアウトソーシング・外注する際に注意すべき7つのこと」をご確認ください。
3) 決算期は毎日残業。。
3つ目の経理の激務あるあるとしては、「決算期は毎日残業」となることが挙げられます。
月次決算においては月初が、四半期・年次の決算においては決算月が経理の繁忙期となります。
先述のように決算書の提出は法令によって期限が決まっており、今回の決算は対応事項が多いから提出を先延ばしにするといったことはできません。
そのため、1日当たりの労働時間を増やす、つまり残業するしかなく、結果として激務となります。
また、ゴールデンウイークや年末年始といった祝日がある場合は、残りの平日にその分のしわ寄せがいき、結果として残業が増え激務となります。
さらに、上場企業の場合であれば、四半期の決算作業や内部統制監査に対応する必要もあるため、業務の総量は多くなります。
会社としても繁忙期の忙しさに対してちょうどいい人数を雇うと、年間を通して平均すると余剰人員を抱えることとなるため、どうしても繁忙期には少し足りないぐらいの人数となってしまいます。
以上より、「決算期は毎日残業」となることは、経理の激務あるあると言えます。
決算期は期限が決まっており大変ですが、逆に言えば事前に予測することができます。
つまり、いかに事前策を用意しておくかが、繁忙期を乗り切れるかどうかの分かれ目となります。
人員が足りない時期がわかっているのであれば、先述のようにアウトソーシングを利用するのも一つの方法です。
また、各部署に事前に経理の繁忙期を周知して、請求書や経費の提出を早めてもらうなどの対策も有効です。
その他、事前に考えられることについて、できるだけ平時に対策を練っておくことが大切となります。
4) 経理部に対する理解がない。。
4つ目の経理の激務あるあるとしては、「経理部に対する理解がない」ことが挙げられます。
経営者や役員クラスの人達の経理部に対する理解がなく、経理部の低賃金・長時間労働が当たり前になっている会社では、当然に激務となります。
この場合、精神的にもつらく、肉体的に感じる以上に激務による疲労を感じるかもしれません。
AIやRPAの台頭により、経理業務は自動化され、どうせいらなくなる部署だと思われているのかもしれません。
ただ、実際は経理がなくなることはなく、むしろAIやRPAに単純作業をお願いすることで、今後は経理として本来やるべき作業に集中して取り組むことができる時代となります。
(AIやRPAと経理の自動化については「経理の自動化後も必要になる経理スキルとは?」をご参照ください。)
ただ、経理は重要でないという考えに染まってしまった人を説得しても、うまくいくことはほとんどありません。
以上より、「経理部に対する理解がない」ことは、経理の激務あるあると言えます。
経理部に対する理解がない場合は、早い段階で転職することをおすすめいたします。
現状経理に対する理解がないのであれば、将来急に理解されることはまずないと思っておいた方が良いです。
今いる会社の環境を変えることも大事ですが、自分がより良い環境の会社に飛び込む方が、費用対効果が高いです。
経理はある程度基礎スキルを身に付けておけば転職しやすい職種なので、疲弊する前に早めの転職を検討しましょう。
(経理の転職については「経理が転職しやすい7つの理由」もご確認ください。)
5) 小さい会社だと自分一人で全部やることに。。
5つ目の経理の激務あるあるとしては、「小さい会社だと自分一人で全部やることになる」ことが挙げられます。
スタートアップ企業や設立数年のベンチャー企業などでは、経理担当が自分一人というケースもめずらしくありません。
経理の業務は多岐にわたり、また、小さい企業では財務や総務を兼ねていることもあるため、本来一人でできる業務量を超えており、当然に激務となります。
例えば、事業の要である現金預金を管理して、仕入先にお金を支払い、販売先からお金を回収し、社員の給料の計算をして、経費をチェックし、取引があるごとに仕訳を切り、決算書を作成して、法人税や消費税の納付を行い、、、といった業務を一人でこなす必要があります。
もちろん大企業と比べて1つ1つの業務量は少なく、大企業ほど複雑ではありませんが、それでも一人でこなすには異常な量となります。
以上より、「小さい会社だと自分一人で全部やることになる」ことは、経理の激務あるあると言えます。
企業規模が小さく、経理担当が自分一人の場合は、ITツールを導入して激務を乗り越えることを検討する必要があります。
例えば、freeeやマネーフォワードといった、小規模の会社でも利用しやすいクラウド会計ソフトの導入などを検討してみてください。
大企業の場合はITツールを導入するのに、部署間の調整や社内承認など、障壁が多いですが、小さい企業であれば比較的柔軟に対応できます。
また、自身でプログラミングの勉強をして、業務を効率化することも考えられます。
経理とプログラミングについては「経理こそプログラミングを学習すべき4つの理由!」をご確認ください。
小さい企業の利点を活かして、激務を解消していきましょう。
2. 激務のメリット・デメリット
経理の激務あるあるについて紹介してきましたが、ここからは激務によるメリットとデメリットについて解説していきます。
1) メリット
① 経理としての成長速度が速い
1つ目の激務のメリットとしては、「経理としての成長速度が速い」ことが挙げられます。
激務というのは裏を返せば、それだけ仕事の経験を積む機会が多いということです。
経理としての成長は他の職種と同様に仕事の「質×量」で計算できますが、仮に質が低くても、激務による圧倒的な量で経験を積んでいけば、成長する可能性は高いです。
また、結局のところ成長のために必要な仕事の質とは何なのか?については、量をこなしていかないと見えてきませんので、まずは量をこなすことが大切です。
以上より、「経理としての成長速度が速い」ことは、激務のメリットと言えます。
② 残業代が貰える
2つ目の激務のメリットとしては、「残業代が貰える」ことが挙げられます。
多くの企業では、残業した分だけそのまま残業代がもらえることは稀なことかもしれませんが、逆に全くもらえないということもないかと思います。
つまり、激務により残業することで、一定程度の金銭的なメリットがあるのも事実です。
本来的には時間当たりの自分の単価を考えて、仕事量と給料のバランスを考えるべきですが、時と場合によっては、給料の多さを最重要視することも必要かと思います。
以上より、「残業代が貰える」ことは、激務のメリットと言えます。
2) デメリット
① 心身共に疲弊する
1つ目の激務のデメリットとしては、「心身共に疲弊する」ことが挙げられます。
これは誰しもが想像する激務のデメリットかと思います。
激務により睡眠時間が十分にとれず、心身ともに回復しないまま翌日の仕事に取り組むことで仕事の能率が下がり、通常業務も激務に感じてしまうという、負のスパイラルに陥ってしまいます。
心身共に疲弊するような状況である場合には、仮に激務にメリットを感じていたとしても、今すぐ休むべきです。
人生において自分の体が一番の資本であり、それを損なってまで仕事をすべきではありません。
以上より、「心身共に疲弊する」ことは、激務のデメリットと言えます。
② 自己投資に時間をさけない
2つ目の激務のデメリットとしては、「自己投資に時間をさけない」ことが挙げられます。
先述のように激務により経理の仕事の経験値を上げることはできますが、その他のことに時間を割く余裕はなくなります。
英語やプログラミングなど、経理のスキル以外にも身に付けるべきもの、学習したいことは誰しもあるかと思います。
そのような自己投資の機会が犠牲になるのも、激務のデメリットとなります。
以上より、「自己投資に時間をさけない」ことは、激務のデメリットと言えます。
3. 終わりに
経理の激務あるあるや、激務のメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
会社によって激務かどうかは異なりますが、入社するまでその実態はわかりません。
であれば、事前にもしもの時に備えて、激務あるあるやその対策について理解しておきましょう。
4. まとめ
◆人員不足。
◆決算期が忙しすぎる。
◆経理に対する会社の理解がない。
◆規模が小さく経理が自分一人しかいない。