経理1・2年目はやる気に満ちて、また、学ぶことが全て新鮮で、自分の成長を感じやすいかもしれません。
一方で、3年目になると毎月定型作業ばかりに感じで、自分の成長をあまり実感しにくくなる人も、多いかと思います。
そこで今回は、そんな経理3年目の伸び悩みを克服するための方法を、8つ紹介していきます。
伸び悩みを感じる時期は誰しもが経験するものなので、その対象法をしっかりと頭に入れることで、3年目以降も成長し続けましょう。
1. ビジネスモデルを理解する
2. 資格を勉強して体系的に会計を学ぶ
3. 転職サイトに登録してみる
4. 実務的な本を読む
5. ロールモデルを見つける
6. 愚痴を言わない
7. 体を鍛える
8. マネジメントを学ぶ
9. 終わりに
10. まとめ
1. ビジネスモデルを理解する
3年目の伸び悩みの原因の1つに、経理業務をただの作業と感じてしまうことが挙げられます。
確かに経理業務1つ1つは無機質な作業に思えるのですが、背景にある自社のビジネスを理解することで、普段の仕訳1つをとっても意味が異なってきます。
例えば、貸倒引当金を計上する基準の月数はまだ経過していないが長期間回収できていない債権について、そもそもどんな取引により発生した債権なのかを本来は理解して、基準月数自体が本当に適切か?などを疑う視点も3年目ともなると必要となってきます。
商品を販売した際の債権の場合、通常の商品と比べてなぜこの商品だけ長くなっているのかを考えるために、そもそも通常の商品がどのようなもので、どのような取引によって販売されているかを理解しておく必要があります。
経理には様々な内部資料が回ってくるので、自社の商品について営業担当になったつもりでしっかりとリサーチしたり、あるいは外部の投資家の目線にたって、公開されている情報をもとに自社の商品を分析するのも1つの方法です。
また、自社が属している業界全体の動向も把握しておく必要があります。
例えば、以下のような情報となります。
・業界全体として今は調子がいいのか?それとも悪いのか?
・業界の他社はどの程度の売上なのか?
日経新聞やブルームバーグなどのオンラインサイトをチェックしたり、あるいはライバル企業の調査もかねて、帝国データバンクなどの調査会社の資料を取り寄せ、業界動向の調査を行うのもおもしろいかもしれません。
2. 資格を勉強して体系的に会計を学ぶ
3年目ともなると、経費チェック、帳簿入力や売掛金の消込作業などの日次の業務だけでなく、月次・年次の決算業務など一通りを一度は経験している人が多いのではないでしょうか?
一通り経験した後に、改めて体系的に会計について学ぶと、さらに成長することができます。
実務をある程度経験した上での会計の勉強は単なる勉強に留まらず、自分が実際に経験した「あの場面でこの知識は使えるな。」と思うことができ、実務に活かすことができます。
ただ、やみくもに会計の勉強をしても無駄に時間をとられて、結局何も身につかないという事態に陥りかねません。
そこで、会計の基礎的知識が体系的に整理されている、会計資格の勉強がおすすめとなります。
以下で経理におすすめの会計資格を、2つ紹介させていただきます。
1) 簿記検定
簿記検定は既に取得されている人も多いかもしれませんが、再度3年目のタイミングで勉強してみると新たな発見があります。
勉強する際は、体系的に整理された予備校のテキスト・講義を使用するのが効果的です。
減価償却や商品の評価方法など、自社が採用している方法の知識は当然にあるかと思うのですが、採用していない方法についてもこの機会にしっかりと頭に入れて、比較検討してみてください。
また、実務への応用を考えた場合には、簿記は2級までの取得がおすすめです。
1級は個々の論点についてかなり詳しく学べますが、自社の実務に関係のない論点についても深く学ぶこととなり、費用対効果が悪くなってしまうためです。
経理3年目の方であれば、3級と2級のダブル受験でも問題ないかと思います。
併願の詳細につきましては、「簿記の併願(同時受験)はやめた方がいい??」をご参照ください。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
2) ビジネス会計検定
経理3年目であれば会計数値の作成がメインかと思いますが、さらに年次を重ねていった際には会計数値を「分析」して上長や経営層に報告する必要がでてきます。
安全性や収益性、一株当たり情報やCVP分析など、財務諸表の基礎的な分析手法を学ぶ上でおすすめなのが「ビジネス会計検定」です。
近年簿記検定は難易度が上がっておりますが、簿記検定と比べるとビジネス会計検定の方が受験しやすい難易度となっておりますので、この点でもおすすめとなります。
(ビジネス会計検定の難易度につきましては「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」をご参照ください。)
また、ビジネス会計検定につましても経理3年目の実務経験者であれば3級と2級の同時受験で問題ございません。
ビジネス会計検定を学ぶなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。
「頻出論点」×「短時間」で最短合格を目指します。
大手予備校の半額程度で受講可能ですので、費用対効果も高いです。
まずはガイダンス動画をチェックしてみてください!
3. 転職サイトに登録してみる
経理3年目ともなると、一度は転職を考えたことがあるのではないでしょうか?
実際に転職するかどうかは別として、経理として成長するために転職サイトや転職エージェントに登録しておくのもおすすめです。
転職市場での自身の客観的な価値を知ることで、自分に足りないものが現実的に見えてきます。
現在の自分のキャリアであれば具体的に、
・年収はどの程度になるのか?
・役職はつくのか?
などの情報を得ることができます。
また、転職活動を通じて自身の経理としてのキャリアプランについても、真剣に考えることができます。
転職を考えていない人でも非常におすすめの方法ですので、一度試してみてください。
転職エージェントを利用するなら、管理部門特化型の中規模エージェントである、以下の3つがおすすめです。
・MS-Japan
・Hupro(ヒュープロ)
・WARCエージェント
ただし、地方求人がないため、地方での転職の場合は大手エージェントのdoda(デューダ)がおすすめです。
詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。
4. 実務的な本を読む
インプットを増やすために、本を読むのも1つの方法です。
実務を経験する前ではピンとこなかった内容でも、実務を経験した後だとしっくりくるといったことはよくあります。
そして、自身の成長を念頭に置いた場合、より実務的な本を読むことがポイントとなります。
例えば、財務3表の仕組みや決算書の読み方などについて、市販の書籍で実用的なものが多く出版されております。
具体的には、「簿記におすすめの本は?レビューから3選を徹底解説」で紹介している「ストーリーでわかる財務3表超入門」や「決算書はここだけ読め!」などがおすすめです。
この他にも実用的な書籍は多くありますので、書店で実際に中身を確認して、ためになりそうな本を読んでみてください。
5. ロールモデルを見つける
3年目で不安に思うことの1つとして、自分は経理としてこのままどこに向かっていくのだろう?といった漠然とした不安があります。
将来に対する不安は、成長の阻害要因になります。
そこでおすすめしたいのが、ロールモデルとなる人を一人見つけてください。
同じチーム内の上司や、他社の人でもかまいません。
あるいはネットやSNS上でもいいので、少しでも憧れをいだける人を探してみてください。
自分の進む先にいる人で憧れを持てる人が一人でもいると「経理として頑張っていこう!」という気持ちになれます。
また、その人のマネをしてください。
マネをしていく中で自分なりのオリジナリティがでてきて、それがあなたの将来のキャリア形成につながっていきます。
6. 愚痴を言わない
3年目ともなると、会社や上司に対する不満の1つや2つ、誰しもが持ってしまいます。
ただ、愚痴は自分の中だけにとどめておき、決して他者に言わないようにしてください。
類は友を呼ぶと言いますが、愚痴を言う人の周りには同じく愚痴を言う人が集まります。
互いの傷をなめ合うのは、その場では居心地が良いかもしれませんが、成長の足枷になります。
愚痴を言うために飲みに行くのであれば、その時間を使って家族サービスや資格の勉強で自己研鑽を積むなど、有意義な時間の使い方をしてください。
7. 体を鍛える
社会人になる、となかなか運動する機会がない人も多いかと思います。
そこで、3年目でスランプに陥った時は、ジムなどに通って運動をしてみるのも1つの方法です。
気分転換になるというのも1つの理由ですが、筋肉を鍛えることは実は仕事にいくつもの好影響を与えます。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
・血流が改善されて頭の回転が速くなる。
・体を動かすことで交感神経が優位になりポジティブになる。
・体を鍛えることで自信がつき他者に気を配れる余裕ができる。
体を鍛える際のポイントとしては、継続できる内容にすることです。
初めから頑張りすぎて三日坊主で終わってしまったら意味がないので、まずは簡単な内容だけれど毎日続けられそうな運動から始めてください。
8. マネジメントを学ぶ
3年目であれば、後輩ができて後輩に指導するという、新たな業務が加わります。
この後輩指導がうまくいかずに、伸び悩む人も多いです。
そこで、チームマネジメントについて一度勉強してみるのも良いかと思います。
後輩一人だけではまだチームではないと思われるかもしれませんが、チームマネジメントの最小単位は2人であり、その本質は2人だろうが10人だろうが変わりません。
また、今は後輩一人でも、さらに年次を重ねていけば5人・10人とどんどん増えていくので、先を見据えた良い投資になります。
書籍やオンライン講座など、その気になれば勉強する手段はたくさんありますので、この機会にマネジメントについて勉強してみてください。
9. 終わりに
いかがでしたでしょうか?
多くの方が経験する3年目の壁。
人によって対応方法は異なりますが、今回紹介した方法のうち、どれか1つでいいので試してみてください。
対処方法をしっかり把握して、飛躍の3年目にしていきましょう。
10. まとめ
◆簿記やビジネス会計検定などで知識を深める。
◆転職活動をして自分の市場価値を知る。
◆実用的な書籍を読む。
◆ロールモデルとなる人を見つける。
◆愚痴を言う習慣をやめる。
◆体を鍛える。
◆マネジメントについて勉強する。