簿記に年齢は関係ある?2級は35歳までに取得した方がいい?

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簿記検定を受験しようと考えている人は、次のような悩みを持つケースがあります。

「30代や40代が簿記検定を取得しても、転職に活かせないのではないか?」

「年齢を重ねるほど勉強の効率が悪くなり、不合格になってしまわないかな?」

この記事では、30代や40代以降に簿記を取得して、転職などに活かせるのかを解説します。

【監修者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・ビジネス会計検定講座講師
・前職で簿記講座の運営責任者を担当

 

 

1. 簿記検定の「受験」に年齢は関係ない

簿記検定の受験に年齢は関係ない

簿記検定の受験者に関する年齢は、現在は公開されていません。

ここでは、簿記検定に関する年齢について解説します。

 

1) 受験者層のデータは非公表

日商簿記検定を主催する日本商工会議所は、受験者の細かなデータを公表していないため、年齢情報も非公開となっています。

しかし、2007年までは受験者の年齢割合が公開されていました。

2007年のデータを参考にすると、もっとも多い受験者層は21~30歳で、次いで31~40歳、その次に0〜20歳の順になっています。

簿記検定はビジネスマンに求められる資格のため、やはり働き盛りの21~40歳で受験者が多いです。

若い人だけでなく、50代以上の合格者もいるため、簿記は何歳になっても取得できる資格だといえるでしょう。

 

2) 受験資格に年齢制限はない

簿記検定の受験資格には、年齢制限がないため、年齢を問わず誰でも受験が可能です。

実際に過去には、簿記3級に8歳の小学生や、簿記1級に61歳の方が合格した例もあります。

また、年齢だけでなく、学歴や性別・国籍による制限もありません。

思い立ったら誰でも受験ができる、懐の広い検定だといえるでしょう。

簿記検定の上位資格ともいえる税理士試験には、さまざまな受験資格が設定されています。

例えば、学識による受験資格には、「大学や短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に関する科目を1科目以上履修した者」があります。

高校卒業の方は受験資格がないため、受験へのハードルが高いといえます。

ただし、高校卒業の方でも、日商簿記検定1級に合格していれば、税理士試験の受験資格を得られます。

税理士の受験資格が欲しい方は、まずは誰でも受けられる簿記検定から挑戦するといいでしょう。

★簿財の受験資格は撤廃!
2023年度の税理士試験より、簿記論・財務諸表論の受験資格が撤廃され、誰でも受験できるようになりました。

簿記論・財務諸表論は、税理士試験で多くの受験生がまず受験を考える科目であるため、非常に受験しやすくなったといえます。

 

3) ただし若い方が有利なのも事実

簿記検定は、老若男女問わず誰でも受験できますが、若い方が多少有利です。

年齢が若い方が理解力や集中力が衰えていないため、簿記の学習がスムーズに進むためです。

簿記は単なる暗記ではなく、発想力や瞬発力も求められます。

柔軟に物事を考えられる若い方は、簿記の学習に向いています。

また、簿記検定を取得後の活用方法も、若い方が選択肢は広がります。

例えば、簿記検定を取得して転職したいのであれば、若い方が有利です。

20代であれば、未経験でも経理や会計事務所に転職できる可能性は高いです。

しかし、年齢を重ねるにつれて、企業は経験者を求めるようになります。

簿記検定を転職に活用するのであれば、なるべく若いうちに取得するのがおすすめです。

★能力のピークは実はまだ?
MITのハーツホーン氏の研究によると、
・集中力は43歳前後
・基礎的な計算能力は50歳
・新しい情報を理解する能力は50歳前後
にピークを迎えるとのこと。

案外まだ伸びる余地はあるので、年齢をあまり気にしないことが大切です。

 

2. 転職なら35歳が一つの目安?

転職を考えたら35歳が一つの目安?

簿記検定を取得後に転職するなら、35歳が一つの目安になります。

ここでは、年齢と転職の関係を解説します。

 

1) 35歳までなら経理に転職できる?

簿記2級を取得すれば、35歳でも経理に転職できる可能性があります。

簿記2級の知識を持っていると、経理業務の多くを理解でき、教育コストを削減できるためです。

35歳までであれば、問題なく経理へ転職できるでしょう。

簿記は取得している級により、以下のように転職しやすい企業規模が異なります。

・簿記3級:零細、小規模の企業
・簿記2級:中小企業
・簿記1級:大企業

転職を目指している企業があれば、その企業規模に合った級を取得するのがおすすめです。

しかし、35歳を超えてくると、経験者を求められるため、資格だけでの就職は厳しいです。

「年齢問わず」と求人票に記載している企業もありますが、簿記資格を持っている応募者が複数いたら、より若い人を採用してしまうでしょう。

 

2) 35歳を超えたら会計事務所?

35歳を超えていても、会計事務所であれば経理よりも転職しやすい傾向にあります。

会計事務所は人の入れ替わりが多く、常に求人募集をしているためです。

実際に、会計事務所には、40歳を超えて未経験で入社する人も多くいます。

ただし、会計事務所で働くと、一般企業の経理より仕事が厳しい一面もあります。

会計事務所は12月から3月までの間はとても忙しく、毎日仕事に追われた生活をすることになります。

12月から年末調整が始まり、1~3月は確定申告と顧問先企業の決算が重なるためです。

激務に耐えられず、人員の入れ替わりが激しい業界ですが、会計のスキルは間違いなく上がります。

会計事務所で実務経験を積めば、年齢を重ねた人でも、経理への転職の道が開かれるでしょう。

年齢的に経理への転職は難しいと感じたら、まずは会計事務所で経験を積んでから、経理を目指してください。

 

3) あくまで一つの目安

転職をするには若い方が有利ですが、年齢はあくまで目安の一つです。

転職活動は年齢だけで決まるわけではなく、あなたの能力や人柄・スキルも重要な要素です。

社会人として長い時間を過ごした人は、若い人にはないスキルがあります。

例えば、営業から経理に転職したいのであれば、コミュニケーション能力を活かせるでしょう。

経理はパソコンに向かって仕事をしている時間も長いですが、社外の人とのやり取りも多いです。

金融機関の担当者と打ち合わせをする際に、営業としての折衝能力を活かせば、他の経理社員にはない強みになります。

年齢を理由に諦めるのではなく、これまでの経験を経理でどのように活かせるかを、積極的にアピールしてください。

★簿記のおすすめ通信講座
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。

・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング

詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。

 

3. 他資格も目指すなら年齢は関係ある?

他資格も目指すなら年齢は関係ある?

簿記以外の資格も、年齢と大きく関係します。

簿記検定を取得した後に、他の資格も目指すのであれば、年齢を意識して学習をすすめましょう。

 

1) 公認会計士試験

公認会計士は、会計関係の資格の最高峰とされていて、司法試験に並ぶ難易度があります。

公認会計士の試験に、年齢制限は設けられていないため、基本的に誰でも受験可能です。

公認会計士に合格した人の平均年齢は、25歳前後であり、2020年度の合格者の最低年齢は18歳、最高齢は61歳でした。

合格後は監査法人に就職する人がほとんどですが、40代以上の場合は苦戦する可能性があります。

しかし、会計のプロフェッショナルである公認会計士は、35歳を過ぎていても、さまざまな業界で活躍できます。

一般企業の経理や会計事務所、コンサル会社などを選択肢に入れて、就職活動を進めるとよいでしょう。

(参考「公認会計士試験は何歳までに合格すればいい?30歳だと遅すぎる?」)

 

2) 税理士試験

税理士試験は簿記の知識が必須のため、簿記2級や1級を取得後に、ステップアップとして受験する人が多いです。

税理士試験には年齢制限はありませんが、税務科目を受験するには大学などで社会学系の単位を取得する・簿記1級を取得するなどの条件があるため、実質的には18歳以上でないと受験は難しいです。(簿記論・財務諸表論は誰でも受験できます。)

税理士試験の合格者の平均年齢は、30代前半と推測されています。

税理士の就職先は、以下のような業種があります。

・会計事務所(税理士事務所)
・一般企業
・金融機関
・コンサルティングファーム

税理士に合格した人は、上記の中でも会計事務所に就職する人が多いです。

税理士資格を保有していれば40代以降であっても転職しやすく、資格手当も付くため、ある程度の年収を見込めます。

会計事務所で経験を積んだ後は、独立して自分で事務所を開く人も多く、さまざまな分野で活躍できるでしょう。

 

3) 中小企業診断士試験

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する唯一の国家資格です。

試験科目の中に簿記2級レベルの「財務・会計」があり、簿記検定からのステップアップとして人気の資格です。

その他の試験科目は、企業経営理論や運営管理・中小企業政策など、学生にはとっつきにくい内容が多く、合格者の平均年齢は30代後半~40代前半と高めになっています。

中小企業診断士を取得すると、業界を問わず中小企業の経営に関する知識を得られるため、一般企業の幹部やコンサルティング会社への転職の道が開かれます。

経営幹部としての転職であれば、年齢層が高い方が有利になる傾向があるため、40代以降でも就職先は見つかるでしょう。

若い人であれば、金融機関や一般企業・公的機関など、さまざまな業界を狙えます。

(参考「中小企業診断士と年齢の関係とは?年齢別のメリット・デメリット」)

 

4. 高年齢の人の簿記学習のコツ

高年齢の人が簿記を学習するコツ

簿記の学習は、取得後の自分をイメージして、復習を心掛けることが大切です。

ここでは、高年齢の人が簿記を学習するコツを紹介します。

 

1) 取得後の自分をイメージする

簿記の学習を継続するには、取得後の自分をイメージすることが大切です。

明確なイメージがあれば、モチベーションを維持して学習を続けられるためです。

例えば、簿記を取得して希望通りの条件で転職できるイメージや、経理で活躍しているあなたを想像してください。

イメージが具体的になっているほど、学習意欲が湧いてきて、合格に近づけます。

 

2) 復習を心掛ける

簿記の学習をする際は、復習を心がけましょう。

繰り返し学習することにより、記憶が定着して、忘れづらくなるためです。

ただし、無暗に繰り返し学習すればいいわけではありません。

人間の脳は、1か月経つと覚えたことをほとんど忘れるといわれているため、早めの復習が大切です。

1回目の復習は翌日、2回目の復習は1週間後、3回目はその2週間後にすると、効果的に脳に定着させられます。

復習を効果的におこない、簿記の学習をスムーズに進めてください。

 

3) 十分な睡眠時間を確保する

簿記の学習を効率的におこなうには、十分な睡眠時間が重要です。

人間は睡眠中に記憶を整理するため、十分な睡眠をとることで脳の容量が空き、新しい論点を覚えやすくなります。

仕事が忙しく、簿記の学習を進めるために睡眠時間を削る人がいますが、逆効果になる可能性があります。

また、疲労を回復するにも、睡眠は効果的です。

年齢を重ねると疲れやすくなり、集中力が続かず学習効率が低下します。

十分な睡眠時間を確保していれば、疲労が回復して、フレッシュな気持ちで学習を進められるでしょう。

 

4) 隙間時間を活用する

30代・40代になると職場で主力として活躍しているため、勉強時間を確保できないことがあります。

仕事が忙しい人は、隙間時間を見つけて勉強するのがおすすめです。

隙間時間は1日平均で1時間あるとされていて、有効に活用すれば大きな効果を出せるでしょう。

隙間時間とは、以下のような時間です。

・起床後
・通勤中の車内
・入浴中
・トイレの中
・歯磨き中
・就寝前

短い時間で効率よく学習するには、スマートフォンアプリや単語帳などがおすすめです。(参考「簿記2級のアプリおすすめ5選」)

単語帳で勘定科目などを暗記すれば、短い時間でも効果を上げられます。

また、前日に学習したことを復習する時間に使うのもおすすめです。

 

5. 終わりに

いかがでしたでしょうか?

簿記は何歳になっても取得する価値のある資格ですが、転職を目指すのであれば早めの受験がおすすめです。

何のために簿記検定を受けるのか目的を定めて、今後の人生に活かしてください。

 

6. まとめ

Point! ◆21歳~40歳がメインの受験者層。
◆転職に活用するなら、35歳が一つの目安。
◆他資格を目指す場合も、年齢を意識して目標を立てるべき。

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