中小企業診断士と公認会計士の4つの共通点・相違点!

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「中小企業診断士と公認会計士、どっちの資格を取ればいいのかな?」

「中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスって、意味あるのかな?」

このような疑問を持たれている皆様は、そもそも中小企業診断士と公認会計士の共通点・相違点について、理解されていますでしょうか?

共通点・相違点を理解せずして、正しい判断は下せません。

そこで今回は、中小企業診断士と公認会計士の共通点・相違点について、それぞれ4つずつ解説していきます。

また、後半では、ダブルライセンスのメリット・デメリットについても解説しておりますので、ぜひご一読ください。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・中小企業診断士講座の元運営責任者
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 診断士と会計士の4つの共通点

診断士と会計士の4つの共通点

1) 試験免除制度

中小企業診断士と公認会計士の1つ目の共通点としては、「試験免除制度」が挙げられます。

中小企業診断士や公認会計士といった難関資格試験においては、試験の免除制度が用意されており、受験者の負担を少しでも軽減する措置がとられています。

具体的には、以下のような試験免除制度が用意されております。

【中小企業診断士試験】
・1次試験で60点以上を得点した科目は科目合格となり、翌2年間は当該科目の試験免除。
【公認会計士試験】
・短答式試験に合格した場合、翌2年間は短答式試験免除。
・論文式試験の特定の科目において、審査会が相当と認めた得点比率以上を得点した場合、翌2年間は当該科目の試験免除。

(保有している資格などにより、上記以外の免除を受けられる場合もあります。)

以上より、「試験免除制度」は、中小企業診断士と公認会計士の共通点と言えます。

★試験免除は必ずしも合格にプラスではない?
試験免除制度は、場合によってはマイナスに働くこともあります。
中小企業診断士の1次試験や、公認会計士試験の論文式試験の場合、前述の通り科目免除制度があります。

しかし、科目免除になるほど高得点が取れる科目というのは、自分の得点源であり、次年度に科目免除を利用した場合は、その得点源なしで勝負する必要があります。

また、年度によって科目ごとの試験難易度は異なるため、できるだけ多くの科目を受験した方が、リスクを分散することができます。

免除制度はプラスにも、マイナスにもなるといった点は、頭に入れておいてください。

 

2) 国家資格

中小企業診断士と公認会計士の2つ目の共通点としては、「国家資格」であることが挙げられます。

資格は認定主体により、以下の3つに分類されます。

・国家資格:「国」が認定した資格。
・公的資格:「各省庁」が認定した資格。
・民間資格:民間企業・団体が独自に認定した資格。

そして、中小企業診断士と公認会計士は、共に国家資格となります。

一般的に、「国家資格>公的資格>民間資格」の順で、社会的な信用力が高いと言われております。

そのため、中小企業診断士は経営コンサルの専門家として、公認会計士は会計の専門家として、社会的に高い評価を得ている資格と言えます。

以上より、「国家資格」であることは、中小企業診断士と公認会計士の共通点となります。

 

3) 企業の診断を行う

中小企業診断士と公認会計士の3つ目の共通点としては、「企業の診断を行う」ことが挙げられます。

中小企業診断士は、経営・財務会計・法務・マーケティング・ITなどの知識を活かしながら、会社の経営資源(人・モノ・金など)が適切に運用されているか?といった、企業の経営状態を診断して、改善提案を行います。

一方で公認会計士は、企業が自社の経営成績や財産状況を開示した財務諸表を監査することで、企業自身が自己診断した書類に、大きな誤りがないか保証を与えるのが仕事となります。

(経営成績を表している書類である「損益計算書」と、財産状況を表している「貸借対照表」の詳細については、「損益計算書と貸借対照表の違いは??」も合わせてご確認ください。)

つまり、中小企業診断士も公認会計士も、企業の状態を診断する業務が含まれている点で、共通していると言えます。

以上より、「企業の診断を行う」ことは、中小企業診断士と公認会計士の共通点となります。

 

4) 財務会計を扱う

中小企業診断士と公認会計士の4つ目の共通点としては、「財務会計を扱う」ことが挙げられます。

中小企業診断士と公認会計士は、共に「財務会計」の分野を専門領域として扱います。

例えば、中小企業診断士の1次試験と公認会計士の短答式試験では、以下の科目が試験範囲となっており、共に財務会計に関する内容が含まれております。

【中小企業診断士:1次試験】
A. 経済学・経済政策
B. 財務・会計
C. 企業経営理論
D. 運営管理
E. 経営法務
F. 経営情報システム
G. 中小企業経営・政策
【公認会計士:短答式試験】
・財務会計論(簿記、財務諸表論)
・管理会計論
・監査論
・企業法

中小企業診断士は経営に関する多岐にわたる分野の1つとして財務会計を扱うのに対して、公認会計士は財務会計に特化したスペシャリストと言い換えることもできますが、いずれにしろ、財務会計の分野を扱うことに違いはありません。

以上より、「財務会計を扱う」ことは、中小企業診断士と公認会計士の共通点と言えます。

★各資格のメリット・デメリット
中小企業診断士・公認会計士それぞれに、メリット・デメリットがあります。
各資格のメリット・デメリットについては、以下も合わせてご確認ください。

・「中小企業診断士のメリット・デメリット4選!
・「公認会計士のメリットとは?監査法人・ベンチャー経験の会計士が語る

 

2. 診断士と会計士の4つの相違点

診断士と会計士の4つの相違点

1) 試験の難易度

中小企業診断士と公認会計士の1つ目の相違点としては、「試験の難易度」が挙げられます。

中小企業診断士試験と公認会計士試験の合格率は、以下の通りとなります。

 

・中小企業診断士試験

【 1次試験 】

試験年度 合格率
2016 18%
2017 22%
2018 22%
2019 30%
2020 43%
2021 36%
2022 29%
2023 30%

*2020年試験は新型コロナウイルスの影響で欠席者が多く、分母にあたる受験者が少なかったため、合格率が高くなっております。

 

【 2次試験 】

試験年度 合格率
2016 19%
2017 19%
2018 19%
2019 18%
2020 18%
2021 18%
2022 19%
2023 19%

 

・公認会計士試験

【 短答式試験 】

試験年度 合格率
2016 22%
2017 23%
2018 26%
2019 23%
2020 22%
2021 22%
2022 16%
2023 15%

*合格率=合格者数÷(受験者数-欠席者数)
*例:2023年15%=2,103人÷(18,228人-4,569人)

 

【 論文式試験 】

試験年度 合格率
2016 36%
2017 38%
2018 36%
2019 35%
2020 36%
2021 34%
2022 36%
2023 37%

 

【 短答+論文 】

試験年度 合格率
2016 11%
2017 11%
2018 11%
2019 11%
2020 10%
2021 10%
2022 8%
2023 8%

 

中小企業診断士試験の合格率は、おおよそですが「6%(=1次30%×2次試験20%)」となります。

一方で、公認会計士試験は短答と論文を合わせた合格率が公開されており、おおよそ「10%」となります。

ここで、単純な合格率だけを見ると、中小企業診断士の方が難しく思えます。

しかし、実際の難易度は、一般的には公認会計士の方が高いと考えられます。

その主な理由としては、「① 受験者層の違い」と「② 勉強時間の違い」の2点が考えられます。

 

① 受験者層の違い

公認会計士試験は、一般的に最難関資格に位置付けられており、ある程度勉強に自信のある人が受験する傾向にあります。

また、例えば2023年の合格者の職能別データによると、受験専念層が80%以上いると考えられます。

 

2023年公認会計士試験職業別合格者調

 

そのため、公認会計士試験の受験者層は中小企業診断士試験と比べると、レベルが高いと考えられ、試験の難易度も高いことが想定されます。

 

② 勉強時間

中小企業診断士試験に合格するためには、最低でも1,000時間程度の勉強時間が必要と言われております。

これに対して、公認会計士試験に合格するためには、最低でも3,000時間程度の勉強時間が必要と言われております。

(筆者が公認会計士試験に費やした勉強時間については、「公認会計士試験の勉強時間は3,000時間?私は3倍必要でした」をご参照ください。)

そのため、より多くの勉強時間を必要とする、公認会計士試験の方が難易度が高いと考えられます。

 

以上より、「試験の難易度」は、中小企業診断士と公認会計士の相違点と言えます。

 

2) 独占業務

中小企業診断士と公認会計士の2つ目の相違点としては、「独占業務」が挙げられます。

両資格とも国家資格ですが、中小企業診断士には独占業務がない一方で、公認会計士には「監査業務」という独占業務があります。

(監査業務については、「公認会計士とは?わかりやすく簡単に解説します!」をご確認ください。)

独占業務がある資格の方が、一般的にはメリットが大きいと考えられています。

一方で、独占業務を変に意識するあまり、自ら業務の範囲を限定してしまう士業の方もおり、その意味で、独占業務のない中小企業診断士の方が、柔軟なキャリア形成を構築できるとも言えます。

さらに、中小企業診断士は独占業務がない分、横のつながりが強く、個の力というよりは集団の力で業務に取り組むことができるのも、強みとなります。

以上より、「独占業務」は、中小企業診断士と公認会計士の相違点と言えます。

 

3) 年収

中小企業診断士と公認会計士の3つ目の相違点としては、「年収」が挙げられます。

公認会計士の場合は、独占業務である監査業務を行うために、試験合格後に監査法人に勤めることとなります。

監査法人でのおおよその給料体系は、以下の通りとなります。

 

年次 役職 年収
1~4年 スタッフ 600万円
4~8年 シニアスタッフ 800万円
8~12年 マネージャー 1,100万円
12~20年 シニアマネージャー 1,300万円
20年~ パートナー 1,500万円~

 

マネージャーまでは、余程のミスをしない限り昇格できますので、公認会計士であれば年収1,000万円を超えることは、比較的容易と言えます。

一方で、中小企業診断士の場合は、前述の通り独占業務があるわけではなく、中小企業診断士だからいくらの年収になれる、といった基準はありません。

一般的に500万~1,000万円と言われることもありますが、現職の給料の延長線上であるとも考えられます。

そのため、公認会計士の方が、資格取得により安定的な年収を確保することが可能と言えます。

一方で、公認会計士であろうが、中小企業診断士であろうが、資格の活かし方は多様であり、中小企業やベンチャー企業の役員になったり、独立開業したりすることで、数千万円の年収を稼ぐことも、十分可能となります。

以上より、「年収」は、中小企業診断士と公認会計士の相違点と言えます。

 

4) 業務内容

中小企業診断士と公認会計士の4つ目の相違点としては、「業務内容」が挙げられます。

中小企業診断士は経営コンサルタントとして、中小企業の経営者の様々な相談に対応することが、業務内容となります。

これに対して公認会計士は、企業が作成した財務諸表を監査して、内容に重要な誤りがないことを保証する業務、あるいは会計・税務のコンサルティングが主な業務内容となります。

前述の通り、財務会計分野のコンサルティングについては、両資格で共通する部分もありますが、基本的な業務内容は異なっております。

以上より、「業務内容」は、中小企業診断士と公認会計士の相違点と言えます。

★おすすめ通信講座
中小企業診断士講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座のコストパフォーマンスを比較して、おすすめ2つのメリット・デメリットについて解説してみました。

・TAC
・スタディング
・診断士ゼミナール
・クレアール
・LEC
・アガルート
・フォーサイト

詳細は「中小企業診断士の通信講座おすすめ2選!元講座運営者が比較します」をご確認ください。

 

3. ダブルライセンスはあり?なし?

ダブルライセンスはあり?なし?

それでは、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスを目指すのは、意味があるのでしょうか?

ここでは、ダブルライセンスのメリット・デメリットについて、順に解説していきます。

 

1) メリット

① ゼネラリスト兼スペシャリストになれる

1つ目のダブルライセンスのメリットは、「ゼネラリスト兼スペシャリストになれる」ことです。

中小企業診断士は、経営コンサルとして経営に関する全般的な知識を有するゼネラリストと言えます。

これに対して公認会計士は、財務会計に特化したスペシャリストとなります。

そのため、中小企業診断士と公認会計士のダブルライセンスを取得することで、中小企業の経営者の全般的な相談にのりながらも、財務会計の分野についてはより専門的な改善策を提案できる、ゼネラリスト兼スペシャリストとなることができます。

独立開業する上でも、ゼネラリストとして顧客を広く囲い込める一方で、スペシャリストとしてより深い相談に応じることができ、広く深く業務を提供することが可能となります。

以上より、「ゼネラリスト兼スペシャリストになれる」ことは、ダブルライセンスのメリットと言えます。

 

② 試験免除を利用できる

2つ目のダブルライセンスのメリットは、「試験免除を利用できる」ことです。

公認会計士試験合格者は、中小企業診断士の1次試験の財務会計を免除することができます。

財務会計は1次試験の中でも苦戦しやすい科目であり、また、中小企業診断士試験は試験科目が多いため、試験免除を利用することで他の科目に集中できることは、大きなアドバンテージと言えます。

もっとも、試験免除は必ずしもプラスに働くわけではなく、特に公認会計士にとって財務会計は得点源となるため、試験免除を選択するかどうかは注意が必要です。

以上より、「試験免除を利用できる」ことは、ダブルライセンスのメリットと言えます。

 

③ つながりが増える

3つ目のダブルライセンスのメリットは、「つながりが増える」ことです。

中小企業診断士を持っているからこそ、あるいは反対に、公認会計士を持っているからこそ関われるつながりがあります。

例えば、以下のようなつながりが考えられます。

・各士業ごとに開催される研修会や集まりなどで知り合う同業者。
・士業交流会で知り合う他士業の人達。(自分が持っている資格により、寄ってくる相手も異なる。)
・業務の提供を通じて関わる顧客。(例えば同じ経営者でも、中小企業診断士に依頼する経営者と公認会計士に依頼する経営者は属性が異なる。)

ダブルライセンスによりつながりの幅を広げることで、人脈という大きな財産を手に入れることができます。

以上より、「士業のつながりが増える」ことは、ダブルライセンスのメリットと言えます。

 

2) デメリット

① 膨大な時間がかかる

1つ目のダブルライセンスのデメリットは、「膨大な時間がかかる」ことです。

前述の通り、中小企業診断士試験合格までは最低でも1,000時間程度、公認会計士試験合格までは最低でも3,000時間程度かかることが予想され、合計すると4,000時間程度の勉強時間が必要となります。

しかも、これだけの勉強時間をかけたからといって、必ずしも合格できるわけではありません。

そのため、費用対効果を考えた場合、必ずしもダブルライセンスはメリットの方が大きいとは言えません。

もし将来的にやりたいことが決まっているのであれば、その目的に直結する資格だけを目指した方が、効率的なキャリア形成を行うことができます。

以上より、「膨大な時間がかかる」ことは、ダブルライセンスのデメリットと言えます。

 

② 公認会計士は登録までの道のりが長い

2つ目のダブルライセンスのデメリットは、「公認会計士は登録までの道のりが長い」ことです。

公認会計士は論文式試験に合格したら、すぐに登録できるわけではありません。

人により登録までの年数は異なりますが、多くの人は公認会計士登録までに、以下の条件を満たす必要があります。

・2年の実務経験。
・実務補修所での単位取得と最終試験(修了考査)合格。(通常3年程度)

そのため、中小企業診断士を既に取得している人が、公認会計士取得を目指す場合は、本当に登録までの長い時間をかけてまで、公認会計士を取得する必要があるのか、よく考える必要があります。

以上より、「公認会計士は登録までの道のりが長い」ことは、ダブルライセンスのデメリットと言えます。

 

4. 終わりに

中小企業診断士と公認会計士の共通点・相違点や、ダブルライセンスのメリット・デメリットについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

どちらを取得するか迷われている方は、冷静に両資格の違いを分析して、悔いのない選択をしてください。

 

5. まとめ

Point! ◆共通点
・試験免除制度がある。
・国家資格。
・企業を診断する。
・財務会計を業務範囲とする。
◆相違点
・難易度。
・独占業務の有無。
・年収。
・業務内容。

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