「中小企業の経理と大企業の経理は、どちらがいいのだろうか?」
経理に興味がある人であれば、一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
あるいは、大企業の経理にお勤めの方が、「中小企業の経理ってどうなんだろうか?」と思うこともあるかもしれません。
そこで今回は、中小企業の経理をおすすめする理由について解説していきます。
1. 経理業務を一通り経験できる
1つ目の中小企業の経理をおすすめする理由としては、「経理業務を一通り経験できる」ことが挙げられます。
経理業務と一口に言っても、その中には多様な業務内容や業務難易度が含まれます。
その一部を紹介すると、例えば以下のようなものがあります。
・経費精算
・売掛金、買掛金
・支払業務
・固定資産管理
・人件費
・決算業務
・連結決算業務
・税務申告
大企業であれば、年次が低いうちは【レベル1】の業務のうち1つを割り当てられ、年次が上がっていくと同じレベルの別の業務を割り当てられます。
中堅になっていくと徐々に【レベル2】の業務を経験して、ベテランになってくると【レベル3】の業務を割り当てられるようになります。
このように大企業の経理では、順番に長い年月をかけてキャリアを積んでいくこととなります。
一方で中小企業の場合は、そんな悠長なことは言っておられません。
企業規模にもよりますが、場合によっては一人で全ての業務を回す必要があります。
こう言うと「中小企業の経理って大変そうだな。。」と思うかもしれませんが、逆に言えばかなり早い時期から経理業務を一通り経験できることを意味しております。
「経理の自動化後も必要になる経理スキルとは?」でもお伝えしている通り、今後経理業務の一部は自動化されることとなります。
そのため、自動化される個々の業務を完璧にこなせる人よりは、経理業務の全体像を把握しており、自動化できる場所は自動化しながら経理業務を進めていく人材が、今後は求められてきます。
以上より、「経理業務を一通り経験できる」ことは、中小企業の経理をおすすめする理由と言えます。
2. 経理業務以外も経験できる
2つ目の中小企業の経理をおすすめする理由としては、「経理業務以外も経験できる」ことが挙げられます。
…どういうこと??と思われたかもしれませんが、文字通り中小企業の経理は経理以外の職種を経験するチャンスがあるということです。
例えば、経理・人事・法務・総務などのバックオフィスをまとめて「管理部」としている会社も多く、その場合は経理だけでなく人事や法務・総務などについても経験することができます。
もちろん各専門分野について勉強する必要がありますが、どの分野も経理と密接な関係にあるので学んでおいて損はありません。
例えば、法務を勉強することで契約書チェックの際に押さえるべきポイントがわかり、今までは言われた通りにただ受領していた取引先からの支払いも、契約書に基づいて適切な金額・適切なタイミングで支払われているかを判断することができます。
あるいは、人事について勉強することで、新しい経理部員を採用したいと思った際に取るべきプロセス、面接の際のポイント、人ひとりを雇う際にかかる費用などについて学ぶことができます。
以上より、「経理業務以外も経験できる」ことは、中小企業の経理をおすすめする理由と言えます。
社員20名程度のベンチャー企業に勤めていた際の話ですが、その会社では経理の人が営業までやっていました。
かなり珍しいケースかもしれませんが、売上をあげるために会社全体が一丸となって臨む必要があり、人数が足りなければ経理の人まで営業に駆り出されていました。
かく言う私も営業・マーケティング・人事・経営・経理など、一人で何役もこなしていました。
人数が少ないということは、多様な経験ができるチャンスですので、中小企業の方が価値ある経験を積めるかもしれません。
3. 出世しやすい
3つ目の中小企業の経理をおすすめする理由としては、「出世しやすい」ことが挙げられます。
大企業で出世しようと考えた場合、まず同期と競争する必要があり、仮にその競争に勝ったとしても、上のポストが空いていないと出世することはできません。
場合によっては後輩も競争相手になるため、かなり熾烈な戦いになることが予想されます。
一方で中小企業の場合は、そもそも競う相手がほとんどいません。
しっかりと実力をつけていけば、早い段階で経理部長などの役職に就くこともめずらしくありません。
また、前述の通り中小企業の場合は早めに経理としての実力がつくため、実力を付けた後で転職して、転職先で重要なポストに就くといったケースもあります。
以上より、「出世しやすい」ことは、中小企業の経理をおすすめする理由と言えます。
経理は企業規模や働き方の種類によって、様々なキャリプランが考えられます。
例えば、以下の区分ごとに、経理としてそれぞれのキャリアプランが存在します。
・中/大企業
・小規模/会計事務所
・ベンチャー企業
・外資系企業
・フリーランス
詳細につきましては、「経理のキャリアプラン5選!働き方から見えるメリット・デメリット」をご参照ください。
4. 機動力がある
4つ目の中小企業の経理をおすすめする理由としては、「機動力がある」ことが挙げられます。
ここで言う機動力とは、何かを始めようと思った際に、動き出すまでのスピードを指します。
例えば、経理業務の効率化のために新しい会計システムを導入しようと思った場合に、大企業であれば関係部署や関係者が多く承認プロセスも何重にもなっているため、なかなか導入が進みません。
おそらく数年がかりのプロジェクトとなります。
これに対して中小企業の場合は、ダメだったら引き返せばいいので、とりあえず始めてみるといった行動が比較的とりやすいです。
また、経理の数値から何か経営課題を発見した際に、大企業であれば改善案を提案しても受け入れられるまでに、多くの関係者を説得する必要がありますが、中小企業であればキーパーソンを数人説得するだけで提案が受け入れられることもあります。
以上より、「機動力がある」ことは、中小企業の経理をおすすめする理由と言えます。
いくら中小企業の方が機動力があるからと言っても、業務効率化に寄与しないシステム導入や的外れな提案をしているようでは、一向に受け入れられません。
中小企業であろうが大企業であろうが、まずは個人のスキルアップが必要となります。
経理のスキルアップ方法としては、簿記検定やビジネス会計検定などの資格試験や最新の会計情報のチェックなどが考えられます。
詳細については「経理の勉強方法とは?おすすめ4選をご紹介!」をご確認ください。
5. 経理の人脈を増やしやすい
5つ目の中小企業の経理をおすすめする理由としては、「経理の人脈を増やしやすい」ことが挙げられます。
大企業の場合は会社内に多数の経理がいるため、自社内だけでもそれなりの情報が揃います。
一方で、中小企業の経理の場合、自社内だけだと経理の情報は集まりにくいです。
それがゆえに、中小企業の経理というのは、割と横のつながりを持っている人が多いです。
ある人はセミナーで経理仲間を増やし、ある人はFacebookやX(旧Twitter)などのSNSで経理仲間を増やしたりしております。
中小企業の経理担当者同士であればこそ共感できる内容があり、必然的に仲間が増えやすくなります。
今の会社にずっと勤め続けるのであれば問題ありませんが、将来的に転職や独立などを検討している場合は、人脈の力は無視できません。
将来のキャリアを見据えたと時に、経理の人脈が活きてくるのであれば、中小企業の経理も一つの選択肢として考えてみてください。
以上より、「経理の人脈を増やしやすい」ことは、中小企業の経理をおすすめする理由と言えます。
転職エージェントを利用するなら、管理部門特化型の中規模エージェントである、以下の3つがおすすめです。
・MS-Japan
・Hupro(ヒュープロ)
・WARCエージェント
ただし、地方求人がないため、地方での転職の場合は大手エージェントのdoda(デューダ)がおすすめです。
詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。
6. 終わりに
中小企業の経理がおすすめな理由についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
もしかしたら中小企業は責任が重そうだな。。と感じたかもしれませんが、責任とやりがいは表裏一体の関係にあります。
経理としてのやりがいを感じながら仕事をしたいのであれば、中小企業の経理を選択肢に入れておいて損はありません。
7. まとめ
◆経理以外の業務も経験できる。
◆出世が比較的簡単。
◆スピード感がある。
◆人脈を増やしやすい。