FP(ファイナンシャルプランナー)は、お金の知識を専門とするプロに与えられる称号です。
「FPの取得を考えているけど、就職に有利になるのかな?」
「FPを活かせる仕事って、どんなものがあるの?」
こんな悩みを持つ人に、FP資格を活かせる業種や仕事内容、副業としての活かし方について、本記事では解説していきます。
最後まで読めば、FP資格は工夫次第でいくらでも武器になることがわかるでしょう。
1. FP資格を活かせる仕事
1) 金融機関
2) 人事・総務
3) 不動産会社
4) 保険関係
5) 独立開業
2. 何級まで取得すればいい?
3. 副業としてFP資格を活かす方法も
1) クラウドソーシングで相談受注
2) Webライター
3) ブロガー
4) YouTubeで広告料を得る
4. 終わりに
5. まとめ
1. FP資格を活かせる仕事
FPのおもな仕事は、生活に直結する金融知識を活かし、相談者の夢や目標を叶えるサポートやアドバイスです。
結婚やマイホーム購入、子どもの教育費、老後の生活設計など、個人の望む生き方をライフデザインといいます。
また、ライフデザインを実現するために資金計画を立てることを、ライフプランニングといいますが、そのためにはお金に関する知識が必要です。
ファイナンシャルプランナーは、相談者の収入・支出のバランスや保有資産、家族状況を総合的に分析し、最適なアドバイスを行うことで、相談者の不安を軽減する役割を担っています。
また、ライフデザインの相談に乗ることを生業とするだけでなく、さまざまな業種・業界でその知識を活かすことができます。
順に見てみましょう。
1) 金融機関
FP資格を活かせる仕事がもっとも多いのは、まぎれもなく金融機関でしょう。
銀行や証券会社の求人では資格取得が必須となっている場合も多く、昇進・昇格の基準になっていることも珍しくありません。
具体的な業務としては、住宅ローンの利用時に最適なアドバイスをしたり、資産運用の提案や金融商品の紹介をしたりと、FPらしい業務にあふれているでしょう。
自身の金融知識をフル活用して業務に携わることができ、やりがいを感じる仕事です。
金融機関での就職を考えているなら、FP資格は取得しておくべきでしょう。
2) 人事・総務
人事部では、年金・社会保険、所得税などの分野が業務に直結しています。
産休・育休時の手当、労災などの公的保障は、あまり知られていないのが現実です。
利用できる制度をすぐに案内できる人事部の社員は、頼りになる存在として評価されるでしょう。
一方、総務部は何でも屋さんのイメージが強いですが、実は多岐にわたる業務をこなすプロフェッショナル集団です。
総務部では、法人税や都市計画税などの税務関係、法人向け保険をはじめとしたリスクマネジメントの知識が役立ちます。
しかし総務部の仕事は幅広く、FP資格とは関係のない業務も担当しなくてはいけません。
ファイナンシャルプランナーとして有意義に働くには、受け身をやめ、自ら働きかけることが重要です。
人事・総務部への配属を希望するなら、FPの資格を取得しておくと有利になるでしょう。
資格手当が支給される企業も多く、FP資格を持っていて損はありません。
3) 不動産会社
不動産取引や不動産投資を扱う会社では、ライフプランニングや資産運用、タックスプランニングなどの知識が活かされるでしょう
住宅メーカーや工務店では、住宅ローンや減税制度などの知識が必要となります。
マイホームの購入は、一生に一度の大きな買い物です。
返済計画に無理があれば、のちのちの生活を苦しめる結果にもなりかねません。
「本当に返済していけるのだろうか?」と、高額なローン金額を前にして、期待と不安が入り混じっている人も多いものです。
ファイナンシャルプランナーは適切な資金計画のアドバイスをして、顧客の返済計画を安定したものにすることができます。
そして、不動産会社でFP資格が役に立つのは、住宅購入時だけではありません。
住宅の贈与や相続時にも、ファイナンシャルプランナーとして力を発揮できます。
親から子へと相続が発生した際、相続税や財産の評価について戸惑うこともあるでしょう。
人生でそう何度も経験することではありませんから、親戚や友人に聞いても解決しないことも考えられます。
そのような「もしも」の時にすぐに相談できる存在がいれば、慌てることなく冷静に対処できます。
そのほかにも、都市開発に関わるデベロッパ、マンション管理業などでも、FP資格保有者は優遇されています。
宅建とのダブルライセンスは、キャリアアップにもつながるでしょう。
(「FP2級と宅建、難易度が高いのはどっち?FP3級の次はこの資格!」も合わせてご確認ください。)
4) 保険関係
生命保険や損害保険の保険代理店で働く人にも、FP資格を保有している人が多くなっています。
営業職として、さまざまな保険商品をおすすめするのが仕事ですが、そのためには保険の必要性を伝えなくてはいけません。
現在の収入や資産、子どもの人数や学費計画などから必要な保障額を計算し、適切な保険商品を提案していきます。
個人向けの保険以外にも、法人向け保険や共済なども取り扱うことがあるため、やはり広範な知識が重要です。
注意点として、FP資格では保険の勧誘をおこなうことができません。
保険の勧誘には、保険募集人の資格が必要となります。
5) 独立開業
企業や金融機関で実績を積んだのちに独立開業し、フリーランスのファイナンシャルプランナーとして活躍する人も存在します。
個人や法人に向けて各種アドバイスをしたり、相談窓口を開いたりして収入を得る人、セミナー講師、執筆業などで生計を立てる人など、実に多種多様な活躍があります。
一般的に、独立開業にはまとまった費用が必要です。
たとえば飲食店は、店舗を借りて什器を揃える必要がありますし、建築関係では事務所や資材を保管するための倉庫を用意しなくてはいけません。
この点、ファイナンシャルプランナーは自宅を事務所としたり、お客様の自宅や会社を訪問したりしてコンサルができます。
そのため初期費用がほとんど必要なく、準備に時間がかからないのも魅力的です。
自分らしい働き方ができますが、企業に属するファイナンシャルプランナーとは違って、実績や営業力が必要になります。
じっと待っているだけで仕事が入ってくるほど、甘い世界ではありません。
実績を積み上げ、ファイナンシャルプランナーとしての信頼を得なければ、食べていくことは難しいでしょう。
しかし努力次第で、年収は青天井。
どのくらいの収入を求めるかにより、働き方も自分で決められます。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2. 何級まで取得すればいい?
就職・転職に役立つのは、FP2級以上と言われています。
残念ながら、3級ではあまりアピールできません。
それは、3級の難易度が低いことや、取得者が多いからです。
3級の試験では、広く浅く、基礎的なお金に関する知識を問われます。
充分な時間をかけて対策すれば、独学でも合格できるレベルでしょう。
独学でも容易に取得できる資格では、周囲との差別化は図れず、あまり評価されないのが現状です。
合格率を見てみると、3級が学科・実技ともに80%前後なのに対し、2級は学科が50%前後、実技が60%前後となっています。
「では3級取得は意味がないのか?」と思われそうですが、そうとは言い切れません。
3級で問われる内容は、プライベートでも役に立つことがあり、それは確実に普段の生活で実感できます。
投資に関する知識があれば、自分の財産をどう運用していくかの選択肢が増えますし、病気や失業などのリスクにも冷静に対応できるでしょう。
また、2級の受験には条件があり、FP業務に関して2年以上の実務経験を有しているか、3級に合格していなくてはいけません。
そのため実務経験のない社会人や学生は、3級から挑戦する必要があります。
独学でも1ケ月から2カ月で合格が狙えますので、ぜひ時間を見つけてチャレンジしてください。
そして、3級で学習したことが抜けないうちに、2級にも挑戦しましょう。
2級を取得すれば、名刺や履歴書に「ファイナンシャルプランナー2級」と記載できます。
(各級の難易度については、以下も合わせてご確認ください。)
・3級:「ファイナンシャルプランナー3級の難易度は?簿記3級より難しい?」
・2級:「ファイナンシャルプランナー2級の難易度/合格率は?3級と何が違う?」
3. 副業としてFP資格を活かす方法も
FP資格を保有していれば、副業としても役立てることが可能です。
副業を始めることで得られるメリットも多く、人脈の形成や新しい発見につながります。
いずれ転職や独立開業を考えた際の、助け舟となるかもしれません。
もちろん、ファイナンシャルプランナーとしてのキャリアにもなるでしょう。
1) クラウドソーシングで相談受注
クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したい企業や個人と働きたい人をネット上でつなぐ、Webサイトのことです。
「ランサーズ」や「クラウドワークス」などが有名です。
まずは複数のクラウドソーシングサイトに登録して、受注できる仕事内容を掲載します。
ライフプランニング表を作成する、最適な資金運用の提案をする、保険加入のアドバイスをする、などが代表的です。
登録が終われば依頼案件に応募し、仕事を獲得していきます。
報酬はクラウドソーシングサイトが仲介してくれるので、面倒なお金のやり取りは発生しません。
未払いや詐欺などのリスクを最小限に抑えて副業ができるため、初心者でもハードルは低いでしょう。
高評価を重ねていくことで、やがて営業しなくてもスカウトがくるようになります。
2) Webライター
Webライターは、インターネット上に載る記事を執筆する仕事です。
クライアントから依頼を受け、指定されたテーマに沿って記事を作成していきます。
ファイナンシャルプランナーの知識を活かして、お金に関するコラムや最新ニュースを執筆し、納品すると報酬が得られます。
景気の伸びが鈍化している日本では、節約や貯金、投資に関心のある人はさらに増えていくでしょう。
お得な情報を求めてインターネットで検索する人をターゲットとし、有益な情報をわかりやすくまとめると、クライアントからの評価も高まっていきます。
ライティングスキルも必要ですが、これは経験を重ねるうちに自然と身についてきます。
自宅で自分のペースで作業でき、本業が忙しくても無理なく続けられるとあって人気の副業です。
スキルやキャリアが上がってくると、自分で記事を執筆するだけでなく、ファイナンシャルプランナーとして記事の監修を任されることもあります。
納期が定められている場合がほとんどのため、しっかりとスケジュールを管理する能力も必要でしょう。
ライティングスキルがつけば、提案書やメール文章など、本業でも役に立ちます。
3) ブロガー
自分のブログを立ち上げ、そこで自分の知識や考えを発信していく仕事です。
ブログを書くことがなぜ仕事なのか?と疑問に思われるかもしれませんので、ブログで稼ぐ仕組みを簡単に説明します。
ブロガーは世の中の人が気になっているテーマ、疑問、悩みなどを解決する記事を執筆しています。
読者は抱えている問題についてインターネットで検索し、納得できる「答え」を探しているはずです。
その答えにたどり着いた読者が、記事内にある広告をクリックしたり、ジャンプした広告サイトで何か購入したりすると、紹介料が入ります。
有意義な内容であれば自然と読者が増え、継続的に収益を獲得できるようになるでしょう。
それなりの記事数と、有益な記事である必要があり、Webライターよりも難易度は高くなります。
収益化まで時間がかかりますが、ある日突然、爆発的に収益が上がる可能性も秘めています。
4) YouTubeで広告料を得る
ブログと同様、自分のYouTubeチャンネルを立ち上げて発信していくことで、収益化できます。
お金に関する発信をするライバルは多いですが、切り口を変えて視聴者を驚かす内容を目指すといいでしょう。
必ずしも顔出しする必要はなく、画像に沿って解説するスタイルでも十分です。
しかし、動画編集スキルは必須です。
立案や収録、編集と1本をアップするのにかなりの時間がかかるため、ある程度の覚悟が必要です。
一方である程度収益化できれば、稼いだお金で動画編集などを外注することもできます。
4. 終わりに
FP資格を活かせる仕事は意外にも多く、工夫次第では副業に活かすことも可能です。
3級で簡単に内容を把握したら、ぜひ2級を目指して勉強を続けてください。
1級までいけば、独立開業して安定的に収入を得ることができ、ますます活躍の場が広がるでしょう。
どの業種においても、マネーリテラシーの高い人は信頼されます。
先行きが不透明な現代、今後もFP資格の需要は高まっていくと予想され、長期的に役立つことでしょう。
5. まとめ
◆ダブルライセンスとしても有効。
◆就職・転職に活かすのであれば、2級以上の取得は必須。
◆副業として活かす手もある。