公認会計士を目指そうか迷っている人、あるいは公認会計士の勉強を既に開始している人の中には、
「そもそも自分は公認会計士に向いているのだろうか?」
と考えたことがある人も多いのではないでしょうか?
公認会計士という職業にも向き・不向きがあり、どうせ目指すのであれば、その傾向を知っておいて損はありません。
そこで今回は、公認会計士に向いている人の特徴について解説していきます。
1. 細かすぎない人
公認会計士に向いている人の1つ目の特徴としては、「細かすぎない人」が挙げられます。
公認会計士と言うと数字を扱う仕事であり、細かい人の方が向いていると思われている人も多いかと思います。
確かに公認会計士の仕事の中には、細かい仕事も多くあります。
会社の決算資料から、誤りや不正を見つける必要があり、さぞ細かい点まで確認していると思われがちです。
ただ、公認会計士として活躍している人達を見ると、意外にも細かい点はあまり気にしない人が多いです。
これは、公認会計士が行う監査業務の目的と関連しています。
公認会計士の独占業務である財務諸表監査は、会社が作成した財務諸表に、一切の誤りがないことを保証するものではありません。
あくまで「利害関係者の判断を誤らせるほど重要な点において、誤りがない」ことを保証するのが財務諸表監査となります。
つまり、極端な話を言えば、決算数値が1円間違っていようが、そんなことは問題ではありません。
逆に、細かい点まで気にし過ぎるときりがなく、いつまでたっても監査が終わりません。
そのため、ある程度のところで仕事に見切りをつけられる人の方が、公認会計士に向いています。
以上より、「細かすぎない人」は、公認会計士に向いていると言えます。
監査法人時代に所属していた監査チームのパートナー(一番上の役職です。)は、細かい点については基本的に一切触れない人でした。
「本当に仕事してるの?」と思っていた人がいたほどです。
ただ、最終的に出来上がった財務諸表を見て、「なんか○○と○○の値おかしくない?」と言うことが多々ありました。
そして、この指摘した箇所にかなりの確率で間違いが潜んでおり、全体から違和感を感じ取る力に毎回驚かされていました。
木を見て森を見ずと言われるように、あまり細かい点まで気になる人は、この全体を俯瞰してみる力が不足してしまいますので、注意が必要です。
2. 正義感が強い人
公認会計士に向いている人の2つ目の特徴としては、「正義感が強い人」が挙げられます。
監査法人は、クライアントから監査報酬をもらって、クライアントの財務諸表を監査します。
つまり、誤解を恐れずに言えば、お金をもらう相手を追い込んでいく立場にあります。
ただ、一般的な感覚から考えれば、お金をいただくお客様に対して強く出ることは難しく、クライアントと監査法人が癒着するのでは?という疑念が生まれます。
この疑念を抱かれないようにするためにも、公認会計士には「公正不偏の態度」という、精神的にもクラインアントから独立しているという姿勢が求められます。
そしてこの「公正不偏の態度」の根底にあるのは、「不正は許さない!」という正義感となります。
クライアントとしても、例えば売上が10億円になるか9億円になるかで、会社の存続を左右することもあり、必死です。
「この処理を認めてもらわないと、社員が路頭に迷うことになる。」と感情論に訴えられることも、十分あり得ることです。
このような相手に対して、毅然とした態度で臨むためにも、公認会計士には正義感が必要となります。
以上より、「正義感が強い人」は、公認会計士に向いていると言えます。
3. 自分の専門分野を持ちたい人
公認会計士に向いている人の3つ目の特徴としては、「自分の専門分野を持ちたい人」が挙げられます。
将来のキャリアはまだ定まっていないけど、漠然と何か自分の専門分野を持ちたいと思ったことは、誰しも一度はあるのではないでしょうか?
かく言う私もその一人で、将来は自分で稼ぐ力がほしいと考え、そのためには何か専門分野を作ろうと思い、公認会計士を目指しました。
公認会計士は、会計・財務のスペシャリストです。
つまり、公認会計士になることで、会計・財務という専門分野を持つことができます。
(会計・財務については、「経理と財務と会計の違いは?」をご参照ください。)
ここで1つ勘違いしてほしくないのは、会計・財務という専門分野を持ったからといって、必ずしもその分野でずっと働いていく必要はないということです。
私自身もそうですが、ベンチャー企業で営業・マーケティングを経験するなど、全く異なる分野に挑戦するのもおもしろいかと思います。
キャリアというのは「会計・財務×○○×○○…」というように、掛け算で作っていくものです。
専門分野を持つことで、逆に専門分野に縛られるキャリは、必ずしも良いキャリアとは言えません。
以上より、「自分の専門分野を持ちたい人」は、公認会計士に向いていると言えます。
公認会計士講座の元運営責任者が、費用と合格者数の観点から、以下の5つの公認会計士スクールを比較してみました。
・CPA会計学院
・TAC
・大原
・LEC
・クレアール
詳細については「公認会計士スクールを費用と合格者数で比較!元講座運営者のおすすめは?」をご参照ください。
4. 経営に興味がある人
公認会計士に向いている人の4つ目の特徴としては、「経営に興味がある人」が挙げられます。
人に使われる側ではなく、人を使う側になりたいと考えたことはないでしょうか?
あるいは、ビジネスの一部分ではなく、ビジネス全体を自分でコントロールしてみたいと考えたことはないでしょうか?
このような思考の人は、経営に興味がある人と言え、公認会計士という職業に向いていると言えます。
その理由としては、主に以下の3つが考えられます。
・監査法人では複数社担当することが一般的であり、多くの会社に触れる機会がある。
・各部署から集まる会社の内部数値を見ることができ、数値面からビジネスを見る機会がある。
注意点としては、あくまで経営に関わる機会があるだけであり、その機会を活かすも殺すも自分次第だということです。
その時がきたら、積極的に関わり、学ぶ姿勢が必要となります。
また、自ら会社を経営したり、あるいはベンチャー企業のCFOになって経営に関わるといったキャリアを歩む場合も、公認会計士の資格は活きてきますので、おすすめとなります。
以上より、「経営に興味がある人」は、公認会計士に向いていると言えます。
5. 環境変化に適応できる人
公認会計士に向いている人の5つ目の特徴としては、「環境変化に適応できる人」が挙げられます。
公認会計士試験合格後、まず多くの人が勤務することとなる監査法人では、通常複数のクライアントを担当することとなります。
そして、クライアントごとに監査チームが異なります。
つまり、複数のクライアント、複数の監査チームに適応する必要があるのです。
そのため、環境変化に適応できる人は問題ありませんが、同じ環境で働き続けたい人にとっては、かなり苦痛を伴うことになります。
また、「公認会計士とは?わかりやすく簡単に解説します!」でお伝えしている通り、公認会計士には多様なキャリプランがあります。
つまり、環境変化に適応できる人にとっては、公認会計士という資格を活かしながら、会社を変え、職種を変えて活躍することが可能となります。
以上より、「環境変化に適応できる人」は、公認会計士に向いていると言えます。
6. 勉強が好きな人
公認会計士に向いている人の6つ目の特徴としては、「勉強が好きな人」が挙げられます。
「勉強好き」であることは、特に監査法人内で生き抜くために必要となります。
会計という分野は、新たなビジネスが生まれる度に、そのビジネスに合わせて修正されていきます。
ビジネスが日進月歩で進化している現代において、毎年新たな会計論点が発生しています。
また、そもそも公認会計士試験で学ぶのは会計という分野のほんの一部であり、その背後には膨大な量の会計分野が潜んでいます。
つまり、会計の専門家であり続けるためには、日々の勉強は欠かせません。
公認会計士試験に最終的に合格される方であれば、ある程度勉強に対する耐性はついているかと思いますが、生涯学び続けられるかと言われると、即答できる人も少ないのではないでしょうか?
ただ大切となるのは、会計という分野の中に、さらに自分の専門分野を1つ持つということであり、全ての会計分野について詳しくなる必要はないということです。(そもそも全ての会計分野に詳しくなるのは、量が多すぎて限りなく不可能に近いです。)
自分の専門分野以外は、必要になった際により詳しい人に聞くか、あるいは調べてわかればそれで問題ありません。
以上より、「勉強が好きな人」は、公認会計士に向いていると言えます。
7. 終わりに
公認会計士に向いている人の特徴についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?
向き・不向きはその人の個性であり、それ自体を気にする必要ありません。
もし公認会計士に向いていないのであれば、違う道を選択するのも1つの考えです。
あくまで本記事で紹介した特徴は一例にすぎませんが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
8. まとめ
◆正義感がある人。
◆専門分野がほしい人。
◆将来的に経営に関わりたい人。
◆環境変化に抵抗がない人。
◆学ぶことが好きな人。