本記事では公認会計士である筆者が、「実績」と「コスパ」の観点から、簿記1級の通信講座を1つずつ紹介しております。
後半では、そもそも簿記1級を受験するべきか?を再度検討するために、簿記1級を受験するデメリットについても解説しておりますので、ぜひ読んでみてください。
・公認会計士
・前職で簿記講座の運営責任者を担当
・大手監査法人→経理部に出向
→教育×ITベンチャー→自営業
1. 通信講座の選び方
1) 判断基準
2) 実績(合格者数)の比較
3) コスパの比較
2. 簿記1級おすすめ通信講座2選
1) 大原(実績重視)
2) スタディング(コスパ重視)
3. 簿記1級受験のデメリット
1) 費用対効果が必ずしも高くない
2) 会計士や税理士になるなら遠回り
4. 終わりに
5. まとめ
1. 通信講座の選び方
1) 判断基準
「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」でお伝えしている通り、簿記2級までなら通信講座の実績は、あまり関係しません。
一方で簿記1級は2級と比べて、
(合格率:2級20%⇒1級10%)
(試験科目:2級2科目⇒1級4科目)
(2級200時間⇒1級500~1,000時間)
ため、実績のある予備校の通信講座を利用して合格率を上げ、勉強時間を短縮する必要があります。
また講座価格に対する実績(コストパフォーマンス)も、当然に重要となってきます。
そこで以下では、実績とコスパについて、各予備校の通信講座を比較してみましょう。
2) 実績(合格者数)の比較
簿記1級の合格者数を公表している予備校は、実はほとんどありません。
そのため、各予備校の最新年度の「合格体験記」の数を、比較してみましょう。
スクール | 合格体験記数 |
TAC | 27名 |
スタディング | 15名 |
ネットスクール | 9名 |
大原 | 8名 |
クレアール | 6名 |
LEC | 1名 |
*TAC、大原、LECは2021年、その他は2022年の数。
上表を見ると、合格体験記が一番多いTACの通信講座が一番の実績…となりそうですが、合格体験記の数はあくまで参考情報であり、実績を見る上では全体の合格者数が大切となります。
それでは、各予備校が公表している簿記1級の合格者数を見てみましょう。
スクール | 合格者数 |
大原 | 221名 |
スタディング | 15名 |
TAC | – |
ネットスクール | – |
クレアール | – |
LEC | – |
*大原は2021年、スタディングは2022年の人数。
*「-」は未公表。
簿記1級の合格者数を公表しているのは、実は大原とスタディングだけです。
普通に考えれば、合格者数が多ければ公表した方が実績をアピールできるため、未公表の予備校はアピールできるほどの実績ではないことが想定されます。
以上より、一番実績があるのは合格者数が多い「大原」の通信講座であると言えます。
3) コスパの比較
コスパを比較するために、各予備校の通信講座のコスト(講座価格)を見てみましょう。
・Web通信講座
・2023年11月試験に対応
スクール | 講座費用 (2023年5月) |
TAC | 165,000円 |
大原 | 146,500円 |
LEC | 127,000円 |
ネットスクール | 103,000円 |
クレアール | 98,600円 |
スタディング | 66,600円 |
大手のTACや大原の講座価格と比べると、一番安いスタディングの価格は、半分以下となります。
簿記1級の難易度を考えると、複数回に渡り講座を利用することが考えられるため、スタディングの低価格は非常に魅力的です。
また前述の合格者数を見ても、一定の実績を出していることは間違いありません。
以上より、一番コスパが高いのは「スタディング」の通信講座であると言えます。
2. 簿記1級おすすめ通信講座2選
1) 大原(実績重視)

・約150時間
【こんな人におすすめ!】
・次回試験で確実に合格したい人
長年にわたり簿記検定の受験指導を行ってきた、大原。
累積の合格者数もさることながら、長年の経験に基づいて作成されたテキスト・問題集や講義は、大原の大きな強みと言えます。
またWeb上から教室授業に参加できる「Webライブ授業」など、新しい受講スタイルも提供しております。
大原を信じて勉強を進めていけば、簿記1級に合格できる実力がつくことでしょう。
① メリット&特徴
・最新年度含めて合格者を多数輩出
・講師により毎年改訂される教材
・専任講師による理解重視の講義
・無制限にできる質問
・臨場感あるWebライブ授業
② デメリット
・講座価格が非常に高い
③ 合格体験記
講義がとても分かりやすかったです。それぞれの単元ごとに重要箇所や解くうえでのポイント、試験の頻出の有無といったところを丁寧に教えてくれました。
大原のテキストは必要な情報がコンパクトにまとまっていて、自分で考える余地が多くあり能動的に理解を深めることができます。
④ 詳細情報
・Youtube(Webライブ)
・公式HP
大原の簿記1級講座
2) スタディング(コスパ重視)

・約80時間
【こんな人におすすめ!】
・最小の時間で安く合格したい人
後発ながら通信講座に特化した「効率的な学習×低価格」で成果を出している、スタディング。
問題集の成績に応じて、毎日その日に復習すべき問題をAIが抽出してくれる「AI復習機能」など、Webならではの強みを持っています。
また講義時間も大原の約半分であり、短期間での合格を目指すことが可能です。
できるだけ時間と費用を節約して合格を目指したい人には、スタディングがおすすめと言えます。
① メリット&講座の特徴
・大手の半分以下の講座価格
・大手の約半分の講義時間
・全てWeb教材なので持ち運び不要
・AIを利用した最適な復習が可能
・無理のない段階的なカリキュラム
② デメリット
・質問は10回まで
*追加の質問は有料
③ 合格体験記
いつでもどこでも学習することができたので仕事がある日でも合計5時間以上勉強の時間をとれました。疲れている日は横になりながらでも、机に向かわなくてもできるので続けられたと思います!
講座動画は「なぜ、そうなるのか」という部分から実際の問題の解き方まで分かりやすく解説してくれるので、独学で勉強した時よりもずっと深く理解できたと思います。
④ 詳細情報
・Youtube(CM)
・公式HP
スタディングの簿記1級講座
3. 簿記1級受験のデメリット
通信講座を検討する前に、そもそも簿記1級を本当に目指す必要があるのか?といった点を検討することは大切です。
そこでここでは、簿記1級を受験するデメリットについて、順に2つ解説していきます。
デメリットを理解した上で、受験するか否か検討してみてください。
1) 費用対効果が必ずしも高くない
簿記1級を受験する1つ目のデメリットは、「費用対効果が必ずしも高くない」ことです。
経理であれば簿記1級は高く評価されやすいですが、その他の職種では2級までで十分であり、1級を取得しても正しく評価されない可能性が高いです。
また経理においても、資格よりも実務能力が重視されるので、必ずしも高い評価を受けるわけではありません。
一方で簿記1級を取得するためには、前述の通り多額のお金が必要となります。
さらに、合格率も低く年2回しか試験が実施されないため、長期間の勉強を強いられます。
そのため、費用対効果を考えた場合、簿記1級は必ずしも高くないと言われることがあるのです。
2) 会計士や税理士になるなら遠回り
簿記1級を受験する2つ目のデメリットは、「会計士や税理士になるなら遠回り」になることです。
公認会計士試験や税理士試験の適性を測るために、簿記1級に挑戦する人もいますが、あまりおすすめはできません。
適性を測るのであれば、簿記2級までで十分です。
簿記1級の勉強に長時間費やすのであれば、始めから公認会計士試験ないし税理士試験の勉強をした方が、時間を節約できます。
確かに両試験とも簿記が主要な科目となっていますが、簿記1級と比べると内容に差があり、この差を埋めるために再度勉強し直す手間を考えれば、わざわざ簿記1級を経由する必要はないです。
公認会計士試験、税理士試験の予備校も検討してみたい人は、以下を参考にしてみてください。
「公認会計士スクールを費用と合格者数で比較!現役会計士が選ぶおすすめは?」
「税理士の予備校おすすめ2選!コスパのスタディング、実績の大原」
4. 終わりに
簿記1級のおすすめ通信講座について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回は実績とコスパの点から、おすすめ通信講座を2つ紹介しましたが、本記事で紹介していない予備校の通信講座でも、合格することは十分可能です。
大切なのは、1日でも早く勉強を開始して、日々勉強を積み重ねていくことです。
本記事をきっかけに、1日でも早く通信講座を受講して、ぜひ勉強を始めてください。
5. まとめ
◆コスパならスタディング。