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本記事では公認会計士である筆者が、「実績」と「コスパ(コストパフォーマンス)」の観点から、簿記1級のおすすめ通信講座を3つ紹介しております。
後半では、通信講座選びのFAQや、そもそも簿記1級を受験すべきか?を再度検討するために、簿記1級を受験するデメリットについても解説しております。
1. 通信講座の選び方
1) 判断基準
2) 実績(合格者数)の比較
3) コスパの比較
2. 簿記1級おすすめ通信講座3選
1) スタディング(コスパ重視)
2) CPAラーニング(コスパ重視)
3) 大原(実績重視)
3. 簿記1級の通信講座選びFAQ
1) 教育訓練給付制度は利用できる?
2) 割引制度はある?
3) 2級と同じスクールが望ましい?
4. 簿記1級受験のデメリット
1) 費用対効果が必ずしも高くない
2) 会計士や税理士になるなら遠回り
5. 終わりに
6. まとめ
1. 通信講座の選び方
1) 判断基準
「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」でお伝えしている通り、簿記2級までなら通信講座の実績は、あまり関係しません。
一方で簿記1級は2級と比べて、
(合格率:2級20%⇒1級10%)
(試験科目:2級2科目⇒1級4科目)
(2級200時間⇒1級500~1,000時間)
ため、実績のある予備校の通信講座を利用して合格率を上げ、勉強時間を短縮する必要があります。
また講座費用に対する実績(コストパフォーマンス)も、当然に重要となってきます。
そこで以下では、実績とコスパについて、各予備校の通信講座を比較してみましょう。
2) 実績(合格者数)の比較
まずは、各予備校の最新年度の「合格体験記」の数を、比較してみましょう。
スクール | 合格体験記数 |
TAC | 48名 |
スタディング | 44名 |
大原 | 8名 |
ネットスクール | 6名 |
クレアール | 6名 |
CPAラーニング | 5名程度 *SNSから集計 |
LEC | 3名 |
上表を見ると、合格体験記が一番多いTACの通信講座が一番の実績…となりそうですが、合格体験記の数はあくまで参考情報であり、実績を見る上では全体の合格者数が大切となります。
ここで、各予備校の全体の合格者数を比較したいのですが、実は簿記1級の合格者数を公表しているのは、大原とスタディングだけです。
そのため、他の予備校は教育訓練給付制度の指示書(ハローワークに提出する書類)をもとに、合格者数を集計してみました。
スクール | 合格者数 |
大原 | 158名 |
TAC | 83名 |
スタディング | 44名 |
ネットスクール | 29名 |
クレアール | 6名 |
CPAラーニング | – |
LEC | – |
*スタディングは2023年、それ以外は2022年の人数。
*「-」は未公表かつ教育訓練給付制度の対象外。
教育訓練給付制度の指示書をもとに集計した予備校(TAC、ネットスクール、クレアール)は、制度の対象外の講座は含まれないため、実際の合格者数はもう少し多いです。
一方で、普通に考えれば、合格者数が多ければ公表した方が実績をアピールできるため、未公表の予備校はアピールできるほどの実績ではないことが想定されます。
以上より1番実績があるのは、合格者数を公表しており、かつ一番合格者数が多い大原の通信講座であると言えます。
3) コスパの比較
コスパを比較するために、各予備校の通信講座のコスト(講座費用)を見てみましょう。
・Web通信講座
・2025年6月試験に対応
スクール | 講座費用 (2024年5月) |
TAC | 160,000円 |
大原 | 146,500円 |
LEC | 127,000円 |
ネットスクール | 124,000円 |
クレアール | 91,350円 |
スタディング | 69,600円 |
CPAラーニング | 0円 |
*大原、LECは2024年11月向けの価格
スタディングの講座費用は大手の約半分となり、前述の合格者数の点でも一定の実績を出していることは間違いありません。
また、CPAラーニングはまだリリースしてからの期間が浅く、簿記1級合格者の情報はありませんが、公認会計士試験でNo.1の実績を誇る講義であるため、簿記1級においても今後多数の合格者がでてくることが予想され、何よりも無料で受講できます。
簿記1級の難易度を考えると、複数回に渡り講座を利用することが考えられるため、低価格ないし無料で受講できることは、非常に魅力的です。
以上よりコスパが高いのは、スタディングとCPAラーニングの通信講座であると言えます。
2. 簿記1級おすすめ通信講座3選
1) スタディング(コスパ重視)
・約80時間
・最小の時間で安く合格したい人
後発ながら通信講座に特化した「効率的な学習×低価格」で成果を出している、スタディング。
問題集の成績に応じて、毎日その日に復習すべき問題をAIが抽出してくれる「AI復習機能」など、Webならではの強みを持っています。
また講義時間も大原の約半分であり、短期間での合格を目指すことが可能です。
できるだけ時間と費用を節約して合格を目指したい人には、スタディングがおすすめと言えます。
① メリット&講座の特徴
・大手の半分以下の講座費用
・大手の約半分の講義時間
・全てWeb教材なので持ち運び不要
・AIを利用した最適な復習が可能
・スキマ時間の利用に最適化された講座
・無理のない段階的なカリキュラム
② デメリット
・質問は10回まで *追加の質問は有料
・製本テキストは有料
③ スタディングのFAQ
A. メリットが多く十分合格できる
スタディングではウェブ教材で勉強するため、「冊子がなくて本当に大丈夫なの?」と不安になるかもしれませんが、結論としては問題ありません。
あくまで教材がデジタルなだけであり、手を動かして勉強したいのであれば、ウェブテキストを片手に電卓や紙とペンを使用すればいいだけす。
また、テキストや問題集の持ち運びの手間がなくなり、テキストの内容をコピ&ペーストするだけで簡単にノートを作成することもできます。
さらに、問題集の正誤や解いた日付などをAIに読み込ませることができ、効果的なタイミングで復習することも可能となり、ウェブ教材にはメリットがたくさんあります。
④ 合格体験記
いつでもどこでも学習することができたので仕事がある日でも合計5時間以上勉強の時間をとれました。疲れている日は横になりながらでも、机に向かわなくてもできるので続けられたと思います!
講座動画は「なぜ、そうなるのか」という部分から実際の問題の解き方まで分かりやすく解説してくれるので、独学で勉強した時よりもずっと深く理解できたと思います。
⑤ 詳細情報
・Youtube(CM)
・公式HP
スタディングの簿記1級講座
2) CPAラーニング(コスパ重視)
・約110時間
・簿記1級のレベル感を体験したい人
公認会計士試験で合格者数No.1を誇るCPA会計学院が提供する、CPAラーニング。
簿記や会計実務のオンライン講座を全て無料で提供しており、リリースから大きな話題を呼んでいます。
簿記1級講座についても、2023年4月より順次講義が公開されています。
無料だから怪しいのでは?と思うかもしれませんが、公認会計士講座・USCPA講座や転職相談につなげることで利益を上げており、無料だからと手を抜いているわけではなく、むしろ講義の質は高いと言えます。
① メリット&講座の特徴
・全講義無料で利用できる
・公認会計士試験実績No.1の講義
・20万人を超える講座利用者
・会計&経理の実務講座も受講できる
② デメリット
・現時点では合格実績なし
・製本教材が必要な場合は別途購入
③ CPAラーニングのFAQ
A. 全く怪しいサービスではない
簿記1級が無料で勉強できると聞くと、「怪しいな..質が低いのでは?」「結局オプションで何か買わされるの?」と疑問を持つかもしれませんが、実は無料でも全く問題ありません。
無料というのは、あくまで受講生側の視点です。
運営側としては、簿記1級の受験生や合格者のリストを入手することができ、そこから公認会計士講座やUSCPA講座、あるいは転職相談につなげることで、実質的には有料で運営しています。
こう聞くと無理な勧誘があるのでは?と思うかもしれませんが、メルマガが送られてくる程度なので、この点も安心です。
④ 合格体験記
ご報告があります。
— KENSUKE@テープリライター (@kentaperewriter) January 9, 2024
第165回日商簿記1級に合格しました!
商業簿記 16点
会計学 19点
工業簿記 25点
原価計算 23点
合計 83点
cpaラーニングで頑張った甲斐がありました!
本当に嬉しいです!
登川先生、植田先生本当にありがとうございました!#cpaラーニング#日商簿記1級
CPAラーニングのおかげで日商簿記1級に87点で合格できました!
— アリ (@nissyoboki1kyu) January 9, 2024
こんなにわかりやすい講義を無料で提供してくださってありがとうございます。お二方に感謝しかないです。@Cpa__learning @nobocpa @newjapancpa
⑤ 詳細情報
・Youtube(1級予習講義)
・公式HP
CPAラーニングの簿記1級講座
3) 大原(実績重視)
・約150時間
・次回試験で確実に合格したい人
長年にわたり簿記検定の受験指導を行ってきた、大原。
累積の合格者数もさることながら、長年の経験に基づいて作成されたテキスト・問題集や講義は、大原の大きな強みと言えます。
またWeb上から教室授業に参加できる「Webライブ授業」など、新しい受講スタイルも提供しております。
大原を信じて勉強を進めていけば、簿記1級に合格できる実力がつきます。
① メリット&特徴
・最新年度含めて合格者を多数輩出
・講師により毎年改訂される教材
・専任講師による理解重視の講義
・無制限にできる質問
・臨場感あるWebライブ授業
② デメリット
・講座費用が非常に高い
③ 大原のFAQ
A. オリジナル教材&サポート体制
大原の合格者数が多い理由として、オリジナル教材とサポート体制の充実が挙げられます。
オリジナル教材は直近の簿記1級試験の傾向や、最新の会計制度を徹底的に研究して作成されており、公認会計士の私が見ても申し分ない内容です。
また、普段から生徒を指導する専任講師が教材を作成することで、生徒の疑問点を反映したつくりとなっています。
さらに、講義や学習計画の疑問点などを気軽に質問することができ、スタディングやCPAラーニングにはないサポート体制の充実も、合格者数が多い理由として考えられます。
④ 合格体験記
講義がとても分かりやすかったです。それぞれの単元ごとに重要箇所や解くうえでのポイント、試験の頻出の有無といったところを丁寧に教えてくれました。
大原のテキストは必要な情報がコンパクトにまとまっていて、自分で考える余地が多くあり能動的に理解を深めることができます。
⑤ 詳細情報
・Youtube(Webライブ)
・公式HP
大原の簿記1級講座
3. 簿記1級の通信講座選びFAQ
1) 教育訓練給付制度は利用できる?
教育訓練給付制度(一般教育訓練)の対象講座であれば、一定の条件のもと、講座費用の20%がハローワークから支給されます。
2024年5月時点で対象となる簿記1級通信講座の講座費用と、給付金の金額(講座費用の20%)は以下の通りです。
① 大原
講座費用 | 給付金額 | |
1級合格コース Web通信9カ月 |
146,500円 | 29,300円 |
② TAC
講座費用 | 給付金額 | |
1級合格本科生 | 160,000円 | 32,000円 |
③ クレアール
講座費用 | 給付金額 | |
1級フルパック 通信 |
110,908円 | 22,181円 |
マスター講座 通信 |
116,960円 | 23,392円 |
④ ネットスクール
講座費用 | 給付金額 | |
日商簿記1級 標準コース |
124,000円 | 24,800円 |
日商簿記1級 速修コース |
103,000円 | 20,600円 |
日商簿記1級 経験者コース |
90,000円 | 18,000円 |
教育訓練給付制度の指定講座の検索システムで「通学」のチェックを外して「通信」「eラーニング」にチェックを入れて、フリーワードに「簿記」と入力すれば、対象講座の情報を検索できます。
本記事でおすすめ通信講座として紹介している大原も対象となっているため、教育訓練給付制度の利用も検討しましょう。
2) 割引制度はある?
前述の教育訓練給付制度以外に、本記事でおすすめしている大原とスタディングが実施している割引制度について、以下にまとめました。(CPAラーニングは無料のため割引なし。)
① 大原
割引制度 | 割引率 割引額 |
大原受講生割引 | 3% |
簿記受講生割引*1 | 6,400円 |
再受講割引*2 | 30% |
*1 過去に簿記3級・2級講座を受講した人が対象
*2 過去に6万円以上の簿記講座を受講した人が対象
② スタディング
割引制度 | 割引率 割引額 |
初回会員登録 | 10% |
学生割引 | 20% |
Wライセンス応援割*1 | 5,500円 |
更新割引*2 | 50%以上 |
*1 過去に他資格の対象コースを受講した人が対象
*2 過去に簿記1級の対象コースを受講した人が対象
スタディングは上記とは別に、合格者アンケートに回答することを条件に、合格お祝い金10,000円がもらえます。
3) 2級と同じスクールが望ましい?
簿記1級の通信講座を選ぶ際に、簿記2級で利用したスクールの通信講座をそのまま利用するほうが望ましいのか、悩むかもしれません。
この点、同じスクールを利用することには、以下のようなメリット・デメリットがあるため、必ずしも同じスクールにこだわる必要はありません。
メリット
・割引を利用できる可能性がある
・システムに慣れる時間が不要
・通信講座選びの手間を省ける
デメリット
・1級講座も良いとは限らない
・2級とは講師が異なる可能性がある
・新しい視点を取り入れることができない
4. 簿記1級受験のデメリット
通信講座を検討する前に、そもそも簿記1級を本当に目指す必要があるのか?といった点を検討することは大切です。
ここでは、簿記1級を受験するデメリットについて、順に2つ解説していきます。
デメリットを理解した上で、受験するか否か検討してください。
1) 費用対効果が必ずしも高くない
簿記1級を受験する1つ目のデメリットは、「費用対効果が必ずしも高くない」ことです。
経理であれば簿記1級は高く評価されやすいですが、その他の職種では2級までで十分であり、1級を取得しても正しく評価されない可能性が高いです。
また経理においても、資格よりも実務能力が重視されるので、必ずしも高い評価を受けるわけではありません。
一方で簿記1級を取得するためには、前述の通り多額のお金が必要となります。
さらに、合格率も低く年2回しか試験が実施されないため、長期間の勉強を強いられます。
そのため、費用対効果を考えた場合、簿記1級は必ずしも高くないと言われることがあるのです。
2) 会計士や税理士になるなら遠回り
簿記1級を受験する2つ目のデメリットは、「会計士や税理士になるなら遠回り」になることです。
公認会計士試験や税理士試験の適性を測るために、簿記1級に挑戦する人もいますが、あまりおすすめはできません。
適性を測るのであれば、簿記2級までで十分です。
簿記1級の勉強に長時間費やすのであれば、始めから公認会計士試験ないし税理士試験の勉強をした方が、時間を節約できます。
確かに両試験とも簿記が主要な科目となっていますが、簿記1級と比べると内容に差があり、この差を埋めるために再度勉強し直す手間を考えれば、わざわざ簿記1級を経由する必要はないです。
公認会計士試験、税理士試験の予備校も検討してみたい人は、以下を参考にしてみてください。
「公認会計士スクールを費用と合格者数で比較!元講座運営者のおすすめは?」
「税理士の予備校おすすめ2選!コスパのスタディング、実績の大原」
5. 終わりに
簿記1級のおすすめ通信講座について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回は実績とコスパの点から、おすすめ通信講座を3つ紹介しましたが、本記事で紹介していない予備校の通信講座でも、合格することは十分可能です。
大切なのは、1日でも早く勉強を開始して、日々勉強を積み重ねていくことです。
本記事をきっかけに、1日でも早く通信講座を受講して、ぜひ勉強を始めてください。
6. まとめ
◆コスパ:スタディング、CPAラーニング