税理士の予備校おすすめ3選!費用と合格者数を比較してみると..

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税理士試験の予備校には、以下の選択肢があります。

・大原
・TAC
・スタディング
・LEC
・ネットスクール
・クレアール

迷うかもしれませんが、予備校選びに時間をかけるのは勉強時間を削るだけであり、得策ではありません。

そこで本記事では、公認会計士講座など難関資格の運営経験がある筆者が、「費用」と「合格者数」の2つの観点から、おすすめの税理士予備校を2つ紹介いたします。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・前職で公認会計士講座の責任者を担当

 

 

1. 予備校選びの2つの判断基準

税理士試験の予備校選びの判断基準としては、合格者数(パフォーマンス)と費用が考えられます。

以下で順に、見ていきましょう。

 

1) 合格者数

税理士試験の予備校選びにおいて、合格者数は重要です。

一方で、実は大原とTAC以外は、官報合格(5科目合格)者数を公表しておりません。

そのため本記事では、以下の前提のもとで、各予備校の合格者数を比較してみます。

【前提】
・大原、TAC:官報合格者数
・クレアール:科目合格数(教育訓練給付制度の指示書より集計)
・その他:科目合格含む合格体験記数
2020 2021 2022 2023
大原 373 294 310 320
TAC 255 248 289
スタディング 52 168 272 488
クレアール 37 78
LEC 4 5 8
ネット
スクール
6 5 4

*「-」は判明次第、更新予定。

官報合格者数が600~700名前後であることを考えると、大原とTACが官報合格者のほとんどを占めていることがわかります。

特にここ数年は大原が一番の合格者数を輩出し、2022年は全国の官報合格者620名のうち大原生が310名と50%を占有しており、実績で選ぶなら大原がNo.1と言えます。

 

2) 費用

税理士試験の予備校選びにおける費用とは、講座の金額のことを指します。

本記事では、多くの受験生がまず受験する簿記論・財務諸表論(簿財)、かつ場所を選ばずに誰でも受講できる通信講座(Web講座)を前提として、各予備校の費用を比較してみます。

【前提】
・簿財
・通信講座
スクール 講座費用
(2024年3月)
スタディング 89,800円
クレアール 128,800円
LEC 184,400円
ネットスクール 201,700円
大原 383,000円
TAC 400,000円

上表の通り、スタディングとクレアールが圧倒的に安い価格となっております。

さらに、スタディングとクレアールは大原とTACに次ぐ合格者数を誇っているため、コスパで選ぶならスタディングとクレアールがおすすめといえます。

次項では、コスパ重視のおすすめ予備校としてスタディングとクレアールを、実績重視のおすすめ予備校として大原を、順に紹介していきます。

 

2. おすすめ予備校3選

1) スタディング(コスパ重視)

2024年3月スタディング税理士講座

2015年に税理士講座を開講した、スタディング。

まだ日は浅いですが、合格に必要な要素だけに特化したスマホ学習で、合格者が毎年急増中。(2018年4名⇒2023年488名)

2020年に上場しており、会社としても社会的な信用を得ております。

一方で官報合格者の数は、最大手のTACや大原に、まだ遠く及んでいません。

 

メリット&特徴

・圧倒的な低価格
・合格者数が右肩上がりに増加
・スキマ時間のスマホ学習に特化
・教材は全てWeb上なので持ち運び不要
・赤シートの穴埋め方式で理論を見て学習
・ナレーターが読み上げる理論を聴く学習
・暗記した理論を書く学習
・4段階の充実したアウトプット*

*スマート問題集⇒トレーニング⇒テーマ別演習⇒実力テスト

 

デメリット

・質問はチケット制で有料
・紙媒体のテキストがない
・紙媒体の問題集は有料
・官報合格者はまだ少ない
・所得税法、固定資産税などの講座がない

 

③ スタディング税理士講座のFAQ

Q. スタディングだけで合格できるの?
A. 簿財は問題なく合格できる。

講座費用があまりにも安いため、スタディングの教材だけでは合格できないのでは..と不安になるかもしれません。

しかし、少なくとも簿記論、財務諸表論に関しては、実際に多くの合格者を輩出しており、合格するのに十分な内容と言えます。

例えば、2023年のスタディングの科目別の合格者数は、以下の通りとなります。

科目 合格者数
簿記論 240名
財務諸表論 359名
法人税法 11名
消費税法 9名
相続税法 6名
国税徴収法 9名

*複数科目合格者がいるため上記の合格者数を足しても、前述のスタディング全体の2023年の合格者数488名と一致しません。

簿記論、財務諸表論の合格者数は200名を超えており、少なくともこの2科目は、スタディングの教材で十分合格できるという証拠です。

また、上記のうち簿記論、財務諸表論の2科目合格者も143名おり、初年度から2科目同時合格を狙うことも可能です。

まずは簿財を受講して、スタディングとの相性を確かめてから、他の科目についてどうするか考えてみるのがおすすめです。

 

④ 合格体験記

細切れの講義動画と理論暗記ツールのおかげで通勤時間やお昼休みを有効に活用できました。仕事で疲れていても、さっと取り掛かれる手軽さがよく細切れ勉強を重ねられます。紙とノートを用意しなくてもいい、スマホ一台で取り掛かれるという点が最大の利点でした。
私は簿記会計が初学であり、日商簿記試験も持っていなかったため授業についていけるか不安でした。しかし、中村先生のわかりやすい指導の下で、簿記会計の知識が少しずつ身についていき、9ヶ月で簿財に合格することができました。

 

⑤ 詳細情報

・Youtube(合格者インタビュー)

・公式HP

スタディング税理士講座

 

2) クレアール(コスパ重視)

2024年3月クレアール税理士講座

非常識合格法で有名な、クレアール。

実は税理士講座も長く運営しており、50年以上の歴史があります。

ウェブ学習に特化して、かつ試験に出そうな範囲に絞ることで、徹底的に無駄を省き低価格を実現している反面、着実に合格実績も積み上げており、コストパフォーマンスの高い予備校といえます。

 

メリット&特徴

・大手の半分以下の講座費用
・1回30分の講義なので集中しやすい
・簿財の河野上先生の評判が高い
・回数制限のない質問対応
・簿財共通の内容は同時説明でコマ数削減
・簿財の講師と教材が同じで一貫性がある

 

デメリット

・官報合格者はまだ少ない
・簿記で人気の山田先生の講義がない
・スタディングよりは講座費用が高い

 

③ クレアール税理士講座のFAQ

Q. スタディングとの違いは何?
A. 大きな差はなく相性が大切。

クレアールとスタディングの簿財講座の主要な差は、以下の通りとなります。

クレアール スタディング
質問 無制限 0回~30回*
テキスト ・紙
・白黒
・Web
・カラー
模擬試験 あり なし
講座開講 1969年 2015年
講義時間 約230時間 約202時間

*パックにより差がある。(ミニマム0回、アドバンス10回、パーフェクト30回)

クレアールなら担当講師に無制限に質問ができ、昔ながらの冊子を使用したスタイルで勉強でき、模擬試験もあります。

また、税理士講座の歴史も50年以上あり、会社としての信頼も厚いです。

さらに、簿記論と財務諸表論で共通している部分は、講義のコマ数を削減しているにもかかわらず、総講義時間数も充実しております。

一方で、実は上記の点は以下の通り、スタディングを利用しても大差はないです。

・10~30回も質問できれば問題ない
・冊子はオプションで購入できる
・模擬試験だけ他社を受ける
・上場しており会社の信頼度も高い
・講義時間は短い方が効率的ともいえる

であれば、費用が安いスタディングの方がいい?と思うかもしれませんが、自分に合う講座を選択して1年でも合格年を早くした方が、最終的に得られるものは大きいです。

特に長期間の勉強を強いられる税理士試験においては、講師や教材との相性が大切となります。

そのため、コスパを重視したい人は、クレアールとスタディングのサンプル講義や教材を必ず確認して、自分との相性を判断してください。

 

④ 合格体験記

「非常識合格法」とはありますが、決して博打のような勉強法ではありません。必ず合格点まで辿り着ける効率的な勉強法であるため、そこは安心して勉強に集中することができました。
河野上先生の実務経験を織り交ぜたお話や、理解すべき論点と切ってよい論点を明確に区別しメリハリが効いた講義内容は学習時間を重点的に投入すべき分野の判断がしやすく、個人的に肌に合いました。

 

⑤ 詳細情報

・Youtube(講師による本試験の解答解説)

・公式HP

クレアール税理士講座

 

3) 大原(実績重視)

2024年3月大原税理士講座

毎年多くの合格者を輩出しており、実績No.1の大原。(2023年官報合格者の53%が大原)

1950年代から簿記講座を運営するなど、会計資格分野では一番の歴史を誇ります。

長年蓄積されたノウハウが詰め込まれたテキスト・問題集や、専任の講師陣のわかりやすい解説が、多くの合格者輩出につながっております。

一方で講座代金は非常に高く、科目ごとに複数年・複数回にわたり受験することを考えると、100万円以上の金銭的負担を覚悟する必要があります。

 

メリット&特徴

・合格者数No.1
・長年の合格ノウハウを詰め込んだ教材
・専任講師によるマンツーマン学習指導
・講義時間を1/3に短縮した時間の達人*

*教室講義の内容をそのままに、講義時間を最長60分に圧縮した講義。(有料オプション)

 

デメリット

・講座代金が非常に高い

 

③ 大原税理士講座のFAQ

Q. 高い合格実績の理由は何?
A. 手厚いサポート体制。

大原の場合、各校舎に専任講師が常駐しているため、わからない箇所があれば、来校や電話でその都度質問ができます。

回数制限なく、わかるまで丁寧に解説してくれると、合格者からも評判です。

また、勉強内容だけでなく、勉強方法や勉強計画についても、1対1で専任講師が指導してくれる「サクセスミーティング」が定期的に実施されます。

学習進捗状況の改善点、メモの取り方、暗記方法、本試験までの気持ち持っていき方、試験本番で落ち着く方法、励ましの言葉など、講師からの数多くのアドバイスが、合格の大きな一因となっております。

過去に勉強で挫折した経験のある人は、親身になって相談にのってくれる、大原がおすすめといえます。

 

④ 合格体験記

どういうふうに直前期を過ごしたら良いのか通信生にもわかりやすく説明していただいて本当にありがとうございました。大原の教材を信じて反復練習し、先生の指示通りの計画や戦略を立てたことが合格に繋がったと思います。
先生の講義内における説明はとてもわかりやすく、かつ、他の項目などの関連性を簡潔にまとめてくださっていました。そのこともあり、混乱しがちな項目の整理など、私自身の学習に大いに役立たせていただきました。

 

⑤ 詳細情報

・Youtube(時間の達人)

・公式HP

大原税理士講座

 

3. 税理士予備校選びのFAQ

1) 教育訓練給付制度は利用できる?

⇒スタディング、大原は利用できる。

利用に一定の条件はありますが、教育訓練給付制度(一般教育訓練)を利用すれば、講座費用の20%がハローワークから給付されます。

本記事で紹介している3予備校のうち、2024年3月時点で対象となる簿財のパック講座の費用と給付金額(講座費用の20%)は、以下の通りです。

・スタディング

講座名 講座費用 給付金
簿財2科目パーフェクトパック 89,800 17,960

・大原

講座名 講座費用 給付金
簿記・財表初学者
短期合格パック
281,000 56,200

この他に、クレアールも教育訓練給付制度の対象講座があります。

しかしクレアールの場合、「一般価格」から20%が給付されることとなっており、毎月実施している割引価格の方が安いので、教育訓練給付制度を利用する必要はありません。

以上より、教育訓練給付制度を利用する場合は、スタディング、大原の講座が対象となります。

 

2) 割引制度はある?

⇒スタディング、大原はある。

税理士講座に適用できる各予備校の割引制度は、以下の通りとなります。

・スタディング

割引制度 割引率
割引額
Wライセンス応援割*1 5,000円
更新割引*2 50%以上

*1 過去に他資格の対象コースを受講した人が対象
*2 過去に税理士の対象コースを受講した人が対象

・大原

割引制度 割引率
割引額
継続割引*1 5%
大原受講生割引*2 3%

*1 2023年受験対策の1.8万円以上の税理士講座商品を最後まで受講した人が対象
*2 過去に2万円以上の大原講座を受講した人が対象

クレアールも他資格合格者や再受講者に対する割引、あるいは特待生制度を設けております。

しかし、教育訓練給付制度と同様に「一般価格」からの割引であり、毎月の割引価格の方が安いかほぼ同額であるため、基本的には割引制度の利用は想定されません。

 

3) 講座費用は合計いくら?

⇒大原100万円、その他25~45万円。

本記事では簿財の講座費用を比較しました。

しかし実際は、あと3科目(全5科目)の講座を受講することとなるため、合計でいくら必要なのか?といった疑問もあるかと思います。

ここでは以下の前提のもと、各予備校の講座費用の合計を比較しました。

【前提】
・1年目:簿財
・2年目:税法2科目
・3年目:税法1科目
・全科目1発合格
・2024年3月時点の金額
スタディング クレアール 大原
合計 266,200 485,800 1,031,000
簿財 89,800 128,800 383,000
法人 58,800* 146,200 248,000
相続 58,800* 122,400 248,000
消費 58,800* 88,400 152,000

* Wライセンス応援割を利用した価格

大原の場合は100万円以上の金額が必要となるのに対して、スタディングやクレアールの場合は50万円以下で受講することができます。

注意点として、上記はあくまで全科目1発合格した場合の金額であり、全科目合格するまでに最低限必要な講座費用となります。

実際は複数回受講することも考えられるため、上記よりも多くの金額が必要となるでしょう。

現実的に自分が用意できるお金を考えながら、予備校を選択する必要があります。

 

4) 通信or通学講座はどっちがいい?

⇒通信講座がおすすめ。

税理士試験の受験生の多くは社会人であり、通学講座の場合は、仕事終わりに校舎に通うこととなります。

しかし、社会人の場合は残業や飲み会、家族とのイベントなど調整の難しい予定が多く、毎回決まった時間に校舎に通うのは困難です。

この点、通信講座であれば、自分の都合に合わせて勉強できます。

特に、1番頭が働く朝の時間に講義を視聴できるのは、大きなメリットです。

朝は他の予定が入らないため、確実に毎日勉強を積み重ねることもできます。

また、通信講座であれば、通勤時間に講義を視聴できる点も、大きなメリットといえます。

 

5) まずはどの科目を受験すべき?

⇒簿記論・財務諸表論がおすすめ。

各予備校の講座を比較検討したい場合、どの科目の講座を比較するかが問題となります。

つまり、まずはどの科目を受験すべきか、決める必要があります。

この点、簿記論・財務諸表論から勉強を始めるのがおすすめです。

おすすめする主な理由は、以下の通りです。

・受験資格がなく誰でも受験できる
・必須科目であり必ず受験する必要がある
・税法は簿記の知識が前提となっている
・簿記検定の延長線上にあり勉強しやすい
・受験者が多く情報収集しやすい

また、財務諸表論は簿記論の理論部分であるため、簿記論と財務諸表論は同時に学習するのが望ましいです。

以上より、まずは簿記論・財務諸表論から学習するのがおすすめです。

 

6) 勉強開始は何月がおすすめ?

⇒何月でもOK。

税理士試験は8月に実施されるため、少なくとも半年~1年間の勉強期間を確保したいと考えた場合、遅くとも2月までに勉強を開始する必要があります。

また、試験後は各予備校とも、次年度に向けて受講者を集めるために、講座を割引価格で提供していることが多いです。

そのため、8~9月に割安で勉強を開始して、1年間しっかりと勉強期間を確保するのが理想的ともいえます。

しかし、何月だろうが勉強を開始する手段はあるので、税理士を目指そうと思い立ったら、すぐに勉強を開始するのがおすすめです。

例えば、3月以降から簿財の受験を考えた場合、一般的には勉強期間が足りませんが、簿記論に絞る、あるいは次年度向けの講座を受講すれば、今すぐ勉強を開始することができます。

また、8~9月の割引価格を狙いたい気持ちもわかりますが、多少の割引よりも1日でも早く勉強を開始して、1年でも早い時期に合格した方が、得られるものは多いです。

 

4. 税理士のおすすめ記事

ここでは税理士に関する以下の4つの点について、おすすめ記事を紹介していきます。

・税理士試験の難易度
・まず考えるべき4つのこと
・税理士ってどんな仕事?
・税理士のやりがい、魅力

気になる記事がありましたら、ぜひ読んでください。

 

1) 税理士試験の難易度

税理士試験を検討した際に、まず気になることと言えば、試験の難易度ではないでしょうか?

本記事では、税理士試験の難易度だけでなく、独学で合格することができるのか?予備校の講座を受けるメリットは何なのか?といった点について、順に解説しております。

税理士試験の難易度とは?独学での合格は難しい?

 

2) まず考えるべき4つのこと

本記事では、税理士になりたい人がまず考えるべきことについて、以下の4つを紹介しております。

・受験資格はあるか?
・税理士に向いているか?
・一発合格しようとしてないか?
・業務内容を把握しているか?

税理士試験を受験するか否かの判断材料として、ぜひ考えてみてください。

税理士になりたいなら、まず考えるべき4つのこと

 

3) 税理士ってどんな仕事?

税理士という職業に興味はあっても、実際に仕事内容のイメージがわく人は、少ないのではないでしょうか。

試験勉強の途中や実際に合格してから「税理士の仕事って思っていたのと違うな..」とならないためにも、税理士の仕事の概要を事前に確認してください。

税理士ってどんな仕事?わかりやすく解説してみました!

 

4) 税理士のやりがい、魅力

税理士試験の勉強は長期間となるため、モチベーションを保つのは容易ではありません。

モチベーションを保つには、目指している税理士という仕事の、やりがいや魅力を理解しておくことも大切です。

そこで本記事では、税理士のやりがい・魅力について、以下の5つの点を解説していきます。

・顧客からの感謝
・高収入
・多様な働き方
・人脈
・若い世代のチャンス

税理士のやりがい、魅力とは?目指す価値はある?

 

5. 終わりに

コスパと実績の観点から、おすすめの税理士講座を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

早めに予備校を決めて、その予備校を信じて1日でも早く勉強を開始する方が、予備校選びに時間をかけるよりも有意義です。

本記事を参考にして、ぜひ今日予備校を決めましょう!

 

6. まとめ

Point! ◆コスパ:スタディング、クレアール
◆実績:大原