お金の知識を学べるFP資格。
金融機関で働く銀行員であれば、持っておく必要があると考える方も、いらっしゃるでしょう。
メリットとデメリットを整理して、資格を取得するかどうか、検討してみてください。
3~5分ほどで読めるので、FP資格の取得を目指しているという銀行員の方は、ぜひご一読ください。
1. 銀行員がFPを取得するメリット
1) 昇進のために必要
2) お客様からの信頼に繋がる
3) 私生活にも役立つ
4) 1級は転職活動の際、強みになる
5) 資格取得手当てが付く
2. 銀行員がFPを取得するデメリット
1) 3級は行内・転職ともに評価されない
2) 2級を取得しても差別化にならない
3) 1級取得にはかなりの勉強が必要
3. 終わりに
4. まとめ
1. 銀行員がFPを取得するメリット
金融機関で働く銀行員がFPを取得するメリットは、もちろんあります。
大きく分けると、以下の5つです。
・お客様からの信頼に繋がる
・私生活にも役立つ
・1級は転職活動の際、強みになる
・資格取得手当てが付く
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
1) 昇進のために必要
昇進のための条件として、FP資格の取得を設定している銀行もあります。
最初の役職に上がる際に、FP2級が必須という銀行もあります。
また、支店長などの管理職になるために、FP1級が必要なところもあります。
いずれ必要になる資格なので、早い段階で取得しておいた方が、後々楽です。
若いうちは体力もあるし、子供がいない方も多いので、勉強する時間を確保しやすいでしょう。
子育てしながら仕事後に勉強するのは大変なので、できれば早く取得しておきましょう。
特に昇進したいと考えている方は、勉強が必要です。
銀行員にはFP資格以外にも、銀行業務検定や証券外務員、生命保険一般などの資格も求められるので、計画的に勉強を進めていきましょう。
2) お客様からの信頼に繋がる
FP資格を持っていると、お客様からの信頼に繋がります。
もし、あなたのもとに何の資格も持たない銀行員と、FP2級を持っている銀行員が来た場合、どちらの銀行員の話を聞きたいでしょうか。
FP資格を所有している銀行員の方が信頼でき、話を聞いてみたいと思うのではないでしょうか?
また、投資信託や生命保険の販売時も同様です。
FP資格がある銀行員とない銀行員の、どちらで契約したいと思うでしょうか?
FP資格を持っている銀行員から、契約したいと考える方が多いでしょう。
資格を持っていることで、お客様から信頼される可能性が高くなります。
業績アップの要因になりうるので、積極的に取得を目指していきましょう。
3) 私生活にも役立つ
FP資格は普段の仕事だけではなく、日常生活にも役立ちます。
医療費控除などの所得控除を利用したり、ふるさと納税をしたりして、節税も可能です。
また、お金に関する知識が身に付いてくると家計管理も上手になって、資産形成がしやすくなるでしょう。
保険や投資に関する知識もあるので、ライブプランに合わせて保険に加入したり、投資をスタートしたりできます。
これまでの教育課程では、お金について学ぶ機会がなく、マネーリテラシーが高い人は多くありませんでした。
一方で2022年からは、高校での金融教育が始まったように、政府もお金の教育が必要だという意志を示しています。
これまで金融教育を受けてこなかった方も、FPの勉強をすればマネーリテラシーは高まります。
金融知識が乏しいと、不要な保険に加入したり、手数料の高い商品を購入してしまったりする可能性があります。
自分の資産を守るためにも、FPの勉強をしてマネーリテラシーを高めておきましょう。
(参考「ファイナンシャルプランナーのメリットとは?日常生活にも役立つ!?」)
4) 1級は転職活動の際、強みになる
FP1級は難易度の高い資格なので、転職活動でも評価されます。
FP1級の合格率は10%程度と低いです。
しかも、誰でも受検できる試験ではありません。
(FP1級の受検資格)
受検資格 受検申請書の記入方法と添付書類 学科 2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 実務経験年数と2級合格証書の合格番号を記入 〃 FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者 実務経験年数を記入 〃 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者 合格した等級・コース名と受検した年月を記入 実技 1級学科試験の合格者 1級学科試験の一部合格番号を記入 〃 「FP養成コース」修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者 実務経験年数を記入し、修了証書の写しを添付 〃 日本FP協会のCFP認定者 CFP認定カードの写しを添付 〃 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者 CFP資格審査試験の結果通知書の写しを添付
出典:一般財団法人金融財政事情研究会「FP1級の受検資格と申請方法」
FP2級を保有していることや、実務経験が5年以上あることといった条件が並んでいます。
そのため、FP1級はそれなりに勉強してきた人が受検する、レベルの高い試験です。
それでも、合格率は10%ほど。
難易度が高い分、FP1級を保有していれば豊富な金融知識を所有していると評価されますので、転職活動の際には大きな強みになると言えるのです。
5) 資格取得手当てが付く
FP資格の取得で、資格取得手当てが付くことがあります。
自分の身になる知識を身に付けてお金が貰えるのは、非常に良い制度でしょう。
FP資格が評価されて給料に反映されるのは、金融機関で働く特権と言ってよいでしょう。
資格取得手当ての内容は、銀行によって異なります。
合格した際に一時金として額が支給される銀行もあれば、資格を保有することで常に資格手当が給料に付く銀行もあります。
長い期間働くのでれば、給料に手当てが上乗せされる方が、支給額は多くなります。
一方、転職を考えている方や定年が近いという方は、一時金で受け取った方がお得です。
銀行ごとに異なるので、行内の規定を確認しておきましょう。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2. 銀行員がFPを取得するデメリット
メリットを紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。
FP資格を取得するデメリットは、以下の3つです。
・2級を取得しても差別化にならない
・1級取得にはかなりの勉強が必要
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
1) 3級は行内・転職ともに評価されない
FP3級は、銀行内・転職活動の両方で、評価されにくいです。
なぜなら、比較的取得しやすい簡単な資格だからです。
FP3級の取得に要する勉強時間は、約50時間と言われています。
平日の仕事終わりに2時間勉強を続けた場合、1週間で10時間勉強できます。
そのため、5週間で目安の50時間に到達するので、資格取得にかかる期間は約1か月です。
1か月の勉強期間で取得できる資格は簡単な部類に入ってしまい、評価されにくいです。
また、銀行員の大半がFP3級を取得している、と言っても過言ではないでしょう。
最低限の資格として、入社前の内定者期間に3級の取得を促進している銀行もあるほどです。
3級を持っているから人事評価が良くなる、ということは基本的にないと思っておいた方が、良いのかもしれません。
2) 2級を取得しても差別化にならない
FP2級も3級と同様に、取得しても銀行内での差別化になりません。
最初の昇格の際に、FP2級を条件にしている銀行もあるので、保有している銀行員は多いです。
そのため、2級を持っているからといって、評価がプラスに働くことはあまりないでしょう。
とはいえ、2級の取得には約200時間の勉強時間が必要と言われています。
平日の2時間を勉強にあてて、1週間で10時間勉強すると仮定します。
200時間確保するには20週間必要なので、資格取得までに4か月~5か月ほどかかります。
4か月以上継続して勉強するのは、かなり大変です。
しかも、取得しても銀行内では差別化にならないとなると、勉強意欲もそがれてしまうかもしれません。
昇進のために必要だと割り切って、コツコツ勉強していきましょう。
(FP3級と2級については「FP3級、2級で学べることとは?勉強するべき内容は多い?」も合わせてご確認ください。)
3) 1級取得にはかなりの勉強が必要
FP1級は合格率約10%の難関資格です。
そのため、取得するにはかなりの勉強期間を確保する必要があるでしょう。
FP1級を取得するための目安は、約600時間と言われています。
① 平日の仕事終わりに2時間勉強して週に10時間勉強する場合
10時間×60週=600時間
取得にかかる期間は60週なので、1年以上かかる計算になります。
1年もの間、勉強を継続するのは難しいでしょう。
② 平日2時間+休日3時間の勉強で週に16時間勉強する場合
16時間×37.5週=600時間
37.5週なので10か月ほどが目安になります。
600時間も勉強する大変さが、お分かりいただけたでしょうか?
難易度の高いFP1級を取得するには、かなりの勉強時間が必要です。
遅くとも半年前には勉強を始めておきたいので、取得を考えている方は、前もって計画的に勉強を進めていきましょう。
3. 終わりに
銀行員がFP資格を取得するメリットとデメリットについて紹介してきました。
金融機関で働く以上、FP資格を取っておいて損はないでしょう。
昇進のために必要だったり、お客様から信頼してもらうために役立つ上に、業務・私生活ともに活かせる資格です。
とはいえ、デメリットもあります。
メリットとデメリットを比較して、銀行員がFPを取得するメリットの方が大きいと感じた方は、ぜひFP試験を受検してみてください。
4. まとめ
◆資格がある方が顧客から信頼される。
◆自らの資産形成・家計管理に役立つ。
◆1級は転職の際にも評価される。
◆資格取得で資格手当がもらえる。
◆3級は行内・転職共に評価されない。
◆2級を取得しても差別化できない。
◆1級の取得には600時間とかなりの勉強時間が必要。