公認会計士論文式試験の攻略ポイント!的を絞る?書きまくる?

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公認会計士試験の最終関門である、論文式試験。

短答のことで頭がいっぱいで、ついつい論文の対策は後回しにされがちです。

ただ、論文の準備を全くしていないと、そのこと自体が大きな不安を生んでしまいます。

そのためまずは、論文式試験攻略のポイントだけでも押さえて、試験に対する不安を軽減することが大切です。

そこで今回は、論文式試験に一発合格した筆者が、自身の経験をもとに、論文攻略のポイントについて解説していきます。

筆者の情報
・公認会計士
・論文式試験一発合格
・監査法人➡経理に出向➡ベンチャー➡自営業

 

 

1. 私の論文式試験の体験記

私の論文式試験の体験記

まずはじめに、私の論文式試験の受験体験記について、簡単にお伝えしておきます。

 

1) 短答4回、論文1回

「論文式試験一発合格」と聞くと、さぞかし優秀な人間なのでは?と思うかもしれませんが、私自身は全く優秀ではありません。

と言いますのも、最終合格するまでに膨大な勉強時間を費やしており、短答式試験には4回目で何とか合格したほどでした。

(短答式試験の体験記については、「公認会計士の短答式試験に4回目で合格した私の体験談&攻略法3選」をご参照ください。)

 

2) 短答前に論文はほぼ対策できず

令和3年度試験から、短答式試験が年1回になっておりますが、私が受験した時は12月と5月の年2回あり、私が合格したのは12月の試験でした。

12月の短答式試験に合格したのであれば、8月の論文式試験までしっかりと対策をとれて有利だったのでは?と思われたかもしれません。

確かにそう考えられなくもないのですが、一方で、12月の短答式試験までは、ほとんど論文式試験の対策をとることができませんでした。

ただ、今後は短答式試験が5月の年1回となるため、事前に論文式試験の勉強をしておく必要があります。(あるいは初回は短答式試験に特化するという考え方もあります。詳細は後述します。)

 

3) 使用したのは予備校の教材のみ

私が論文式試験の対策で使用したのは、予備校の教材だけでした。

予備校の教材「だけ」と言っても膨大な量があり、予備校の教材以外をこなす余裕がなかったのが実情です。

ただ、結果的には自分が通っていた予備校の教材のみで、全く問題ありませんでした。

へたに他社の教材や市販の教材、試験委員の著書などに手を出していたら、全てが中途半端に終わって、合格できなかったと思います。

 

2. 論文式試験の攻略ポイント

論文式試験の攻略ポイント

それでは、具体的な論文式試験の攻略ポイントについて、見ていきましょう。

 

1) 短答特化するか否かを決める

公認会計士論文式試験の1つ目の攻略ポイントとしては、「短答特化するか否かを決める」ことが考えられます。

「論文の攻略ポイントではないの?」と思われたかもしれません。

ただ、公認会計士試験というのは短答対策と論文対策の2つのバランスを考えながら勉強する必要があり、「短答式試験をいかにして乗り切るのか?」というのは、立派な論文式試験の対策と言えるのです。

特に、2021年試験から短答式試験が5月の年1回となり、短答後に論文に向けて勉強する十分な時間がとれないため、多くの受験生は短答前に論文の勉強をすることとなります。

しかし、その結果として短答の勉強が不十分となり、短答に合格できなければ、元も子もありません。

そのため、初回は短答式試験に特化して、論文は2回目で合格するというのも、1つの考えと言えます。

短答特化の詳細については、「公認会計士試験の短答免除を狙って短答特化するメリット・デメリット」をご参照ください。

以上より、「短答特化するか否かを決める」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

 

2) 租税法は1分野に手を付ける

公認会計士論文式試験の2つ目の攻略ポイントとしては、「租税法は1分野に手を付ける」ことが考えられます。

短答式試験に特化しない場合は、早い段階から論文式試験の勉強に、取り掛かる必要があります。

ここで問題となるのが、論文式試験でしか出題されない、「租税法」と「選択科目」を短答前にどの程度やるのか?といった点です。

この点、選択科目(経営学を前提としております。)に関しては、短答後でも十分間に合うため、先に勉強しておく必要はありません。

他方で、租税法については、とりあえず1つの分野を短答前にやっておくことを、おすすめいたします。

租税法は、「法人税法」「所得税法」「消費税法」の3分野から構成されており、非常に範囲が広いです。

そのため、中途半端に全部に手を出して、短答後にほとんど忘れてしまうよりは、例えば消費税法だけでも短答前にある程度のレベルまでもっていった方が、短答後の負担が少なくなります。

もちろん事前に3分野ともそれなりのレベルに持っていけるなら、それに越したことはないですが、普通は無理です。(そもそも予備校のカリキュラムが対応していないケースも多いです。)

一方で、全くやらないと短答後に勉強を始めても間に合わない可能性が高く、かつ、「租税法を全くやってないけど大丈夫だろうか…」といった不安が短答前からつきまとう可能性があります。

以上より、「租税法は1分野に手を付ける」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

 

3) 的を絞る

公認会計士論文式試験の3つ目の攻略ポイントとしては、「的を絞る」ことが考えられます。

的を絞るというと、「勘に頼るの?運任せ?」と考える人もいますが、的を絞ることは立派な戦略です。

そもそも論として、公認会計士試験の範囲は非常に広く、全範囲を論述できるレベルまで持っていくには、時間がいくらあっても足りません。

さらに言えば、受験生が利用する予備校の教材・講義は、膨大な試験範囲から大切な論点・出題されそうな論点を抽出したものであり、つまりは的を絞っていることに他なりません。

具体的な方法としては、テキストのうち講師が指摘した論点や、答練で出題された論点のうち、さらに自分が大切だと思った箇所を、まずは重点的に勉強してください。

注意点としては、的を絞って最小限の範囲だけをやればいいという訳ではなく、徐々に的を広くしていき、できる限り多くの範囲を勉強することです。

結局全範囲をやるのと一緒なのでは?と思われたかもしれません。

しかし、「どこが大切なのか?」「どこが出題されそうか?」といった観点でインプットするのと、全範囲を満遍なくインプットするのとでは、インプットの質が全く異なります。

また、時間が足りず的を絞った特定の論点しか勉強できなかったとしても、その論点が出題されれば合格点をとることができますが、満遍なく中途半端に勉強した場合は、何の論点が出題されても合格点をとることができません。

うまく的を絞れば、2回論文を受験すれば1回は合格できるレベルまでには持っていけますので、ぜひ恐れずに的を絞ってみてください。

以上より、「的を絞る」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

★1つ当たれば合格が見えてくる!
私が論文式試験に合格した時も、的を絞って勉強していた企業法の「組織再編:株式交換」が、見事に出題されました。

そのおかげで、企業法は2桁順位をとることができ、結果的に企業法の点数が総得点を大きく底上げしてくれました。

全科目のうちたった1問予想が当たるだけでも、大きなアドバンテージになるのです。

 

4) 理論は重要な一文から暗記する

公認会計士論文式試験の4つ目の攻略ポイントとしては、「理論は重要な一文を暗記する」ことが考えられます。

短答式試験はマークシート形式のため、各論点のキーワードだけを暗記すれば、ある程度点数をとることができます。

これに対して論文式試験では、キーワードだけを暗記しても文章を書くことができず、ほとんど点数をとることができません。

、、、と言うと、「やはり文章を丸暗記する必要があるのか…」と気が重くなる人が多く、ここが論文の勉強で挫折しやすいポイントの1つと言えます。

ただ、文章を丸暗記する必要はありません。

というか、前述の通りある程度的を絞ったとしても、文章を全て丸暗記するのは凡人には無理です。

そこでおすすめしたいのが、文章の中でも重要な一文から暗記する方法です。

例えば企業法で言えば、「趣旨」などが暗記すべき一文となります。

前述の的を絞ると同じで、一文を暗記するだけでいいのではなく、最終的には全体的に理解し、暗記する必要があるのですが、いきなりは無理です。

そのため、まずは最重要の一文だけを暗記して文章に濃淡をつけることで、効率的に暗記・理解することが可能となるのです。

以上より、「理論は重要な一文を暗記する」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

(暗記については、「公認会計士試験の暗記のコツ6選!」も合わせてご確認ください。)

 

5) 変化球に対応するため理解する

公認会計士論文式試験の5つ目の攻略ポイントとしては、「変化球に対応するため理解する」ことが考えられます。

前述の「暗記」は、ある程度定型的な問題には通用します。

一方で、変化球、つまりは少しひねった問題が出題された場合、暗記した内容は解答を作り出す具材にはなっても、その論点を「理解」していないと、調理方法がわからず解答を作成することができません。

そのため、一文を暗記するだけでなく、前提として理解しておく必要があるのです。

とは言えあまり難しく考える必要はなく、以下をただひたすら繰り返すだけです。

テキストの読み込み
⇒理解できないところを見つける
⇒自分なりに解釈してみる
⇒講師に質問する

注意点として、わからなくてもいきなり質問をするのは、避けた方がいいです。

自分で考えるクセが付かず、誰も助けてくれない論文式試験本番で、解答を作り出す能力が落ちていくためです。

以上より、「変化球に対応するため理解する」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

 

6) 実際に解答を書いてみる

公認会計士論文式試験の6つ目の攻略ポイントとしては、「実際に解答を書いてみる」ことが考えられます。

論文式試験は短答式試験とは異なり、解答を論述する必要があります。

そこで悩むのが、「普段の勉強でも本番と同じく手を動かして、実際に解答を書いた方がいいのか?」といった点ではないでしょうか?

文章を考えながら書くというのは、想像以上に時間がかかる作業であり、勉強時間を圧迫してしまう可能性があります。

公認会計士試験の勉強時間は3,000時間?私は3倍必要でした」でお伝えしている通り、公認会計士試験というのは膨大な勉強時間を必要としますので、勉強時間を圧迫することは致命傷となりかねません。

ただ、このデメリットを加味しても、定期的に実際に書いてみることを、おすすめいたします。

主な理由は、以下となります。

【本当に解答できるか?の確認】
理解していることと、実際に解答できることは、似て非なるものです。

頭の中で「この問題は解ける」と思っていても、実際に書いてみると解答に詰まるということは、往々にしてあります。

そのため、実際に書いてみて、本当に解答できる実力があるのか否か、確認する必要があります。
【書くペースを体に覚え込ませる】
論文式試験は時間があるように見えて、実際は時間が足りなくなりやすい試験です。

そのため、試験本番では自分の筆記スピードを把握した上で解答を作成しないと、時間切れとなってしまいます。

普段から実際に書いてみて、「このくらいのペースで書けば、時間内に解答できる」といった、肌感覚を掴んでおく必要があるのです。

以上より、「実際に解答を書いてみる」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

 

7) 計算問題を毎日やる

公認会計士論文式試験の7つ目の攻略ポイントとしては、「計算問題を毎日やる」ことが考えられます。

計算問題は短答式試験でもしっかりと対策をとるため、論文式試験に向けて油断をしてしまう人が一定数います。

ただ、特に簿記に言えることですが、「簿記はスポーツ」という言葉がある通り、計算問題は毎日の反復がモノを言う世界です。

極端な話を言えば、1日やらなければ取り戻すのに2日必要となる、くらいの感覚で考えておいた方が無難です。

逆に言えば、毎日少しずつでもいいので計算問題を積み重ねることで、少なくとも合格点ギリギリくらいの実力は付きますので、油断せずにコツコツやっていきましょう。

以上より、「計算問題を毎日やる」ことは、論文式試験攻略のポイントとなります。

★おすすめ公認会計士予備校
公認会計士である筆者が、コストパフォーマンスの観点から、以下の5つの公認会計士予備校を比較してみました。

・大原
・TAC
・東京CPA
・LEC
・クレアール

詳細については「公認会計士の予備校比較ベスト5!会計士がコスパ重視で選んでみた」をご参照ください。

 

3. 論文式試験の心構え

論文式試験の心構え

最後に、論文式試験の勉強をするにあたり、押さえておきたい心構えについて、お伝えしていきます。

 

1) 高得点より合格点

1つ目の論文式試験の心構えは、「高得点より合格点」です。

高得点・高順位を狙って完璧に仕上げようとして勉強計画が破綻するよりも、合格点を狙って的を絞った方が結果的に早く合格できます。

実務において試験の点数や順位は全く関係なく、1年でも早く合格する方がはるかに大切なこととなりますので、高得点よりも合格点を目指してください。

以上より、「高得点より合格点」は、論文式試験の心構えと言えます。

 

2) 当たり前を当たり前にする

2つ目の論文式試験の心構えは、「当たり前を当たり前にする」ことです。

論文式試験では、受験生の多くが解ける問題を解ければ、合格することができます。

「それだけでは合格できないのでは?」と思うかもしれませんが、そういう人のほとんどは、当たり前の問題を1問も落とさないレベルまで勉強できていません。

特殊な論点を勉強する必要はなく、誰でも解ける問題を1問も落とさない、といった心構えで臨めば、きっと合格することができます。

以上より、「当たり前を当たり前にする」ことは、論文式試験の心構えと言えます。

 

3) 手ごたえは基本的にない

3つ目の論文式試験の心構えは、「手ごたえは基本的にない」ことです。

私自身の経験談ですが、実は合格するまで一度たりとも、手ごたえを感じたことがなかったです。

謙遜しているわけではなく、答練・模試・試験本番のどれも、手ごたえを感じませんでした。

勉強をやれどもやれども手ごたえを感じられなければ、誰しも焦ってしまいそうですが、全く焦る必要はありません。

勉強を積み重ねているのであれば、合格に必ず近づいています。

以上より、「手ごたえは基本的にない」ことは、論文式試験の心構えと言えます。

 

4. 終わりに

論文式試験の攻略ポイントについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

論文はポイントさえ押さえれば、案外短答よりも簡単に感じるかもしれません。

過度に恐れることなく、必要な論文対策を積み重ねていきましょう。

 

5. まとめ

Point! ◆短答特化するか?否か?
◆租税法は1分野を先にやる。
◆的を絞って勉強する。
◆理論は一文から暗記する。
◆変化球対策として理解も大切に。
◆定期的に解答を書く。
◆計算は毎日少しずつ。
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