経理が中小企業診断士を目指す4つのメリット

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「経理が中小企業診断士を目指しても意味ないのかな。。」

経理としてのキャリアに行き詰まりを感じた際に、中小企業診断士を一つの選択肢として考える人もいるかと思います。

ただ、本当に中小企業診断士を目指して意味があるのかわからず、目指すのをやめてしまう人が多いのも事実です。

しかし、経理が中小企業診断士を目指すことには、いくつものメリットがあります。

そこで今回は、経理が中小企業診断士を目指す4つのメリットについて、お伝えしていきます。

経理としてのキャリア・スキルを充実させるためにも、本記事の内容をもとに、中小企業診断士を目指すか否か判断してみてください。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・中小企業診断士講座の元運営責任者
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 経理が中小企業診断士を目指す4つのメリット

経理が中小企業診断士を目指す4つのメリット

1) ビジネスを理解できる

経理が中小企業診断士を目指す1つのメリットとしては、「ビジネスを理解できる」ことが挙げられます。

営業やマーケティングといった、ビジネスの現場からの各種データを集計し、会社の現状を表す数値を作成する役割を持つのが、経理です。

経理のもとに集まってくるのは、あくまで数値情報ですが、その背景には当然のことながら、実際のビジネスの動きがあります。

例えば、掛けで100万円の商品を取引先に販売した場合、

借方 貸方
売掛金 100万円 売上 100万円

という処理を経理では行いますが、その背景には、

「なぜその取引先に売れたのか?」

「なぜその商品が売れたのか?」

といった、実際のビジネスの動きを、経理としてスキルアップするためには、理解する必要があるのです。

会社のビジネスそのものを理解したい場合、一番早いのは営業やマーケティングにJOBチェンジすることですが、簡単ことではありません。

そこでおすすめしたいのが、中小企業診断士試験の勉強となります。

あくまで机上の理論ではありますが、経営コンサルタントとして必要な、ビジネスに関する知識を学ぶことができます。

中小企業診断士試験で学ぶことができる土台となる理論を、自社の状況に当てはめてみることで、活きたビジネスを学ぶことが可能となります。

幸いなことに経理の場合は、必要な数値情報は全て集まってくるので、活きた題材が手元にたくさんあります。

また、中小企業診断士となりビジネスについて理解することで、以下のようなメリットもあります。

 

① CFOを目指すことができる

経理財務のトップであるCFO。

経理となったからには、最終的なキャリアとしてCFOを思い描いている人も、一定数いるのではないでしょうか?

ただ、CFOには単なる経理財務の知識だけでなく、会社のビジネスを理解して、経理財務面から経営戦略を練る能力も要求されます。

この点、中小企業診断士としてビジネスを理解した経理であれば、CFOとしての資質を備えていると言えます。

 

② 他部署とのコミュニケーションの円滑化

前述の通り、経理は他部署から情報を集める必要があり、必然的に他部署との多くのコミュニケーションが発生します。

ただ、経理は会社のお金周りの最後の番人と言われ、他部署に対してダメなものはダメと突っぱねる役割も担っており、他部署から疎まれやすいポジションであることも事実です。

他部署からしても、「経理はビジネスを理解していないから、黙っていてほしい。」と考えてしまいがちです。

この点、中小企業診断士試験を通じて経理がビジネスに対する理解を深めることで、他部署に対して歩み寄ることができるようになり、また、他部署の人からも歩み寄る姿勢を見せてくれる可能性があります。

 

以上より、「ビジネスを理解できる」ことは、経理が中小企業診断士を目指すメリットと言えます。

 

2) 自社以外の人脈ができる

経理が中小企業診断士を目指す2つのメリットとしては、「自社以外の人脈ができる」ことが挙げられます。

経理は社内のコミュニケーションは比較的多いですが、社外の人とのコミュニケーションの機会はかなり少ないです。

社内の人とのコミュニケーションだけになると、モノの考え方や得られる知識が、限定的なものとなってしまいます。

また、自分のキャリアを考えた場合でも、外部の人の意見を聞いた方が、今の会社内での出世以外の、柔軟なキャリアを検討することが可能となります。

この点、「中小企業診断士の5つの魅力」で紹介している通り、中小企業診断士になれば、以下のような社外の人脈を持つことが可能となります。

・中小企業診断士との人脈。
・中小企業の社長、社員との人脈。
・他士業との人脈。
・上記の人達から紹介される人脈。

中小企業診断士は、社外の人的ネットワークを形成できるという点でも、おすすめの資格となります。

以上より、「自社以外の人脈ができる」ことは、経理が中小企業診断士を目指すメリットと言えます。

 

3) 仕事の幅が広がる

経理が中小企業診断士を目指す3つのメリットとしては、「仕事の幅が広がる」ことが挙げられます。

中小企業診断士の1次試験は、以下の科目から出題されます。

A. 経済学・経済政策
B. 財務・会計
C. 企業経営理論
D. 運営管理
E. 経営法務
F. 経営情報システム
G. 中小企業経営・政策

上記を見ていただければわかるように、経営コンサルの国家資格である中小企業診断士の試験では、非常に多岐にわたる内容を学習することが可能となります。

そのため、経理が中小企業診断士を取得した場合は、対応できる仕事の幅が広がり、自分の市場価値を高めることができるのです。

具体的な仕事の幅の広がりとしては、例えば以下のようなものがあります。

・経理業務において、今までと違った経営視点での意見を求められる。
・手を挙げれば、経理以外の仕事にも携われる可能性がある。
・経営企画などの経理以外の仕事を依頼されるケースもある。
・副業として自分で事業を立ち上げることもできる。

以上より、「仕事の幅が広がる」ことは、経理が中小企業診断士を目指すメリットと言えます。

 

4) 財務会計を得意分野にできる

経理が中小企業診断士を目指す4つのメリットとしては、「財務会計を得意分野にできる」ことが挙げられます。

前述の通り、中小企業診断士試験の科目の中には、「財務会計」があります。

中小企業診断士試験において、財務会計は苦手とする人が多い一方で、勉強した分だけ点数に反映されやすく、得意分野となりやすい科目でもあります。

この点、経理であれば、財務会計はまさに普段の業務で触れている内容であり、試験において得点源にすることが可能となります。

財務会計の過去問を一部抜粋しておきますので、「この程度であれば少し勉強すれば解けそう」という手ごたえを感じ取ってください。

決算日における当座預金勘定の残高は 960,000 円であったが、取引銀行から受け取った残高証明書の残高と一致していなかった。そこで、不一致の原因を調べたところ以下の事項が判明した。
・決算日に現金 60,000 円を当座預金口座へ預け入れたが、銀行の営業時間外のため、銀行側は翌日付の入金としていた。
・買掛金支払いのため振り出した小切手 30,000 円が、先方に未渡しであった。
・受取手形 20,000 円が取り立てられていたが、通知が未達であった。
このとき、銀行の残高証明書に記載されていた残高として、最も適切なものはどれか。

ア 890,000 円
イ 950,000 円
ウ 1,010,000 円
エ 1,070,000 円

(2019年 1次試験 財務会計 第4問)

以上より、「財務会計を得意分野にできる」ことは、経理が中小企業診断士を目指すメリットと言えます。

★おすすめ通信講座
中小企業診断士講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座のコストパフォーマンスを比較して、おすすめ2つのメリット・デメリットについて解説してみました。

・TAC
・スタディング
・診断士ゼミナール
・クレアール
・LEC
・アガルート
・フォーサイト

詳細は「中小企業診断士の通信講座おすすめ2選!元講座運営者が比較します」をご確認ください。

 

2. 経理におすすめの資格(その他)

経理におすすめの資格(その他)

ここでは、中小企業診断士以外の経理におすすめな資格について、2つお伝えしていきます。

 

1) ビジネス会計検定

「ビジネスを理解できるスキルがほしいけれども、そんなに試験勉強に時間をかけられない。。」

そんな人におすすめしたいのが、ビジネス会計検定です。

より短期間でビジネスを理解するスキルを得ようと考えた場合、経理の得意分野である財務会計に特化して、財務諸表を分析する力を身に付けるのが、費用対効果が高い方法と言えます。

簿記検定が財務諸表を「作成する」スキルを学ぶのに対して、財務諸表を「分析する」スキルを学ぶことができるのが、ビジネス会計検定となります。

基本的な財務諸表分析に対する理解を養うのであれば、ビジネス会計検定2級までの学習で問題ございません。

中小企業診断士ほど多岐にわたるビジネス理解はできませんが、中小企業診断士試験合格に必要な1,000時間という膨大な時間をかけずに、200時間程度の勉強時間で合格することが可能となります。

ビジネス会計検定の勉強時間については、「ビジネス会計検定の勉強時間・勉強期間はどのくらい??」をご参照ください。

 

2) 簿記検定

経理におすすめしたい2つ目の資格は、簿記検定です。

経理にとって一番身近な資格である、簿記検定。

にもかかわらず、意外にまだ受けていない人も、多いのではないでしょうか?

確かに経理の場合、実務の中で学べば問題ないと考え、簿記検定を受験しないのも1つの選択肢です。

ただ、実務で担当するのは、あくまで経理業務の一部です。

経理としてスキルアップしていくには、今やっている業務が全体の中でどのような位置づけなのかを、理解する必要があります。

この点、簿記検定であれば、1つ1つの仕訳から決算書作成までの、一連の流れを学ぶことができます。

ビジネス会計検定と同様に、実務の中で活かすことを考えれば、2級までの取得がおすすめであり、200時間程度の勉強時間があれば、十分合格可能となります。

簿記検定の勉強時間については、「簿記3級・2級の勉強時間は?一ヶ月・二ヶ月での合格は可能?」をご参照ください。

 

3. 終わりに

経理が中小企業診断士を目指すメリットについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

中小企業診断士試験は簡単な試験ではありませんが、経理が目指すだけの価値は十分にあります。

この機会に、経理としてキャリアアップするために、中小企業診断士を目指してみてはいかがでしょうか?

 

4. まとめ

Point! ◆ビジネス理解。
◆社外人脈の形成。
◆仕事の幅の拡大。
◆1次試験の財務会計において有利。

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