中小企業診断士の独学は無理?独学を選ぶ前に考えるべき4つのこと

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「中小企業診断士試験の独学合格は無理です。」

中小企業診断士試験の勉強をしている人であれば、一度はこのような言葉を見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

結論からお伝えすると、中小企業診断士試験の独学での合格は、十分可能です。

ただ、「本当に自分は独学で良いのか?」を判断するために、独学を選択する前に、ぜひ考えていただきたいことがあります。

そこで今回は、独学を選ぶ前に考えるべき4つのことについて、お伝えしていきます。

また、後半では、独学の場合・予備校利用の場合、それぞれのコツについても解説しておりますので、ぜひご一読ください。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・中小企業診断士講座の元運営責任者
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 中小企業診断士試験の独学は無理?

中小企業診断士試験の独学は無理?

1) 半数程度は独学で合格している?

受験生の中で、独学で勉強している人がどの程度の割合なのか、公表されているデータはありません。

ただ、私が今まで関わってきた中小企業診断士の人達や、合格者のデータを収集しているサイトなどからの情報を総合的に判断すると、合格者のうち半数程度は独学で合格しているのではないかと考えられます。(中小企業診断士講座を販売する会社で、以前数年働いていた際に、多くの中小企業診断士の人達と関わりました。)

つまり、独学での中小企業診断士試験合格は、十分可能だと考えられます。

 

2) 独学合格が可能な理由

それでは、なぜ中小企業診断士試験は、独学での合格が可能なのでしょうか?

考えられる主な理由について、以下で順に解説していきます。

 

① 市販教材の充実

中小企業診断士試験の独学合格が可能な1つ目の理由としては、「市販教材の充実」が挙げられます。

公認会計士試験などは、一般的に独学での合格が難しい試験と言われており、その主な理由として、市販教材がそもそもほとんど販売されていないことが考えられます。

一方で中小企業診断士試験の場合は、合格するために必要な内容が網羅された、市販教材が販売されております。

特に、定番であるTACの「スピードテキスト」「スピード問題集」が、毎年販売されている点は、独学を大きく後押ししております。

以上より、「市販教材の充実」は、中小企業診断士試験の独学合格が可能な理由と言えます。

 

② 過去問からの出題

中小企業診断士試験の独学合格が可能な2つ目の理由としては、「過去問からの出題」が挙げられます。

科目にもよりますが、中小企業診断士の1次試験の問題は、過去問と同じような内容が、毎年多く出題されます。

つまり、独学でもある程度出題予想ができ、また、過去問を解くことで試験対策が可能となります。

反対に、過去問からの出題が少ない資格試験の場合は、出題予想に基づいた予備校の講義を視聴することが、合格への近道となります。

以上より、「過去問からの出題」は、中小企業診断士試験の独学合格が可能な理由と言えます。

 

③ 科目合格制度

中小企業診断士試験の独学合格が可能な3つ目の理由としては、「科目合格制度」が挙げられます。

中小企業診断士の1次試験は、以下の7科目が出題されます。

A. 経済学・経済政策
B. 財務・会計
C. 企業経営理論
D. 運営管理
E. 経営法務
F. 経営情報システム
G. 中小企業経営・政策

このうち、1科目でも60点を超える科目があった場合は、その科目について翌2年間試験が免除されます。

つまり、独学により非効率的な勉強をしてしまった場合でも、数科目に絞って対策を行うことで、数年かけて合格を勝ち取ることが十分可能となります。

以上より、「科目合格制度」は、中小企業診断士試験の独学合格が可能な理由と言えます。

 

3) 独学はリスクが高い?

中小企業診断士試験のような難関試験ともなると、もともと勉強が得意であり、独学で問題ない人達も多く受験しており、合格者の中でも一定の割合を占めていると考えられます。

ただ、このような勉強がもともと得意な一部の人達を除いた、大多数の一般的な受験者が独学を選択することは、以下のリスクがあります。

・合格可能性が下がる。
・その結果として、受験期間が長期化する。

そのため、独学を選択するか否か、慎重に判断する必要があります。

次項では、独学を選択する前に考えてほしいことを、4つに絞って解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

2. 独学を選ぶ前に考えるべき4つのこと

独学を選ぶ前に考えるべき4つのこと

1) なぜ独学を選ぶのか?

1つ目の独学を選ぶ前に考えるべきことは、「なぜ独学を選ぶのか?」についてです。

独学を選ぶ理由を明確にしていないと、後から独学を継続するかどうか迷った際に、判断がぶれてしまいます。

また、理由次第では、独学よりも良い選択肢があるかもしれません。

例えば、独学を選ぶ理由としては、以下のようなものが考えられます。

① お金を節約するため。
② 自分のペースで勉強したいため。
③ 自由な場所で勉強したいため。

ただ、上記の理由は、以下のように捉えることもできます。

① 複数の教材や模試に手を付けてしまい、結果として独学でも数万円程度の出費が発生してしまうので、数万円で受講できる予備校と大差がない。

② 中小企業診断士試験は科目数が多く、自分一人で効率的に勉強するのは至難の業であり、自由に勉強できることは必ずしも独学のメリットではない。

③ オンライン予備校の場合、インターネットに接続できる場所であれば、独学と同様に自由な場所で勉強できる。

自分が何のために独学を選択しようとしているのか、今一度考える必要があります。

以上より、「なぜ独学を選ぶのか?」については、独学を選ぶ前に考えるべきことと言えます。

 

2) 過去に独学で成功した経験はあるか?

2つ目の独学を選ぶ前に考えるべきことは、「過去に独学で成功した経験はあるか?」についてです。

独学は、人による向き・不向きはあります。

人から教わるよりも自分一人で勉強した方が成果を出しやすい人もいれば、人から教わった方が成果を出せる人もいます。

ただ注意していただきたいのは、一人で勉強するのが「好きか?」、誰かに教わるのが「嫌いか?」といった、好き嫌いで判断しないことです。

人に教わるのが嫌いな人でも、過去に人から教わって結果を出した経験があるのであれば、人から教わる方が向いているかもしれません。

反対に、独学が嫌いでも、過去に独学で成功した経験があるのであれば、独学の方が向いているかもしれません。

好き嫌いではなく、客観的な事実として、独学に向いているか否か判断する必要があります。

以上より、「過去に独学で成功した経験はあるか?」については、独学を選ぶ前に考えるべきことと言えます。

 

3) 難易度・合格率を理解しているか?

3つ目の独学を選ぶ前に考えるべきことは、「難易度・合格率を理解しているか?」についてです。

中小企業診断士試験の難易度を理解していない状態で、独学を選択するのは望ましくありません。

中小企業診断士試験の専任講師に教わることができる予備校よりも、独学の方が合格可能性は低くなります。

つまり、想像していたよりも試験の難易度が高く、独学のままでは合格できないかもしれないと後から気付き、無駄な時間を過ごす可能性があります。

そうならないためにも、事前に難易度・合格率について正しく把握しておく必要があります。

中小企業診断士試験の難易度・合格率の詳細については、「中小企業診断士試験の難易度・合格率は?」をご確認ください。

以上より、「難易度・合格率を理解しているか?」については、独学を選ぶ前に考えるべきことと言えます。

 

4) 周りの協力は得られるか?

4つ目の独学を選ぶ前に考えるべきことは、「周りの協力は得られるか?」についてです。

予備校を利用する場合であれば、良くも悪くも周りから、とりあえず勉強していると思われます。

そのため、周りの人の協力は得られないにしても、邪魔をされる可能性は少ないです。

また、少なくとも、予備校という協力者を得ることができます。

一方で独学の場合は、「独学で本当に大丈夫?」「ちゃんと勉強しているの?」という目で見られる可能性があります。

もちろん周りの目は無視すればいいのですが、独学の場合は自分自身も本当に大丈夫なのか不安に陥ってしまいやすいため、周りの声に必要以上に足を引っ張られやすいです。

そのため、独学を始めるのであれば、最低限一人は自分を応援してくれる人を用意しておく必要があります。

逆に言えば、周りが反対する人ばかりであれば、独学での勉強は見直した方が良いかもしれません。

以上より、「周りの協力は得られるか?」については、独学を選ぶ前に考えるべきことと言えます。

 

3. 独学のコツ

独学のコツ

独学を選ぶ前に考えるべきことについて解説してきましたが、以上を踏まえても、やはり独学で頑張りたいという結論に達するかもしれません。

そんな人のために、ここでは独学で勉強するためのコツについて、4つお伝えしていきます。

 

1) テキスト・問題集を厳選する

1つ目の独学のコツとしては、「テキスト・問題集を厳選する」ことが考えられます。

中小企業診断士試験は科目数が多く、用意すべきテキスト・問題集の量も多いです。

予備校を利用する場合であれば、予備校側がテキスト・問題集を用意してくれるため問題ありませんが、独学の場合は自分で準備する必要があります。

そして大切となるのは、1つの教材を信じて使い続けることです。

隣の芝は青く見えるもので、自分とは違う教材を使っている人達を見て、「あっちの方が合格しやすいのかな。。」と不安になることも、独学の場合は多いです。

ただ、複数の教材に手を出して、全ての達成率が60%程度に終わるくらいであれば、1つの教材を80%やり切った方が、合格可能性は高いです。

では具体的にどの教材を選べばいいのか?と言うと、定番中の定番ですが、以下の教材がおすすめとなります。

(1次試験対策については、全7科目のうち財務会計の教材についてのみ、以下で紹介しております。)

 

①【1次試験】テキスト

2024年度版 最速合格のためのスピードテキスト 2財務・会計

②【1次試験】問題集

2024年度版 最速合格のためのスピード問題集 2財務・会計

③【1次試験】過去問

2024年度版 最速合格のための第1次試験過去問題集 2財務・会計

④【2次試験】

中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案 エピソード16(2023年版)

以上より、「テキスト・問題集を厳選する」ことは、独学のコツと言えます。

 

2) 過去問を使い倒す

2つ目の独学のコツとしては、「過去問を使い倒す」ことが考えられます。

中小企業診断士試験は、過去問に始まり過去問に終わります。

とにかく過去問を解いて、解いて、解きまくることが、独学合格への近道となります。

過去問は以下の2点を意識しながら、使い倒してください。

 

① 過去問は3つの場面で使用する

過去問と聞くと、試験直前の実力試しのみに使う人も多いかもしれません。

ただ、実は過去問には、3つの使い時があります。

1つ目のタイミングは、勉強を開始する時です。

この段階では過去問を「解く」というよりは、過去問を「見て」ください。

できれば3年分程度事前に見ておくことで、勉強を開始した時に「あっ、、何か見たことあるな!」という論点を増やすことができ、試験で問われる勘どころを把握することができます。

2つ目のタイミングは、テキストでインプットを行った直後です。

アウトプット教材として、過去問は非常に優れており、テキストで扱った箇所について、すぐに過去問を解くべきです。

3つ目のタイミングは、総まとめの時です。

一通り学習が終わったら、実力試しとして過去問を利用してください。

1つ目・2つ目で使用した過去問と同じものでかまいませんので、9割以上解けるようになるまで、繰り返し解いてください。

 

② 正解した問題は二度と解かない

もう1つの過去問を利用する際のポイントとしては、正解した問題は二度と解かないことが挙げられます。

正解した問題を二度と解かないのは、非常に勇気のいる行動です。

ただ、勉強時間には限りがあります。

そのため、正解した問題を完璧にするために時間を使うよりは、解けなかった問題を解けるようにするために時間を使った方が、限りある時間を有効活用していると言えます。

解けた問題については、大きく×をつける、そのページを破り捨てるくらいでちょうどいいです。

 

以上より、「過去問を使い倒す」ことは、独学のコツと言えます。

 

3) インターリーブ勉強法を使う

3つ目の独学のコツとしては、「インターリーブ勉強法を使う」ことが考えられます。

インターリーブ勉強法とは、1つのことをひたすら勉強する反復学習の反対の学習法であり、勉強に変化を付けるために、代わる代わる異なる内容を勉強する方法を言います。

勉強内容を変化させることで、メリハリのある勉強が可能となり、個々の内容がより鮮明に記憶されやすいといったメリットが、インターリーブ勉強法にはあります。

中小企業診断士試験は試験科目が多いため、インターリーブ勉強法が非常に適していると言えます。

具体的には、中小企業経営・政策を除く6科目を、3科目を1セットとして、1日の間で1時間ごとなどに区切り、3科目を代わる代わる勉強します。

3か月を目安に3科目1セットをやり切ったら、次は別の3科目1セットを、同様に3ヶ月かけてやります。

その後は期間を2か月に短縮して、再度初めの3科目1セットを勉強し、2か月後に別の3科目1セットをまた2か月で仕上げます。

「3ヶ月×2回転+2か月×2回転」の計10ヶ月の勉強期間で、一通りの内容を頭に入れることができます。

以下は、8月から勉強を開始した場合の例となりますので、参考にしてみてください。

(中小企業経営・政策は、試験年度の4月に発刊される中小企業白書から出題されるため、1科目だけ後から勉強することとなります。)

インタリーブ勉強法 中小企業診断士試験

以上より、「インターリーブ勉強法を使う」ことは、独学のコツと言えます。

 

4) 勉強場所を複数用意する

4つ目の独学のコツとしては、「勉強場所を複数用意する」ことが考えられます。

独学の場合は、勉強場所を自由に選択することができます。

そして、勉強場所を複数用意して、1日の間で使い分けることで、効率的に独学を進めることができます。

勉強場所を変えるメリットについては、例えば以下のようなものがあります。

・脳疲労の軽減
脳は同じ情報を与え続けると疲弊するため、環境を変えて新しい情報を入れることで、疲労が軽減される。

・飽きの軽減
誰しも同じ環境で勉強すると、飽きてしまうもの。
この点、勉強場所を変えることで、飽きを軽減することができ、勉強を長続きさせることができる。

・ストレスの軽減
同じ環境で勉強をし続けることで、脳はストレスを徐々に感じ始め、集中力や思考力が低下していく。
そのため、勉強環境を変えてリフレッシュすることで、ストレスを軽減して集中して勉強に臨むことができる。

以上より、「勉強場所を複数用意する」ことは、独学のコツと言えます。

 

4. 予備校利用のコツ

予備校利用のコツ

ここでは反対に、予備校を利用する場合のコツについて、2つお伝えしていきます。

 

1) 予備校のカリキュラムに従う

1つ目の予備校利用のコツとしては、「予備校のカリキュラムに従う」ことが考えられます。

独学ではなく予備校を選んだのであれば、予備校のカリキュラムに沿って勉強しましょう。

中小企業診断士試験に精通したプロが作成したカリキュラムであり、そこを疑うだけ時間の無駄です。

予備校の利点は予備校に頼れることですので、選んだ予備校を信じて、与えられた教材をカリキュラム通りにこなしていけば、合格への最短距離を走ることができます。

以上より、「予備校のカリキュラムに従う」ことは、予備校利用のコツと言えます。

 

2) 予備校選びに時間をかけない

2つ目の予備校利用のコツとしては、「予備校選びに時間をかけない」ことが考えられます。

どの予備校を選ぶかは、非常に迷うものです。

ただ、予備校を選びにあまり時間をかけて、勉強時間が少なくなってしまっては、本末転倒となります。

誤解を恐れずに言えば、どの予備校を選んでも、しっかりと勉強すれば、合格する可能性は十分にあります。

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中小企業診断士講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座のコストパフォーマンスを比較して、おすすめ2つのメリット・デメリットについて解説してみました。

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5. 終わりに

中小企業診断士試験において、予備校利用ではなく独学を選択する場合に考えるべきことについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

独学は、メリット・デメリット共にありますので、自分にどちらが合っているか、冷静に見極めて、合格を勝ち取りましょう。

 

6. まとめ

Point! ◆独学を選ぶ理由は何か?
◆独学でうまくいったことはあるか?
◆中小企業診断士試験の難易度を理解しているか?
◆独学を応援してくれる人はいるか?

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