「自営業に資格なんて必要ない!」
確かにこれは一つの事実です。
自営業をやるのに必須の資格はありません。
ただ、持っていると役に立つ資格はあります。
そこで今回は、自営業に役立つ資格について、以下の3つの切り口から、お伝えしていきます。
・ビジネスを数字で理解する。
・費用を削減する。
・資産を運用する。
資格試験であれば必要な知識を体系的に学べるため、この機会にぜひ勉強を開始しましょう。
1. ビジネスを数字で理解する
1) ビジネス会計検定
2) 簿記検定
2. 費用を削減する
1) 簿記検定
2) FP技能検定
3. 資産を運用する
1) ビジネス会計検定
2) FP技能検定
4. 終わりに
5. まとめ
1. ビジネスを数字で理解する
自営業の形態が個人事業主であれ、法人であれ、何かしらのビジネスを行うことに変わりはありません。
そして、ビジネスというのは多くの数字で成り立っており、ビジネスを軌道に乗せるためには、それらの数字を理解し、うまく活用する必要があります。
小さい単位で言うと、例えば、原価いくらの商品を、広告費宣伝活動にいくらかけて、いくらで販売したのか、といった数字を把握する必要があります。
大きな単位で言うと、例えば、事業の収益性・安全性・成長性について、決算数値などから分析する必要があります。
自営業の場合は自分がビジネスのオーナーであり、各種数値を自分で把握・分析することが求められます。
ここで、ビジネスを数字で理解するのにおすすめの資格としては、「ビジネス会計検定」と「簿記検定」の2つが考えられます。
以下で順に解説していきます。
1) ビジネス会計検定
1つ目のビジネスを数字で理解するための資格としては、「ビジネス会計検定」が挙げられます。
ビジネス会計検定では文字通り、実際のビジネスにおいて必要となる会計知識を学ぶことができます。
会計とは、ビジネスの各取引を数値に置き換える分野であるため、ビジネス会計検定を学べば、ビジネスを数字で理解する基礎を身に付けることができます。
また、ビジネス会計検定の分析対象となる、損益計算書や貸借対照表の基礎知識を身に付けることもできます。
(損益計算書や貸借対照表については、「損益計算書と貸借対照表の違いは??」をご確認ください。)
具体的には、以下のような分野について学ぶことができます。
売上がいくらになれば利益が出始めるのか?といった分析手法を学びます。
・収益性分析
売上高に対してどの程度利益をあげているのか?投下した資本に対してどの程度利益をあげているのか?といった収益性の分析手法を学びます。
・安全性分析
流動資産と流動負債の割合などから短期的な安全性に問題がないか分析し、また、負債と自己資本の割合などから長期的な安全性に問題がないか分析する手法を学びます。
・成長性分析
前年と比較して売上高や利益は伸びているか?といった成長性の分析手法を学びます。
自営業の人が直面するビジネスの課題を、会計数値を利用して乗り越えるために、ビジネス会計検定を勉強してみてはいかがでしょうか?
ビジネス会計検定の詳細については、「決算書分析の資格と言えばビジネス会計検定!」も合わせてご確認ください。
以上より、「ビジネス会計検定」は、ビジネスを数字で理解するための資格となります。
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2) 簿記検定
2つ目のビジネスを数字で理解するための資格としては、「簿記検定」が挙げられます。
損益計算書や貸借対照表といった会計帳簿を作成するために、ビジネス上の各取引を数値化するスキルである簿記。
会計帳簿を「作成する」スキルを学べるのが簿記検定であり、会計帳簿を「分析する」スキルを学べるのが先述のビジネス会計検定となります。
つまり、簿記検定の知識で事業の過程を理解し、ビジネス会計検定の知識で事業の結果を分析することで、自分が行っている事業を数値で理解することができます。
多忙な自営業者ですが、自営業であるがゆえに、自分で時間をコントロールでき、また、空き時間で何をしようが誰に何を言われることもありません。
そのため、先行投資と考えて、簿記を勉強する時間を毎日確保することも十分可能です。
ちなみに、実務上は簿記検定2級までを取得しておけば問題ありません。
3級と2級であれば、半年程度コツコツ勉強すれば、合格することは可能です。
簿記検定の勉強時間については、「簿記3級・2級の勉強時間は?一ヶ月・二ヶ月での合格は可能?」をご参照ください。
以上より、「簿記検定」は、ビジネスを数字で理解するための資格となります。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
2. 費用を削減する
自営業としてやっていくためには、収益面だけでなく、費用削減についても取り組んでいく必要があります。
いくら売上をあげても、無駄使いをしていては、いつまでたっても利益は出ません。
ただ、いざ費用を削減しようと思っても、何から手を付けていいかわからない方も多いかと思います。
そこで費用削減のためにまず学んでいただきたい資格が、「簿記検定」と「FP技能検定」となります。
以下で順に解説していきます。
1) 簿記検定
1つ目の費用を削減するための資格としては、「簿記検定」が挙げられます。
「簿記と費用削減に何の関係があるの?」
と思われた方もいるかもしれませんが、簿記と費用削減は密接に関係しております。
費用を削減しようと思った場合、「何にいくら使っているのか?」といった現状をまず理解する必要があります。
そしてこの「何にいくら使っているのか?」を把握するためには、会計帳簿を作成する必要があり、会計帳簿を作成するためには、簿記のスキルが必要となります。
ここで、
「簿記がなくても、クラウド会計ソフトなどを使用すれば会計帳簿を作成することができるため、そこから各費用の大小を把握することができるのでは?」
と考える人もいるかもしれません。
ただ、どのような費用がどの勘定科目に紐づけられるのか?といった帳簿作成のルールを理解していないと、各費用の大小がわかったところで、具体的に何を改善すればいいのかわかりません。
そのため、費用を削減しようと思ったら、帳簿作成のルールである簿記の勉強をする必要があります。
以上より、「簿記検定」は、費用を削減するための資格となります。
自営業であれば、青色申告による控除を受ける人がほとんどかと思います。
そして、青色申告の条件として、複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を作成することが求められます。
つまり、自営業に不可欠な青色申告を行うためにも、簿記の知識が必要となるのです。
2) FP技能検定
2つ目の費用を削減するための資格としては、「FP技能検定」が挙げられます。
自営業の場合、事業の運営と家計の運営が、切っても切り離せない関係にあります。
家計が安定していないと、安心して事業に取り組むことができません。
そのため、家計面での費用削減にも力を入れる必要があります。
例えば、以下のような点が考えられます。
住宅ローンの種類や金利、優遇税制などを把握しておくことで、費用を削減することができる。
・保険選び
公的保険制度について詳しくなることで、無駄な民間保険を解約することができ、費用を削減することができる。
また、事業面でも、法人税や所得税・住民税・消費税などの基礎知識を学ぶことで、節税をするのに役立ちます。
そして、これらの知識を学べるのが、FP技能検定となります。
詳細につきましては、「ファイナンシャルプランナーは意味のない資格?それとも役に立つ?」をご確認ください。
以上より、「FP技能検定」は、費用を削減するための資格となります。
3. 資産を運用する
自営業の場合、常に本業で利益が出せるとは限らないので、今まで稼いだ資産を運用して、資産から利益を出す努力も必要となります。
資産運用としては、金融資産の運用や不動産の運用が考えられますが、本記事では金融資産に焦点をあて、金融資産運用におすすめの資格として、「ビジネス会計検定」と「FP技能検定」について、以下で順に解説していきます。
1) ビジネス会計検定
1つ目の資産を運用するための資格としては、「ビジネス会計検定」が挙げられます。
ビジネスを数字の面から理解するための基礎知識を学べるビジネス会計検定。
金融資産、特に株式投資においては、投資対象企業の決算数値を分析する必要があり、この際にビジネス会計検定の知識が役に立ちます。
具体的には、以下のような株式投資に役立つ指標について、学ぶことができます。
・PER(株価収益率)
・BPS(1株当たり純資産)
・PBR(株価純資産倍率)
詳細につきましては、「株式投資の指標(PER・PBR 等)を学ぶならビジネス会計検定!」をご参照ください。
また、株式投資を通じて数多くの会社の決算数値を見ることで、自然と自分の事業と他社との違いを分析することができます。
その結果として、事業の強みや改善点などが見えてくるため、単に資産を運用するという側面だけではなく、ビジネスを理解する意味でも、株式投資はおすすめとなります。
以上より、「ビジネス会計検定」は、資産を運用するための資格となります。
2) FP技能検定
2つ目の資産を運用するための資格としては、「FP技能検定」が挙げられます。
FPとは個人のお金の専門家であり、個人のライフイベントや家計の状況を考慮して、適切な資産運用のアドバイスを行います。
そして当然のことながら、これは自分自身の資産運用にも応用することができます。
NISAやiDeCoといった株式・投資信託への投資や、各種保険などの基礎知識を勉強することができ、資産運用のきっかけとなる知識を得ることができます。
また、税金面についても学習することができるため、金融資産を運用した収益について、税務上どのように扱えばよいかも理解することができます。
以上より、「FP技能検定」は、資産を運用するための資格となります。
4. 終わりに
自営業におすすめの資格についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
資格の勉強は必須ではないですが、勉強しておいて損はありません。
この機会に勉強を開始してみてはいかがでしょうか?
5. まとめ
◆費用削減⇒簿記検定・FP技能検定。
◆資産運用⇒ビジネス会計検定・FP技能検定。