経理職に携わっているみなさん、外が寒くなるにつれて「忙しい時期がやってきたな」と感じているのではないでしょうか。
冬のボーナス、年末調整、決算準備など経理にとっての大イベントが次々とやってきますよね。
今回は経理が忙しい時、スムーズに繁忙期を乗り切るコツについてご紹介していきます。
たった5つのことを考えるだけで、今年度の繁忙期が今までより格段に楽になるかもしれません。
ぜひ、あなたの業務でも取り入れてみてください。
1. 人に任せられるタスクはないか?
2. 完璧を目指していないか?
3. 忙しいのは部全体か?自分だけか?
4. 人の仕事まで抱えていないか?
5. 残業が当たり前だと思っていないか?
6. 終わりに
7. まとめ
1. 人に任せられるタスクはないか?
経理部の規模や人数にもよりますが、自分にしかできない業務を抱え込んでいませんか?
自分が居ないと誰もやり方が分からないというタスクを大量に抱えていると、自分ひとりが忙しくなるだけでなく、休んだ時に業務が滞ってしまい多くの人に迷惑をかけることになりかねません。
また、転職や退職時の引継ぎも大変になります。
ここでは、一人でタスクを抱え込まないようにするためのポイントを押さえていきます。
1) どんなに忙しくても周りと会話をする
忙しい時期になってくると周りもピリピリしてきたり、話す余裕もなくなったりと、孤立しがちになりますよね。
しかし、人に任せられるタスクは任せ、自分一人で抱え込まないことが大切です。
忙しそうに見えても、話してみると余裕がある人も案外いるものです。
忙しい時期だからこそ周りとコミュニケーションをとって、余裕がある人に自分ではなくてもできる仕事をお願いしてみてください。
大きい経理部の場合は、ほとんど会話したことがない部員もいるかもしれません。
そんな人に急に仕事をお願いするのも気が引けるので、普段からいろんな人と会話するよう心掛けておくと良いかもしれませんね。
2) 普段から「自分にしかできない業務」をなくしておく
普段から他の人にやり方を伝えておき、自分にしかできないタスクをなくすことが、長期的には自分を楽にすることにつながっていきます。
繁忙期に入ってから業務の内容を人に教えていると、教える時間に手を取られ自分でした方が早いということになりかねません。
できるだけ余裕のあるうちに、ほかの人にも業務のやり方を教えておきましょう。
もし誰でもできるような定型作業で時間をとられているのなら、いっそのことその定型作業をアウトソーシングしてしまうのも一つの方法です。
アウトソーシングは正しく実施すれば、本来集中すべき作業に集中できるようになります。
詳細については「経理をアウトソーシング・外注する際に注意すべき7つのこと」をご参照ください。
2. 完璧を目指していないか?
経理の仕事は正確性が大切な仕事ですよね。
普段から丁寧に業務を行うのは重要なことですが、1つ1つの仕事で完璧を目指すと時間がいくらあっても足りません。
ここでは月次業務をこなしつつ、年次業務の時間を確保するポイントについて見ていきます。
1) 次月にまわせる業務は次月にまわす
僅少な金額の経費や請求書は次月の時間があるときに確認して、誤りがあれば次月に修正するのも1つの方法です。
毎日大量の経費や請求書の処理をしていると、まだ日にちに余裕があるものや期限が特に決まっていないものでも、手元に届いた順番に処理していませんか?
取引先企業やお客様に迷惑がかからないような日常業務の場合は、後回しにして期限の決まっている年次業務から優先して行うのが賢明です。
会社内の経費精算など、経理部の繁忙期を理解して融通してもらえる処理は待ってもらうこともあります。
いい意味で手を抜けるところは抜きましょう。
2) 資料のファイリング作業など事務作業はなるべく行わない
普段なら、一つ仕事が終わるごとに該当のファイルに資料を綴じて、必要なら報告書なども作成し、翌月分の資料準備まで行っているかもしれません。
しかし繁忙期の場合はいったん手を付けず、可能な範囲内で次月以降にまわすのが良いでしょう。
焦って資料の整理やファイリングを行うと、文書の紛失や混入にも繋がりますので、落ち着いて整理できる時まで手元に置いておくのもおすすめです。
一つ一つ完璧に日常業務を終わらせていると、繁忙期に行うべき年次業務まで手が回りません。
業務の取捨選択を行うことが大切です。
意外に思われるかもしれませんが、経理は細かい性格よりも、大雑把な性格の人の方が向いております。
細かいところまでこだわりすぎると、やることが多すぎて精神的にも肉体的にも疲れてしまうため、ある程度のところで見切りをつけられる大雑把な人の方が適任と言えます。
経理の向き・不向きについては「経理に向いていない人、向いている人の特徴10選!」も合わせてご確認ください。
3. 忙しいのは部全体か?自分だけか?
経理部内を見渡してみると、部全体が忙しそうですか?
自分ひとりだけ忙しい感じがしますか?
ここでは、業務の振り分けが適正に行われているのかについて見ていきます。
1) 経理部全体が忙しい場合
経理部全体が忙しい場合は、自分一人ではどうしようもないので、上司に掛け合って経理部全体の仕事量を減らしてもらう必要があります。
経理部でなくてもできる庶務を減らしてもらったり、新しく人を増やしてもらったり、対応してくれるはずなので相談してみてください。
それが無理なら転職を考えるのも一つの方法です。
相談を受け付けてもらえない経理部や上司の場合、次年度も同じように長時間の残業や業務過多で悩むことになります。
経理部は忙しいものだと諦めている人は、ほかの経理が忙しくない会社に転職して頑張った方が一つの会社で長く勤続でき、ステップアップにも繋がるでしょう。
経理部内は繁忙期で忙しい時期とは思いますが、1~3月ごろは求人数が多くなるため転職しやすいとも言われています。
転職を考えている方は今のうちに転職エージェントに登録しておくと、いざ転職する場合にすぐ活動できて良いでしょう。
また、転職エージェントは、経理職に特化したところや親身なサポートを売りにしているところなど幅広い種類があります。
1つのエージェントで探すのではなく、複数のエージェントに登録して比較しながら転職活動を行うと、より良い条件で転職できる可能性も上がるのでおすすめです。
(経理の転職については「経理が転職しやすい7つの理由」をご確認ください。)
転職エージェントを利用するなら、管理部門特化型の中規模エージェントである、以下の3つがおすすめです。
・MS-Japan
・Hupro(ヒュープロ)
・WARCエージェント
ただし、地方求人がないため、地方での転職の場合は大手エージェントのdoda(デューダ)がおすすめです。
詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。
2) 自分ひとりだけが忙しい場合
自分だけが忙しい場合は、自分で自分の状況を改善する必要があります。
あなたが抱えている業務をすべて把握し、優先順位を考えて取り組めていますか?
自分の業務を把握していない場合、同僚から仕事を渡された時に自分の業務なのか相手の業務なのか分からず、本当は余裕がないのに人の業務まで引き受けてしまった、なんてことにもなりかねません。
大企業で経理部全体の人数が多くなると各個人の担当業務が細かく分けられており、どこからどこまで自分の業務なのか、把握するのも難しくなりますよね。
日頃から自分の担当を把握しておくと、担当業務が来たときすぐに対応でき、効率よく仕事が進められます。
また、中小企業の経理の場合、人数が少ないので各個人の業務は把握しやすいですが、1人で幅広い業務を行う必要があるため、臨機応変な対応が求められます。
今まで経験したことのない経理処理が回ってきて、急に忙しくなることもあるでしょう。
急ぎの経理処理が来た時すぐに対応できるように、月次業務は素早くこなし余裕をもっておくことが大切です。
忙しい原因が自分にある場合、単純に自分のスキルが足りていないケースも多々あります。
その場合は、スキルアップのために勉強する必要があります。
経理実務の勉強については「経理の勉強方法とは?おすすめ4選をご紹介!」も合わせてご確認ください。
4. 人の仕事まで抱えていないか?
経理部の仕事は年末から3月にかけて繁忙期のことが多く、自分が忙しい時は部全体が忙しいという場合が多くなります。
そうすると仕事をお願いされる機会も増えますよね。
自分もお願いしたいくらいなのに、頼まれたら断れないと思っていませんか?
ここでは、安易に仕事を引き受けるべきでない理由と、頼まれた時の答え方のポイントを見ていきます。
1) できない仕事はきっちり断る
繁忙期になるにつれて経理部全体で余裕がなくなると、仕事を頼みやすい人に仕事が偏ることが多々あります。
仕事を頼む時は相手の業務量をみて判断するべきですが、そんなことお構いなしに押し付けてくる上司や同僚もいるでしょう。
もし、自分の許容量を超えていると感じた場合は、きっちり断るべきです。
無理やり引き受けてしまうと、結局お願いされた業務も自分の業務も間に合わない、ということになりえます。
ただし、今は忙しいと伝えるだけでは不信感を与えてしまうので、なぜ今手伝えないのかを丁寧に伝える必要があります。
例えば、自分の急ぎの処理はこれくらいあるので終わったら1時間は手伝えると言ったり、相手が上司の場合は、急ぎの処理が終わった1時間後から取り掛かりますと伝えたり、具体的にどの程度自分が忙しいかを伝えると、相手も理解してもらいやすいでしょう。
困っている時に少しでも助けてあげると、自分の業務が間に合わなくてお願いする際に、協力を得やすくなります。
2) 安易に仕事を引き受けない
仕事を頼まれたとき、自分の仕事に余裕がある場合でも、二つ返事で引き受けるのはおすすめできません。
相手の業務量が多く必ず協力が必要と思えても、まず上司への相談を促しましょう。
経理部全体もしくは各班内で振り分けてもらい、個人の負担を軽くする必要があります。
自分ひとりで引き受けると、仕事を頼んできた同僚だけでなく、自分の業務も滞ってしまいます。
また、上司が状況を把握をすることで、業務量の調整や来年度への改善にも繋がり、経理部全体にとって有益になります。
1人で判断せずに、周囲と相談しながら進めることが大切となります。
5. 残業が当たり前だと思っていないか?
繁忙期だから深夜まで残業するのが普通だと考えていませんか?
残業して当たり前だと思っていると残業時間もどんどん長くなり、体調も崩しやすくなります。
経理部の繁忙期は長いので、体調を崩している場合ではありませんよね。
ここでは業務を効率化して、残業を減らすためのポイントを見ていきます。
1) 忙しくても簡単なToDoリストをつくる
どんなに忙しくても、毎日の業務終了時に翌日のToDoリストを作る、もしくは朝出勤後すぐにToDoリストをつくることがおすすめです。
経理職は入退社した職員の経理処理や突発的な取引の処理など、業務量に多少の誤差はありますが、年間の業務スケジュールが把握しやすい仕事です。
繁忙期には年間の業務スケジュールを確認して、急ぎの月次業務と期限が決まっている年次業務を並行して行うことが重要です。
今週中にここまで終わらせるから、明日はこの業務を終わらせるなど、ゴールから逆算してToDoリストを作るとスムーズに行うことができます。
ToDoリストを作っておくと、期限が迫ってきて毎日深夜まで残業するということが減り、毎日の目標さえクリアできれば残業時間を短くすることや、日によっては定時での帰宅も可能になります。
周りの目もあるので繁忙期の定時退社は気が引けるかもしれませんが、ライフワークバランスを整えることが経理職の繁忙期を乗り切るコツでもあります。
2) ここまで終わったら帰るではなく、何時までにここまで終わらせる
上司や同僚がどんどん帰るなか、「この処理まで終わったら帰ろう」と考えて深夜まで残業していませんか?
どうしても期限が迫っている時は仕方ありませんが、余裕があるうちに少しずつ終わらせておくのが理想ですよね。
業務目標を立てても、時間内に終わらないから残業しているという人は、目標が高すぎることに原因があります。
業務量とそれに対する時間を考えてから目標を決めるべきです。
今週ここまで終わらせる必要があるから、今日はこの資料作成とこの請求書は何時までに終わらせようというように時間で区切ってみてはいかがでしょうか?
常に何時までに終わらせるかを意識していると、無駄な事に手を伸ばさず集中して業務に取り組めます。
業務を効率化して、どんどん残業を減らしましょう。
6. 終わりに
ここまで経理が忙しい時に考えるべきポイントを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
経理職は業務の範囲も業務量も会社によって異なりますが、少しでも忙しさの改善につながれば幸いです。
7. まとめ
◆完璧を目指さないで後に回せることは後に回す。
◆部全体が忙しい時は上司に相談、自分ひとりが忙しい時は業務のやり方を考える。
◆安易に人の仕事を引き受けない。
◆時間で区切って残業を減らす。