「簿記はある程度の量を勉強すれば、誰でも合格できるよ。」
簿記に興味を持った人であれば、一度はこのような言葉を見聞きしたことが、あるのではないでしょうか?
確かに、簿記検定3級の場合は100時間、2級の場合は200時間の勉強をこなせば、合格できる可能性はあります。
(詳細については「簿記3級・2級の勉強時間は?一ヶ月・二ヶ月での合格は可能?」をご参照ください。)
ただ、ここで問題となるのが、勉強に対する「モチベーション」の管理。
100~200時間勉強し続けるには、モチベーションの管理が必須となります。
モチベーションと聞くと、下がった状態からいかに上げるのか?といった点が注目されがちです。
しかし、本当に大切なのは、モチベーションの低下を「予防」することです。
そこで今回は、なぜモチベーションの低下を「予防」することが大切なのかをまず解説した上で、簿記のモチベーション低下を防ぐ7つの方法について紹介していきます。
1. モチベーション低下の「予防」が大切
2. 簿記のモチベーション低下を防ぐ方法
1) はじめから頑張り過ぎない
2) 予備校を利用する
3) 実際の財務諸表を見る
4) 勉強環境を整える
5) 毎日同じ時間に勉強する
6) 睡眠をしっかりとる
7) 目的を明確にする
3. 終わりに
4. まとめ
1. モチベーション低下の「予防」が大切
1) モチベーションがなぜ必要なのか?
そもそも、簿記検定に合格するために、なぜモチベーションが必要となるのでしょうか?
これは、前述の通り、簿記検定に合格するには、数百時間の勉強時間が必要となるためです。
「数百時間程度であれば、モチベーションに関係なく勉強し続けられる!」
という人も、中にはいるかもしれません。
ただ、モチベーションの低下は、勉強の「質」にも大きく影響を与えます。
勉強の成果というのは、勉強の「質×時間」で計算できるため、時間だけをこなせばいいというものではありません。
勉強の質と時間を維持するために、モチベーションは大切となるのです。
2) 2つのモチベーション管理方法
モチベーションの管理方法としては、切り口により、いくつかの分け方があります。
本記事では、以下の2つの切り口で考えていきます。
② 低下したモチベーションを上げる方法。
3) 「予防」の方が大切
この2つの方法を比べると、①の「予防」する方法の方が望ましいと考えられます。
その主な理由は、以下の通りとなります。
・勉強で成果をだすためには一定のパフォーマンスを発揮し続けることが大切だが、②の方法の場合はモチベーションの影響でパフォーマンスが乱高下する可能性がある。
次項では、具体的なモチベーション低下の予防方法について、順に7つ解説していきます。
2. 簿記のモチベーション低下を防ぐ7つの方法
1) はじめから頑張り過ぎない
簿記のモチベーション低下を防ぐ1つ目の方法としては、「はじめから頑張り過ぎない」ことが挙げられます。
三日坊主という言葉があるように、はじめから頑張りすぎても、その頑張りを維持できず、挫折してしまう可能性が高いです。
むしろ勉強開始の時期は、「この勉強時間であれば、絶対に毎日継続できる」と思える、最低限の勉強時間を設定するのが、モチベーションを一定に保ち続けるコツとなります。
極端に言えば、1日10分の勉強でも、はじめのうちは問題ありません。
その代わり、必ず毎日継続してください。
以上より、「はじめから頑張り過ぎない」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
はじめの一歩のハードルを下げて、とりあえず行動し、継続するテクニックのことを、「ベビーステップ」と言います。
完璧主義の人ほど、目標とする勉強時間がから逆算して、「今の勉強時間のままでは足りない!」と焦り、はじめから無理をしがちです。
ただ、勉強計画は後からでも十分調整可能性ですので、まずは勉強そのものを継続することを、第一に考える必要があります。
2) 予備校を利用する
簿記のモチベーション低下を防ぐ2つ目の方法としては、「予備校を利用する」ことが挙げられます。
「簿記3級は独学で合格可能?」でお伝えしている通り、簿記3級レベルであれば、独学での合格は十分可能となります。
しかし、独学の場合は、モチベーションの管理が非常に大変であり、結果として勉強期間が長期化しやすいです。
一方で、予備校の簿記講座を受講すれば、勉強カリキュラムがしっかりと組まれており、また、講義を聞くことでモチベーションを保つことが可能となります。
また、最短合格できるように講座が設計されており、独学と比べて短期間での合格が可能となるため、よりモチベーションが保ちやすい環境となります。
以上より、「予備校を利用する」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
3) 実際の財務諸表を見る
簿記のモチベーション低下を防ぐ3つ目の方法としては、「実際の財務諸表を見る」ことが挙げられます。
簿記のモチベーションが低下する理由の1つに、簿記を勉強して何ができるようになるのか、具体的にイメージできないことが考えられます。
そこでおすすめしたいのが、簿記で勉強した項目について、自分の好きな会社でかまいませんので、実際の財務諸表を確認してみてください。
例えば、貸倒引当金について学習した後に、実際の財務諸表の貸倒引当金の、前期と当期の金額を比較してみてください。
「貸倒引当金が増えたということは、対象債権について回収できない可能性が高まったのかな?それとも単純に債権自体が増えたのかな?」程度の感想で、はじめは問題ありません。
勉強のための勉強とならないためにも、実際の財務諸表の確認はおすすめです。
以上より、「実際の財務諸表を見る」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
簿記検定では、財務諸表を「作成」するために必要な知識を学習することができます。
これに対して、財務諸表を「分析」するために必要な知識を学習できるのが、ビジネス会計検定です。
財務数値から、企業の安全性や収益性・成長性などについて分析するための、基礎的な指標を学ぶことができます。
実務に活かすことを考えれば、2級までの取得がおすすめです。
2級の詳細については、「ビジネス会計検定2級とは?3級との違いは?挑戦すべき5つの理由」をご確認ください。
4) 勉強環境を整える
簿記のモチベーション低下を防ぐ4つ目の方法としては、「勉強環境を整える」ことが挙げられます。
モチベーションは、勉強環境に大きく影響を受けます。
そのため、最適な勉強環境をあらかじめ用意しておくことで、モチベーションの低下を防ぐことができます。
具体的には、以下の3点に注意してみてください。
① 雑音をシャットダウンする
雑音が大きすぎると集中できず、モチベーションの低下につながります。
おすすめなのは、川の音や雨音などの「自然音」。
自然音などの適度な雑音であれば、学習が進みやすいです。
② 視界に余計なものを入れない
視界に勉強に関係のないものが入ると、集中力が途切れやすいです。
そのため、勉強机の上には、今から勉強するのに必要なもの以外は、一切置かないようにしましょう。
③ 椅子にこだわる
普段勉強で使用している椅子が体に合っていないと、肉体的な疲労がたまり、モチベーションが低下しやすいです。
そのため、多少お金がかかっても、椅子にはこだわってください。
以上より、「勉強環境を整える」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
5) 毎日同じ時間に勉強する
簿記のモチベーション低下を防ぐ5つ目の方法としては、「毎日同じ時間に勉強する」ことが挙げられます。
モチベーションの低下を防ぐためには、勉強することを当たり前のことにする、つまりは習慣化が必要となります。
例えば、毎日歯を磨くのに、その日のモチベーションが関係する人は、少ないかと思います。
つまり、歯を磨くくらいまで勉強を習慣化できれば、勉強するのにモチベーションが関係しない状態を作ることができます。
では、勉強を習慣化するために何をすればいいのかというと、毎日同じ時間に勉強することを意識してください。
「勉強時間ができたら勉強する。」といったスタイルでは、いつまでたっても勉強が習慣化しません。
はじめのうちは大変かもしれませんが、「毎日〇〇時からは簿記の時間」と決めて、勉強を習慣化しましょう。
以上より、「毎日同じ時間に勉強する」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
6) 睡眠をしっかりとる
簿記のモチベーション低下を防ぐ6つ目の方法としては、「睡眠をしっかりとる」ことが挙げられます。
睡眠がモチベーションに大きく影響することは、多くの人が理解しているかと思います。
睡眠負債をためることで、脳のパフォーマンスが低下して、モチベーションも低下していきます。
にもかかわらず、勉強のために睡眠を削る人が多いのも事実です。
確かに勉強時間がとれないのは深刻な問題ですが、だからと言って睡眠を削ってしまうと、翌日の仕事のパフォーマンスが低下して、余計に勉強時間がとれないといった、負のループにはまってしまいます。
睡眠を第一に考えて、1日のスケジュールを見直してみましょう。
以上より、「睡眠をしっかりとる」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
7) 目的を明確にする
簿記のモチベーション低下を防ぐ7つ目の方法としては、「目的を明確にする」ことが挙げられます。
簿記を勉強する目的が明確でない人は、定期的に「何のために簿記を勉強しているのか?勉強して意味があるのか?」と考えてしまいがちです。
一方で目的が明確な人は、勉強することに迷いがなく、勉強に対してのモチベーションが低下しにくいです。
目的を明確にする上で大切なのは、しっかりと言語化することです。
また、紙に書き出して、視覚から目的を脳に刷り込むのも、効果的な方法となります。
なぜ簿記に興味を持ったのか、一度真剣に考えてみてください。
以上より、「目的を明確にする」ことは、簿記のモチベーション低下を防ぐ方法となります。
目的のために簿記の勉強をするのが、モチベーションの観点からは理想的です。
ただ、簿記の勉強を通して、会計に対する理解を深める中で、自分の興味を探る方法も、モチベーションの維持につながります。
簿記の勉強の途中で興味のある分野を見つけたのであれば、試験勉強としては脱線する内容でも、深堀してみるのも1つの考えです。
簿記の勉強を通して、自分の興味を探ってみましょう。
3. 終わりに
簿記のモチベーションの低下を防ぐ方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
しっかりと事前の予防策を練り実行に移せば、モチベーションの低下を防ぐことができます。
どれか1つで構いませんので、ぜひ今日から行動に移してみてください。
4. まとめ
◆予備校を利用する。
◆財務諸表を確認する。
◆勉強環境を整える。
◆毎日の勉強時間を固定する。
◆十分な睡眠をとる。
◆簿記を勉強する目的を明確にする。