営業もサービスの多様化や情報量が増えたことで、少しずつ変化してきています。
顧客ニーズや商品にあわせた営業スタイルを採用し、ポイントを押さえながら活用することが必要となってきているのです。
今回は幅広い営業スタイルのなかから、代表的なセールススタイルをピックアップして、押さえるべきポイントをご紹介していきます。
明日からの営業活動の参考に、今回の記事をご覧になってみてください。
1. インサイドセールス
社内からのセールス活動を総称したスタイルは、インサイドセールスと呼ばれます。
ITシステムやPCメール、電話などを活用した一般的な営業手法。
近年では、多くの顧客にリーチする目的からもインサイドセールスを強化するなど、重要度が増している営業スタイルの1つです。
ここでは、インサイドセールスを活用する際に、押さえるべきポイントを見ていきましょう。
1) 顧客のニーズにあわせて対応する
インサイドセールスは潜在ニーズをもっている顧客へアプローチし、興味喚起することが仕事の1つです。
顧客との関係性が確立されていないケースも多いため、顧客ニーズを汲み取りながら、関係性を構築していくことが大切といえます。
具体的には、アプローチ後の顧客からの質問や、資料請求などのアクションがあった場合は、顧客にニーズがあることが分かるので、インサイドセールスの強みとなるレスポンスの早さを活かすのがポイントとなります。
電話でのアプローチであれば、メールでパンフレットなど詳細を送り、閲覧しながら話をさらに深く展開することが可能です。
顧客の興味を汲み取り、迅速に対応することで、もっと知りたいという興味を喚起させ、利用価値を理解して貰いやすい特性もある営業スタイルです。
また、アプローチの場面でも、顧客ニーズにあわせる必要があるといえます。
例えば、電話嫌いの顧客や多忙な顧客へ電話でのアプローチを続けるのは、顧客ニーズとのアンマッチが起きているため、効果的ではない方法です。
メールを余り見ない顧客に、メールでアプローチし続けているのも同様といえます。
メールを見ない顧客の場合は、電話へのアプローチへ変更したり、手紙を送るなどする方が効果的。
電話嫌いの顧客の場合は、メールでのアプローチや、フィールドセールス営業との連携をはかり、訪問を試してみるのもいいかもしれません。
ポイントとしては、顧客目線で想像し、アプローチされた場合の気持ちを考えること。
潜在ニーズ顧客であれば、特に商品やサービスに対しての興味は薄いものです。
強引なアプローチや気遣いのないアプローチは、信頼を失うことに繋がり、関係を深めていくことが困難になってしまいます。
顔が見えないインサイドセールスにおいて、顧客ニーズにあわせて対応することは、欠かせないポイントの1つといえるでしょう。
2) 顧客情報を掘り下げ、次の営業へ繋げる
インサイドセールスの大切な役割としては、フィールドセールスへの連携ができる程度に、顧客を興味喚起し、情報を収集することです。
潜在ニーズを掘り起こし、実際にサービスや商品を利用することを具体的にイメージできるところまで、話を進めていきます。
フィールドセールスは、インサイドセールスが収集した情報を基に、クロージングを行っていくのです。
インサイドセールスの場合は、対面しない手軽さからアプローチしやすい利点があります。
しかし、関係性が構築しきれないままアポイントを打診したり、気遣いのないセールスを行った場合は、顧客とのリレーションも即座に解消される場合もあります。
長く相互に良い関係を築き、顧客の情報を引き出しながらニーズを掘り起こす為には、丁寧なヒヤリングと、気遣いあるアプローチこそ大切だといえます。
顧客の現状や今後の状況、予算感や顧客にとっての重要度など、1つ1つ情報を引き出すのが、インサイドセールスの役割です。
頼れるインサイドセールスこそ、丁寧なヒヤリングを行っている特徴があります。
顧客情報をしっかり獲得できるインサイドセールスがいれば、フィールドセールスは非常に業務負担が少ないもの。
直接的なクロージングをしなくても、受注に繋がるケースも少なくありません。
効率的にフィールドセールスを活用できるため、組織にとっては大きな利益を望むことも可能です。
まさに、スキルの高いインサイドセールスは、企業の営業組織を支える役割にもなるといえます。
2. フィールドセールス
既存顧客や新規顧客に対し、直接対面してアプローチからクロージングまで行うスタイルを、フィールドセールスといいます。
飛び込み営業から顧客サポート、商談や契約までを行う役割です。
インサイドセールスが取得したアポイントに対し、訪問商談するのもフィールドセールの仕事。
企業の売上を左右する、フィールドセールスのポイントをみていきましょう。
1) 顧客の事前情報を把握しておく
インサイドセールスからの顧客引継ぎなどの場合は、丁寧な顧客情報の連携も必要となります。
企業として一度取得した情報を、再度顧客へ伺うことは、大変失礼なことでもあります。
顧客の状況や要望、ニーズなどを含めた顧客情報をしっかり共有することは、セールスの基本ともいえます。
丁寧な顧客情報の連携ができることで、関係性をより深め、ビジネスとしても有益な関係を築くことができるはずです。
マナーの観点はもちろん、ビジネスとしての有益性を高める方法として、意識しておきたいポイントといえます。
フィールドセールスの場合は、新規営業を行う場合もありますが、その際も事前情報の整理は必要です。
特に飛び込み営業の場合でも、対象顧客が行う事業内容、扱うサービスや商品の特徴くらいは把握しておきたいもの。
相手顧客からすれば、自分を理解していない営業からセールスを受けても、聞く気にすらなれないというのが本音です。
新規顧客からの信頼を得ながら、興味喚起をはかっていくために、最低限の事前情報は把握する必要があるでしょう。
基本的な情報を整理できるようになれば、さらに深い情報まで把握する事で、より高い視点での営業が可能となります。
例えば、顧客情報を基に事業課題を予測したり、今後必要となる打ち手を構想することも可能です。
与えられた情報以外の内容を、顧客ニーズにあわせて提示できることで、フィールドセールスとして顧客にとって替えの効かない営業となる場合もあります。
全ては顧客情報である現実をしっかり把握する事から。
基本営業としても、高度な営業スタイルを行う場合でも、顧客情報を把握する事はポイントなのです。
フィールドセールスとインサイドセールスの顧客情報の連携は非常に大事です。
ベンチャーに勤務していた時は人数が少なかったこともあり、フィールドセールスとインサイドセールスという区分なく、電話営業から対面営業まで全て自分でこなしていたため、情報連携の必要のないケースもありました。
ただ、自分が電話対応していないお客様に対して対面営業する機会も多々あり、顧客の年齢や現在の状況・商品のどの点を気にしていたか?などの電話対応時のメモに助けられました。
2) 顧客にあわせた提案をする
インサイドセールスよりも、対面ならではの顧客との深い関りが可能なフィールドセールス。
得られる顧客情報や要望も、数段深い内容が取得できるため、その分顧客を理解した提案が必要となります。
画一的な提案ではなく、顧客の現状や課題を踏まえ、発展に繋がる提案をすることが大切。
そのために、顧客情報を事前にしっかりと把握、分析することが必要です。
また事業における強みや弱みを踏まえた上で、自社サービス・商品がどのように顧客に貢献できるかを明確に伝えることも重要といえます。
顧客にとっては、自社を客観視しながら、的確なアドバイスを得られる営業を求めているに違いありません。
信頼のおけるパートナーとなるためにも、自分事として顧客を把握し、顧客にあわせた提案をすることは大切なポイントです。
3. ソリューションセールス
顧客への関わり方を表す営業スタイルとして、課題解決型の提案営業であるソリューションセールスがあります。
以前から営業手法の王道スタイルとして学ぶビジネスパーソンも多く、ほとんどの提案型営業はソリューションすることで介在価値を高めている現状があります。
では、営業の仕事をする上で身に付けておきたいソリューションセールスは、どんなポイントがあるのでしょうか?
押さえるべきポイントについてみていきましょう。
1) 顧客のビジョンや課題を明確にする
ソリューションセールスの肝となるのが、ヒヤリング能力です。
まずは、丁寧に顧客からの情報を引き出し、ビジョンや課題を明確にしていくことが大切。
顧客の情報を整理し、この先の発展を共通の目標として設定し、提案の材料としていくのです。
具体的には、顧客の現状や状況を丁寧にヒヤリングし、事業課題を明確にする中で、顧客と課題を共有します。
その課題への打ち手として、自社サービスや商品を提案・導入していくスタイル。
顧客自身も課題が明確になることで、解決の必要があると認識し、打ち手となるサービス導入もスムーズになります。
また、社外の人物でありながら、顧客企業を客観的に深く理解している人物となるため、長い付合いをしていくこともできるでしょう。
場合によっては、顧客企業の商品開発やマーケティングに関わることも、分野によってはあるかもしれません。
対象企業のビジョンや課題を良く知るということは、セールスを越えた貢献度を感じさせることもできるといえます。
2) 他の事例、ノウハウを蓄積しておく
ソリューションセールスの場合は、事例のバリエーションや説得力が商談の鍵となります。
対象の企業にて活用できる事例を提供できれば、先方の導入や購入の決定も早くなり、信頼度も非常に高くなります。
そのためにも、日頃から事例を蓄積し、商談前に提示する事例を選定しておくことが大切。
日々の少しの手間や工夫が、セールスをより効率的に成果の出やすいものにします。
これは、フィールドセールスに限らず、インサイドセールスの場合にも注意したいポイントです。
例えば、電話などでアプローチした場合、早々に興味喚起が上手くいき、継続して商談へ入る場合もあります。
その際に、対面していないケースで話が盛り上がっても、確固たるエビデンスがなければ、顧客企業は決定することができない場合も多くあります。
そういったケースでも、同じ境遇や事業状況にある企業の事例を提示すれば、検討だけではなく決済までもスムーズに進むものです。
特に電話商談などでは、事例を探しながらの商談は難しいため、いくつか事例を準備しておくのがおススメです。
例としては、多くの顧客に当てはまるベーシックな事例と、業種や事業内容の近い事例を2種類程度選定しておくと良いでしょう。
また、フィールドセールスの場合は、事例やノウハウを可能であればファイリングしておくといいでしょう。
商談の流れで必要となる資料や事例を、タイミング良く提示する事ができれば、顧客の購買意欲を効果的に高めることができます。
ソリューションセールスの場合、顧客にとって有益な事例やノウハウは、押さえておくべき大切なポイントといえます。
営業スタイルも大事ですが、一番大事なのはどのスタイルでも重要となる、営業の基本を押さえることです。
基本的なスキルやマインドの上に、営業スタイル別のポイントが積み重なります。
営業の基本については「営業の基本と言えば?営業が押さえるべき基本6選!」をご参照ください。)
4. インサイトセールス
ソリューションセールスが定番化されていましたが、情報速度や情報量が増えたことで、インサイトセールスという手法がでてきました。
この営業手法は、顧客も気づいていない課題を明確にし、課題解決を中心としたセールスを行うスタイルです。
自社商品やサービスでは課題解決できない場合もあるのが、インサイトセールスの特徴。
社外の人物でありながら、顧客企業の成長に欠かせないパートナーに成り得る手法とも言えます。
短期的なビジネスではなく、長期的に信頼を積み重ねながら、クライアントの成長をサポートすることで、自社の売上構築を目指すスタイルとなります。
1)徹底的な顧客視点
インサイトセールスの「軸」となるのは、徹底的な顧客視点に立つことといえます。
WEBが発達し、商品やサービスもPCで契約できるようになったため、セールスを軸とした営業には、時間を費やさない企業も増えてきました。
特に対象の企業が、自社の課題が明確になっている場合は、課題解決に必要なサービスや商品をネットで比較し、購入することもできるのが現実です。
そのため、セールスを軸とするのではなく、顧客視点を軸とした介在価値を高める営業スタイルが、今後の主流となってきているといえます。
インサイトセールスは、顧客の大切なパートナーになることが最大のミッション。
俯瞰した位置から、丁寧に顧客を知り分析していくことで、潜在的な課題を見つけていきます。
インサイトセールスが有効な企業としては、成長過程にある企業などが一般的。
顧客企業が、業界や企業の成長過程において、どの部分に該当するのかを客観的に指摘し、ビジョンの達成までにある課題抽出をしていきます。
そのため、多くの企業の事例やノウハウを把握し、顧客に対して適切アドバイスを行う知見も必要になります。
まさに顧客が頼ることのできるパートナーとなるため、徹底した顧客目線と、客観性が必要になります。
こうした営業スタイルを貫いた場合は、顧客の課題を自社サービスや商品で解決できない場合もあります。
もちろん他社サービスを利用しての課題解決となりますが、顧客企業としてはサービスよりも、担当営業へさらに信頼を感じる結果となります。
短期的には自社サービスが売れず、売上が立たない場合もありますが、信頼を得て関り続けられることで、最終的に他社よりも多く売上が残せる結果となります。
もちろん売上を目標にすれば、継続できない営業スタイルともいえます。
顧客に貢献することでやりがいを感じながら、自分も継続して成長していく中で、結果的に売上がついてくるのが、インサイトセールスの特徴なのです。
2) 顧客にあわせたゴール設定と振り返り
インサイトセールスは、顧客へ課題を指摘し、ゴールを共有することで進んでいきます。
例えば若いベンチャー企業であれば、成長するに従って必要となる、資金や人材、社内システムの構築などが潜在的な課題の中心となるでしょう。
自社サービスを打ち手として使えない場合もあるので、徹底的な顧客フォローが大切になります。
課題の打ち手として他社サービスを利用した場合も、利用後の効果検証と、改善案の共有を実施するのです。
実施後の振り返りを丁寧に行うことで、設定したゴールに向けて、新たな打ち手を提案していきます。
基本的には振り返りから、打ち手の再提案という流れになり、解決した場合は、課題の再抽出となります。
インサイトセールスを採用する営業としては、定期的な振り返りと提案を通して、信頼を積上げていくことが大切。
また、打ち手の検証から、顧客の特徴や本質を学ぶことで、より貢献度の高いパートナーとなっていくのです。
注意したいのは、自社のための振り返りではなく、顧客を思って振り返りを実施することです。
ともすれば売上を上げたくなるのが、営業の性でもあります。
しかし、目先の売上に囚われて、最適な打ち手を提案しないで自社商品をセールスしてしまうと、信頼はそこで途絶えることも少なくありません。
普段から、自分の目標を明確にし、顧客にとってどういったパートナーであるべきかを、しっかり整理して活動することが大切です。
顧客の成長こそが自分の成長に繋がると感じた時に、必要な実績と顧客からの信頼が得られる営業スタイルになるといえます。
短期的な体力勝負の営業ではなく、長く顧客に向き合うスタイルですので、女性にも比較的向いている営業手法といえます。
5. 終わりに
今回は幅広い営業スタイルの中から、代表的な営業手法のポイントについてご紹介しました。
近年の営業は手法や考え方も新しくなっており、ソリューションセールスに代わる、インサイトセールスの手法も、注目度の高い内容となっています。
顧客の情報速度も早くなり、営業スキルも以前より高いものが必要とされている営業職。
しかし、営業はやはり人と人が関わることで成り立つものです。
いつになっても、営業の一番押さえるべきポイントは、顧客を思う気持ちなのかもしれません。
6. まとめ
◆フィールドセールスは、顧客の事前情報を把握して顧客に合わせた提案をする。
◆ソリューションセールスは、企業のビジョンや課題を良く知ることでセールスを越えて貢献する。
◆インサイトセールスは、顧客の頼れるパートナーとなるため徹底した顧客目線と客観性が必要となる。