将来のために何か資格がほしいな…
と考えて、簿記やFPの受験を検討する人も、多いのではないでしょうか?
あるいは「簿記を取得して○○したい!」「FPを取得して○○したい!」と明確な目的を持っている人も、いるかと思います。
そんな皆様に、同じ「お金」という分野を扱う人気資格である、簿記とFPの違いについて解説していきます。
また後半では、「○○な人には片方のみの取得をおすすめ」、「○○な人には簿記とFPのダブルライセンスをおすすめ」といった点についてもお伝えしていきます。
両資格の違いをしっかりと押さえて、自分の資格取得の目的を明確にしていきましょう。
1. 簿記とは?
2. FPとは?
3. 簿記とFPの違いは?
4. こんな人には簿記がおすすめ!
5. こんな人にはFPがおすすめ!
6. ダブルライセンスがおすすめな人
7. 終わりに
8. まとめ
1. 簿記とは?
1) 簿記とは?
「会計」という言葉の意味を、答えられますか?
会計とは、自社の財政状態や経営成績について財務諸表と呼ばれる書類にまとめ、利害関係者(投資家・株主・債権者・取引先・従業員・国・地方公共団体など)に説明することを言います。
そして、日々のビジネスの流れを帳簿などに記入して、最終的に財務諸表を作る技術のことを「簿記」と呼びます。
端的に言うと、会社の業績報告書を作成する技術のことを指しますが、簿記の学習を通してビジネスの流れ、つまり会社のお金の流れについて学習することができます。
2) 簿記検定の種類
簿記の力を測る検定試験に、簿記検定があります。
皆様一度は耳にしたことがあるほど有名な試験ですが、実は単に「簿記検定」と言った場合、いくつか種類があるのをご存知でしょうか?
「どこが主催しているか?」で、以下の3つに分類されます。
・全経簿記:公益社団法人全国経理教育協会が主催。
・全商簿記:財団法人全国商業高等学校協会が主催。
本記事では、一般的に簿記と言った場合に想定される「日商簿記」を前提とします。
2. FPとは?
1) FPとは?
金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など、個人に関するお金の専門家のことをFP(ファイナンシャル・プランナー)と呼びます。
クライアント(相談者)の現状を分析し、クライアントのおかれている状況を加味しながら、資産設計などのアドバイスを行っていきます。
2) FPの種類
FPと言った場合にも、いくつか種類があるのをご存知でしょうか?
大きく分けると、国家資格である「FP技能士」と、民間資格である「AFP・CFP」があります。
・(民間資格)AFP・CFP:日本FP協会主催。
FP技能士は3級から1級まであり、おおよその目安としてはFP技能士2級がAFPと、1級がCFPと同程度の水準となります。
また、FP技能士は一度取得したら更新の必要がありませんが、AFPとCFPは定期的な更新が必要となります。
本記事では、一般的にFPと言った場合に想定される「FP技能士」を前提とします。
3. 簿記とFPの違いは?
1) 会社か個人か
簿記とFPは、共にお金の専門家であるという点では共通しております。
一方で大きな違いとしては、以下の点が挙げられます。
・FP:「個人」のお金の専門家。
簿記は「会社」が対象となりますので、簿記取得後に企業内で経理などで活躍することが想定されます。
(簿記は経理以外でも必要となる資格です。詳細につきましては「簿記2級・3級は就職・転職に有利?履歴書の書き方もご紹介!」をご参照ください。)
これに対してFPは「個人」が対象となりますので、FP取得後に個人をクライアントとして独立する、金融機関で個人相手の営業として活躍することなどが考えられます。
2) 難易度(合格率)
簿記とFPでは、合格率も異なります。
以下は、各資格のおおよその合格率となります。
・簿記2級:20%前後
・FP3級:70%前後
・FP2級:30%前後
FPはかなり合格率が高く、取得しやすい資格となります。
ただし、資格の難易度が低いほど合格後のライバルも多く、ライバルとの差別化要素としては弱くなる傾向にあるので、注意が必要です。
同じ会計・財務系の資格である「ビジネス会計検定」の合格率は3級70%、2級50%となり、3級は簿記とFPの間の難易度、2級はFPより簡単な難易度となります。
詳細については「ビジネス会計検定の難易度・合格率は??」をご参照ください。
3) 受験資格
簿記は受験資格がなく、いきなり2級から受験することも可能です。
一方でFPは2級に受験資格があり、3級合格などいくつかの要件(①AFP研修の修了or ②3級合格or ③実務経験2年以上or ④金融渉外技能審査3級合格)のうち1つを満たしておく必要があります。
先ほどの難易度の面では簿記の方が高く、他者との差別化を図りやすかったですが、受験資格の面ではFP2級の方が簿記2級よりハードルが高く、他者との差別化を図りやすいと言えます。
4. こんな人には簿記がおすすめ!
以下のような人には、簿記の取得がおすすめです。
・会計事務所の事務員
・コンサルタント
・銀行員
・法人営業
・起業家
簿記取得が就職・転職に有利に働く職業については「簿記2級・3級は就職・転職に有利?履歴書の書き方もご紹介!」で解説しておりますのでご参照ください。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
5. こんな人にはFPがおすすめ!
1) 金融機関の個人営業
銀行や保険会社などの金融機関の個人営業部門(お客様が法人ではなく個人)にお勤めの方、あるいは興味がある方にはFPがおすすめです。
おすすめというよりは必須に近いです。(会社によっては実際に必須となっているところもあります。)
個人のお客様に対して様々な金融商品を販売する際に、資産形成について知識が乏しく、ただ売りたいものを販売しようとしている営業に、皆さんは心を動かされるでしょうか?
お客様の立場になって最適な資産形成のためのアドバイスをするためには、営業1人1人がお金の専門家としての知識を有しておく必要があります。
2) 独立して活躍したい方
簿記はフリーランスの方にもとても有益な知識となりますが、簿記の知識自体で独立して稼いでいくことはハードルが高いです。
一方で、FPの場合はFPの知識を利用してFPとして独立して稼いでいくことは、簿記と比べるとだいぶハードルが低くなります。
もちろん知識だけではなく実践経験を積む必要はありますが、将来的な資産形成に関心が集まる昨今では、FPの需要も高まっておりますので、FPとして独立して稼ぐことも十分可能です。
3) 自身の資産形成を充実させたい方
FPは個人のお客様に対するお金のアドバイザーとしての側面があると同時に、自身の資産形成に関する知識を得ることもできます。
保険や年金、住宅ローンや不動産投資など、知っているだけで得する知識をFPの学習過程で得ることができ、それを自身の資産形成に転用することができます。
お客様にアドバイスする際も、実際に自身で利用や運用してみて効果があったものの方がおすすめしやすいので、その点でもFPの知識を自身の資産形成に活用することはおすすめです。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
6. ダブルライセンスがおすすめな人
1) 資産形成をさらに充実させたい方
先ほど資産形成を充実させたい人にはFPがおすすめとお伝えしましたが、資産形成を充実させる手段として株式投資に手を出す場合は、簿記の知識もあった方が良いです。
株式投資の際は投資先企業の財務諸表を見る必要があり、この際に簿記の知識が役に立ちます。
2) 仕事で簿記を、プライベートでFPを活用できる方
経理や法人営業など、仕事で簿記を活用できる方で、かつ、プライベートの資産形成も時間的に余裕があり取り組みたいという方には、簿記とFPのダブルライセンスがおすすめです。
仕事もプライベートも資格の知識をフル活用して、一段階上のステージを目指しましょう。
3) 金融機関にお勤めの方
金融機関にお勤めの方であれば、FPの知識は業務上必須となることも多く、かつ、簿記を取得することで昇進のためのポイントが加算されるケースがあります。
金融という世の中のお金の流れを動かす業種において、企業の財政状態や経営成績を把握する力は必須であり、簿記の知識は当然に必要となってきます。
7. 終わりに
いかがでしたでしょうか?
簿記とFPそれぞれの良さがあり、一概にどちらが優れていると言えるものではありません。
大事なのはご自身の置かれている状況に応じて、必要な資格を選択することです。
簿記にしろFPにしろあくまで資格は手段ですので、何のために取得するのか?という目的をしっかりと考えて、資格取得に挑戦してください。
8. まとめ
◆簿記:「会社」のお金の専門家。
◆FP:「個人」のお金の専門家。
◆経理だけでなくコンサルタントや銀行員、法人営業の方にも簿記はおすすめ。
◆金融機関の個人営業や独立したい方、プライベートの資産形成を充実させたい方にはFPがおすすめ。
◆株式投資により資産形成を充実させたい方や金融機関にお勤めの方はダブルライセンスがおすすめ。