「FP試験の勉強内容は多いのだろうか?」
「FP試験で学べることは何だろう?」
本記事では、このような疑問を解決していきます。
まず初めにFPの勉強内容を知ることで、合格にグッと近づきます。
5分ほどで読めるので、FP資格取得を目指している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. FP試験で学べること
1) ライフプランニングと資金計画
2) リスク管理
3) 金融資産運用
4) タックスプランニング
5) 不動産
6) 相続、事業継承
2. 勉強するべき内容は多い?
1) 多く感じる3つの理由
2) 実際はそこまで多くない4つの理由
3. 終わりに
4. まとめ
1. FP試験で学べること
FP試験では主に、6つの分野について扱います。
それぞれの分野の特徴を、日常生活と絡めて紹介していきます。
1) ライフプランニングと資金計画
「子供は2人欲しい」「35歳までに家を建てたい」「60歳で定年したい」といった、個人の人生に対する価値観のことを、ライフデザインと言います。
そして、ライフデザインに応じて人生設計を立てることを、ライフプランニングと言います。
個々人のライフプランニングによって必要な資金が異なるので、私たちは資金計画を練らなければなりません。
そんなライフプランニングと資金計画について学べるのが、この分野です。
家計簿をイメージしてみてください。
給料などの収入から、食費や光熱費なの支出を引いて残ったものが、自由に使える資金です。
その自由に使える資金をどのように運用すれば、自分の望む人生を送れるのかを考えていく必要があります。
特に銀行金利が0.001%と超低金利な時代なので、資産運用に対する計算方法や知識は必須です。
計算方法は目標額から必要な元金を計算する方法もあれば、今ある現金をある運用利回りで運用すれば、どれだけ資金が増えるのかを計算する方法などがあります。
資金計画を学んでいく為には、必須の考え方になります。
また、日本で暮らすうえで必ず必要になる医療保険や雇用保険、介護保険などの社会保障や公的年金・企業年金といった年金制度についてもこの分野で学べます。
これらの制度は働き方や年齢に関わらず、ほとんど全ての人に関わってくる話です。
知っておかなければ損をしてしまう可能性もあるので、ぜひ今のうちに学んで制度を最大限利用できるようにしておきましょう。
例えば、国民年金は20歳を超えると払う必要があるのですが、学生で払うのは厳しいでしょう。
おそらく20歳になると未納のハガキが届いていると思いますが、ほったらかしにしていませんか。
もし未納のままなら、学生であっても払っていないと見なされてしまい、将来の年金支給額は少なくなってしまいます。
支払いを繰り延べるか親に払ってもらうことで対処できるのですが、正しい知識がないと損をしてしまう例です。
大学生の人や大学生のお子さんがいらっしゃる人は、ぜひ知っておきたい内容です。
社会保障や年金については、若い時から知識を蓄えておきましょう。
2) リスク管理
リスク管理は、人生における大きなリスクに備えるための手段を学ぶ分野です。
リスク管理に使用するのは保険で、特に生命保険と損害保険が、リスク管理の二大巨頭になっています。
リスク管理ではこの生命保険と損害保険、さらに第3分野の保険について学びます。
生命保険は自分が命を落としてしまった時、配偶者や子供にお金が支払われるもので、早期の死亡リスクに備えています。
特に子供が小さい時に働き手が命を落としてしまうと、残された家族はこれからの生活がままなりません。
さらに、これからかかる学費が支払えず、子供に満足な教育を受けさせてあげられないことも考えられます。
そうならないためのリスク管理手段が生命保険で、生命保険の種類や必要保障額の計算、保険金受け取り時の税金についても学びます。
次に、損害保険は事故や災害に備える保険です。
火災で家が燃えてしまった時や、車で歩行者をひいてしまった時などの、発生確率は低いものの損害が大きくなるリスクに備えています。
損害保険には火災保険・地震保険・自動車保険・傷害保険・賠償責任保険などがあり、それぞれの保険の仕組みや税金について学ぶことができます。
保険の中では、もっとも身近な存在でしょう。
もしもの時に落ち着いて対応するために、損害保険の知識があると非常に便利です。
最後に、生命保険にも損害保険にも属さない、第3分野の保険です。
病気やケガなどに備えるのが目的で、医療保険やがん保険、介護保障保険があります。
過去問にはあまり登場しませんが、医療保険やがん保険は現実世界でも使用する方が多いので、知っておくべき内容でしょう。
3) 金融資産運用
金融資産運用は、経済指標や為替相場、景気、金融の基本に加えて、預金・債権・株・投資信託・外貨建て預金などの金融商品と、その税金について学びます。
円高やインフレなど、経済の基本的な内容が登場するので、大学で経済学を学んでいた方には、非常に馴染みのある分野でしょう。
また、金融商品についても学びます。
利回りやリスク、流動性を踏まえながら、自分の目的に合わせた資産形成の手法を考えられるようになります。
自分の金融商品を、どのように振り分けているかを表したのが、ポートフォリオです。
リスク許容度に合わせたポートフォリオを作成することが、資産運用では非常に大事な考え方です。
金融商品と合わせて、付随する税金についても学びます。
株や預金の利息など、自分が手にした利益には、税金がかかります。
金融商品から手にした所得に対する税金は20%ほどで、銀行に預けている預金から発生する利息も、先に税金分が引かれて口座に支給されているのです。
その他にもお得な投資制度として、話題のNISAについても学ぶことができます。
4) タックスプランニング
タックスプランニングでは、所得税や住民税について学びます。
税金はどのようにして決まるのか、税金を法律の範囲内で節税するにはどうすれば良いか?について知ることができるので、日常生活にも役立つ内容です。
その他にも、確定申告や源泉徴収など、税金に関わる仕組みを学べます。
個人事業主や会社を経営している方には、非常に馴染みのある分野でしょう。
会社員のかたも給与明細がより分かるようになるので、ぜひ知っておきたい内容です。
節税の方法には、ふるさと納税やiDeCoなどがあります。
他にもどんな方法で節税が出来るのかということを、タックスプランニングでは学ぶことができます。
5) 不動産
不動産ではその名の通り、不動産の評価や取引の方法、法令、税金について学びます。
マイホームを購入するときに、自分の家の価値が将来どのようになるのか予測したり、建設費や土地代以外に、マイホーム建設にかかる税金などの費用を知ることができます。
その他にも、住居に関する特別な控除や住宅ローン控除を学べるので、住居の購入をお考えの人は、知っておくと非常にお得です。
いずれはマイホームを購入したいという人も、ぜひ知っておくべき内容でしょう。
また、所有しているものの使用していない不動産の、有効的な利用方法も登場します。
相続などで自分のものになったが、特に使い道がなくて困っている人は、まず不動産の分野から学んでみてください。
6) 相続、事業継承
相続・事業承継も名前の通りで、高齢化が進んでいる現代では特に必要な知識です。
遺産を巡って相続で揉めることや、相続税が想像以上にかかって生活を圧迫するということがないようにするためにも、ぜひ相続についての知識は蓄えておきましょう。
遺言の残し方や、遺言がない場合の遺産の相続順、相続税の計算方法など、どれも相続に関して必須の知識です。
遺産の取り分に関する問題は、過去問にも非常に良く出てきますので、必ずチェックしておきましょう。
実際、相続が原因で揉めることになり、関係が崩れてしまった家庭もあります。
本来であれば仲が良かったとしても、遺産というのは人を変えるかもしれません。
仲の良かった兄弟や親戚、両親と揉めて泥沼化になるのを防ぐためにも、事前に知識を蓄えて手を打っておきましょう。
また、相続税と合わせて贈与税に関する知識も学びます。
贈与に関しては知識がないと、うっかり脱税していたなんてことになりかねません。
後で税務署から追加徴税の連絡が来たら、多額の税金支払いが待っています。
正しい知識は自分の身を守ることにも繋がるので、非常に大事な知識です。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2. 勉強するべき内容は多い?
1) 多く感じる3つの理由
FP試験を受けるにあたって、勉強内容が多いと思っている方は多いでしょう。
ここでは、FP試験で勉強するべき内容が多いと感じる理由を、順に3つ紹介していきます。
① 勉強するべき分野が多い
勉強するべき内容が多いと感じる理由の1つ目は、「勉強するべき分野が多い」ことです。
FP試験では6つの分野が範囲なので、学ぶ内容は膨大な量に感じます。
6つの分野は、ライフプランニングと資金計画・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続事業承継です。
同じ金融・経済の知識の中でもかけ離れた内容なので、勉強を別々にしなければなりません。
相関性の低いジャンルを個別に学ばなければならないので、勉強する分野が多いと感じてしまいます。
② 細かい数字が多い
勉強するべき内容が多いと感じる理由の2つ目は、「細かい数字が多い」ことです。
FPの勉強内容には料率や税率など、細かい数字がたびたび登場します。
具体的には、国債の金利や所得税・住民税などです。
しかも、それぞれの数字はバラバラで、内容ごとに個別に覚える必要があります。
料率や税率以外にも金額などでも数字は出てくるので、シチュエーションや言葉に合わせて数字を覚えなければなりません。
③ 実技試験の対策が必要
勉強するべき内容が多いと感じる理由の3つ目は、「実技試験の対策も必要」という点です。
FP試験には学科試験だけでなく、実技試験もあります。
ただでさえ学科試験だけで6分野の勉強をしなければならないというのに、実技試験もプラスで加わってきます。
実技試験とは言っても、学科試験と同様に筆記試験です。
学科試験がテキストの内容を問われる知識重視なのに対して、実技試験では具体的な事例を交えた問題が出題される、実践重視の問題が続きます。
自分自身がファイナンシャルプランナーとしてお客様とお話している場面が想定されているので、計算問題や適切なアドバイス内容を選ぶ問題が出題されます。
(実技試験については「ファイナンシャル・プランナーの試験内容とは?実技試験って何?」も合わせてご確認ください。)
2) 実際はそこまで多くない4つの理由
さきほどは、FP試験で勉強する内容が多いと感じる理由について紹介しました。
しかし実は、FP試験の勉強内容は、そこまで多くありません。
ここでは、FP試験の勉強内容がそこまで多くない理由を、順に4つお伝えします。
① 出題パターンが一定
勉強内容は実はそこまで多くないと考えられる1つ目の理由は、「出題パターンが一定」という点です。
FP試験の出題パターンは2級、3級問わず、ある程度決まっています。
そのため、テキストの端から端まで覚えなくても大丈夫です。
過去問を中心に学習すれば良いので、勉強するべき内容は少なくてすみます。
また、細かい数字についても全て覚える必要はなく、過去問で頻出の内容を中心に覚えればOKです。
テキストの内容を全て覚えるとなると大変ですが、FP試験に関してはそこまでする必要はありません。
まずは過去問をいくつか解いてみて、よく出てきた範囲を重点的に勉強すれば、効率よく勉強できます。
答え合わせをして点数を見て終わりではなく、間違えた箇所のチェックと、2度と間違えないように覚えなおす勉強法が効果的です。
② 馴染みのある分野がある
勉強内容は実はそこまで多くないと考えられる2つ目の理由は、「馴染みのある分野がある」ことです。
FP試験の内容は日常生活にかかわる部分も多く、すでに現実生活で体験している出来事の可能性があります。
特に社会人の方は、これまでに資産運用をしてきたり相続をしたりと、FP試験の内容はなにかしら経験があることでしょう。
経験したことがある内容は馴染みがあるので、より頭に入ってきやすいと思います。
実際に体験して馴染みのあるジャンルがある人は、スタート時から1歩リードです。
体験した人以外でも、大学で経済を学んでいた人は、金融資産運用の分野に関しては、馴染みがあるでしょう。
馴染みのある分野の勉強はほどほどに、苦手意識のある分野の勉強に取り組みましょう。
③ 勉強時間が多くない
勉強内容は実はそこまで多くないと考えられる3つ目の理由は、「FP試験の合格に必要な勉強時間は、それほど多くない」ことです。
3級の合格に必要な勉強時間は50時間、2級の合格に必要な時間は200時間と言われています。
就活のためにFP取得を考えている学生は平日2時間、土日3時間のペースで勉強すれば、3週間でFP3級の合格に必要な勉強量に達します。
社会人の方でも仕事終わりに1時間半、休日に3時間のペースで勉強すれば、1か月ほどで50時間に達します。
難易度が上がる2級でも平日2時間、土日3時間のペースで勉強すれば、200時間に到達するのは3か月後です。
この3級で50時間、2級で200時間という勉強時間は、他の金融系の資格取得と比較すると、それほど多くありません。
簿記2級では300時間、中小企業診断士は1,000時間、公認会計士は3,000時間と、どれもFP2級を上回っています。
他の資格と比較してみると、FPの取得にかける勉強時間が少ない、ということが分かるでしょう。
そのため、FPを取得するために学ぶべき内容は、多いと言えないのです。
短い時間で日常生活に役立つお金の知識が手に入るので、FPはコストパフォーマンスの高い資格でしょう。
④ 実技は学科の知識で対応可能
勉強内容は実はそこまで多くないと考えられる4つ目の理由は、「実技試験は学科試験の知識で対応可能」という点です。
学ぶ内容が多い理由のところでは、学科試験に加えて実技試験も受ける必要があるからと言いました。
しかし、実技試験が加わることは、FP試験において2級・3級の両方で、それほど大きな負担ではありません。
なぜなら、実技試験で問われていることは、学科試験の内容で解答出来るからです。
もちろん実技試験の問われ方は学科試験と異なり、過去問を解くなどの対策は必要ですが、基本的な知識は学科試験の内容で十分足ります。
3. 終わりに
ここまでFP試験の勉強内容や学べること、合格するために必要な勉強時間について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
FP2級、3級に合格するイメージは湧きましたか。
分野が6つもあるので、一見するとFP試験の内容は多いように見えますが、実はそうではありません。
問題の傾向が似ているので過去問を解いて、着実にテキストの内容を覚えていけば、十分合格できます。
また、日常生活に役立つお金の知識を学べる、コストパフォーマンスの高い資格です。
確実に資格を取得するためにも、できるだけ早めに勉強を開始しましょう。
4. まとめ
◆学科試験と実技試験に要する知識は同じ。
◆3級で50時間、2級で200時間と合格のために必要な勉強時間は、比較的少ない。