税理士試験を受けたいけど、難易度はどれくらいなのか気になっている、という方も多いはずです。
税理士試験に合格するのに、独学で大丈夫なのか知りたい、という方も少なくないでしょう。
そこで、税理士試験の難易度と独学でも合格できるのか?について、本記事では解説していきます。
税理士試験に合格したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 税理士試験の難易度
1) 税理士試験とは?
2) 受検資格
3) 税理士試験の難易度
2. 独学での合格は可能?
1) 独学のメリット
2) 独学のデメリット
3) そもそも独学で合格できるの?
3. 予備校の講座を受けるメリット
1) 独学よりも勉強が捗る
2) 他の受講生と一緒に頑張れる
3) 税理士試験対策がしっかりとできる
4. 終わりに
5. まとめ
1. 税理士試験の難易度
1) 税理士試験とは?
税理士試験は、会計学2科目、税法9科目で行われます。
会計学2科目、および税法3科目の合計5科目に合格すれば、税理士試験合格となります。
各科目とも、6割以上の点数を取れれば、合格ラインに達します。
公認会計士試験とは違い、1回の試験ですべての科目に合格する必要はなく、1科目ずつ受験して合格を目指せるのが、税理士試験となります。
(「公認会計士と税理士の違い・共通点とは?どっちがおすすめ?」も合わせてご確認ください。)
2) 受検資格
税理士試験の制度で知っておかなければいけないのが、誰でも受験できるというわけではないことです。
受験資格を得るためには、以下の条件のいずれかを満たしておく必要があります。
・日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者。
・公認会計士試験短答式試験に合格している者。
・士業の事務所や会計に関する業務で2年以上働いている者。
(この他に、在学中に法律学か経済学に属する科目を含め62単位以上取得することで、卒業前に税理士試験の受験資格を取得することも可能です。*大学3年次以上)
学歴要件を満たすのがスタンダードなケースですが、それ以外だと日商簿記1級、あるいは全経簿記上級を取得して、受験資格を得るという方法もあります。
かなり難易度の高い資格ですが、税理士試験の簿記論や財務諸表論はこれらの試験内容の上位に値するので、合格を目指す価値があるでしょう。
また、会計事務所などで実務経験を積んで、受験資格を得るケースも考えられます。
税理士になるためには、試験に合格するだけでなく実務経験が必須であり、さらに受験者のほとんどは社会人であることから、会計事務所などで働いて実務経験を積みながら、税理士資格取得を目指す方も多いです。
最低2年間は実務経験が必要なため、2年間は税理士試験を受験することができないのですが、その期間に勉強をして受験に備えることができます。
2023年度の税理士試験より、簿記論・財務諸表論の受験資格が撤廃され、誰でも受験できるようになりました。
簿記論・財務諸表論は、税理士試験で多くの受験生がまず受験を考える科目であるため、非常に受験しやすくなったと言えます。
3) 税理士試験の難易度
税理士試験の合格率(科目別の受験者・合格者の延人員で算出。)
年度 | 合格率 |
2017年 | 17.0% |
2018年 | 12.8% |
2019年 | 15.5% |
2020年 | 17.3% |
2021年 | 16.5% |
2022年 | 16.7% |
2023年 | 18.8% |
上表を見ていただければわかると思いますが、税理士試験は非常に難易度が高い試験と言えます。
直近の合格率を見るとだいたい15%前後の合格率で、合格率15%前後の科目を合計5科目合格しなければなりません。
また、1科目ずつ専念して受験する人も多いことから、受検者層のレベルが高いのも特徴です。
さらに、税理士試験に合格するために必要な勉強時間の目安として、およそ6,000時間と言われています。
もし平日2時間、休日6時間を使って勉強するとしても、最低5年の勉強時間が必要となります。
税理士試験は1年で5科目すべてに合格できるようなレベルではなく、1科目ずつ確実に合格を目指していくスタイルで勉強していかなければなりません。
ですので、税理士試験はたくさんの勉強時間と、多くの知識を必要とする、非常に難易度が高い試験なのです。
2. 独学での合格は可能?
ここではまず、独学のメリット・デメリットを紹介したうえで、税理士試験を独学で合格することは可能なのか?について解説していきます。
1) 独学のメリット
① 費用を抑えられる
税理士試験を独学で勉強するメリットの1つ目は、「費用を抑えられる」という点です。
学校や各種講座で勉強するとなると、ある程度の費用がかかりますが、独学ならば費用を抑えられるのがメリットとなります。
そのため、どうしても経済的に苦しくて経済的負担を強いられるのが厳しいという方ならば、独学という手もあるでしょう。
教材を自身で選んで購入する必要はありますが、数千円~数万円の費用の負担で済むので、できるだけお金をかけずに税理士試験に合格したいという方にはマッチしています。
② 自分のペースで勉強できる
税理士試験を独学で勉強するメリットの2つ目は、「自分のペースで勉強できる」という点です。
独学の場合、自宅やカフェで、一人で好きな時間に勉強できることから、自分のペースで勉強することが可能です。
また、どの科目にどれだけの時間を充てるかを配分するのはすべて自分自身なので、無理なく勉強ができます。
講座を受けるとなると、あなた以外にも講座を受けている人がいるため、どうしても周囲の目を気にしてしまったり、競争意識が出てしまったりすることもあります。
ですが、独学だとその必要はないので、好きな場所で好きな時間に、自分のペースで進めていけるのがメリットと言えます。
③ 仕事や家事と両立しやすい
税理士試験を独学で勉強するメリットの3つ目は、「仕事や家事と両立しやすい」という点です。
独学だと毎回講座に出席して通学するという手間を省くことができるので、社会人で仕事をしている人や子育て家事をしている主婦・主夫の方でも、両立しやすいのです。
会社員の方だと仕事帰りや土日祝日を利用することで、税理士試験の勉強を独学ですることが可能です。
また、主婦・主夫の方だとお子さんが寝ている時間や、家事の合間に勉強ができます。
仕事や家事で忙しいという方でも、スキマ時間を積み上げれば、おそらく1日数時間は勉強に充てられる時間があるでしょうし、休みの日に勉強することも可能です。
仕事をしている社会人や主婦・主夫の方でも、両立しやすいのが独学のメリットと言えます。
予備校の通信講座であれば、通う必要がなく好きな時に、好きな場所で勉強できます。
そのため独学と同じく、多忙な人でもスキマ時間を利用して、合格を目指すことが可能となります。
2) 独学のデメリット
① モチベーション維持が難しい
税理士試験を独学で勉強するデメリットの1つ目は、「モチベーション維持が難しい」という点です。
5科目すべての科目に合格するには、かなり膨大な時間が必要となりますし、学習計画も一人で決めて、進めていかなければなりません。
わからない問題に直面すると、自力で解決するのはとても難しいため、モチベーションを維持するのが大変です。
誰も助けてくれないので精神的負担も大きいですし、モチベーションを維持するのが簡単ではないのが、独学のデメリットとなります。
辛抱強く諦めないで何年も独学できる方でなければ、合格するのは非常に厳しいと言えるでしょう。
② 教材が少なく挫折しやすい
税理士試験を独学で勉強するデメリットの2つ目は、「教材が少なく挫折しやすい」という点です。
残念なことに、独学で税理士試験の勉強をしたいと思っても、独学用の教材はあまり多くないのが実情です。
特に酒税法や事業税などのマイナーな科目に関しては、独学用の教材があまりないのです。
また、独学用の教材だと1~2年前の税法に基づき作成されているケースがあり、最新の法改正に対応できていない可能性が高いのも、大きなデメリットとなります。
家族や友人に税理士の方がいれば別ですが、そうでなければそもそも良い教材を探すのも、非常に難しいのです。
③ 合格するのが至難の業
税理士試験を独学で勉強するデメリットの3つ目は、「合格するのが至難の業」という点です。
先ほどお話したように、独学だとすべて自分自身で計画を立てて一人で勉強をしなければなりませんし、教材が少ないので、効率的に税理士試験の勉強をするのが難しいです。
そのため、税理士試験に合格するのは至難の業。
独学だとわからない問題があれば、それを自力で解決するのは決して簡単ではありません。
よほどの実力と忍耐力がなければ、税理士試験に独学で合格することはできないのです。
そこが、独学のデメリットとなるでしょう。
3) そもそも独学で合格できるの?
税理士試験合格を目指す場合、正直独学ではかなり難しいのが実情です。
独学だとほとんどお金をかけずに勉強できるというメリットはありますが、思うように勉強が捗らなかったり、わからない問題があると自力で解決できなかったりします。
相談する相手がいないというのはとても不利ですし、モチベーションをしっかりと保つことができずに、途中で挫折してしまう可能性が高いのです。
そのこともあって、税理士試験合格を目指すのであれば、独学ではなく予備校の講座を受講することを検討してみてください。
予備校の講座を受講することにより、指導経験が豊富な講師が丁寧にわかりやすく教えてくれます。
万が一わからない問題に直面した際には、実績豊富な講師がわかりやすく教えてくれるので、問題を解決できる可能性が高いでしょう。
もちろん予備校の講座を受講するとなると受講料はかかるのですが、税理士試験の難易度を考えると、独学よりも講座を受けて勉強するほうが、合格できる可能性が格段に上がります。
また、相談相手がいるのでモチベーションを落とさずに、頑張っていけるのではないでしょうか。
さらに、同じ講座を受講している人たちと、切磋琢磨しながら勉強ができるので、目標に向かって努力を続けやすいと言えます。
ですので、税理士試験の合格を目指すのであれば、独学よりも予備校の講座を受講するのがおすすめです。
元難関資格講座の運営者が、以下の6つの税理士予備校の費用と合格者数を比較して、コスパと実績の観点から、おすすめの予備校を解説しました。
・大原
・TAC
・スタディング
・LEC
・ネットスクール
・クレアール
詳細は「税理士の予備校おすすめ3選!費用と合格者数を比較してみると..」をご確認ください。
3. 予備校の講座を受けるメリット
ここではより詳しく、予備校の講座を受講するメリットについて、解説していきます。
1) 独学よりも勉強が捗る
予備校で講座を受講するほうが、独学よりも勉強が捗る可能性が高いです。
独学だと独学用の教材が非常に少ないので、税理士試験対策を行うのは簡単ではありませんし、解けない問題があってもすぐに聞けないので勉強が捗りません。
一方で講座を受講すれば、勉強法や対策をしっかりと聞くことができますし、講師にわからないところを教えてもらえるので、効率的に勉強が行えます。
また、モチベーションの維持もしやすいですし、一人で悩まなくて済むのです。
さらに、授業料を支払っている分、絶対に合格してやろうという思いが強まるので、独学よりも本気になれるはずです。
2) 他の受講生と一緒に頑張れる
予備校の講座を受講することで、他の受講生と一緒になって頑張ることができます。
同じ目標に向かって努力している仲間だからこそ、わかり合えることも多いでしょうし、良い環境の中で税理士試験対策ができるでしょう。
独学だと基本的にずっと一人で勉強することになるので、どうしてもモチベーションが下がってしまったり、手を抜いてしまったりしやすいです。
しかし、周囲に頑張っている人たちがいれば、自分も負けたくないという思いが強くなるのではないでしょうか。
相乗効果によってモチベーションも高まりますし、やる気がアップすることも考えられるのです。
もしかすると、今後一生涯の友になるかもしれませんし、素晴らしい出会いが待っているかもしれないのです。
3) 税理士試験対策がしっかりとできる
予備校の講座ならば、税理士試験対策を万全にしていくことができます。
独学の場合だと、教材をすべて自分自身で選んで購入しなければなりません。
一方で予備校の講座を受講した場合、教材も用意してもらえますし、どのように勉強をすれば良いのかも教えてもらえます。
税理士試験に合格するためなら、多少費用がかかっても良いという方であれば、税理士試験対策として予備校の講座を受講するのがおすすめです。
お金をかけるということは、それだけ本気になれるということでもあります。
独学だとほとんどお金をかけずに済むことから、どうしても本気になりにくいというデメリットがあるのです。
あなたが本気で税理士試験に合格したいならば、講座を受講して損はないのではないでしょうか。
とても難易度の高い税理士試験だからこそ、本気で取り組む姿勢が大切となります。
4. 終わりに
いかがでしたでしょうか?
ここまで税理士試験の合格率や難易度、独学のメリットとデメリット、独学よりも予備校の講座受講がおすすめ、といった内容について解説してきました。
税理士試験に合格するためには、膨大な時間と知識が必要なことから、モチベーションをしっかりと維持しなければなりません。
モチベーションを維持するためにも、税理士になって活躍しているという数年後のあなたを思い描きながら、勉強に励んでください。
5. まとめ
◆膨大な勉強時間と知識がいるのが税理士試験。
◆独学はメリットもあるがデメリットも多い。
◆税理士試験は独学でなく予備校の講座を受講するのがおすすめ。
◆税理士試験に合格するにはモチベーションを保つことが大切。