税理士のやりがい、魅力とは?目指す価値はある?

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AIの台頭によりなくなる仕事の代表例として、税理士はよく挙げられています。

ただしこれは、税理士の仕事の一部がAIに代替されるという意味であり、依然として税理士という職業は魅力的で、目指す価値のあるものです。

そこで本記事では、税理士の仕事のやりがいや魅力について、順に5つ紹介していきます。

【監修者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・前職で公認会計士講座の責任者を担当

 

 

1. 顧客から感謝される

税理士は顧客から感謝される

税理士は、顧客から感謝される職業です。

同じく会計関連の国家資格である公認会計士と比較した場合、公認会計士よりも税理士の方が顧客から感謝されることが多いです。

これは、両者の業務内容、業務目的の違いが原因にあります。

税理士と公認会計士は、会計・財務に関する助言や事務など、業務内容が重なっている部分もあります。

一方で簡単に両者を分ける場合、税理士が「税務」を独占業務としているのに対し、公認会計士は「監査」を独占業務としているといえます。

監査とは、上場企業や大企業等の会計書類が、ルールに則って適正に作成されているかチェックする仕事です。

そのため顧客側からすれば、なるべく来てほしくない、間違いをみつけてほしくないというマインドになります。

もちろん公認会計士の仕事も企業や社会にとって非常に重要な役割を果たしているのですが、公認会計士が精度の高い監査によって顧客の間違いを発見したとしても、なかなか顧客に感謝してもらうことはありません。

反対に税理士が行う税務は、基本的に税に関する顧客のニーズに応えていく仕事になるため、その期待に応えることができた場合には、顧客からありがとうと感謝してもらう機会も多くなるのです。

(税理士と公認会計士の違いについては、「公認会計士と税理士の違い・共通点とは?どっちがおすすめ?」をご参照ください。)

 

2. 高収入を目指せる

税理士は高収入を目指せる

税理士は、高収入を目指せる職業といえます。

税理士は、税務業務に独占権が与えられている国家資格であり、資格取得の難易度も非常に高いです。

誰でも簡単に取得できるような資格ではないため、その希少性、業務独占性、専門性によって、高収入や収入の安定性が見込めます。

実際に独立開業して大口の顧客を増やしたり、税理士法人のパートナーに就任したりすることによって、年間数千万円以上の収入を手にしている税理士も多くいます。

また、税理士資格を生かして上場企業や大企業の経理財務部等に、好待遇で採用されるケースもあります。

さらに、外資系税理士法人に入所し、出向転勤により海外にフィールドを移して、高収入を実現している税理士もいます。

税理士の高齢化や税理士試験受験者数の低下など、税理士業界でネガティブに捉えられている課題がありますが、これは同時に税務に精通する税理士という希少性が、今後ますます高まっていくともいえます。

税理士が高収入を手にできる可能性のある職業であるという状況は、今後も変わらないと考えらます。

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3. 多様な働き方を選択できる

税理士は多様な働き方を選択できる

税理士になることで、様々な働き方を選択することができるようになります。

 

1) 独立して事務所を開業

税理士は比較的少ない初期投資で、開業が可能となります。

そのため独立開業は、最もオーソドックスでポピュラーなパターンの、税理士の働き方といえます。

企業に就職する場合、勤務地や勤務時間があらかじめ決められていて、転勤や出向を命じられても、従業員は従わざるを得ないというケースが一般的です。

また、本人の意思によらず、定年制度によって60歳から65歳までに退職する、ということが一般的です。

しかし税理士として開業すれば、勤務場所や勤務時間に縛られることは原則ありませんし、定年を気にすることなく働くことが可能です。

自信の経営理念を、事務所の経営に反映することも可能です。

自分の好きなように仕事のスケジュールを組むことができますので、子育てや介護との両立をしながら働くことも可能となります。

UターンやIターンといった地方勤務を考えている方にとっても、税理士という仕事が妨げになることはないです。

一昔前であれば、税理士業務のIT化が進んでおらず、顧客の紙媒体の申告書や資料をファイリングして事務所に保管したり、顧客との会議はFace to Faceが常識であったりしました。

しかし現在は、電子申告や資料の電子保存等が普及しており、ITやシステムを上手く活用すれば、顧客との資料のやりとりや会議もパソコン1台で可能です。

一方で独立開業の場合、新規の顧客獲得のために営業したり、従業員のケアをしたり、税務だけでなく経営者としてのスキルや経験を高めていく必要があります。

 

2) 税理士法人、企業の経理財務部

税理士といえば開業税理士を連想されることが多いですが、組織に属し組織の一員として活躍する税理士も多くいます。

例えば、税理士法人や会計事務所に雇用されて働く税理士や、税理士資格を生かして企業の経理財務部や税務部で、企業内税理士として働く税理士です。

 

① 税理士法人/会計事務所

既に安定した顧客基盤や組織力があり、大手事務所であれば日本や海外含め、複数の都市にオフィスを設置している場合もあります。

よって、経験の浅い税理士がいきなり顧客獲得のため営業に奔走する、といったことはあまりありません。

同僚にも税理士がたくさんいることから、他の税理士の意見を聞いてみたり、事例共有をしたり、勉強会を行ったりして知識や経験を増やしていくことができます。

幅広い業務をこなし、専門性を高めることに集中できる環境が整っているといえますので、税理法人や会計事務所で経験を積んだ後、自分の事務所を開業するといった税理士も多く見受けられます。

 

② 企業内税理士

会社の規模を問わず、企業の経理財務部や税務部が、税理士や公認会計士の有資格者を雇用したいというニーズは高く、税理士のスキルと経験によって好待遇で採用されることもあります。

企業会計や税務に携わることになるため、法人税の知識や経験は必須とされることが多く、英語やITなどのスキルも企業では重要視されます。

企業内の会計・財務・経理の全体または一部の業務を担うことが多く、様々な部署の従業員に税務知識のトレーニングを行ったり、税務調査を担当したり、税理士有資格者としての専門性を期待されます。

 

3) その他のフィールドで活躍

税理士だけが行える独占業務は、①税務代理(納税者を代理して確定申告、税務調査の対応、不服申立て等を行うこと)、②税務書類の作成(納税者に代わって申告書、申請書その他税務署などに提出する書類を作成すること)、③税務相談(納税者が税金に関することで困っているときに相談に応じること)の3つの業務であり、一般的に税理士はこれらの業務を主として活動しています。

しかし、税理士が行うことができる業務は独占業務である税務だけにとどまらず、様々なフィールドで税理士は活躍しています。

企業の資金調達用の事業計画をアドバイスするなど、経営者からみれば経営コンサルタントのような役割を期待されている税理士も多くいます。

また、まだまだ一般に認知はされていませんが、弁護士とともに租税に関する裁判で陳述活動を行ったり、会計参与として役員の立場で企業の計算書類作成に関与したり、成年後見人として判断能力が不十分な方の財産管理の手助けをしたり、地方公共団体の税金の使途をチェックしたり、政治団体の政治資金監査を行ったりと、様々なフィールドで税理士は登用されています。

(税理士の仕事内容については、「税理士ってどんな仕事?わかりやすく解説してみました!」をご参照ください。)

 

4. 人脈が広がる

税理士は人脈が広がる

税理士は、税金の計算をしているイメージが強く、あまり人と接点をもたないような印象があるかもしれません。

しかし、個人事業主、法人問わず様々な顧客にサービスを提供するため、自然と人脈が広がる仕事といえます。

ある顧客にサービスを提供して喜んでもらった結果、その顧客の知人や取引先を紹介してもらうこともあります。

また、顧客と十分なコニュニケーションがとれていないと、申告に必要な情報を見落として、顧客から十分な信用を得られないといったことがありますので、コニュニケーションスキルは税理士にとって重要な要素といえます。

さらに、他の税理士とのネットワークを形成することも大切です。

事例を共有したり、一緒に税法の勉強をしたり、他の税理士と交流することでスキルや経験が磨かれることもありますし、同業者と悩みを共有することによって、ストレスを発散させることもできます。

 

5. 若い世代に大きなチャンスがある

税理士を目指すことは、若い世代にとって大きなチャンスとなります。

税理士業界の高齢化、税理士試験の受験者数低下という業界の現状において、税法や税務はどんどん複雑化しています。

税務のプロフェッショナルである税理士が減少していく一方で、税金に関する顧客のニーズはますます高まっていくことが予測されます。

ITに強く最新のビジネスや感性に長けた若手の税理士には、多くの期待が集められています。

AIが税理士の仕事を奪うという記事や情報は正しい部分もありますが、実際の税理士の活動実態や可能性が考慮されているわけではありません。

税理士は単なる税金計算屋、記帳代行屋ではなく、税の専門家としてありとあらゆる顧客や社会のニーズに応えていく仕事です。

税制が社会に重要な意味を持ち、税収が国家財政の基盤である以上、税務の独占権を有する税理士の仕事が脅かされることはないでしょう。

ただし、AIにはない人間だからこそ可能な税理士の付加価値を顧客や社会に示していくことが、税理士業界にとって重要になると考えらます。

高齢化社会で相続や事業承継の案件は将来増加が予想され、経営者の右腕として経営コンサルを武器にする税理士も増えてきています。

国際取引やM&Aといった複雑な経済取引に対して、専門的なサービスを期待するクライアントも存在します。

そんな様々な顧客のニーズや期待に応え、既に社会的に高い評価を受けている税理士という存在をさらに発展させるために、税理士業界は若い世代を必要としています。

 

6. 終わりに

いかがでしたでしょうか?

税理士は税金計算や記帳代行といった事務作業だけを行う仕事ではなく、税の専門家の立場から顧客や社会の様々なニーズに応えていく、重要な役割を担っています。

医師などと同じように、税理士には税務業務に対して無償独占権が与えられており、今後も安定した収入が期待できます。

開業したり組織に属したり、場所や時間に縛られずフレキシブルな働き方が可能であり、子育てや介護を担う方にとっても適している職業といえるでしょう。

税制複雑化のなかで税理士業界は高齢化が進んでおり、これから税理士を目指して税の専門性を高めていくことは、大きなチャンスとなります。

 

7. まとめ

Point! ◆クライアントから感謝される。
◆高収入を期待でき、フレキシブルに働ける。
◆独立税理士、組織内税理士、経営コンサル、会計参与など多様な活躍フィールドがある。
◆人脈を広げることができる。
◆若手に大きなチャンスがある。

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