ベンチャーの経理はきつい?向いている人とは?

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経理で働いている人であれば、一度は転職を考えたことがあるのではないでしょうか?

一方で、転職先の候補として、ベンチャー企業の経理を考える人は、まだまだ少ないです。

その背景には、「ベンチャー企業の経理はきつそうで、自分には無理そう。。」という考えがあるかと思います。

そんなことはないですよ!と言いたいところですが、ベンチャーに勤務していた私の経験からも、ベンチャー経理はなかなかきつい環境と言えます。

そこで今回は、ベンチャー経理がきつい6つの理由について、お伝えしていきます。

また、ベンチャー経理に向いている人の3つの特徴についても解説しますので、ぜひ最後までご一読ください。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. ベンチャー経理のここがきつい

ベンチャー経理のここがきつい

1) 経理全般を担当する必要がある

1つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「経理全般を担当する必要がある」からです。

経理がベンチャーに転職する際に、まず考えておく必要があるのが、経理業務を全て一人でこなすことができるか?といった点です。

前職のベンチャーでは、経理担当の社員は一人だけでした。

比喩でも何でもなく、文字通り一人で全ての経理業務を、担当する必要がありました。

もちろん、パートの人がいたので、全ての手作業を一人でやることはなかったのですが、実質的な責任は一人の社員が負っていたことになります。

大手企業の経理であれば、各経理業務を担当して経理の全体像が理解できるまでに、少なくとも10年程度はかかる可能性があります。

しかしベンチャーでは、いきなり全ての経理業務を任され、また、全ての責任を負う立場になる可能性があるため、ベンチャー経理はきつい環境となりやすいです。

以上より、「経理全般を担当する必要がある」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

 

2) 業務フローが全く整っていない

2つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「業務フローが全く整っていない」からです。

これもベンチャーあるあるなのですが、ある程度歴史のある企業からベンチャーに転職してき人は、まず一連の業務フローを確認しようとしますが、そもそも業務フローなるものが全くないことに気付き愕然とします。

「マニュアルが整備されていない程度であれば、しょっちゅう経験してきたから問題ない。」と考える人もいますが、そんなレベルの話ではありません。

そもそも前任者が間違った処理を行っていたり、何も記録が残っていなかったりといったことが、平気で起こりうるのがベンチャー経理です。

前述のように、膨大な範囲の業務をこなさなければならないのに、業務フローが全く整っていないという、まさにカオスの状態の中で働く必要があるため、ベンチャー経理はきつい環境となりやすいです。

以上より、「業務フローが全く整っていない」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

 

3) 経理以外を理解する必要がある

3つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「経理以外を理解する必要がある」からです。

これは経理全般に言えることですが、簿記ができるだけの経理というのはまだまだ半人前で、自社のビジネスを理解してこそ、一人前の経理と言えます。

そのためには、経理以外の営業やマーケティング、経営などについても理解する必要があります。

さらにベンチャー経理であれば、場合によっては経理以外の業務を担当する必要もあります。

特に20名以下のベンチャーであれば、社員一人一人が複数の業務を兼務して、「できることは何でもやります!」という姿勢が求められることが多いです。

経理業務以外の業務の例としては、以下が考えられます。

・経営戦略を考える。
・説明会スタッフを担当する。
・電話とりをする。
・面接を担当する。
・組織文化を社内に浸透させる。

上記は実際に、以前勤めていたベンチャー企業の、経理社員が担当したことのある役割です。

「自分は経理だから、、」という言い訳が通じないため、ベンチャーはきつい環境となりやすいです。

以上より、「経理以外を理解する必要がある」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

 

4) 労働量に給料が見合わない

4つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「労働量に給料が見合わない」からです。

給料面に関しても、ベンチャー経理あるあるかと思います。

前述の通りベンチャー経理は、経理業務全般を担当して、場合によっては経理以外の業務をこなすという大変な環境にありますが、それに見合う給料がもらえることはまれです。

ベンチャーの場合、まだまだ成長期であり、人件費よりも事業に投資して、事業規模を拡大していく必要があります。

もちろん、上場を目指しているベンチャーも多く、給料の代わりにストックオプションをもらえるケースもありますが、役員限定となる場合が多いです。

また、人事評価制度もまだ確立されていないことも多く、社長の裁量で全ての評価が決まることもあり、自己評価に見合った給料がもらえない可能性が高いです。

働きに対して必ずしも相応の給料が得られないため、ベンチャー経理はきつい環境となりやすいです。

以上より、「労働量に給料が見合わない」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

 

5) 予算管理が難しい

5つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「予算管理が難しい」からです。

経理の重要な業務の1つに、予算管理があります。

費用面だけでなく、売上予算についても各担当者から上がってくるデータをもとに、作成する必要があります。

ただ、ベンチャーの場合は毎月の売上の変動が激しく、過去のデータをもとにして売上を予測することが、非常に困難な場合が多いです。

かといって、てきとうに予算を設定して毎月大きく実績と乖離していると、予算が形骸化してしまいます。

そのため、前述の通り経理以外の会社のビジネス部分もしっかりと理解して、可能な限り売上を事前に予測する必要があるのです。

、、、と言葉にするのは簡単ですが、これが非常に難しいのです。

実際に私もベンチャーで予算を作っていましたが、そもそも毎月・毎週の単位で経営戦略が変更されることもあり、特に売上の将来予測をするのは至難の業でした。

以上より、「予算管理が難しい」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

 

6) 経営者から無茶な要求がくる

6つ目のベンチャー経理がきつい理由は、「経営者から無茶な要求がくる」からです。

特に規模の小さいベンチャーは、経営者のトップダウンで意思決定が行われることが多いです。

はじめに断っておくと、成長期の会社の意思決定がトップダウンで行われることは、必ずしも悪いことではありません。

むしろ、スピードのある意思決定で、あらゆることに挑戦していかなければならない段階であるため、トップダウンの方が良いとも言えます。

ただその弊害として、経営者から無茶な要求がくることも、たびたびあります。

「月が替わったら、すぐに前月の速報値のデータがほしい。」
「新規の事業投資を行いたいので、数億円程度の調達先を探してほしい。」
「経理人員を雇っている余裕はないので、今の人数で頑張ってほしい。」
「売上予算をもっと正確に作成してほしい。」

どれも経営者の立場からしたら、当然の要求とも言えますが、依頼される経理からしたら、「日々の作業で精一杯で、これ以上は無理。。」と思うことでしょう。

日々の膨大な業務をこなしながら、経営者の要求にも応えなければいけないため、ベンチャー経理は大変な環境になりやすいのです。

以上より、「経営者から無茶な要求がくる」ため、ベンチャー経理はきついと言えます。

★学べることも多い!
ベンチャー経理のきつい点というのは、裏を返せばベンチャー経理で学べることでもあります。
具体的には、以下の通りとなります。

・経理業務全般の経験。
・業務フローの整備。
・経理業務以外の経験。
・難しい予算管理。
・経営者とのコミュニケーション。

きつい反面、学べることも多い環境なので、成長を求めている人には、おすすめの環境と言えます。

 

2. ベンチャー経理に向いている人

ベンチャー経理に向いている人

1) 適度に手を抜ける人

ベンチャー経理に向いている人の1つ目の特徴としては、「適度に手を抜ける人」が考えらます。

ベンチャー経理の業務は非常に多く、全ての業務を100%やろうとすると、必ず破綻します。

ではどうするのか?というと、どの業務も適度に手を抜き、70%程度で終える必要があります。

ベンチャー経理の場合、とにかく形だけでも一通り最後までやり切ることを、まずは目指すことが大切となります。

個々の業務を改善するのはそれからです。

真面目過ぎる人だと、100%やり切ろうとして破綻し、場合によっては病んでしまうかもしれません。

そのため、適度に手を抜ける人の方が、ベンチャー経理として長くやっていける可能性が高いです。

以上より、「適度に手を抜ける人」は、ベンチャー経理に向いていると言えます。

 

2) 組織に染まりやすい人

ベンチャー経理に向いている人の2つ目の特徴としては、「組織に染まりやすい人」が考えらます。

ベンチャー企業にとって、組織文化は非常に大切となります。

良くも悪くも部活動のように、共通の目標に向かって皆で一致団結しないと、そもそも会社の存続自体が危うくなってしまいます。

そのため、仮に会社の雰囲気や方針に100%は同意できないことがあっても、その会社に属している間は組織に染まった方が、自身の評価も事業自体も伸びる可能性が高く、恩恵を受けることができます。

もちろん、どうしても納得できなことがあれば、声を上げた方が良いですが、この場合は転職をしてしまった方が早いかと思います。

一度持ってしまった会社に対する疑念は、余程のことがない限り、晴れることはありません。

以上より、「組織に染まりやすい人」は、ベンチャー経理に向いていると言えます。

 

3) 経理業務以外の経験がある人

ベンチャー経理に向いている人の3つ目の特徴としては、「経理業務以外の経験がある人」が考えらます。

前述の通り、ベンチャー経理には経理以外の職種に対する理解が求められ、場合によっては経理以外の職種を担当することもあります。

そのため、経理以外の業務を経験したことがある人の方が、順応しやすい環境と言えます。

また、経理以外の業務を経験したことがある人であれば、「経理×○○」といった専門性の掛け算ができるため、特に多能工が求められるベンチャーにおいては重宝されやすいです。

経理以外の業務経験とは、必ずしも本業での経験である必要はなく、副業でマーケティングやプログラミングなどを経験している人も、該当します。

以上より、「経理業務以外の経験がある人」は、ベンチャー経理に向いていると言えます。

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詳細は「経理の転職エージェントの選び方とおすすめ4選!」をご確認ください。

 

3. 終わりに

ベンチャー経理がきつい理由と、ベンチャー経理に向いている人の特徴についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

ベンチャー経理はきつい環境ではありますが、その反面、非常に成長できる環境でもあります。

自身の適性を見極めながら、ベンチャー経理という選択肢も、ぜひ検討してみてください。

 

4. まとめ

Point! ◆経理業務全般を担当する必要がある。
◆業務フローが全く整っていない。
◆経理以外の業務を理解・担当する必要がある。
◆労働量と給料が比例しない。
◆予算管理が困難。
◆トップダウンで無理難題がふってくる。

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