ビジネス会計検定の試験問題とは?

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ビジネス会計検定の勉強をしている方、あるいはビジネス会計検定に興味のある方であれば、「試験問題はどんな構成で、どの程度のレベルの問題が出るの?」と一度は思われたことがあるのではないでしょうか?

「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」と言われるように、まずは自分が戦おうとしている相手、つまりは試験問題について事前に把握することが大切です。

そこで今回は、まず試験問題の構成をお伝えした上で、ビジネス会計検定3級と2級の過去問から数問抜粋して、解説していきます。

【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・ビジネス会計検定講座講師
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 試験問題の構成

1) ビジネス会計検定3級

ビジネス会計検定3級は、第Ⅰ問から第Ⅳ問で構成されております。

第Ⅰ問と第Ⅱ問では1問1問が独立した知識問題が問われ、第Ⅲ問と第Ⅳ問では与えられた財務諸表の数値を計算して答えを出す総合問題が出題されます。

各大問ごとの問題数は、各回ごとにバラツキがあります。

例えば、第28回~34回試験の問題構成は、以下のようになっております。

大問 28回 29回 30回 31回
12問 9問 12問 14問
10問 15問 13問 13問
13問 13問 12問 13問
15問 13問 13問 10問
大問 32回 33回 34回
12問 13問 12問
13問 14問 14問
11問 12問 13問
14問 11問 11問

 

2) ビジネス会計検定2級

ビジネス会計検定2級は、3級と同様に第Ⅰ問から第Ⅳ問で構成されております。

第Ⅰ問・第Ⅱ問で知識問題が、第Ⅲ問・第Ⅳ問で総合問題が問われる点も3級と共通しております。

例えば、第28回~34回試験の問題構成は、以下のようになっております。

大問 28回 29回 30回 31回
9問 9問 8問 9問
9問 8問 9問 9問
16問 14問 17問 17問
16問 19問 16問 15問
大問 32回 33回 34回
10問 11問 10問
8問 8問 9問
17問 13問 15問
15問 18問 16問

 

2. 3級の試験問題

1) 試験問題 例1

問題

次の文章について、正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(ア) 受取手形や売掛金などの債権が回収不能になることを、貸倒れという。
(イ) 貸倒引当金は、貸借対照表において負債の部に表示される。

① (ア) 正 (イ) 正
② (ア) 正 (イ) 誤
③ (ア) 誤 (イ) 正
④ (ア) 誤 (イ) 誤

 

解答・解説

正解:②
(ア) 正しい。
(イ) 誤り。貸倒引当金は貸借対照表において、資産の部から控除される形式で表示される。

 

2) 試験問題 例2

問題

1株当たり純資産に関する次の文章について、正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(ア) 株主の出資に対する収益性を判断する指標である。
(イ) 最低株価の目安とされることがある指標である。

① (ア) 正 (イ) 正
② (ア) 正 (イ) 誤
③ (ア) 誤 (イ) 正
④ (ア) 誤 (イ) 誤

 

解答・解説

正解:③
(ア) 誤り。株主の出資に対する収益性を判断する指標は「自己資本当期純利益率(ROE)」。一株当たり純資産は「純資産÷株式数」で計算され、最低株価の目安となる指標である。
(イ) 正しい。

 

3) 試験問題 例3

問題

損益計算書に関する次の文章のうち、正しいものの適切な組み合わせを選びなさい。

ア. 一定時点における企業の経営成績を表すものである。
イ. 1年間に生じたすべての収益と、その収益を得るためにかかったすべての費用が記載される。
ウ. 費用は、実現主義により計上される。
エ. 経常利益は、本業のもうけに投資収益や資金調達コストを加減算した利益である。
オ. 法人税等調整額は、税効果会計を適用した場合において、税務上と会計上の税額の差額を調整する項目である。

① アイオ
② アウエ
③ アウオ
④ イウエ
⑤ イエオ

 

解答・解説

正解:⑤
ア. 誤り。損益計算書は、一会計期間における企業の経営成績を表すものである。
イ. 正しい。
ウ. 誤り。実現主義により計上されるのは収益。
エ. 正しい。
オ. 正しい。

 

4) 試験問題 例4

問題

次の資料により、【問1】と【問2】の空欄(ア)と(イ)に当てはまる数値を選びなさい。(金額単位:百万円)

固定資産売却損 20 支払利息 10
研究開発費 20 有価証券売却損 15
有価証券利息 30 減価償却 30
減損損失 30 受取利息 10
投資有価証券売却益 15
経常利益 220

【問1】営業利益は(ア)百万円である。
① 190 ② 205 ③ 220 ④ 235 ⑤ 250

【問2】税引前当期純利益は(イ)百万円である。
① 170 ② 185 ③ 200 ④ 205 ⑤ 215

 

解答・解説

【問1】正解:②
【問2】正解:②

研究開発費    △20
減価償却     △30
営業利益     205
有価証券利息    30
受取利息      10
支払利息     △10
有価証券売却損  △15
経常利益     220
投資有価証券売却益 15
固定資産売却損  △20
減損損失     △30
税引前当期純利益 185

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3. 2級の試験問題

1) 試験問題 例1

問題

次の文章について、正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(ア) 資産の現在の売価から見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除した額を、正味売却価額という。
(イ) 同一の資産を現時点で再取得する場合に必要な支出を、現在価値という。

① (ア) 正 (イ) 正
② (ア) 正 (イ) 誤
③ (ア) 誤 (イ) 正
④ (ア) 誤 (イ) 誤

 

解答・解説

正解:②
(ア) 正しい。
(イ) 誤り。問題文で説明されているのは再調達原価。現在価値とは、資産の利用から得られる将来キャッシュフローの見積額を、何らかの割引率によって測定時点まで割り引いた額のことを言う。

 

2) 試験問題 例2

問題

次の文章について、正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

(ア) 新しく設定された会計基準を適用して会計方針を変更した場合は、その変更に関する注記は必要ではない。
(イ) 会計方針の変更を行った場合、過年度の財務諸表に遡及適用する必要がある。

① (ア) 正 (イ) 正
② (ア) 正 (イ) 誤
③ (ア) 誤 (イ) 正
④ (ア) 誤 (イ) 誤

 

解答・解説

正解:③
(ア) 誤り。新たな会計基準の設定に伴って会計基準を変更した場合は、その変更に関する注記が必要となる。
(イ) 正しい。

 

3) 試験問題 例3

問題

次の項目のうち、連結財務諸表に特有のものの個数を選びなさい。

ア. 他の会社を支配することを目的として保有する株式
イ. 非連結子会社や関連会社に持分法を適用して生じた利益
ウ. 投資有価証券に含まれる「その他有価証券」を時価評価した際の取得原価と時価との差額
エ. 営業譲渡や企業買収の際、受け入れた純資産の額より買収額が高い場合のその差額の償却額

① 1つ ② 2つ ③ 3つ ④ 4つ ⑤ 5つ

 

解答・解説

正解:①
ア. 「子会社株式」「関連会社株式」の説明であり、連結財務諸表に特有のものではない。
イ. 「持分法による投資利益」の説明であり、連結財務諸表に特有のものである。
ウ. 「その他有価証券評価差額金」の説明であり、連結財務諸表に特有のものではない。
エ. 「のれん償却額」の説明であり、連結財務諸表に特有のものではない。

 

4) 試験問題 例4

問題

次の資料により、(個別)貸借対照表の投資有価証券の金額を計算し、正しい数値を選びなさい。なお、満期保有目的の債券は、貸借対照表の翌日から起算して1年以内に満期の到来するものではない。(金額単位:省略)

取得原価
期末時価
当期末償却原価
売買目的有価証券
1,000
1,050
ー  
子会社株式
800
840
ー  
満期保有目的の債券
900
950
930
その他有価証券
1,100
1,120
ー  

① 2,800
② 2,850
③ 2,910
④ 3,800
⑤ 3,960

 

解答・解説

正解:②
・売買目的有価証券:投資有価証券に該当しない。
・子会社株式:投資有価証券に該当する。貸借対照表価額は取得原価の800。
・満期保有目的の債券:投資有価証券に該当する。貸借対照表価額は当期末償却原価の930。
・その他有価証券:投資有価証券に該当する。貸借対照表価額は期末時価1,120。

 

4. 終わりに

ビジネス会計検定の試験問題について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

どのような問題が、どの程度のレベルで出題されるのか、事前にしっかりと把握しておきましょう。

 

5. まとめ

Point! ◆第Ⅰ問と第Ⅱ問では、1問1問が独立した知識問題が問われる。
◆第Ⅲ問と第Ⅳ問では、与えられた財務諸表の数値を計算して答えを出す、総合問題が出題される。

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