人事面談で、毎回目標設定をする必要がある人も、多いかと思います。
毎月の目標、半年の目標、年間の目標など、会社によって設定される目標は異なりますが、大なり小なり目標設定は求められます。
営業であれば契約件数など目標設定が容易ですが、経理はバックオフィスなので目標設定に苦労しやすいです。
そこで今回は、人事面談の前に押さえておきたい目標設定の例を7選ご紹介させていただきます。
本記事の例を参考にしつつ、人事面談を乗り切ってください。
1. 会社側としての目標設定の利点
2. 個人側としての目標設定の利点
3. 目標設定の方法
4. 目標例7選!
1) 自分がやりたい業務
2) 資格取得
3) 労働時間
4) 業務効率化
5) 勉強したい本
6) 他部署に対する牽制
7) コミュニケーション
5. 終わりに
6. まとめ
1. 会社側としての目標設定の利点
まず初めに、そもそもどのようなメリットがあって、会社側は従業員に目標設定をさせているのかを、解説させていただきます。
1) 組織の目標と個人の目標を結びつける
会社のミッション・ビジョン・バリューに沿って、経営陣は中長期的な目標を設定しております。
ただ、この目標は経営陣だけで達成できるものではなく、具体的な個々の作業は社員一人一人が担うものです。
そのため、本来的には社員一人一人が会社全体の目標を意識して、日々の業務に取り組むことが理想です。
しかし実際は、会社全体の目標のために日々の業務を行っている従業員は、むしろ稀です。
これは、会社全体の目標はあまりに壮大で、一従業員からしたら想像ができず、日々の業務との関連性がわからないことが1つの原因として挙げられます。
そこで、個人個人の目標を各人に設定してもらい、会社全体の目標をもとにトップダウンで決まった各部署や各チームの目標と、各個人の目標の整合性を上長が確認することで、組織全体の目標を進めていくこととなります。
ベンチャーにいた際に、組織全体の目標を決める側にいたのですが、経営層で中長期的な目標を決定しても、その温度感を他の社員に伝えるのは非常に難しいと実感しました。
そのため、マネージャーなどのミドル層には経営層の熱量を伝え、各社員には会社全体の目標に沿った個々人の目標を設定してもらうことで、会社全体の目標を達成していこうとしていました。
2) 人事評価の基準となる
各個人に目標設定をしてもらう会社側のメリットの2つ目は、人事評価がしやすい点が挙げられます。
自身が立てた目標であれば、多かれ少なかれ各個人が目標に対して責任を感じるので、未達の場合に低評価をつけても、ある程度は納得がいきます。
個人個人の目標の粒度や難易度についてバラツキは発生してしまいますが、上長との関係や上長の気分に左右されて評価が変わるよりは、客観的な評価を下すことができます。
3) 社員が漫然と働くのを防ぐ
3つ目の会社側のメリットは、社員一人一人が漫然と業務をこなすのを防ぐことができる点が挙げられます。
(*漫然:これという目的や意識を持たず、とりとめのないさま。)
経営陣が社員一人一人を管理するのは現実的ではなく、また、社員のやる気をそぐ可能性もあります。
社員一人一人に自発的に目標を設定してもらうことで、目的意識を持って日々の業務をこなすことができ、会社全体の生産性が上がります。
2. 個人側としての目標設定の利点
では反対に、個人の側としては目標設定をすることで、どのような利点があるのでしょうか?
1つずつ見ていきましょう。
1) 生産性が向上する
1つ目の利点は仕事の生産性が向上する点です。
目標を設定することで初めて、自分の仕事のパフォーマンスを評価することができます。
そして、その評価に基づいて改善策を考えます。
いわゆるPDCAサイクルを回すことができます。
また、目標を設定することで、単純にやる気がでて生産性が向上するといったことも考えられます。
2) 客観的に評価される
上司の気分や、上司にどれだけ媚びているかで自分の評価が決まってしまっては、たまったものではありません。
この点、自分で目標設定をして、それを人事面談で伝えれば、その目標を達成したかどうかという、客観的な評価基準ができます。
公平な評価を求める場合は、目標設定は必須となります。
3) 成功体験を積める
目標設定の個人側の3つ目の利点は、自分で建てた目標を達成したという、成功体験を積める点です。
成功体験を積み重ねるほど、自分に自信をつけることができ、次の成功を生み出すという正のループに入ることができます。
4) 自分に都合のいい目標でOK
個人側の利点を3つ述べてきましたが、実際は会社から求められているから、形式的に毎回目標を設定しているのが実情ではないでしょうか?
特に経理の人は、目標を自分で考えるのが、かなり大変なのではないでしょうか?
そんな皆様は、あまり深く考えず、自分に都合のいい目標を立ててください。
次項以降で目標設定の方法と7つ目標例を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
3. 目標設定の方法
それでは、一般的な目標設定の方法について解説していきます。
本項でお伝えする内容を、次項以降の具体例に当てはめてください。
1) 「こうなっていたい」という目標を立てる
まずは、将来「こうなっていたい」という、抽象的な目標を立てます。
この段階では、漠然としたものでもかまいません。
・経理のエキスパートになりたい。
・マネージャーになりたい。
・ワークライフバランスの充実。
・職場環境を良くしたい。
・知識を増やしたい。
2) 目標を定量化する
次に、上記で設定した目標を達成するために、①いつまでに?②何を?③どのくらい?やるかを設定します。
上記の目標1つに対して、具体的な目標を、複数設定します。
・1年以内に決算業務を1回経験する。
・半年で簿記検定2級まで取得する。
・2ヶ月以内に定時帰りを10回する。
・3か月で同僚とランチを10回する。
・1ヶ月で業務効率化の本を5冊読む。
3) 行動を具体化する
上記の具体化した目標の設定で終わる人が多いのですが、目標は設定するだけでは絵にかいた餅になってしまいます。
重要なのは、さらに具体的に、今日からどのような行動をしていくか?といった行動目標を立てることです。
・1週間以内に決算関連の本を探す
⇒1か月以内にその本を5冊読む
⇒2ヶ月以内に上司に次回の決算業務について担当させてほしい旨を伝える
⇒、、、、
・1週間以内に簿記検定3級講座に申込
⇒2日で1コマ視聴し1ヶ月で講義完了
⇒2ヶ月以内に簿記検定2級講座に申込
⇒2日で1コマ視聴し3ヶ月で講座完了
⇒、、、、
4. 目標例7選!
1) 自分がやりたい業務を目標にする
1つ目の目標例は、自分がやりたい・経験したい業務範囲を目標にする方法です。
経理業務は多岐にわたり、いかに多くの業務を経験するかがキャリアアップの1つのカギになってきます。
ただ、普通に待っていては上司の気分次第でジョブローテーションが発生する程度で、場合によっては1つの業務を何年も担当することになるかもしれません。
そのため、自分から人事面談の際の目標設定で、やりたい業務を設定して経験するのはおすすめです。
異なる科目の担当や、決算業務、連結決算業務、予算管理、税務申告、開示業務、監査対応など、やってみたい業務を経験するチャンスです。
経験したことがない分野なので、「自分にできるかな、、」と不安になるかもしれません。
ただあくまで目標なので、設定したからといって明日からすぐにその業務をやってくれと言われるわけではありません。
その業務を担当できるようになるためのロードマップを、面談の際に上司と一緒に考えるのが良いかと思います。
2) 資格取得を目標にする
2つ目の目標例は、簿記検定などの資格取得を目標にすることです。
簿記検定は経理においてキャリアアップに必要となるだけでなく、転職にも有利な資格となります。
(詳細については「経理が転職しやすい7つの理由」をご参照ください。)
会社によっては簿記検定の受験料を負担してくれたり、簿記を取得することで資格手当がついたりといった会社もありますので、ぜひご自身の会社の規定を確認してみてください。
資格取得は合格不合格という明確な基準があるため、目標を達成したかどうかは一目瞭然で判断できます。
逆に言えば、不合格の場合はその過程でどれだけ努力しようと、目標は未達となり低評価を受ける可能性もありますので、現実的に達成できそうな期限・内容を設定する必要があります。
また、経理としてキャリアを積んでいくと、経営層や部長などに財務数値を分析したデータを提供する機会が発生します。
このような決算書分析にはビジネス会計検定がおすすめです。
詳細については「決算書分析の資格と言えばビジネス会計検定!」もご確認ください。
簿記講座の元運営責任者が、「講座代金(安さ)」と「講座との相性(わかりやすさ)」の観点から、おすすめ通信講座を以下の5つに絞り、メリット・デメリットについて解説してみました。
・クレアール
・フォーサイト
・ネットスクール
・CPA会計学院
・スタディング
詳細は「簿記の通信講座おすすめ5選!安さとわかりやすさで比較すると..」をご確認ください。
3) 労働時間を目標にする
3つ目の目標例は、労働時間の短縮、つまり残業時間を減らすことを目標にすることです。
そんなものを目標にしていいの?と思われるかもしれません。
しかし、労働環境について社会的に厳しくなっている中で、企業の側からしてみても、残業削減は推進していく必要があるため、個人・企業ともにwin-winの目標とも言えます。
ただ注意してほしいのは、単に目標として「当月は毎日定時で帰ります!」と設定しても、仕事が減るわけではなく、気合だけで乗り切れるものではありません。
一部業務の外注化、必要のない業務や会議の削減など、工夫や努力は必要となります。
次に説明する業務効率化と合わせて、目標として設定しても良いかもしれません。
4) 業務効率化を目標にする
4つ目の目標例は、業務効率化を目標とすることです。
結果を数値で測るのが難しい目標ですが、効率化して空いた時間を他の業務にあてることによる業務量の増加や、空いた時間早く帰宅することによる労働時間(残業時間)の短縮など、ある程度は数値化できるかと思います。
この目標も気合で乗り切れるものではなく、エクセルやプログラミングのスキルを磨いたり、時間管理や休息の取り方などについて調べたりしながら、業務を効率化していく必要があります。
また、個人の業務効率化というよりは、経理部のチーム全体での業務効率化という観点から、マニュアルの作成なども目標としては考えられます。
経理業務は営業などと比べるとマニュアル化がしやすく、マニュアル化することでチームの誰がやっても同じパフォーマンスが発揮できる体制が整います。
自分の業務をマニュアル化しておくことで、急な休みが必要となった際も、他のメンバーに気軽に頼みやすくなるという利点もあります。
5) 勉強したい本を目標にする
5つ目の目標例は、知識をつけるために読みたい本を何冊か読み終えることを目標にすることです。
読んだ本の冊数などは、目標にしやすいかと思います。
経理・会計関係の本でも良いですし、業務効率化などの自己啓発関連の書籍でもかまいません。
普段空いた時間に読もうと思っていても、なかなか読む機会がないかもしれませんが、目標として設定したものであれば、昼休みなどに自分のデスクでどうどうと読むこともできます。
また、先ほどお伝えした資格試験の勉強を考えている方は、簿記検定やビジネス会計検定に関連する書籍もおすすめです。
簿記検定については「簿記におすすめの本は?レビューから3選を徹底解説」を、ビジネス会計検定については「ビジネス会計検定におすすめの本をご紹介!」をご参照ください。
6) 他部署に対する牽制(けんせい)強化
6つ目の目標例は、より組織の目標に近づくものですが、他部署に対する牽制機能を強化するというものです。
経理はバックオフィスと呼ばれ、フロントオフィスやミドルオフィスから上がってきた数値をまとめ、誤りや不正があれば指摘する最後の砦となります。
そのため、会社の内部統制を強化する意味でも、経理部から他部署への牽制が強まることは望ましいです。
具体的には、例えば毎月営業から上がってきた売上や交際費などの数値について、内容の詳細について毎月10件程度は聞き返してみるといった目標を立ててみてください。
相手からは嫌がられますが、内部統制上は「正しい内容を申告しないと後から追及がきてしまう、、」と他の部署に思わせる必要があります。
7) 経理部内でのコミュニケーション強化
最後の目標例は、経理部内でのコミュニケーション強化です。
この目標は組織的にはかなり大事であり、かつ、個人としては正直めんどくさい目標となります。
例えば、業務上のコミュニケーションの強化という意味では、朝会を実施したり、報連相の徹底などが考えられます。
また、単に親睦を深めるという意味では、ランチや飲み会を開催するなどが挙げられます。
過度に職場の人と関わりたくない人にとっては苦痛かもしれませんし、そうでない人も他のチームメンバーが必ずしもコミュニケーションを望んでいるとは限りませんので、業務上ならまだしも単に親睦を深めるだけであれば、慎重に行動する必要があります。
5. 終わりに
経理部の人が目標設定をする際の目標例について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
会社の規定で決まっている以上、人事面談などでの目標設定は不可避なものです。
どうせならば、自分に都合のいい目標を立てて、充実した働き方を実現してみてください。
6. まとめ
◆簿記検定などの資格取得を目標にする。
◆残業削減を目標にする。
◆日々の業務効率化を目標にする。
◆読書を目標にする。
◆他部署への牽制強化を目標にする。
◆チーム内コミュニケーションの活性化を目標にする。