FP技能士とは、お金に関するスペシャリストのことです。
家計にかかわる金融や税制、住宅ローン、年金制度、保険など幅広い知識が問われる試験であり、難易度が低い順に3級・2級・1級と分かれております。
本記事ではこのうち、FP3級・2級合格に必要な勉強時間や、勉強のコツについて解説しております。
これから受験予定の方、FP試験に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. FP3級の勉強時間
1) 50時間は必要
2) FP3級の3つの特徴
3) おすすめ学習スケジュール
2. FP2級の勉強時間
1) 200時間は必要
2) 6カ月で合格するためのコツ
3) おすすめ学習スケジュール
3. 勉強時間を短縮するには?
1) スクール・通信講座の利用
2) 2級の受験は3級取得後すぐ
3) 認定研修を受講する
4. 終わりに
5. まとめ
1. FP3級の勉強時間
1) 50時間は必要
FP3級に合格するために必要な勉強時間は、50時間程度が目安となります。
1日あたりの勉強時間で割ることで、学習期間がどのくらいかみえてくるでしょう。
仮に平日1日1時間、休日は2時間勉強できるとすると、2カ月で合格水準まで達することができます。
ただしあくまでも一般論ですので、業務上でのファイナンシャルプランナーの知識や経験、あるいは生活環境などによって、それぞれに適切な勉強時間が変わってきます。
余裕を持ったスケジュールで、試験に臨むようにしましょう。
2) FP3級の3つの特徴
FP3級の難易度は、金融系資格試験の中でも易しい方です。
そのためFP3級は独学で合格している受験生も多く、事前にスケジュールを立てて試験に取り組めば、短期間でも合格を勝ち取ることができます。
FP3級の特徴としては、以下の3つが挙げられます。
② 合格率が7割程度
③ 学科試験と実技試験の2つがある
順に見ていきましょう。
① 出題パターンが決まっている
FP3級の試験は金融知識の基礎内容がメインであり、過半数は過去問と同じような形式で繰り返し出題されています。
そのため合格への近道は、「過去問を繰り返し解く」ことです。
FP3級の合格ラインは6割ですので、過去問の問題を確実にマスターすれば、合格できるといっても過言ではありません。
はじめに、過去問を1年分解いてみましょう。
最初は全く分からない人も多いと思いますが、出来なくて当然です。
FP3級の試験の全体像・雰囲気を、なんとなく掴むことができればよいのです。
その後テキストを1周読み、ひたすら過去問や問題演習を繰り返すとよいでしょう。
直近3年分くらいの過去問を解き、間違えたところを都度テキストで確認し、着実に理解を深めることをおすすめします。
そうするとどこが苦手なのか、分かってくるはずです。
苦手分野については重点的に問題集を使って、繰り返し問題を解きましょう。
特に「実技試験」では計算問題が出題されるため、事前に計算に慣れておくと、試験当日焦ることなくスムーズに解答できるはずです。
FP3級は過去問とよく似た問題が、繰り返し出題されています。
「過去問を把握し確実に得点すること」が、合格のコツといえるでしょう。
② 合格率が7割程度
FP3級の合格率は、平均的に7割程度です。(*FP協会で受験の場合)
他の国家資格や金融系の資格と比較しても、比較的合格率の高い試験といえます。
その理由は2つあります。
1つ目は、「マークシート形式」であることです。
学科試験は全60問のうち、半分の30問程度は正誤問題(マルバツ問題)、残り半分の30問程度は3択です。
FP3級はひっかけ問題がほとんどなく、基本に忠実な問題が多いため、過去問を繰り返し演習すれば合格できるでしょう。
また合格率の高い理由の2つ目として、FP3級の試験は年3回(1月・5月・9月)あり、いつ勉強を始めても受験の機会が多いということです。
仮に初回の受験で不合格だったとしても、4か月後に開催される試験に再チャレンジできるため、年1回勝負の試験に比べるとハードルは低いでしょう。
実際にFP3級の試験では、毎回7割前後の合格率であり、受験生の多くは合格しています。
申し込みをしても当日未受験の人や、勉強せずに試験を受けている人も一定数いることから、実際の合格率はもう少し高いといえるでしょう。
③ 学科試験と実技試験の2つがある
FP3級の試験には、「学科試験」と「実技試験」の2つがあり、合格するためには両方の科目でそれぞれ6割以上得点する必要があります。
3級の「学科試験」は前述の通り全60問あり、そのうち約半分は正誤問題(マルバツ問題)、残り半分は3択問題です。
学科試験では、以下の6科目が出題されます。
(公的年金や社会保険など)
2. リスク管理
(損害保険・生命保険など)
3. 金融資産運用
(金融商品の仕組みなど)
4. タックスプランニング
(税制など)
5. 不動産
(有効活用や賃貸など)
6. 相続・事業承継
(相続税や贈与など)
これに対して「実技試験」は、試験を行う団体「日本FP協会(FP協会)」「金融財政事情研究会(きんざい)」によって、試験内容が異なります。
FP協会の実技試験は、「資産設計提案業務」の1種類ですが、きんざいの場合は「個人資産業務」「個人資産相談業務」「保険顧客資産相談業務」の3種類から選択します。
(100点満点60点以上で合格)
・きんざいの実技試験:事例形式5題
(50点満点30点以上で合格)
実技試験には計算問題などがあり、一見難しそうにも思えますが、過去の出題内容と同じ形式で、基礎的な内容が多いのが特徴です。
学科試験の内容がおおむね理解できていれば、解答できるといえるでしょう。
1度で合格するためには、「学科試験」と「実技試験」両方をまんべんなく学習することです。
過去問を解く際には「学科試験」だけでなく、一緒に「実技試験」の問題も解いてみることをおすすめします。
3) おすすめ学習スケジュール
・平日1時間、休日2時間
・勉強期間:60日(2ヶ月)
① 1ヶ月目
・過去問を一通り解き、全体像をつかむ。
・テキストを一読し基本講座や問題集を解き、6科目すべての基礎固めをおこなう。
② 2ヶ月目
・過去問、模試を解くことに重きを置く。
・間違えた問題は解説内容をよく理解し、繰り返し解く。
2. FP2級の勉強時間
1) 200時間は必要
FP2級に合格するために必要な勉強時間は、200時間程度が目安となります。
FP2級は出題範囲が3級と同じとはいえ、内容が細かく隅々まで理解していないと合格することはできません。
3級以上に学習時間の確保が必要です。
仮に平日1日1時間、休日は2時間勉強した場合、6カ月で合格水準まで達することができます。
無理のないスケジュールで余裕をもって試験に挑むために、早めに勉強をスタートさせましょう。
2)6カ月で合格するためのコツ
FP2級は3級に比べ、実務により近いレベルの知識が求められるため、難易度が上がります。
一方で合格率は40%前後で推移しており、試験勉強をコツコツと継続できる人であれば、そこまで難しい試験ではないでしょう。
FP2級に効率よく、6か月の勉強時間で合格するためのコツを、順に4つ紹介します。
② 繰り返し過去問を解く
③ 学科試験はすべて4択問題
④ 実技試験は得意なものを選択する
① タックスプランニングから学習する
FP2級を学習するにあたって、まずはタックスプランニングからはじめるのがおすすめです。
タックスプランニングの分野は一見、複雑で難しそうにも思えますが、税金はすべての分野と関係しています。
この分野をマスターすれば、ライフプランニングや金融資産運用、相続税など、それぞれの分野で必要な知識がインプットでき、計算問題もすんなりと理解できるでしょう。
結果として試験全体の学習がスムーズに進み、学習時間の短縮にもつながります。
② 過去問を繰り返し解く
FP2級合格への近道は、「過去問を繰り返し解く」ことです。
「学科試験」「実技試験」それぞれで6割以上の得点が必要であるため、両方の分野の過去問対策をおこないましょう。
学科試験では問題の数をこなし、間違えた部分についてはテキストを読み直すのが効果的です。
また実技試験では、実際に計算問題の解答を導き出す必要があります。
テキストを読み知識を深めるだけでなく、計算問題を繰り返し解き、問題形式に慣れるようにしましょう。
なお、FPの過去の試験問題や模範解答は、きんざいやFP協会のホームページから印刷して無料で使うこともできます。
ただ解答・解説は載っていないため、解答・解説が必要な方は「過去問道場」や、過去問題集・予想問題集を利用しましょう。
③ 学科試験はすべて4択問題
FP2級の学科試験はすべて4択のマークシートで、60点中36点(1問1点で60%)が合格ラインです。
2級の学科試験の合格率は4割前後が一般的であり、わざと難しい問題や意地悪な問題も含まれています。
そのため基本をしっかりとおさえ、難問の見極めが必要といえます。
迷った場合でも、4択問題なのであきらめることなく、必ずマークするようにしましょう。
4択の中から、「最も適切なものはどれか」、「最も不適切なものはどれか」といったような出題形式が定番です。
学科の試験時間120分で60問解く必要があるため、スピード感も必要です。
1問2分以内で解答する習慣をつけましょう。
④ 実技試験は得意なものを選択する
FP2級は「学科試験」と「実技試験」の2つの試験で構成されています。
実技試験はFP協会の場合、「資産設計提案業務」の1種類です。
一方できんざいの場合は、「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4種類の中から選択します。
勉強をはじめる前に一度テキストを確認し、どの分野が解きやすいか確認するようにしましょう。
(あまり違いを感じなかった場合は、FP協会の「資産設計提案業務」がおすすめです。)
また、「学科試験」と「実技試験」どちらか1つ合格した場合には、一部合格という扱いになり次回の受験で免除されます。
受験申込をする際に、忘れず免除申請をおこないましょう。
3) おすすめ学習スケジュール
・平日1時間、休日2時間
・勉強期間:180日(6ヶ月)
① 1~3ヵ月目
・過去問を一通り解き、全体像をつかむ。
・テキストを一読し基本講座や問題集を解き、6科目すべての基礎固めをおこなう。
② 4~6か月目
・過去問、模試を解くことに重きを置く。
・間違えた問題は解説内容をよく理解し、繰り返し解く。
3. 勉強時間を短縮するには?
FPの試験に合格するためには、3級で50時間、2級で200時間ほど必要だと解説しました。
しかし、なかなか時間が確保できないという方もいるでしょう。
そういった方のために、少しでも勉強時間を短縮する方法をいくつか紹介します。
1)スクール・通信講座の利用
「短時間で何としても合格したい」という方は、スクールや通信講座を利用するのもひとつの方法です。
資格試験合格のために特化したスクールや通信講座では、短時間で合格するために必要なポイントや、講師陣のわかりやすい講義が手に入ります。
そのため、知識のインプット時間を短縮することができ、効率的に学習を進められるでしょう。
またスクールや通信講座には、過去にもたくさんの受験生を合格させてきた実績とノウハウがあります。
FP試験の幅広い出題範囲の中から、過去の出題傾向を分析し、次の試験でどこが問われやすいか的確な解説を受けられます。
自分一人では学習のモチベーションが上がらない方や、短時間で絶対合格したい方におすすめの勉強方法です。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2)2級の受験は3級取得後すぐ
FP3級取得後には、できるだけ時間をあけずに2級を受けるようにしましょう。
3級と2級は試験の出題範囲が同じであるため、すぐに2級の試験勉強に取り組むと効果的です。
仮に3級の試験が不合格だったとしても、勉強した内容は2級の受験に役立ちます。
記憶が新しいうちに2級の勉強に取り組むことで、2級合格までのトータルの学習時間が短くすむでしょう。
3級と2級の受験の間隔が1年2年とあいてしまうと、知識のインプットに時間がかかるだけでなく、出題範囲の税制などが大きく改定されていることもあります。
そのため3級合格後すぐに、2級の申し込みをすることをおすすめします。
そして、3級の試験で点数の悪かった分野などを重点的に学習し、2級合格を勝ち取りましょう。
3)認定研修を受講する
通常FP2級を受験するためには、「3級の資格を保有している」、「FP業務の2年以上の実務経験」のいずれかが必要です。
つまり2級の場合、FP業務についてまったく知識のない人は受けることができません。
一方で「認定研修」を受講すれば、誰でもFP2級の受験資格を手に入れることができます。
そのため、FP業務の知識や経験は浅くても、出来るだけ早く2級を取得したい人は、認定研修を受講するのもひとつの方法です。
認定研修は、日本FP協会が認定する独自の研修のことです。
FP試験に出題されるライフプランニング、保険や相続などの6つの専門分野を、通信教育メインで学びます。
研修の総仕上げとして「提案書」を作成しなければならないため、少し手間はかかりますが、2級への合格方法としては一番スピーディーでしょう。
4. 終わりに
FP3級・2級合格に必要な勉強時間を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
試験直前で慌てることのないよう、余裕のある学習スケジュールを立てることが大切です。
この記事で紹介したFP試験合格のための対策やコツを参考にし、万全の状態で試験に挑みましょう。
5. まとめ
◆「学科試験」「実技試験」それぞれ6割以上で合格。
◆過去問に軸足を置いた学習が効果的。
◆FP3級合格後、時間をあけずに2級を受験する。
◆最短取得したい方は、認定研修や通信教育を利用する。