ビジネス会計検定に効率よく合格するための、魔法のような勉強法はありません。
勉強全般に言えることですが、愚直な繰り返しが一番効果的と言えます。
とは言っても、勉強方法を少し工夫することで、日々の愚直な繰り返しの効果を高めることはできます。
そこで今回は、ビジネス会計検定や公認会計士試験に合格している筆者が、効率的かつ効果的な勉強法を6つお伝えしていきます。
自分に合う勉強法を1つでもいいので日々の勉強に取り入れることで、ビジネス会計検定合格に少しでも近づくことができます。
1. 勉強法おすすめ6選
1) 問題を解いて公式を覚える
2) 似ている知識をまとめる
3) 全体像を意識する
4) 知っていることを書き出す
5) 頭の中で思い出す
6) 復習の時期を工夫する
2. 終わりに
3. まとめ
1. 勉強法おすすめ6選
1) 問題を解いて公式を覚える
1つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「問題を解いて公式を覚える」ことです。
ビジネス会計検定では、財務分析のための多くの公式を学ぶ必要があります。
ただ、公式だけを覚えようとしても、なかなか頭に入ってきません。
例えば、短期の安全性分析の分野では、以下のような公式を覚える必要があります。
流動資産/流動負債 × 100(%)
【正味運転資本】
流動資産 - 流動負債
【当座比率】
当座資産/流動負債 × 100(%)
【手元流動性】
現金及び預金 + 有価証券
【手元流動性比率】
手許流動性/(売上高÷12)(月)
【ネットキャッシュ】
手元流動性 - 有利子負債
、、、多くて頭に入ってきませんよね?
この他にも、長期の安全性分析や成長性分析・収益性分析、あるいは一株当たり分析や人当たり分析などの公式もあり、ただ暗記しようとしても覚えられない可能性が高いです。
そこでおすすめしたいのが、問題を解きながら公式を覚える方法です。
公式はそれ自体をただ暗記するよりも、公式を実際に使うことで、頭に入ってきやすくなります。
また、試験で求められるのは公式を暗記することではなく、公式を使って財務分析できることです。
始めは思い出せなければ、その都度テキストで公式を確認しながらでもかまいませんので、問題集を解きながら公式を使ってみてください。
以上より、「問題を解いて公式を覚える」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
2) 似ている知識をまとめる
2つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「似ている知識をまとめる」ことです。
ビジネス会計検定では、似たような内容を扱っている分野がいくつもあります。
そんな時はそれぞれ個別に覚えるのではなく、まとめて覚えた方が効果的です。
以下で3つほど例を挙げておりますので、参考にしてみてください。
① 会社法vs金商法
会社法と金融商品取引法(金商法)では、それぞれ決算書に対する扱いが異なり、ビジネス会計検定でも頻出の内容となります。
「何が異なるのか?」といった点に注意して、両法律の違いを押さえる必要があります。
会社法 | 金商法 | |
適用対象 | 全ての会社 | 上場会社など |
目的 | 株主・債権者保護 | 投資者の保護 |
呼び名 | 計算書類 | 財務諸表 |
体系 | 貸借対照表 損益計算書 株主資本等変動計算書 個別注記表 |
〃 〃 〃 キャッシュフロー計算書 附属明細書 |
② 資産vs負債
資産と負債については、それぞれ対となる勘定科目と一緒に覚えるのが効率的です。
また、商品の売買の場合は「売掛金・買掛金」を使用して、それ以外の建物や土地などの売買は「未収入金・未払金」を使用する、といった縦の関係についても、合わせて覚えておくと暗記しやすいかと思います。
資産 | 負債 |
売掛金 | 買掛金 |
受取手形 | 支払手形 |
前渡金 | 前受金 |
前払費用 | 未払費用 |
未収収益 | 前受収益 |
未収入金 | 未払金 |
③ 一株当たり分析
一株当たり分析についても、代表的な4つの指標(EPS・PER・BPS・PBR)の関係性を、まとめて覚えた方が効率的です。
EPSはPERの分母となり、BPSはPBRの分母となるといった点や、EPS・PERはPL(損益計算書)に関する指標であり、BPS・PBRはBS(貸借対照表)に関する指標であるといった点に注意しながら、まとめて覚えることができます。
以上より、「似ている知識をまとめる」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
3) 全体像を意識する
3つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「全体像を意識する」ことです。
勉強が進んでいくと起こりがちなのが、個々の論点ばかりに目が行き、全体像が頭に入っておらず、結局自分が今何を勉強しているのかわからなくなる、といった事態です。
例えば、繰延資産について勉強している時に、開業費など具体的な繰延資産の科目にばかり目が行きがちですが、そもそも貸借対照表において繰延資産がどこに位置しているのか、理解していないことがあります。
この状態のままですと、流動資産や固定資産などの他の資産の知識とごちゃまぜになり、今何の勉強をしているのかわからず、モチベーションが低下してしまいます。
また、ビジネス会計検定本番でも、「貸借対照表の固定資産の中には、有形固定資産、無形固定資産、繰延資産の3つがある。 〇or✖」といった問いに対して、正確に答えることができません。(固定資産は有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産の3つから構成されますので、答えは✖となります。)
そのため、勉強する時は毎回、以下の点を意識してみてください。
・損益計算書のどこを学習している?
簡単なものでかまいませんので、貸借対照表や損益計算書の全体像がわかる紙を作成して、勉強する時は常に机の上に置いておくのも効果的です。
以上より、「全体像を意識する」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
短期間でビジネス会計検定に合格したいなら、会計ショップのビジネス会計検定講座がおすすめです。
頻出論点を短時間で講義するので、効率的に合格を目指すことができます。
・3級講義時間:約15分×20回
・2級講義時間:約20分×20回
・確認テスト、予想問題つき
4) 知っていることを書き出す
4つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「知っていることを書き出す」ことです。
この方法は、これからビジネス会計検定の勉強を始めようとしている人におすすめなのですが、まず会計について知っていることを箇条書きにしてみてください。
人は何か新しいことを学ぶときに、無意識に今ある知識と結びつけながら覚えようとします。
つまり、今自分が持っている知識を洗い出すことで、新しい内容を効率的に頭に取り込むことができます。
まだ勉強したことないのだから、知識なんてないよ、、、
と思われるかもしれませんが、「売上-費用=利益」といった当たり前のことでも、間違っていてもいいので、とりあえずご自身が知っている会計知識を列挙してみてください。
ビジネス会計検定の分析対象となる財務諸表については、「損益計算書と貸借対照表の違いは??」なども参考にしながら知識を蓄えてください。
以上より、「知っていることを書き出す」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
5) 頭の中で思い出す
5つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「頭の中で思い出す」ことです。
アクティブラーニングという言葉をご存知でしょうか?
読んで字のごとく、能動的に学ぶことを指し、受動的な勉強よりも能動的な勉強の方が、はるかに効果が高いことを意図しております。
そして、普段の勉強を能動的な勉強に変えるちょっとした工夫が、自分の頭の中で毎回テストを実施することです。
テストと言っても、問題集や模試のような本格的なものである必要はありません。
テキストを読んだら再度読み返すのではなく、何が書いてあったか頭の中で思い出すだけで問題ありません。
思い出すだけの簡単なテストで、能動的な勉強ができ、学んだ知識が記憶に定着しやすくなります。
以上より、「頭の中で思い出す」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
記憶を引き出すには、複数のラベルをつけて、グループ化するのがおすすめです。
例えば、流動比率と当座比率について、「安全性分析の指標」というラベルでグループ化すると同時に、「よく間違える指標」というラベルでもグループ化することで、思い出すきっかけが2つになります。
ラベルを増やすほどきっかけが増え、記憶を引き出しやすくなります。
6) 復習の時期を工夫する
6つ目のビジネス会計検定の勉強法は、「復習の時期を工夫する」ことです。
復習のタイミングについては諸説ありますが、代表的な以下の2つの研究結果が参考になります。
① 24時間以内
② 1週間以内
③ 1か月以内
の3回のタイミングの復習が効果的。
① 1~2日後
② 7日後
③ 16日後
④ 35日後
⑤ 62日後
の5回のタイミングの復習が効果的。
人によって適切な復習タイミングは異なりますが、大切なのは自分が「忘れそう」なタイミングで復習することです。
まだ覚えている時に復習しても、「これは知っているから覚えなくていい」と脳が判断して、長期記憶に結びつきにくいです。
反対に、忘れそうなタイミングであれば、「危うく忘れるところだった、、これは覚えておこう」と脳が判断して、長期記憶に結びつきやすいです。
以上より、「復習の時期を工夫する」ことは、ビジネス会計検定のおすすめの勉強法となります。
2. 終わりに
ビジネス会計検定の勉強法について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
自分に合う勉強法もあれば、合いそうにない勉強法もあったかもしれませんが、大切なのはとりあえず実践してみることです。
まずはどれでもかまいませんので、普段の勉強に取り入れてみてください。
3. まとめ
◆似た内容をまとめて覚える。
◆全体像を意識する。
◆知っている知識を洗い出す。
◆頭の中でテストをする。
◆復習タイミングを工夫する。