物事には必ず良い面と悪い面があり、自営業という働き方に関しても、メリットとデメリットがあります。
そして、事前にメリット・デメリットを把握しておくことで、自営業として働く際のリスクを減らすことができます。
私も自営業として働き始める前に、自営業になることのメリット・デメリットについて、しっかりと考えました。
そこで今回は、私自身の経験も踏まえながら、自営業として働くことのメリット・デメリットについて、お伝えしていきます。
1. 自営業のメリット6選
1) 制約が少ない
2) 頑張った分だけ稼げる
3) オーナーになれる
4) 金銭感覚が磨かれる
5) 仕事を好きになれる
6) 自分のブランディングになる
2. 自営業のデメリット6選
1) リスクが大きい
2) 誰も教えてくれない
3) 税金計算を自分でやる
4) 福利厚生が手薄
5) モチベーション維持が大変
6) 時間の融通が利くと思われる
3. 終わりに
4. まとめ
1. 自営業のメリット6選
1) 制約が少ない
自営業の1つ目のメリットとしては、「制約が少ない」ことが挙げられます。
自営業は、会社員と比較すると、縛られる制約が少ないです。
ここでは具体例として、5つ紹介させていただきます。
① 仕事場所の制約がない
自営業の場合、自分の好きな場所で仕事をすることができます。
もちろん自宅でもいいですし、カフェやコワーキングスペース、あるいは旅館やホテル、温泉なども考えられます。
実際に私は自宅やカフェ、あるいはコンビニのイートインなどを利用して、作業をしています。
② 時間的な制約がない
自営業は、時間的な制約もないです。
何曜日に働くか、何時から何時まで働くか、自分で好きに設定できます。
例えば私の場合は、子供が0歳の時はまだ保育園に預けられなかったため、自宅で子供をみながら、子供が寝ている間などに作業をしていました。
③ 仕事相手・お客様を選べる
自営業の場合、誰と仕事をするのかを、自分で選択することができます。
会社員は与えられた環境の中で作業をする必要がありますが、自営業は気が向かない相手とは距離をとることが可能となります。
④ 定年がない
自営業の場合、何歳まで働こうが自分の自由です。
会社員のように、定年になったら働けなくなるということはありません。
そのため、定年に向けて貯金する必要もなく、事業拡大に専念することができます。
⑤ 業種・職種の制約がない
自営業の場合、どの業種を選択しようが、あるいは、どの職種を選択しようが、自分の自由です。
興味のある業種や得意な業種がある場合はその業種を選択しても良いですし、また、経験したい職種を選択することもできます。
苦手な職種については、人を雇ったり外注したりすることも可能となります。
以上より、「制約が少ない」ことは、自営業のメリットと言えます。
2) 頑張った分だけ稼げる
自営業の2つ目のメリットとしては、「頑張った分だけ稼げる」ことが挙げられます。
会社員の方であれば共感していただけるかもしれませんが、どんなに頑張って成果を出しても、自分の給料に反映されるのはわずかな金額です。
会社の信用力を利用してビジネスをしている以上、稼いだお金の多くを会社に持っていかれるのは仕方のないことですが、モチベーションもなかなか上がらないかもしれません。
特に仕事で結果を出している人ほど、なかなか報われない環境に苛立ちや失望を感じやすいものです。
一方で自営業の場合は、頑張って稼いだ分は全て自分のものとなります。
つまり、頑張って売上を伸ばした分だけ、青天井に稼ぐことができるのです。
もちろん、会社の信用力はなく、使えるリソース(人・モノ・金)も少ないため、成果を出すこと自体が会社員と比べて大変ですが、アイデアや頑張り次第では、会社員では考えられないような金額を稼ぐことも可能となります。
以上より、「頑張った分だけ稼げる」ことは、自営業のメリットと言えます。
3) オーナーになれる
自営業の3つ目のメリットとしては、「オーナーになれる」ことが挙げられます。
自営業の場合は自分がオーナー、つまりは事業の所有者となり、ビジネス上の全ての意思決定を行うことができます。
誰に何を言われることもありません。
自分の理想を追い求めて事業を展開してもいいですし、とにかく稼げる事業運営を徹底しても問題ありません。
一国一城の主となり、全ての責任を負いながら、全ての利益を享受できる感覚は、一度経験すると抜け出せない人も多いです。
また、オーナーとして稼ぐ仕組みづくりを構築すれば、実際の運営は他の人に任せて、自分は不労所得を得ることもできます。
やりがいを感じられ、さらに、自由な働き方を可能とするオーナーとなれることは、自営業の醍醐味であり、楽しいものです。
以上より、「オーナーになれる」ことは、自営業のメリットと言えます。
4) 金銭感覚が磨かれる
自営業の4つ目のメリットとしては、「金銭感覚が磨かれる」ことが挙げられます。
自営業の場合、ビジネス上のあらゆる金銭が関わる活動を、自分で行うこととなります。
例えば私の場合は、以下のような活動があります。
・講義収録用の機材を購入する。
・動画編集ソフトを購入する。
・PCのウイルスバスターを購入する。
・ホームページのサーバー代、ドメイン代を支払う。
・Googleのビジネス用アカウントを作成する。
・記事作成を外注する。
・作業場所としてカフェなどを利用する。
・お客様から講座代金を受領する。
・決済代行会社や銀行に手数料を支払う。
・Web上に広告を出稿する。
ざっと挙げただけでも、これだけの金銭が動く活動を普段から行っており、必然的に金銭感覚が磨かれます。
そもそも自営業の場合は、金銭感覚が身に付かないと事業を存続させることができないため、嫌でも金銭感覚が磨かれていきます。
以上より、「金銭感覚が磨かれる」ことは、自営業のメリットと言えます。
5) 仕事を好きになれる
自営業の5つ目のメリットとしては、「仕事を好きになれる」ことが挙げられます。
会社員の場合は、仕事をやらされている感が出て、仕事そのものを好きになれない方も多いかと思います。
一方で自営業の場合は、仕事をやらされるということはありません。
全て自己責任となる反面、主体性を持って仕事に取り組むことができ、自分でビジネスを回している実感を持てます。
その結果として、仕事自体を好きになることができます。
「公認会計士のキャリア:監査法人⇒ベンチャー⇒自営業の私の経験談!」でご紹介している通り、私はもともと大手監査法人に勤めていたのですが、その時は与えられた仕事を受動的にこなしている感が強く、仕事自体を好きになれませんでした。
その後、20名程度のベンチャーに転職して、裁量権のある中で仕事ができ、仕事自体を好きになりましたが、自営業として独立して、全てを自分で決定できる環境となり、今はさらに仕事が楽しくなっています。
また、そもそも自営業の場合は、好きでない仕事はやらないという選択肢もとれるため、結果として好きな仕事をできる環境に自分を置くことができます。
以上より、「仕事を好きになれる」ことは、自営業のメリットと言えます。
6) 自分のブランディングになる
自営業の6つ目のメリットとしては、「自分のブランディングになる」ことが挙げられます。
会社員の場合は、自分がどんなに頑張ろうが、「○○社の△△さん」という会社の肩書がついて回ります。
自分の努力の行き着く先は、「○○社はいい会社だね。」になりがちです。
一方で自営業の場合は、自分の名前を世に広めていくこととなり、自分のブランディングを確立することができます。
セルフブランディングを確立することで、以下のようなメリットがあります。
・信用力が上がり、情報発信力が増す。
・自分自身を一番の商材とすることができ、安定したキャリアプランを築くことができる。
もちろんセルフブランディングはいきなり確立できるものではありませんが、自営業として継続的にビジネスを行っていき、情報発信していけば、自然と自分独自のブランディングが確立されていきます。
不確実なビジネス環境・雇用環境の中で、どんな状況でも活躍するためには、今後ますますセルフブランディングは必須となっていくでしょう。
以上より、「自分のブランディングになる」ことは、自営業のメリットと言えます。
2. 自営業のデメリット6選
1) リスクが大きい
自営業の1つ目のデメリットとしては、「リスクが大きい」ことが挙げられます。
特に安定収入を確保できるまでは、会社員のように毎月固定の給料が入ってくるわけではないので、自営業はリスクが大きい働き方と言えます。
上述のメリットは、あくまで最低限稼げていることが前提となっており、普段の生活費もままならない状況であれば、メリットどころではなくなります。
実際に私も自営業1年目は、収入が0円の月もあり、かなり苦労しました。
幸いにも妻の給料で生活することができていましたが、そうでない人にとっては、自営業はリスクが高い環境かもしれません。
このまま事業を続けていけばうまくいく確信が自分の中にあっても、客観的に見ればまだ何も成し遂げておらず、稼ぎもない環境は、想像以上につらいものです。
また、事業が上手くいかなかった後のキャリアを考えても、自営業はリスクが大きいかもしれません。
自営業の後にどこかの会社に就職しようとしても、会社側から見れば「組織の中の駒としてやっていけるのか?」といった疑問を持たれ、不利に働く可能性もありますし、自分自身も組織人としてうまくやれるか不安な部分もあるかと思います。
ただ、この点に関しては、自営業としてのキャリアは必ずしも不利にならない、というかむしろアピールの仕方次第では有利になるとも言えるため、あまり気にする必要はないかもしれません。
以上より、「リスクが大きい」ことは、自営業のデメリットと言えます。
2) 誰も教えてくれない
自営業の2つ目のデメリットとしては、「誰も教えてくれない」ことが挙げられます。
会社員であれば、間違っていれば上司が指摘してくれますし、自己成長のために必要なことを周りの人が教えてくれます。(教えてくれなくても、同僚の仕事ぶりを見て学ぶことはできます。)
一方で自営業の場合、全ての行動を自分で決定できる反面、その決断に対して誰も何も助言をくれません。
仮に間違った判断をしてしまっても、実際に失敗するまで気付くことができません。
自営業になって成長しているつもりでも、実は会社員時代から全く成長していないといったこともあり得ます。
そうならないためにも、書籍などを通じて先人から学んだり、同じ自営業同士のつながりを持ったり、コーチングのプロを雇ったりして、外部に教えを乞うのも大切です。
以上より、「誰も教えてくれない」ことは、自営業のデメリットと言えます。
3) 税金計算を自分でやる
自営業の3つ目のデメリットとしては、「税金計算を自分でやる」ことが挙げられます。
事務的な話になりますが、自営業の場合は確定申告を自分でやる必要があります。
freeeなどの便利な会計ソフトも出てきましたが、会社員時代の全て会社がやってくれる環境に比べたら、自営業の方が大変なのは言うまでもありません。
確定申告は確定申告の時期だけ大変かというと、必ずしもそうではありません。
日々の取引を毎月帳簿として残しておく必要があり、領収書などの証拠をとっておかなければならないため、年中通して対応が必要となります。
仮に税理士などの専門家に依頼するとしても、自分自身も最低限の税務・会計知識を持っておく必要があります。
ただ逆に言えば、税務・会計知識を学ぶ良い機会であるとも言えます。
税務・会計領域に関しては、知っているだけで普段の業務に役立つ知識がたくさんありますので、勉強しておいて損はないです。
確定申告を行うにあたり、最低限簿記3級程度の知識は持っていた方が良いと思います。
簿記の基本ルールに関しては、「簿記の仕訳の基本ルールをマスターしよう!」も合わせてご確認ください。
以上より、「税金計算を自分でやる」ことは、自営業のデメリットと言えます。
4) 福利厚生が手薄
自営業の4つ目のデメリットとしては、「福利厚生が手薄」なことが挙げられます。
福利厚生費には、法定福利費と法定外福利費の2つがあります。
法定福利費とは、社会保険料や労働保険などの事業主負担分のことを指します。
また、法定外福利費とは、法定福利費以外の福利費を指し、交通費や住宅手当、健康診断料などが該当します。
自分一人で自営業を営んでいる場合には、福利厚生費を計上できません。
つまり、事業の経費としてではなく、全額実費で負担する必要があります。
従業員がいる場合は、事業主と従業員の福利厚生費を一律で同じ割合負担する場合のみ、経費として認められます。
いずれの場合でも、自営業の福利厚生費は一般的な企業の福利厚生費と比べると、どうしても手薄となってしまいます。
福利厚生は、平時ではあまり必要性を感じないかもしれませんが、いざという時に必要となるものであり、自営業はいざという時の備えが手薄となってしまいます。
以上より、「福利厚生が手薄」なことは、自営業のデメリットと言えます。
5) モチベーション維持が大変
自営業の5つ目のデメリットとしては、「モチベーション維持が大変」なことが挙げられます。
自営業者が事業で成果をあげるためには、継続して一定のモチベーションを保つ必要があります。
ただ、モチベーションの管理というのは非常に大変であり、特に自営業の場合はモチベーションを上げてくれる外的要因(職場の同僚や昇進など)が少なく、苦労しがちです。
もちろんその分モチベーションを下げる外的要因も少なく、モチベーションが下がりにくいのも事実ですが、何かしらの要因で一度下がってしまうと、一人の力ではなかなか上げにくいです。
モチベーションを管理するためにおすすめなのが、ロールモデルとなる人を見つけて、その人のマネをしながら後を追う方法です。
自分が憧れる人、あるいは自分と同じ分野で活躍している人を見つけて、その人のSNSなどを定期的にチェックすることで、モチベーションを維持することができます。
また、SNSなどを通じて外部とのつながりを積極的に持つことで、自営業特有の孤独感を解消できるかもしれません。
以上より、「モチベーション維持が大変」なことは、自営業のデメリットと言えます。
6) 時間の融通が利くと思われる
自営業の6つ目のデメリットとしては、「時間の融通が利くと思われる」ことが挙げられます。
確かに自営業の場合は時間的制約がないのですが、だからと言って他人の仕事をやる余裕があるわけではありません。
にもかかわらず、時間の融通が利くと思われて、親族や友達から仕事を依頼されることもあります。
他人の仕事をやる暇があるなら、その分の時間を自分の事業にあてる必要があります。
自分の事業で手いっぱいで、「仕事を依頼されても無理!」という意思表示をしっかりと行う必要があります。
以上より、「時間の融通が利くと思われる」ことは、自営業のデメリットと言えます。
3. 終わりに
自営業のメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
メリットを見て自営業に興味を持たれた方もいれば、デメリットを見て自営業にリスクを感じた方もいるかと思います。
大切なのは、良い面・悪い面の両面をしっかりと事前に理解して、自営業としてやっていくかどうかの最終的な判断をすることです。
本記事が皆様の判断に、少しでも役立つことを願っております。
4. まとめ
・制約がない。
・頑張ればかなり稼げる。
・オーナーになれる。
・金銭感覚が身に付く。
・仕事を好きになれる。
・セルフブランディングができる。
◆デメリット
・リスクが大きい。
・誰もアドバイスをくれない。
・税金計算を自分でやる必要がある。
・福利厚生が手薄。
・モチベーション維持が難しい。
・割と余裕があると周りから思われる。