「FP技能検定の一部合格って、どういう意味なのだろうか?」
「学科試験に合格したけど実技試験に落ちてしまったら、次は実技試験だけでいいの?」
「免除申請を忘れて受検してしまったけど、問題ないのだろうか?」
今回はこのような疑問を解決していきます。
結論から言うと、FP技能検定で学科に合格し実技は不合格だった場合、学科は一部合格が認められて、次の受検時には実技を受けるだけで良いです。(反対のケースも同様です。)
本記事では他にも、
・合格番号や免除申請を忘れた時の対応
・一部合格を狙うメリットとデメリット
について紹介していきます。
FP資格の取得を目指している人や、1回目の受検で片方の試験に落ちてしまったという人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 一部合格した場合の免除制度とは?
1) 一部合格とは?
2) 免除制度とは?
3) 有効期限
4) 一部合格番号を忘れた場合
5) 免除申請を忘れた場合
2. 一部合格を狙うメリット・デメリット
1) メリット
2) デメリット
3. 終わりに
4. まとめ
1. 一部合格した場合の免除制度とは?
1) 一部合格とは?
FP技能検定における一部合格とは、学科試験または実技試験のいずれかのみ合格することです。
FP資格を取得するためには、学科試験と実技試験の両方で、6割以上の得点率が必要になります。
そのため、実技試験は80%を取れたけれど、学科試験では50%しか取れなかったという場合、実技試験にしか合格できません。
このように片方しか合格していないことを、一部合格と言います。
2つ合わせて60%ではなく、1つ1つの試験で60%を上回る必要があります。
そのため、筆記で満点だった分、実技は50%でも良いということはありません。
また、一部合格の場合は結果通知書に、一部合格番号というものが記載されています。
次に受検の申し込みをする際に必要なので、忘れないように保管しておきましょう。
2) 免除制度とは?
FP資格を取得するためには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
とはいえ、片方の試験に落ちてしまう方もいるでしょう。
どちらかの試験に落ちてしまった時は再受検の必要がありますが、受かっていた一方の試験は再受検時には免除されます。
例えば、学科試験に合格するも実技試験は不合格だった場合、1回目の受検で学科試験に合格しているので、2回目は学科試験が免除されて、実技試験のみの受検になります。
ただ、一部合格は申し込み時に自動で反映されるわけではありません。
申請しないまま1回目で落ちた試験に合格しても、一部合格が反映されていないので合格証は発行されず、合格していないことになってしまいます。
一部合格は受検の申し込みの度に、忘れないように申請しましょう。
申請の際には、結果通知書に記載されている一部合格番号が必要になります。
一部合格番号を忘れてしまった場合、免除申請を忘れてしまった場合の対処法は、後の章で解説しています。
3) 有効期限
一部合格の免除制度には、翌々年の年度末までという期限が設けられています。
有効期限を設定していないと、10年前に学科だけ合格して10年後に実技を受けに来た人も、資格を取得できてしまいます。
しかし、10年前の知識は残っていない可能性が高い上に、法律や仕組みも変わっているでしょう。
10年前は極端な例ですが、すでに知識があまりない状態での合格を防ぐために、有効期限が設定されています。
文面だけでは分かりにくいので、例を挙げてみましょう。
2024年5月のFP2級試験で学科試験にのみ合格した場合は、2027年3月31日まで2級の学科試験が免除されます。
2025年1月のFP2級試験で実技試験にのみ合格した場合は、2027年3月31日まで2級の実技試験が免除されます。
年末ではなく年度末なので、1年の終わりが12月31日ではなく3月31日になっていることに注意しましょう。
一部合格の有効期限については、結果通知書に書いてあるので自分で確認できます。
FP技能検定は5月・9月・1月と年に3回ありますが、年度末が基準なので、5月に受検した場合がもっとも、一部合格の有効期限が長いです。(CBT試験の場合は4月に近いほど、一部合格の有効期限が長いと言えます。)
ただし、受検前から落ちることを考えるのは、得策ではありません。
他のことを考える前に、合格に向けて勉強に取り組んでおきましょう。
また、学科試験、実技試験のどちらが一部合格だったとしても、有効期限に違いはありません。
4) 一部合格番号を忘れた場合
もし、一部合格番号を忘れたり、結果通知書を失くしたりしても大丈夫です。
一部合格番号を忘れてしまった場合は、日本FP協会ないしきんざいの公式ホームページから、問い合わせて確認できます。
FP協会で受検した人は、きんざいでは一部合格番号の確認はできません。
また、反対の場合も同様なので、必ず自分が受検した団体に確認しましょう。
もし、自分がどちらの団体で受検したか分からない場合は、両方ともに確認を取ってみましょう。
5) 免除申請を忘れた場合
一部合格した試験の免除申請を忘れてしまっても大丈夫です。
学科(実技)試験の免除申請を忘れた場合、実技(学科)試験合格後に、両方の免除申請を申請することで、完全合格になります。
1度目に学科試験に合格したけど、免除申請を忘れたまま2度目の試験を受検し、実技試験に合格した場合を例に、解説していきます。
免除申請を忘れているので、2度目の試験は実技試験の一部合格となります。
すでに学科試験の一部合格を持っているので、2つの一部合格を保有している状態ですが、まだ完全合格だと認められていません。
ここで、学科と実技の両方の免除を伴う受検申請をする必要があります。
必要な書類は申請書と、学科・実技の一部合格証書の写しです。
申請書に一部合格証書の写しを添付して、受検団体に送付すれば申請は完了です。
先ほどの反対で先に実技試験に合格し、2回目で学科に合格した場合も、必要な書類や手順に違いはありません。
もし受検前に免除申請を忘れていることに気が付いても、焦る必要はありません。
あとから両方の免除申請が可能です。
合格発表時に完全合格になっていなくて、免除申請を忘れていることに気が付いた場合でも、両方の免除申請ができます。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
2. 一部合格を狙うメリット・デメリット
前述の通りFP技能検定は必ずしも、1度に学科と実技の試験を受ける必要はありません。
「今回は実技だけ受けよう」、「今回は学科だけにしておく」というように、自分のペースで段階的に受検することができます。
一部合格を利用して、段階的な合格を目指す方法のメリット・デメリットを、順に3つずつ紹介していきます。
1) メリット
① 勉強量を減らすことができる
FP技能検定は2つの試験に分かれていますが、学科と実技で必要な知識は基本的に同じで、大きな違いはありません。
一方で、必要な知識は同じなのですが、学科試験と実技試験で出題形式が異なっています。
試験に合格するためには、それぞれの試験の出題形式に慣れなければなりません。
一部合格を狙う場合、片方の出題形式には触れなくて良いので、勉強量を減らすことができます。
勉強時間を確保しにくい社会人の方は、学科と実技試験に1つずつ合格を狙う受検方法も、良いのかもしれません。
② 試験当日の負担が減る
FP技能検定は午前(10:00~12:00)の学科試験と、午後(13:30~14:30)の実技試験で構成されています。
そのため、集合時間なども踏まえると、1日かけて試験を受けることになります。
1日を試験に費やすとなると疲れが溜まってしまいますが、一部合格を利用する場合、試験は午前と午後のどちらかだけです。
試験を受ける負担が軽減されるので、片方の試験だけに集中して受検できます。
③ 受検料を抑えられる
FP技能検定を受検するには、以下の受検料がかかります。
・学科:4,000円
・実技:4,000円
【2級】
・学科:5,700円
・実技:6,000円
十分な勉強時間を確保できていないまま試験に挑み、一部合格になってしまったら、次の試験時に再び落ちた試験の受検料を払う必要があります。
しかし、初めから一部合格を狙って1つの試験に集中して出題形式に慣れていれば、1つは合格できるでしょう。
例えば3級受検の場合、1回の受検料は4,000円、2回目の受検料も4,000円で済み、最低限の8,000円で取得可能です。
完全合格を目指せる自信がないという人は、1つずつ受検して受検料を最低限に抑えるのも、1つの手段でしょう。
2) デメリット
① 完全合格を逃してしまう
デメリットの1つ目は完全合格を逃してしまうという点です。
完全合格を目指していれば、学科、実技共に勉強が間に合っていたかもしれませんが、一部合格を狙ってしまうと完全合格の可能性はありません。
学科、実技の難易度は実施回によって毎回異なります。
そのため、自分が受検をあきらめた試験が、たまたま簡単な回だったということもあります。
一部合格を目指していなければ、1回目の受検で資格を取得できていたかもしれません。
このように初めから一部合格を目指していると、チャンスを逃してしまう可能性もあります。
② 勉強期間が長期化する
2つの目のデメリットは、勉強期間が長期化してしまうという点です。
一部合格を利用する場合、少なくとも2回は受検しなければなりません。
5月・9月・1月の年3回しかFP技能検定は実施されていないので、勉強期間も合わせると合格するまでに、半年以上の期間が必要になります。(3級はCBT試験が開始されたため、毎月受検可能となりました。)
できるだけ早くFPを取得したいという人には、一部合格狙いはおすすめできません。
(FP試験の勉強期間については「FP3級と2級の勉強時間はどのくらい?何か月で合格できる?」も合わせてご確認ください。)
③ 勉強した内容を忘れてしまう
学科、実技ともに問われる知識に違いはありません。
出題方法が違うだけなので、学科で合格する力があれば、実技で合格する力はあるでしょう。
しかし、一部合格を利用する場合、次の試験は約4か月後になります。
4か月もの間、知識を頭に留めておくのは難しいでしょう。
そのため、2回目の受検前には再び基礎的な事項から、勉強しなおす必要があります。
基礎的な事項を覚えなおして出題形式に慣れていくことになるので、完全合格を狙う時よりもトータルの勉強時間は長くなる可能性が高いです。
一度覚えた内容をもういちどやり直すというのは、精神的にもきつくやる気を出しにくいでしょう。
一度やった内容をあとでもう一度やるのが嫌だという人は、一度目で完全合格を目指した方が良いでしょう。
一方で、一度やったことをもう一度やるのは苦じゃないという人や、記憶力に自信があって4か月後でも忘れないという人は、一部合格を利用してみるのも良いかもしれません。
3. 終わりに
FP技能検定における一部合格と、その有効期限や免除制度について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
FP資格を取得するにあたって、1度で完全合格できるのが理想です。
とはいえ、仕事などの関係で勉強時間が十分にとれず、難しいという人もいらっしゃるでしょう。
一部合格の有効期限は2年ほど設定されているので、何度も受検することが可能です。
1度目で完全合格する自信がないという人は、一部合格を狙ってみるのも1つの手段でしょう。
受検申し込みをする前に、一部合格を狙うメリットとデメリットを比較して、受検方法を選ぶ参考にしてみてください。
4. まとめ
◆一部合格の場合は免除申請ができる。
◆有効期限は翌々年度の年度末まで。
◆年末ではなく年度末なので3月31日までであることに注意。
◆一部合格番号を忘れた時は受検団体で確認できる。
◆免除申請を忘れても後から両方の免除を伴う受検申請が可能。
◆一部合格を狙うメリット3つ
・勉強量を減らせる。
・試験当日の負担が減る。
・受検料の節約。
◆一部合格を狙うデメリット3つ
・完全合格を逃してしまう。
・勉強期間が長期化する。
・勉強した内容を忘れてしまう。