今回の記事では、税理士になりたい人がまず考えるべきことを、順に4つ紹介していきます。
具体的には、以下の4つとなります。
2. 税理士に向いている人
3. 一発合格を狙うのは避ける
4. 税理士の実際の業務
税理士に興味をもった人は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 受験資格はあるか?
2. 税理士に向いているか?
1) 税理士に向いている性格
2) 求める条件
3) 会計士より税理士が向いている人
3. 一発合格しようとしてないか?
1) 一発合格を目指してはいけない理由
2) 税理士資格取得までの平均年数
3) 受験に専念した方がいい?
4. 税理士の業務内容を知っているか?
1) 個人の確定申告
2) 法人の申告作業
3) 相続税の申告
4) 法人の税務アドバイス
5. 終わりに
6. まとめ
1. 受験資格はあるか?
税理士になりたい人がまず考えるべきことの1つ目は、「受験資格はあるか?」です。
税理士に興味をもった場合は、まずは自分に受験資格があるか調べる必要があります。
ただし、受験資格を満たす方法はいくつかあるため、受験資格がないといって焦る必要はありません。
税理士試験の主な受験資格としては、以下が挙げられます。
・大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者
これらの受験資格の条件に加えて、職務経験によって税理士試験の受験資格を取得することも可能です。
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け/運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士、弁護士、公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
2年以上の実務経験を積めば受験資格を得ることができますので、勉強が苦手な方でも受験資格を得ることは可能になっています。
2023年度の税理士試験より、簿記論・財務諸表論の受験資格が撤廃され、誰でも受験できるようになりました。
簿記論・財務諸表論は、税理士試験で多くの受験生がまず受験を考える科目であるため、非常に受験しやすくなったと言えます。
2. 税理士に向いているか?
税理士になりたい人がまず考えるべきことの2つ目は、「税理士に向いているか?」です。
公認会計士に向いている人と税理士に向いている人でも違いはありますので、ご自身がどちらに向いているかしっかりと把握して、目指すことをおすすめします。
以下で順に解説していきます。
1) 税理士に向いている性格
税理士に向いている性格としては、例えば以下が挙げられます。
・細かいことが苦にならない
・事務作業が苦手ではない
・繁忙期があっても気にならない
大前提として、税理士の業務では基本的に顧客との会話が必要となり、また数字があっているかの確認作業も必要となるため、このあたりが苦手な人は税理士に向いてないかもしれません。
基本的に仕事のメインは上記の2つですので、どちらかが致命的に苦手と感じるなら、少し考え直したほうがいいでしょう。
ですが、一般企業の営業などと違う点は、「顧客がこちらの話を聞いてくれる」という点です。
そのため、多少コミュニケーション能力に不安を感じていても、ある程度は慣れでこなせる部分がほとんどです。
2) 求める条件
働くにあたり自身が求めている条件、目指す働き方と税理士が合致しているかどうかも、重要なポイントになります。
具体的には、以下のような条件を求めている人は、税理士に向いていると言えます。
・税務知識を身につけたい
・将来的に独立したい
・働きながら勉強して手に職が欲しい
税理士も人それぞれスタンスが違いますが、税理士の資格をとって税理士業務をメインとしていく最大の利点は、「食うに困らない」という点です。
税理士の主な収入源は、顧問料になります。
顧問料は法人相手なら月額○○万円といったように、定期的に収入が得られます。
しかも通常複数の顧客と顧問契約を結ぶため、ある日突然取引先がつぶれて売上が0になる、といったリスクを極限まで減らすこともできます。
逆に「とにかくお金を一気に稼ぎたい」という方には、税理士業務は向いてないかもしれません。
とくに中小企業に対しての税務業をメインとするよりも、大企業の経営コンサルタントなどを仕事にするほうがいいと思います。
地方で安定した収入を得たい、死ぬ気で働きたくはないが生活に不安にならない程度の収入が欲しい、という方には税理士はかなりおすすめです。
「公務員より専門性が高く、稼ぎ方の幅も広く、比較的安定している」ことが、税理士の大きなメリットと言えます。
3) 公認会計士より税理士が向いている人
一般的に税理士と公認会計士は比較されることが多いですが、当然に業務内容も異なり、向き不向きも違ってきます。
税理士を公認会計士よりもおすすめできる人は、例えば以下の条件に当てはまる人となります。
・一緒に働くのは少人数の方がいい
・大企業より中小企業を相手にしたい
・都市部よりも地方で独立開業したい
・少しずつ勉強したい
・長期間の勉強期間を確保できる
詳細については、「公認会計士と税理士の違い・共通点とは?どっちがおすすめ?」をご確認ください。
3. 一発合格しようとしてないか?
税理士になりたい人がまず考えるべきことの3つ目は、「一発合格しようとしてないか?」です。
税理士試験は税法3科目と会計学2科目の、全部で5科目に合格する必要があります。
税理士試験の受験を決意した際に意外にありがちなのが、一気に5科目を受験して一発で合格しようとすることです。
どうせつらい勉強するなら、1年間死に物狂いで勉強して、一発合格を目指してしまえ、という考えの人もいるかもしれません。
結論から言いますが、普通の人には一発合格は無理です。
もちろん世の中には例外がいるので、文章を読んだだけで暗記できたり、とにかく賢さに自信がある人は、挑戦するのも止めはしません。
ですが、実際問題として1発合格は、基本的に不可能と考えていたほうがいいです。
早くて3年で5科目を合格するなど、複数年計画で勉強するのが現実的です。
1) 一発合格を目指してはいけない理由
ここではより具体的に、なぜ税理士試験の1発合格を目指してはいけないのか?についてお話ししていきます。
まず、税理士試験の1科目ごとの必要な勉強量というのは、桁違いに多いです。
簿記の知識があったとしても、税法科目などは条文を暗記する必要があるため、1年間で勉強できる量に限りがあります。
そのため、そもそも勉強量的に、一発合格が現実的ではないと言えます。
次に、税理士試験は複数年にわたって資格が取れるため、初年度は会計科目、2年目以降は税法科目といったように、着実にステップを踏んでいくことができます。
これが1発合格を目指した結果、どの科目も中途半端になって全部受からなかったとなってしまうと、また振り出しに戻ることになり、資格の取得を断念してしまう方もいます。
税理士資格を早くとって安心したい、という気持ちはとても分かりますが、着実に取れるように1年で多くても2個までが、無難かと思います。
2) 税理士資格取得までの平均年数
では実際に、税理士資格を取るのに、どのくらいの年数がかかるのでしょうか?
平均的には、5年~10年ほどかかると言われています。
税理士科目を1年に1科目確実に受かっていけば達成できそうですが、なかなか一発で全部の科目を通るのは難しいです。
合格率も科目にもよりますが、10%前後のものもあり、国家試験の中でもかなりの高難易度になっています。
3) 受験に専念した方がいい?
税理士試験の受験生の中には、働きながら勉強する人と、予備校などに通って勉強に集中する人がいます。
おすすめは、何科目か合格してから働き初めて、継続して勉強することです。
働きながら1から勉強するのは、なかなか精神的・体力的にも難しく、仕事でも覚えることが多いので本当に精神的につらいです。
そうならないためにも、例えば3~4科目を勉強に集中して合格しておいて、残りの科目を働きつつ勉強しながら合格を目指すのがいいです。
そうすることで、科目合格が自身のキャリアアップになっていることを実感しやすく、集中して短期合格を目指しやすいです。
元難関資格講座の運営者が、以下の6つの税理士予備校の費用と合格者数を比較して、コスパと実績の観点から、おすすめの予備校を解説しました。
・大原
・TAC
・スタディング
・LEC
・ネットスクール
・クレアール
詳細は「税理士の予備校おすすめ3選!費用と合格者数を比較してみると..」をご確認ください。
4. 税理士の業務内容を知っているか?
税理士になりたい人がまず考えるべきことの4つ目は、「税理士の業務内容を知っているか?」です。
想像していた税理士の業務と実際の業務に乖離があった場合、せっかく合格したのに思っていたのと違った..といった事態に陥るかもしれません。
そのため、事前に大まかな税理士の業務を知っておいて、損はありません。
税理士事務所の方針にもよりますが、主な業務は大きく分けて4つです。
② 法人に対しての申告業務
③ 相続税の申告
④ 法人の税務・経営アドバイス
以下で順に解説していきます。
1) 個人の確定申告
税理士の業務でまず思い浮かぶのが、「確定申告」ではないでしょうか?
確定申告は2~3月にかけて行われる税務処理で、この時期は非常に忙しい繁忙期にあたります。
税理士は季節労働者と言われており、12月の年末から3月の確定申告にかけてが、非常に忙しい時期になります。
税理士事務所で働きながら資格の勉強をする場合は、この時期の勉強はなかなかはかどらないので、あらかじめその点は頭に入れて勉強スケジュールを組む必要があります。
2) 法人の申告作業
税理士法人のメインの収入となるのは、法人の申告作業です。
そのほかにも毎月の顧問報酬と、この申告作業の手数料が大きな収入源になります。
法人の納税申告作業とは、いわゆる「決算の報告作業」になります。
その法人が1年間かけてどれだけ売上があり、納めなければならない税金の金額がいくらになるのかを計算します。
これは法人の決算時期にもよりますが、多くの法人は3月決算が多く確定申告の時期と被るので、3月は税理士にとって非常にハードな月になります。
3) 相続税の申告
相続税の申告作業も、税理士の業務となります。
例えばあなたのお父様がなくなられた時に、お父様の持っている財産がどのくらいあるのか?その財産をあなたがいくら相続して、それにかかる税金はいくらになるのか?を計算する作業になります。
現金などのみの場合、話は単純なのですが、土地や会社の株を相続する場合は、税理士の腕の見せ所です。
株や土地の評価額をいくらで計算するかによって、相続税の金額が大きく変わってくるからです。
4) 法人の税務アドバイス
税理士は顧問先に毎月、もしくは数か月に一度訪問して、毎月の収支予想や税金の予想額を報告します。
将来的に納税額がいくらになりそうだとか、節税対策でおすすめの方法などをアドバイスすることで、最終的な納税額を予想していきます。
また、経営面でのアドバイスも、近年は非常に重要な要素になっています。
いかに経営アドバイスを的確に行えるかどうかで、税理士としての評価は変わってくるでしょう。
5. 終わりに
今回は税理士になりたい人向けに、税理士試験の受験資格から税理士の業務内容まで、事前に考えておくべきことについて触れてきました。
本当に税理士試験を受験すべきかどうかの、判断材料としてご活用ください。
6. まとめ
◆税理士に向いているか?
◆一発合格を狙っていないか?
◆税理士の業務内容を理解しているか?