会計と聞くと経理に必要なものであり、営業には関係ないと思っていないでしょうか?
実は、営業こそ会計知識を身に付けることで、他者と差別化することができます。
私自身も営業として働いていた際に、会計知識を利用することで、活躍していました。
そこで今回は、自身の経験も踏まえながら、営業に会計知識が必要な3つの理由について、解説してきます。
後半では、営業に必要な会計知識の、具体的な勉強方法についてもお伝えしておりますので、ぜひご一読ください。
・公認会計士
・監査法人➡経理に出向➡ベンチャー➡自営業
・ベンチャーでは会計を活かし営業として活躍
1. 営業に会計知識が必要な3つの理由
1) 経営層の評価ポイントがわかる
2) 取引先の状況を理解できる
3) ライバル企業の状況を把握できる
2. 営業に必要な会計知識の勉強方法
1) 会計資格の勉強
2) 株式投資
3) 会計関連の本を読む
3. 終わりに
4. まとめ
1. 営業に会計知識が必要な3つの理由

1) 経営層の評価ポイントがわかる
営業に会計知識が必要な1つ目の理由としては、「経営層の評価ポイントがわかる」ことが挙げられます。
「営業はとりあえず売上を上げれば評価される。」
皆様の中にはこのように考えている人も、少なくないのではないでしょうか?
確かに営業は、売った分だけ評価されやすいのは事実です。
一方で、会社全体・事業全体は会計をもとに資産・負債・純資産・売上・費用・利益といった項目で評価され、必ずしも売上だけが全てではありません。
そして、営業も会社という組織の一部である以上、会社全体の会計に基づいた評価基準に従う必要があります。
つまりは、経営層がどんな基準で事業を評価しているのかを理解することで、営業として自分が評価されるポイントも、自ずと見えてきます。
よくある営業の勘違いと、会計をもとにした経営層の評価ポイントについて、以下に3つ例を列挙しますので、目を通しておいてください。
×売上だけを上げれば評価される。
【経営層の評価ポイント】
〇原価率も考えて販売しているか?
〇経費を加味した利益率は大丈夫か?
×売ったらそこで終わり。
【経営層の評価ポイント】
〇キャッシュは回収できているか?
〇売掛金の回転期間は問題ないか?
×いつでも売れるように在庫を確保。
【経営層の評価ポイント】
〇在庫の保管費用は考慮しているか?
〇在庫の回転期間は問題ないか?
また、会計を学び経営層の評価ポイントを理解することで、会社の利益を考えた提案をすることができ、自分の提案が通りやすくなるといったメリットもあります。
さらに、経営の視点で事業を見ることができるようになるため、管理職や経営層に昇進するための、基礎的なスキルを身に付けることもできます。
以上より、「経営層の評価ポイントがわかる」ことは、営業に会計知識が必要な理由と言えます。
2) 取引先の状況を理解できる
営業に会計知識が必要な2つ目の理由としては、「取引先の状況を理解できる」ことが挙げられます。
営業する場合、相手のニーズを探る必要があります。
ただ、相手のニーズが知りたいからといって、いきなり質問攻めにしてしまうと、「この人は何もわかっていないな。」と思われてしまいます。
そこでまず必要となるのは、相手の現状を正しく理解することです。
そのためには、取引先の決算情報を分析して、例えば以下のような情報を事前に調べる必要があります。
・どの分野を得意としているのか?
・伸ばそうとしている分野はあるか?
・事業に積極的に投資しているか?
・キャッシュは安定しているか?
取引先の現状に合わせた提案を行うことで、説得力のある提案ができ、営業がうまくいく可能性が上がります。
以上より、「取引先の状況を理解できる」ことは、営業に会計知識が必要な理由と言えます。
3) ライバル企業の状況を把握できる
営業に会計知識が必要な3つ目の理由としては、「ライバル企業の状況を把握できる」ことが挙げられます。
営業は取引先だけを見ていればよいかというと、そんなことはなく、ライバル企業についてもチェックしておく必要があります。
どんなにうまくプレゼンしても、そもそも商品自体がライバル企業に著しく劣っている、あるいはライバル企業の方がはるかに安い場合、営業がうまくいく可能性は低いです。
営業としては、このような負け戦は極力回避して、自社の商品を一番に求めてくれそうなお客様に、時間をより使うべきです。
そのためには、事前にライバル企業の決算情報や株主総会資料などを見て、ライバル企業の現状を把握しておく必要があります。
個別の商品情報も大切ですが、まずはライバル企業の会社全体の状況、つまりは安全性・収益性・成長性などを理解する必要があります。
そしてこの際に必須となるのが、会計知識となります。
以上より、「ライバル企業の状況を把握できる」ことは、営業に会計知識が必要な理由と言えます。
2. 営業に必要な会計知識の勉強方法

1) 会計資格の勉強
1つ目の営業に必要な会計知識の勉強方法としては、「会計資格の勉強」が考えられます。
何事もまずは、基礎を学ぶ必要があります。
そして、基礎的な内容が体系的にまとめられている資格試験の勉強は、おすすめの勉強方法となります。
会計知識を学ぶのにおすすめの資格としては、「簿記検定」と「ビジネス会計検定」の2つがあります。
決算数値を作成するために必要となる簿記検定、決算数値を分析するために必要となるビジネス会計検定。
共に会計知識の獲得において、非常にためになる検定試験となります。
両資格の詳細については、「ビジネス会計検定と簿記検定の共通点、相違点は?」をご参照ください。
資格試験の勉強は独学でも可能ですが、合格までに時間がかかってしまい、実務でその知識を使う機会が減ってしまいます。
そのため、予備校を利用して最短で合格し、1日でも早く会計知識を実践で使った方が、費用対効果が高いと言えます。
おすすめの講座は以下となりますので、まずは確認してみてください!
・クレアール 簿記検定講座

・会計ショップ ビジネス会計検定講座
2) 株式投資
2つ目の営業に必要な会計知識の勉強方法としては、「株式投資」が考えられます。
会計資格の勉強で会計知識の基礎を学んだら、今度は会計知識を実際に使ってみることで、実務に使える会計知識が身に付きます。
そして、この際におすすめの方法が、株式投資です。
株式投資をする場合、投資対象企業の決算情報を見ながら検討する必要があるため、会計知識が磨かれます。
また、株式投資にはお金がかかっているので、より真剣に取り組むことができます。
初めは難しく考えず、好きな企業に少額投資することから始めてみてください。
3) 会計関連の本を読む
3つ目の営業に必要な会計知識の勉強方法としては、「会計関連の本を読む」ことが考えられます。
まずは読書から入りたい人も、一定数いるかと思います。
そんな人におすすめしたいのが、会計関連の本、特に入門的な本を読んでみることです。
いきなり難しい本を読んでしまうと挫折してしまうので、入門的な本を読んで、会計に対する苦手意識をなくし、ポイントを掴んでください。
おすすめの本を列挙しておきますので、ぜひ読んでみてください。
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3. 終わりに

営業に会計知識が必要な理由についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
会計知識は経理だけに必要となるものではなく、むしろ営業こそ他者と差別化するために、必要なスキルと言えます。
この機会に、会計の勉強を始めてみましょう。
4. まとめ
◆取引先・ライバル企業の経営成績や財政状態を把握することができる。