公認会計士試験の難易度とは?難しいと言われる5つの理由

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「公認会計士試験は難しいって聞くけど、具体的にどの程度の難易度なの?」

公認会計士に興味のある人であれば、一度はこのように思ったことがあるのではないでしょうか?

私も公認会計士試験の勉強を開始した時は、漠然と難しい試験というイメージしか持っていませんでした。

そこで今回は、公認会計士試験に合格した私の経験をもとに、公認会計士試験の難易度について解説していきます。

また、後半では、公認会計士試験の試験対策についてもお伝えしていきますので、ぜひご一読ください。

筆者の情報
・公認会計士
・監査法人➡経理に出向➡ベンチャー➡自営業

 

 

1. 公認会計士試験の難易度

公認会計士試験の難易度

1) 公認会計士試験とは?

公認会計士試験とは、公認会計士になるために、始めに合格する必要がある試験となります。

(公認会計士については、「公認会計士とは?わかりやすく簡単に解説します!」をご参照ください。)

5月と12月の年2回実施される短答式試験(マークシート)に合格すると、8月に年1回実施される論文式試験(論述)を受験することができます。

論文式試験に合格すれば、「公認会計士試験合格者」となります。

また、公認会計士の資格を得るためには、以下の要件が必要となります。

・公認会計士試験に合格する。
・2年以上の実務経験。
・公認会計士試験合格後、実務補修所にて所定の単位を修め、修了考査に合格する。

 

2) 試験科目

公認会計士試験の試験科目は、以下の通りとなっております。

【必須科目】
・会計学-財務会計論-簿記(計算)
・会計学-財務会計論-財務諸表論(理論)
・会計学-管理会計論
・監査論
・企業法
・租税法

【選択科目】
・経営学、経済学、民法、統計学から1科目選択。

 

3) 勉強時間

一般的には、3,000時間程度と言われることが多いですが、実際は4,000時間以上は覚悟しておいた方が良いかと思います。

公認会計士試験の勉強時間は3,000時間?私は3倍必要でした」でお伝えした通り、私は公認会計士試験合格までに、9,000時間を必要としました。

人によって、環境によって、勉強方法によって必要な勉強時間は異なりますが、いずれにしろ、かなりの時間を必要とする試験となります。

 

4) 合格率

公認会計士試験の合格率は、以下の通り毎年10%程度となっております。

年度 合格率
2015年 10.3%
2016年 10.8%
2017年 11.2%
2018年 11.1%
2019年 10.7%

 

約10%の合格率とは、例えば2019年度であれば、以下のように計算されます。

合格率10.7%
=最終合格者1,337人÷受験申込者12,532

しかし、実質的な合格率は、実は10%よりもはるかに高いと考えられます。

具体的には、以下の2つの受験者層を考慮に入れると、実質的な合格率は10%より高くなると考えられます。

・受験申込のみで受験しなかった層。
・記念受験者層(得点比率が40%以下と仮定。)

この点、例えば2019年度の第2回短答式試験の得点分布表を見てみると、下表の赤枠より下の部分が、「得点比率40%以下の人(=記念受験と考えられる層)」と「申し込みはしたが欠席した人」の割合となり、なんと申込者のうち60%の人が、実質的な受験者ではないと仮定できます。

短答式試験得点階層分布表

 

この仮定で計算すると、2019年度の実質的な合格率は、以下の通りとなります。

実質合格率26.7%
=最終合格者1,337人÷(受験申込者12,532×40%)

実質的には25%程度の合格率と考えると、ずいぶん合格が現実的な試験に見えてきたのではないでしょうか?

実質的な合格率も加味すると、難関資格と言えど、思っていたほどではないと考える人も多いかもしれません。

しかし実際は、難易度が高い最上位の資格と位置付けられております。

いったいなぜでしょうか?

その理由を、次項で順に5つ解説していきます。

 

2. 難易度が高いと言われる5つの理由

難易度が高いと言われる5つの理由

1) 受験資格がない

公認会計士試験の難易度が高いと言われる1つ目の理由としては、「受験資格がない」ことが挙げられます。

公認会計士試験は、税理士試験や司法試験と異なり、受験資格がありません。

ということは、当たり前ですが、誰でも受験することができます。

多くの時間を勉強に費やすことができる、学生も多く受験します。

また、社会人でも、本来優秀なのに、税理士試験や司法試験では受験資格ではじかれてしまう人達が、公認会計士試験を受験することも想定されます。

公認会計士は魅力的な仕事ではないと言われる5つの理由」でお伝えしている通り、公認会計士とは非常に魅力のある仕事です。

そんな魅力のある資格試験が誰でも受けられるのであれば、必然的に多くの優秀な人達が集まってきます。

そのため、受験者のレベルが高く、合格率以上に難易度が高く感じられる試験となります。

以上より、「受験資格がない」ことは、公認会計士試験の難易度が高いと言われる理由となります。

★税理士試験と司法試験の受験資格とは?
公認会計士試験と比較されることが多い「税理士試験」と「司法試験」には、以下の受験資格があります。

【税理士】
・大学、短大、または高等専門学校を卒業した者で、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修している者。
・日商簿記1級合格者。
・公認会計士試験短答式試験に合格している者。
・士業の事務所や会計に関する業務で2年以上働いている者。

【司法試験】
・法科大学院課程の修了者
・予備試験合格者

 

2) 難関資格と思われている

公認会計士試験の難易度が高いと言われる2つ目の理由としては、「難関資格と思われている」ことが挙げられます。

公認会計士は一般的に難関資格と考えられており、それでも受験しようという層は、それなりに勉強に自信がある層と言えます。

また、そんな難関資格の勉強を続けられる人は、そもそも勉強に対する耐性のある人とも言えます。

つまり、受験者層のレベルがその分高いと考えられ、合格率以上に難しい試験となっています。

実際に私の受験生時代でも、周りで最後まで勉強を継続できていたのは、勉強にある程度自信がある人達が多かったです。

受験を始めた段階では、一発逆転を狙っている人や、何となく興味を持って公認会計士を目指している人もいましたが、その中で最後まで勉強を続けていたのは、ほんの一握りでした。

以上より、「難関資格と思われている」ことは、公認会計士試験の難易度が高いと言われる理由となります。

 

3) 受験専念層が80%

公認会計士試験の難易度が高いと言われる3つ目の理由としては、「受験専念層が80%」であることが挙げられます。

例えば、2019年度の合格者を職能別にまとめた下表を参考にすると、受験に専念できる層が80%以上もいることがわかります。

公認会計士試験 職能別合格者

もちろん学生でも、授業などがあり勉強に専念できない、という意見もあるかと思いますが、社会人と比べると、勉強に使える時間は圧倒的に多いです。

合格する人たちのほとんどが、公認会計士試験の受験に専念している層ということは、ライバルのレベルがそれだけ高いことを意味しており、難易度が高い試験となります。

以上より、「受験専念層が80%」であることは、公認会計士試験の難易度が高いと言われる理由となります。

 

4) 試験科目が多い

公認会計士試験の難易度が高いと言われる4つ目の理由としては、「試験科目が多い」ことが挙げられます。

先述の通り、公認会計士試験は以下の試験科目で構成されています。

【必須科目】
・会計学-財務会計論-簿記(計算)
・会計学-財務会計論-財務諸表論(理論)
・会計学-管理会計論
・監査論
・企業法
・租税法

【選択科目】
・経営学、経済学、民法、統計学から1科目選択。

全7科目を満遍なく毎日勉強しようとすると、1科目にとれる時間は1時間程度となります。

簿記の大問を解こうと思ったら、1時間まるまる使用しても解けないこともあり、日々の科目ごとの時間配分は非常に難しいです。

また、1科目ずつ完璧に仕上げていこうとしても、最後の科目を勉強するころには、最初に勉強した科目は、普通の人であれば忘れています。

つまり、試験科目が多く、1つ1つのボリュームも多いため、長い時間をかけて根気よく勉強していく必要があり、この点も、公認会計士試験の難易度を高めている理由と考えられます。

以上より、「試験科目が多い」ことは、公認会計士試験の難易度が高いと言われる理由となります。

 

5) 勉強時間が長い

公認会計士試験の難易度が高いと言われる5つ目の理由としては、「勉強時間が長い」ことが挙げられます。

先述の通り、公認会計士試験に合格するには、数千時間の勉強時間が必要となります。

常人にとっては、そもそも数千時間の勉強を続けること自体が、難易度の高いこととなります。

「1日12時間の勉強を1年間続ければ、4,000時間以上勉強したことになるため、1年と割り切れば頑張れる!」

という人も、もしかしたらいるかもしれません。

しかし、これはかなり無理があります。

一説によると、1日で高い集中力を発揮できるのは、たったの4時間と言われております。

つまり、その他の時間を集中力の低い状態で頑張ったとしても、1日に12時間「集中して勉強」することは、基本的に不可能なのです。

そのため、通常であれば、公認会計士試験合格までに、数年の期間をかける必要があります。

以上より、「勉強時間が長い」ことは、公認会計士試験の難易度が高いと言われる理由となります。

★いまいち勉強時間がピンとこない、、
勉強時間の単位が大きすぎて、いまいちピンとこない人もいるかと思います。
そこで、以下の2つの軸で、勉強時間についての感覚を掴んでみてください。

・1日あたりの時間で考える
例えば、合格までに2年間で4,000時間の勉強が必要になると考えた場合、1日当たり5.5時間勉強し続ける計算となります。
2年間1日も休まず、毎日5.5時間勉強し続けると合格できるかもしれないのが、公認会計士という試験の難易度となります。

・大学受験との比較
例えば、地方の国立大学に合格するためには、高校生活3年間合計で3,000~4,000時間程度の勉強時間が必要と言われております。

公認会計士試験は地方の国立大学と同レベルなの?と思われたかもしれませんが、そういう意味ではありません。
ここでお伝えしたいのは、高校3年間の勉強時間と同じくらいの時間は、最低限勉強をやらなければならないということです。

大学生であれば3学年分費やす必要があるかもしれません。
社会人であれば、それ以上の時間を費やす必要があるかもしれません。

 

3. 会計士おすすめの試験対策

会計士おすすめの試験対策

1) アウトプット重視

私がおすすめする1つ目の試験対策方法としては、「アウトプット重視」が挙げられます。

公認会計士試験は試験科目も多く、とりあえず全科目のインプットをまずやってから、アウトプットに移ろうと考えていないでしょうか?

その方法は非常に危ないです。

なぜなら、そもそも知識は使われることで初めて本当に理解することができ、また、使われることで初めて長期記憶として定着していくからです。

そうは言っても、アウトプットばかりやっていたら、いつまでたってもインプットが終わらないのも事実です。

そのため、以下の2点のポイントを押さえて、効率的にアウトプットを行ってください。

 

① 時期によりアウトプットの割合を変える

始めからアウトプット重視でやり過ぎると、後述の「とりあえず最初から最後までやる」ことができません。

そのため、時期に応じてアウトプットの量を変えてみるのがおすすめです。

例えば、以下のような順番、割合が考えられます。

【インプット期】
Input:Output=5:5

【アウトプット期】
Input:Output=3:7

【直前期】
Input:Output=1:9

 

② アウトプットの方法を工夫する

アウトプットの方法も、工夫する必要があります。

まず思いつくのが、問題集を解くことかと思います。

ただ、問題集を解くのは時間がかかり、人によっては初めからやるのは時間的にも、実力的にも難しいかもしれません。

そんな時は、以下の4つの効率的なアウトプットを、適宜使い分けてみてください。

・テキストにマーカーを引く。
・テキストの内容を思い出す。
・自分が講師になったつもりで、テキストの内容を解説してみる。
・テキストを音読する。

「こんな方法がアウトプットになるの?」と思われたかもしれませんが、どれも立派なアウトプットです。

コツとしては、記憶が定着した箇所については、アウトプットをやめて、時間を節約することです。

ただ講義を聞いてインプットするだけでなく、講義の後にどれか1つでもいいので実践してみてください。

 

以上より、「アウトプット重視」は、おすすめの試験対策方法となります。

 

2) とりあえず最初から最後までやる

私がおすすめする2つ目の試験対策方法としては、「とりあえず最初から最後までやる」ことが挙げられます。

まずは一通り勉強してみるというのは、一般的によく言われる勉強方法ではありますが、なぜこの方法が推奨されているのでしょうか?

理由の1つとして、全体のボリュームを一度経験しないと、本当の意味で公認会計士試験の大変さを理解することができないことが考えられます。

大変さを理解できたら、現実的なスケジュールや勉強法が見えてきます。

そのため、とりあえずは最初から最後まで勉強した方がいいです。

とは言っても、公認会計士試験の範囲は非常に広く、最後まで勉強するのも簡単ではありません。

コツとしては、先述の効率的なアウトプット方法を取り入れながら、とりあえず50%程度理解できたら先に進むことです。

とにかくサクサク前に進むことが大切であり、100%理解できるまで立ち止まっていたら、いつまでたっても最後までいきつくことはできません。

不安な気持ちはわかりますが、他の範囲を勉強することで理解が深まることもありますので、とりあえずは先に進むことを考えてください。

以上より、「とりあえず最初から最後までやる」ことは、おすすめの試験対策方法となります。

 

3) 出題されそうなところからやる

私がおすすめする3つ目の試験対策方法としては、「出題されそうなところからやる」ことが挙げられます。

まずは先述の通り、最初から最後まで一通り勉強することが大切です。

ただ、その後は出そうなところを重点的にやっていく方針で、問題ありません。

どの論点が出ても合格点をとれるようにするには、途方もない時間がかかります。

であれば、出題されそうな論点をまず合格点がとれるレベルまで勉強して、あとはできる範囲で広げていく方が、合格の可能性は上がります。

極端な話を言えば、出そうなところを勉強して、最終的にたまたま当たったとしても、それはあなたの戦略勝ちと言えます。

また、出題されそうな問題、かつ、皆ができる問題は、絶対に落とさないようにする必要があります。

公認会計士試験ほどの難関試験と言えども、結局のところ皆が解ける問題を一問も落とさなければ、合格することができます。

予備校のテキストや問題集には、重要度が記載されていることが多いかと思いますので、予備校が出そうと予想している重要な箇所を中心に、勉強に取り組んでみてください。

以上より、「出題されそうなところからやる」ことは、おすすめの試験対策方法となります。

★おすすめ公認会計士予備校
公認会計士である筆者が、コストパフォーマンスの観点から、以下の5つの公認会計士予備校を比較してみました。

・大原
・TAC
・東京CPA
・LEC
・クレアール

詳細については「公認会計士の予備校比較ベスト5!会計士がコスパ重視で選んでみた」をご参照ください。

 

4) 繰り返す

私がおすすめする4つ目の試験対策方法としては、「繰り返す」ことが挙げられます。

4つ目に挙げましたが、勉強において、繰り返すこと以上に大事なことはありません。

実際に私が公認会計士試験に合格した時に何をやったかと言うと、ただひたすら同じ教材を繰り返しただけでした。

・青ペンは集中力を高める。
・復習は当日、一週間後、一ヶ月後。
・黙読より音読。

これらの勉強法は、私自身もツイートや記事で紹介している勉強方法であり、実際に大切だと思っているものです。

ただ、これらは枝葉の論点であって、「繰り返す」という根っこの部分が最も大切となります。

泥臭く繰り返した人だけが、勉強で成果を出すことができます。

同じテキスト、同じ問題集を、ただひたすら繰り返してください。

始めはつらくても、繰り返していくうちに、だんだんと見慣れた内容が多くなり、楽になっていきます。

以上より、「繰り返す」ことは、おすすめの試験対策方法となります。

★習慣が大切
日々の生活も、同じリズムで繰り返すことが大切です。
何時に起きて、何時にご飯を食べて、何時から勉強するといった、習慣づけを徹底してください。
習慣化することで、余計なことを考えなくなり、1日中勉強に集中することができるようになります。

(その他の公認会計士試験の勉強法については、「公認会計士の勉強法7選!私と同じ失敗をしないために伝えたいこと」も合わせてご確認ください。)

 

4. 終わりに

公認会計士試験の難易度についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?

公認会計士試験は、非常に難しい試験です。

ただ、一部の天才だけが受かる試験でもありません。

繰り返し勉強し続けた人が、合格できる試験です。

諦めずに、勉強を頑張りましょう。

 

5. まとめ

Point!

◆合格率は10%程度。
◆実質的な合格率は25%程度。
◆受験者層のレベルが高い、受験専念層が多い、試験科目が多い、勉強時間が長いといった点が、難易度を高めている。

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