営業の基本と言えば、皆様何を思い浮かべますでしょうか?
相手の言ったことをおうむ返ししたり、手紙を送ってみたりといった、スキルのことを思い浮かべた方もいるかもしれません。
ただ、これらのスキルは学べばすぐに身に付く半面、長期にわたって成果を出し続けるためには、もっと基本的な営業としての心構えが必要となってきます。
そこで今回は、営業の基本的な心構えとして、押さえるべきポイント6選ご紹介していきます。
一度理解しただけではなかなか身に付きませんが、今回ご紹介する基本を頭に入れながら、日々の業務に臨んでみてください。
1. 営業とは自分を売ること
2. 営業とは顧客の問題を解決すること
3. 営業とは勝てる戦をすること
4. 営業とはお客様の代弁者
5. 営業とは無駄な会話をしない
6. 営業とは実践あるのみ
7. 終わりに
8. まとめ
1. 営業とは自分を売ること
1つ目の営業の基本としては、営業とは「自分を売ること」が挙げられます。
初めて営業をする方や、なかなか成果が出ない方に多いのが、商品をだけを必死にアピールすることです。
もちろんそれも大事なのですが、必ずしも自社の商品に差別化要素があるとは限りません。
仮にあったとしても、すぐに競合に真似られてしまい、差別化要素はなくなってしまいます。
また、お客様との間には商品に関する情報格差があり、営業がどれだけ丁寧に説明したとしても、その良さの50%程度しか伝わらないことがほとんどです。
商品を説明している営業自身が、商品の開発者ではないため、そもそも商品に関する知識が100%ではないのも、お客様との間に商品に対する情報格差が生まれる理由となります。
それではお客様は、いったい何を基準に判断するのでしょうか?
それは、営業を信頼できるか、もっと言うと営業を好きになれるかといった点です。
「商品のことはよくわからなかったけど、この人の勧めるものなら買ってみるか。」と言われることが、営業にとっては大事なこととなります。
例えば、アイドルや芸能人のファンの方を思い浮かべてみると、わかりやすいかもしれません。
ファンの方は、自分の大好きな人が身に付けているものやおすすめするものであれば、その実用性を判断することなく買っていることが多いかと思います。
営業の場合さすがに数回しか会わないお客様を、自分のファンにすることは難しいと思われるかもしれません。
しかし、アイドルや芸能人のファンになった人達の中には、おそらく一度も実物を見たことがない人が大多数かと思います。
そう考えれば、お客様と実際に会って会話できる営業の方が、相手をファンにするチャンスは多いとも言えます。
もちろんそんな簡単な話ではないですが、物事の良い面を見ながらポジティブに考えることも大切です。
以上より、「自分という商品を売ること」は、営業の基本と言えます。
2. 営業とは顧客の問題を解決すること
2つ目の営業の基本としては、営業とは「顧客の問題を解決すること」が挙げられます。
営業に対する勘違いの1つに、営業は自社の売りたいものをお客様に売りつけるといった考えがあります。
これは三流の営業の考え方です。
お客様の課題点・問題点を聞き、その問題を自社の商品を使って解決していく手助けをするのが、あるべき営業の姿となります。
そのためまず大事になってくるのは、自社の商品の良さを説明することではなく、お客様が日々感じている問題点を聞き出すことです。
お客様との間に、一方向ではなく、双方向のコミュニケーションをとることが重要となってきます。
例えば、携帯電話の営業をする際に、「料金が気になっていると思いますが、わが社の商品でしたら、なんと1ヶ月間でたった○○○円の料金で済みます!お買い得ですよ!」と開口一番に言ってしまっては当然ダメです。
お客様が必ずしも料金に問題点を感じているとは限らず、もしかしたら写真の画素数や、使える機能に関心があるかもしれません。
まずは相手のニーズを聞くことから始める必要があります。
以上より、「顧客の課題を解決すること」は、営業の基本と言えます。
個人のお客様に対して20万円程度の商品を販売していた際に、始めは勝手に料金が原因でお客様は購入するのを思いとどまっていると考えていました。
実際にお客様に料金のことを聞くと、「お金がなくて。。」と言われる方も多かったです。
ただ、話を掘り下げていくと、料金とは全く別の要素が原因で、購入するのをためらっているお客様が非常に多かったです。
その不安要素を解消すると、「お金がなくて。。」と言っていたお客様が、すぐに購入することが多々あり、そのたびによく驚いていました。
お客様は本当に価値を感じるものであれば、料金を払ってくれます。
営業として、お客様の課題をまず聞き出すという姿勢を忘れないでください。
3. 営業とは勝てる戦をすること
3つ目の営業の基本としては、営業とは「勝てる戦(いくさ)をすること」が挙げられます。
先ほどお伝えしたように、営業とはお客様の課題を解決するのが使命であり、逆に言えば、自社の商品では課題解決が難しそうな場合は、営業しないのも大事なことです。
全てのお客様に満遍なく対応するのではなく、課題解決ができそうなお客様のみに注力することが必要となります。
課題解決できそうにないお客様に注力しても、お客様・営業共に無駄な時間を使うだけであり、両者とも損をしてしまいます。
例えば、
「将来のために資産形成をしたい」
というニーズを持つお客様に対して、自社の商品がサプリメントなどの健康食品であるため無理やり
「資産形成のためにはまず、お客様自身が健康である必要があります。そこでおすすめなのがこのサプリメント!これを使えば、、、」
と営業しても、お客様の課題を何一つ解決できておらず、契約は成立せず、完全な負け戦となります。
お客様のニーズが他にあるのであれば、潔く手を引くのも大事なことです。
以上より、「勝ち戦しかしない」のは、営業の基本であると言えます。
4. 営業とはお客様の代弁者
4つ目の営業の基本としては、営業とは「お客様の代弁者」であるということが挙げられます。
この世に完璧な商品はありませんが、少しでも完璧な商品になるように、企業は努力する義務があります。
つまり、お客様が感じている課題を社内で共有し、製品開発に反映する必要があります。
この際に、最初にお客様の声を聞き、それを社内に共有するのは、営業の役目となります。
多くの営業はお客様から商品の問題点を聞き出しても、今後の営業トークの参考にする程度で、社内に共有することまでしておりません。
これは、営業は個人戦であることが大きく関係しております。
製品開発のための情報を提供しても、個人の成績には効果がないと皆考えているためです。
ただ、営業は個人戦であると同時に、団体戦でもあります。
製品開発部やマーケティング部に顧客のニーズを共有することで、逆に、自分も有益な情報を貰えることがあり、結果それが営業の成果に結びつくことがあります。
例えば、製品開発部にお客様が感じている課題点を伝えることで、実は既にその課題を解決するための機能が備わっていることを知ることができるかもしれません。
また、マーケティング部にも共有することで、お客様全体の集客状況や、今後実施予定のキャンペーンについて、いち早く情報収集できるかもしれません。
他部署との連携をしておくことで、実は自身にもかなりプラスの影響があることは押さえておいてください。
以上より、「お客様の声の代弁者」であるということは、営業の基本と言えます。
お客様の課題感を共有する先として、エンジニアに共有することも重要となります。
エンジニアはなかなかお客様の生の声を聞く機会がなく、エンジニアが作りたい・良いと思うシステムを作ってしまう傾向があります。
そのため、顧客が本当に解決してほしい課題を伝えることで、システム面で何かできることはないか、建設的な話し合いをエンジニアとすることができ、システム開発につなげることができます。
数字に結びつけるためにスピード感のあるシステム開発を望む営業と、バグがないように長期間をかけて完璧なシステムを作成したいエンジニアとは、対立することがよくあります。
しかし、本来的にはお互いに情報共有をすることで、お客様に対してより良いプロダクトの提供ができるので、営業の側からも歩み寄る姿勢が必要となります。
(営業とエンジニアについては「営業とエンジニアそれぞれの立場を理解するためのポイント8選!」も合わせてご確認ください。)
5. 営業とは無駄な会話をしない
5つ目の営業の基本としては、営業とは「無駄な会話をしない」ことが挙げられます。
営業と言えば雑談が必要と思われがちだですが、あくまで相手の興味関心や課題感を探るために雑談が必要なのであり、ただ単に雑談をすることに意味があるわけではありません。
お客様の課題解決に結びつかない雑談は、お互いに時間を浪費するだけであり、誰も得をしません。
アイスブレークのための雑談であればまだ理解できますが、アイスブレークの時でさえ、お客様の課題感を探るための会話だということを忘れてはいけません。
ただ注意していただきたいのは、お客様にはたくさんしゃべってもらう、ということです。
お客様が気持ちよくしゃべっているのに、商品には関係ない話だからと会話を打ち切ってしまうのは良くありません。
あくまで営業側が無駄な会話をしないことが重要となります。
ここで、無駄な会話をしない1つのコツとして、事実のみを答えることが挙げられます。
例えば、「この商品の値段はいくらですか?」と聞かれて「10万円です。高いと感じるかもしれませんが、実はこれには理由があり、、、」と続けるのではなく、「10万円です。」と事実だけを伝えます。
一見冷たい対応に見えるかもしれませんが、お客様が知りたいのはあくまで端的な事実であり、勝手にこちらでお客様の意図を予想して会話することは適切ではありません。
以上より、「無駄な会話をしない」のは、営業の基本と言えます。
1回あたりの時間というよりは、接触回数が多いものの方が印象に残りやすいという脳の性質があります。
そのため、営業の際は無駄な話をせず、1回あたりの会話は最低限にとどめて、その分会う回数を増やした方が、成約の可能性が高いです。
毎月の数字に追われて今すぐ結果が欲しい気持ちはわかりますが、今は契約が難しそうなお客様に対しては、来月また足を運ぶ覚悟を決めるのも大事なことです。
6. 営業とは実践あるのみ
6つ目の営業の基本としては、営業とは「実践あるのみ」ということが挙げられます。
今回の記事でお伝えしている営業の基本や、書籍やネットから仕入れた様々な営業スキルについて、読んだときはわかった気になっていても、それは本当の意味で理解しているわけではありません。
実務の中で実践できて、初めて理解したと言うことができます。
営業は理屈を理解して頭で完結する職種ではなく、実践の中で理屈を学んでいく職種と言えます。
例えば、先ほどお伝えした営業の基本の1つである「顧客の課題解決」について理解したつもりでいても、実務の中で結局いつも通りのテンプレートな会話を一方的にしてしまっては、営業の基本を学ぶだけ無駄です。
学んだ内容を失敗してもいいので、すぐ実践してみる。
この繰り返しで、営業は本当の意味で成長していきます。
インプットだけでも、アウトプットだけでもダメであり、両方を交互に繰り返す必要があります。
以上より、「実践あるのみ」というのは営業の基本と言えます。
7. 終わりに
営業の基本を6つお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
一度見ただけでは半分も理解できいないかもしれませんが、読み返したり実務の中で実践していくことで、1つ1つの基本を自分のものにしていってください。
8. まとめ
◆営業の基本②:顧客の問題を解決すること。
◆営業の基本③:勝てる戦をすること。
◆営業の基本④:お客様の代弁者。
◆営業の基本⑤:無駄な会話はしない。
◆営業の基本⑥:実践あるのみ。