ファイナンシャルプランナー、通称FP(エフピー)を取得するメリットと聞かれて、どのようなメリットが考えられるでしょうか?
金融系の資格ということは何となく知っていても、具体的に取得することでどのようなメリットがあるのか、答えられる方は少ないかと思います。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーを取得するメリットについて、日常生活面でのメリットを5つ、ビジネス面でのメリットを3つ紹介していきます。
取得のメリットを理解することで、勉強のモチベーションを上げていきましょう。
1. ファイナンシャルプランナーの試験範囲
メリットを理解するためにも、まずはファイナンシャルプランニング技能検定の試験範囲から見ていきましょう。
ファイナンシャルプランニング技能検定の試験範囲は、1級から3級まで共通しており、以下の6分野となります。
・リスク管理
・金融資産運用
・タックスプランニング
・不動産
・相続・事業継承
それぞれ概要を見ていきましょう。
1) ライフプランニングと資金計画
「ライフプランニングと資金計画」では、社会保障の制度について学習します。
社会保険などの公的保険に関する知識や、国民年金・厚生年金といった年金に関する知識が問われます。
2) リスク管理
「リスク管理」では、生命保険や損害保険などの民間の保険について学習します。
保険相談はファイナンシャルプランナーの仕事として、一般的なイメージかと思います。
3) 金融資産運用
「金融資産運用」は経済・金融に関する基礎的な知識や、株・債権・投資信託といった投資に関する知識について学習します。
計算問題が出題されるのも特徴となります。
4) タックスプランニング
「タックスプランニング」では、税金、特に所得税について出題されます。
所得税の控除など、実生活で役立つ税金知識を学習することができます。
5) 不動産
「不動産」では、不動産に関連した法律などについて出題されます。
不動産の評価方法についても入門的な内容ですが学習しますので、不動産投資の入門的な知識について学ぶことができます。
6) 相続・事業継承
「相続・事業継承」では、贈与税や相続の基本について出題されます。
馴染みがなくイメージが湧きにく分野であり、学習に苦労しがち分野となります。
2. FPのメリット(日常生活)
それでは、ファイナンシャルプランナーの日常生活面でのメリットについて、5つご紹介していきます。
1) 年金や保険などの制度を賢く利用できる
先ほどご紹介した通り、ファイナンシャルプランニング技能検定では、年金や保険などの公的制度について学びます。
公的制度については、知識として知っておかなければ損をするものが多々あります。
例えば、遺族厚生年金について、妻が死んだ場合は夫が死んだ場合よりも、数千万円貰える金額が少なくなるのをご存知でしょうか?
また、年金について、今の制度がどうなっていて、自分の場合はどの程度貰えそうなのか、想像できますでしょうか?
ファイナンシャルプランナーの勉強をすることで、年金や保険といった制度について内容を正しく理解でき、制度を賢く利用できるようになるのは大きなメリットと言えます。
また、このような制度については、お役所が出している原文を読み解くのが大変なケースもあるため、試験後もファイナンシャルプランニング技能検定のテキストを、年金や保険の参考書として使用できることもメリットとして挙げられます。
2) ライフプランに沿った資金計画を立てられる
2つ目のメリットとしては、ライフプランに合わせた資金計画を立てられる点が挙げられます。
ライフプランとは「人生設計(生活設計)」のことを言います。
つまり、様々なライフイベントを想定した資金計画を立てることで、人生を楽しく豊かに生きていくことを指します。
大きく分けて以下の3ステップから構成されております。
② ライフイベントを加味した資金収支を計算する。
③ 資金収支をもとに、改善点を洗い出す。
③については、日々の生活費の見直しや、リスクに備えた保険の加入、住宅ローンの組替など、自身の状況に応じたプランをファイナンシャルプランニング技能検定で学んだ知識を駆使して選択していきます。
将来を100%予測することはできませんが、ある程度シュミレーションすることで、いざという時の備えができ、将来に対する不安を抱えることなく、日々の生活を過ごすことができるようになるのも、FP取得のメリットと言えます。
実際にどのようなライフプランの設計ができるようになるのかを把握するために、事前にFPの相談を受けてみるのも1つの方法です。
かく言う私も、子供が生まれて生命保険や学資保険などについて学ぶために、FPを自宅に招いて保険相談を受けました。
自分が取得しようとしている資格の有用性を理解するためにはも、FPの相談を利用するのはおすすめです。
*相談だけであれば無料のところが多いので、気軽に利用してみるのが良いかと思います。
3) 株式投資に役立つ
3つ目のメリットとしては、株式投資に役立つことが挙げられます。
ファイナンシャルプランナーに興味を持った理由は人それぞれですが、お金に関する知識を学ぶことで資産を増やしたいと考えて、興味を持った方も多いかと思います。
資産を増やすためには支出を抑えるのも1つの方法ですが、他の方法として資産を運用して増やすことが考えられます。
そして、資産運用の代表的な方法が株式投資となります。
ファイナンシャルプランニング技能検定の内容を学べば、誰でも株式投資で成果がでるようになるかと言うと、必ずしもそうではありません。
ファイナンシャルプランニング技能検定で学べるのはあくまで株式投資の基礎であり、応用的な知識を実践を通して身に付けないと、成果はでません。
ただ、株式投資を始めるための第一歩となることも事実です。
株式投資に興味はあるけど、仕組みや用語がわからず始められないでいる人には、ファイナンシャルプランナーはおすすめの資格となります。
株式投資をするにあたって、投資対象企業の業績や財務状態を分析する必要があります。
ここで、財務諸表(決算書)の分析スキルを身に付けるのにおすすめなのが「ビジネス会計検定」となります。
簿記に比べるとマイナーな資格ですが、2019年度の受験者数が16,000人を突破しており、徐々に注目度が高まっているおすすめ資格となります。
詳細につきましては「ビジネス会計検定とは?試験の内容をご紹介!」をご参照ください。
4) 親族・知人の相談に答えられる
4つ目の日常生活におけるメリットとしては、親族や知人からの相談にのることができるといった点が挙げられます。
試験範囲や上述のメリットを見ていただければわかる通り、ファイナンシャルプランニング技能検定の内容は非常に身近なものであり、かつ、皆様が気になる内容となっております。
そのため、ファイナンシャルプランナーの資格を取得していると、周りから保険や年金、ライフプランについて相談されることが増えます。
親族や知人であればお金を貰って相談を受けるといったことはないかと思いますが、1つ貸しを作ることができ、逆に自分が何か困った際に助けを求めやすくなります。
ファイナンシャルプランニング技能検定で学べる内容は、義務教育に取り入れても良いというほど、お金に関する世の中の常識が出題されます。
常識にも関わらず、多く人が正確に覚えていないことばかりですので、学習しておいて損はありません。
5) お金に関する苦手意識がなくなる
住宅ローンやFX、株式投資などで、「利率〇〇%」「利回り○○%」などと聞くと、アレルギー反応がでる人も少なくないかと思います。
ただ、これらのお金の知識は日常生活に密接に絡んでいるものであり、最低限苦手意識をなくして、必要な情報を取りこぼさないようにする必要があります。
また、お金に関する知識が増えれば、日頃目にするニュースの見え方も変わります。
ファイナンシャルプランナーの勉強をすれば、お金に関する必要最低限の知識は習得できるため、この点もメリットとして挙げられます。
FP講座の元運営責任者が、以下の7つの通信講座を比較して、おすすめ4つのメリット・デメリットや、講座の特徴について解説してみました。
・TAC
・大原
・LEC
・ユーキャン
・フォーサイト
・アーティス
・ECC
詳細は「FPの通信講座おすすめ4選:FP講座の元運営責任者が解説します!」をご確認ください。
3. FPのメリット(ビジネス)
次に、ファイナンシャルプランナーのビジネスにおけるメリットを3つ解説していきます。
1) 金融業界で役に立つ
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会の「金融機関等におけるFP資格活用度調査」によると、80%の金融機関がFP資格について認知しており、そのうち77%がFP資格を評価していると回答しております。
この調査結果からもわかる通り、金融業界のビジネス現場においては、FPの有資格者であることが評価対象となっております。
有資格者であること自体が顧客に安心感を与えるだけでなく、保険なり証券なり自社が扱っている商品の周辺知識についても顧客に提供することができ、ライフプランを加味した総合的なアドバイスを行うことができる点が、評価される理由として挙げられます。
ちなみに、ここで言う評価対象となるためには、「2級FP技能士」または「AFP」は最低限取得しておく必要があります。
3級FP技能士はあくまで2級の受験資格を得るための入門的なものであり、3級がビジネスの現場で高く評価されることはないです。
ファイナンシャルプランニング技能検定の範囲に不動産があり、また、住宅ローンも加味した総合的なライフプランニングを顧客に提供できるため、ファイナンシャルプランナーの資格は不動産業界でも役に立ちそうですが、実際のところどうなのでしょうか?
活かし方にもよりますが、実は金融業界ほど役に立つものではなく、持っておいて損はない程度の位置づけとなります。
不動産の営業をする場合に大事なのは物件の説明であり、顧客のライフプランニングはそこまで重視されておりません。
ライフプランニングをした結果、不動産には手を出さない方がいいといった判断になる可能性もあり、不動産会社側としては必ずしも好ましくありません。
不動産業界にお勤めの方、あるいはこれから不動産業界を目指される方であれば、まずは宅建の資格を取得して、実務で働きながら必要に応じてファイナンシャルプランニング技能検定を受験するといった方向性で問題ないかと思います。
2) 人事・総務で役に立つ
ビジネス面での2つ目のメリットとしては、人事・総務といった職種に役に立つことが挙げられます。
社会保険などの労務周りの知識がそのまま人事・総務の業務に活きてくるだけでなく、従業員向けのライフプランの相談やセミナーの開催なども行うことができます。
人事や総務といった職種はなかなか差別化することが難しいため、差別化要因となるファイナンシャルプランナーの知識は学んでおいた方が良いです。
人事や総務は営業などと比べるとノルマが少なく、割と早く帰宅できる傾向にあります。
この空いた時間に副業として、ファイナンシャルプランナーの知識を活かして、先述の株式投資に手を出すのも1つの方法です。
ビジネスでも、日常生活でも、ファイナンシャルプランナーの知識を活用することで、一石二鳥となります。
3) 独立開業して活躍できる
ファイナンシャルプランナーは独占業務がないため、独立開業するのは無理なのでは?と思われる方もいるかと思いますが、実は可能です。
日本FP協会の統計によると、7%前後がFP事務所として独立しており、実際に独立開業されている方々がいます。
多くの独立したFPがやっているのは、金融機関と提携して金融商品を代理販売する、コミッションと言われる業務となります。
コミッションは営業なので、売った分だけ自分の懐に入ってきます。
これに対して、ライフプランなどの顧客の相談にのり、相談料を貰う業務をメインとしている独立FPもいます。
年金問題や老後の資金など、FPに相談するニーズは高まっており、集客方法さえしっかりすれば、競合が少ない分相談型FPの方が、儲かるかもしれません。
いずれにしろ、ファイナンシャルプランナーを取得すれば、独立開業して活躍できるというのは大きなメリットと言えます。
独立してもファイナンシャルプランナーだけで食っていけるのか?とよく言われますが、ファイナンシャルプランナー一本に絞る必要はないです。
週末副業としてまずは始めて見て、軌道に乗ったら一本に絞るという方法で良いかと思います。
手軽に副業として活動できるのも、ファイナンシャルプランナーの魅力と言えます。
4. 終わりに
ファイナンシャルプランナーのメリットについて、日常生活面とビジネス面に分けて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
解説してきた通り、ファイナンシャルプランナーは様々なメリットがある魅力的な資格です。
この機会にぜひ一度取得を検討してみてください。
5. まとめ
◆ライフプランに基づいた資金計画を作成できる。
◆株式投資の入門的知識を学べる。
◆周りの人の相談にのることができる。
◆お金周りの情報に対する拒否反応をなくすことができる。
◆保険会社・銀行などの金融業界で活躍できる。
◆労務面の知識を強化できることで、人事・総務に役立つ。
◆ファイナンシャルプランナーとして独立開業できる。