「公認会計士はやりがいのある仕事です!」
公認会計士の人にこのように言われると、納得できる反面、
「公認会計士の仕事しか知らないから、やりがいを感じているのでは?」
と思われる人もいるかもしれません。
そこで今回は、公認会計士として監査法人に勤務した後、経理・営業・マーケなどを経験してきた筆者の視点から、公認会計士のやりがいについてお伝えしていきます。
また後半では、やりがいをもって働くために、今からできることについても解説しておりますので、ぜひご一読ください。
・公認会計士
・前職で公認会計士講座の責任者を担当
・大手監査法人→経理部に出向
→教育×ITベンチャー→自営業
1. 公認会計士のやりがいとは?
1) 社会に対して貢献できる
2) 専門性を追求できる
3) 一定以上の報酬をもらえる
4) グローバルに活躍できる
5) キャリアの選択肢が広い
2. やりがいを持つために今できること
1) なりたい理由を大切にする
2) ロールモデルを見つける
3) 試験勉強にはげむ
3. 終わりに
4. まとめ
1. 公認会計士のやりがいとは?

1) 社会に対して貢献できる
1つ目の公認会計士のやりがいとしては、「社会に対して貢献できる」ことが挙げられます。
社会貢献が公認会計士のやりがいであると言うと、「しょせんきれいごとでしょ?」と思う人もいるかもしれません。
やりがいと聞くと、後述するような『専門性の追求』『報酬』『グローバルでの活躍』『キャリアの幅』など、自分自身にメリットがあることを想像するのが一般的かと思います。
私も公認会計士として働くまでは、試験勉強で「投資者及び債権者の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する」と言われても、いまいちピンときていませんでした。
この点、初めは自分自身にメリットがあることにやりがいを感じるかと思いますが、一定のキャリアを歩み一定の報酬を手にし始めると、「社会に対して自分は何を提供できているのか?」といった点に、やりがいを感じ始める人も多いです。
逆に、社会に対して何も還元できていない仕事の場合、いくら高い報酬を得ていても、どこかでむなしくなり、やりがいを感じることができなくなりやすいです。
それでは具体的に、公認会計士はどのような形で、社会に対して貢献しているのでしょうか?
公認会計士が独占業務である財務諸表監査を行うことで、企業が自己採点した自社の経営成績や財産の状態について、客観的な保証を与えることができます。
(財務諸表監査については、「公認会計士とは?わかりやすく簡単に解説します!」をご確認ください。)
公認会計士が保証を与えることにより、その企業に投資しようと考えていた投資家や、その企業と取引しようと考えていた企業や金融機関などは、安心して投資や取引を行うことが可能となります。
このようにして、公認会計士は社会的に重要な役割を担っており、欠かすことのできな職業となります。
以上より、「社会に対して貢献できる」ことは、公認会計士のやりがいと言えます。
2) 専門性を追求できる
2つ目の公認会計士のやりがいとしては、「専門性を追求できる」ことが挙げられます。
キャリアを考えた時に、何か1つ自分の専門分野がほしくて、公認会計士を目指す人も多いのではないでしょうか?
「会計」という分野は「英語」や「IT」と並んで、これからのビジネスパーソンに必須の知識と言われています。
そのため、専門分野の1つとして「会計」を選択して、会計の最高峰資格である公認会計士を目指すのは、確かに1つの考えです。
私も何か自分の中でよって立つもの、つまりは専門性がほしかったというのが、公認会計士を目指した理由の1つでした。
この点、公認会計士の資格を取得すれば、自分の頑張り次第で会計という専門性を、どこまでも磨くことができます。
「資格がなくても専門性を磨けるのでは?」と思われたかもしれません。
確かにその通りで、理論上は資格がなくても、専門性を磨くことは誰にでも可能です。
ただ、資格を持っているからこそ所属できる組織・得られる知識・会える人・できる仕事があり、公認会計士も例外ではありません。
例えば、公認会計士試験合格後にまず所属することとなる監査法人では、一般の事業会社とは比べ物にならないほどの会計に関する情報が集まっています。
また、監査法人だからこそできる会計関連の仕事があり、監査法人だからこそ会うことのできる会計関連のエキスパートがいます。
以上より、「専門性を追求できる」ことは、公認会計士のやりがいと言えます。
3) 一定以上の報酬をもらえる
3つ目の公認会計士のやりがいとしては、「一定以上の報酬をもらえる」ことが挙げられます。
金銭面にやりがいを感じることは、何も悪いことではありません。
生きていく上でお金は当然に必要であり、より多くの報酬にやりがいを感じることは、人として自然なことです。
公認会計士の仕事内容はよくわからないけど、給料がいいと聞いたので目指し始めたという人も、少なくないのではないでしょうか?
この点、「公認会計士の年収の現実とは?トーマツの場合は・・・万円でした!」でお伝えしている通り、公認会計士となれば、一定の水準以上の給料を稼ぐことができます。
人によってどの程度の報酬でやりがいを感じるかは異なりますが、公認会計士の給与水準であれば、多くの人がやりがいを感じることができるかと思います。
また、公認会計士としてのやりがいを感じることができる報酬とは、何も個人に与えられる報酬だけでなく、監査法人として受け取る報酬も、やりがいにつながります。
監査の対価として受け取る監査報酬は数億円単位と非常に金額が大きく、それだけ価値の高い仕事を提供しているという感覚が、やりがいにつながっていきます。
以上より、「一定以上の報酬をもらえる」ことは、公認会計士のやりがいと言えます。
4) グローバルに活躍できる
4つ目の公認会計士のやりがいとしては、「グローバルに活躍できる」ことが挙げられます。
今後のキャリアを考えた場合に、国内だけでなく世界を視野に入れて、公認会計士を目指す人もいます。
確かに、大手監査法人は世界的に有名な会計事務所と提携しており、海外のグループ法人との人材交流が盛んに行われているため、グローバルなキャリアを考えた場合に、公認会計士というのは1つの選択肢となります。
実際に私が所属していた監査チームでは、毎年1名ずつニューヨークの監査チームに、スタッフを派遣していました。
しかも、2年間はニューヨークで働くことができ、かつ、監査チーム自体が10名~20名程度の人数であったため、チーム内でキャリアを積めば、いずれは順番が回ってくるといった環境でした。
このように、グローバルでの活躍機会が転がっているというのも、公認会計士のやりがいの1つとなります。
一方で、海外、特にアメリカで仕事をすることを考えた場合は、日本の公認会計士だけでなく、USCPAも検討してみると良いかと思います。
USCPAについては、「公認会計士とUSCPAの相違点・共通点!結局どっちを目指すべき?」をご参照ください。
以上より、「グローバルに活躍できる」ことは、公認会計士のやりがいと言えます。
5) キャリアの選択肢が広い
5つ目の公認会計士のやりがいとしては、「キャリアの選択肢が広い」ことが挙げられます。
現時点で将来のキャリアがはっきりとしていないけど、選択肢は幅広く持っておきたいため、公認会計士を目指すことも考えられます。
「いろんなキャリアを選択できる」仕事というのは、自分の可能性に挑戦でき、非常にやりがいのあるものです。
この点、公認会計士であれば、例えば以下のようなキャリアの選択肢が考えられます。
・監査法人で海外駐在する
・中小やベンチャーのCFOになる
・経理として活躍する
・会計、税理士事務所に勤務する
・独立開業する
・会計知識を活かして起業する
・コンサルティング会社で活躍する
・金融機関に転職する
・公認会計士予備校の講師となる
この他にも、エンジニアや営業など全く異なる職種にチャレンジして、専門性の掛け算を増やしていき、希少な人材を目指すことも可能となります。
以上より、「キャリアの選択肢が広い」ことは、公認会計士のやりがいと言えます。
公認会計士講座の元運営責任者が、費用と合格者数の観点から、以下の5つの公認会計士スクールを比較してみました。
・CPA会計学院
・TAC
・大原
・LEC
・クレアール
詳細については「公認会計士スクールを費用と合格者数で比較!現役会計士が選ぶおすすめは?」をご参照ください。
2. やりがいを持つために今できること

公認会計士としてやりがいを持って働くために、受験生の時からできることは、何かあるのでしょうか?
ここでは、やりがいを持つために今できることについて、3つほど紹介していきます。
1) なりたい理由を大切にする
1つ目のやりがいを持つために今できることとしては、「なりたい理由を大切にする」ことが考えられます。
やりがいとは、自分がそうなりたいという願望が満たされた時に、感じることができます。
つまり、受験生時代から「なぜ公認会計士になりたいのか?」といった理由を意識することで、実際に公認会計士として働き始めた際に、やりがいを感じやすくなります。
例えば、公認会計士になりたい理由が報酬であると受験生時代から意識しておくことで、監査法人でも出世を意識して働くことができ、結果として自分のやりがいを満たす可能性が高まります。
以上より、「なりたい理由を大切にする」ことは、やりがいを持つために今できることと言えます。
2) ロールモデルを見つける
2つ目のやりがいを持つために今できることとしては、「ロールモデルを見つける」ことが考えられます。
正直なところ、やりがいというのは簡単に見つかるものではありません。
ましてや、公認会計士として働く前の受験生時代にやりがいを意識することは、至難の業です。
そこでおすすめしたいのが、公認会計士としてやりがいを持って働いている、ロールモデルとなる人を見つけることです。
先に合格していった先輩や友達でもかまいませんし、SNS上で見つけた人でも問題ありません。
ポイントは、あなたから見て、その人が公認会計士としてやりがいを持って働いていると思えることです。
やりがいを持って働いている人を見ることで、自分オリジナルのやりがいが見つかるケースもありますし、ロールモデルが感じているやりがいが、そのまま自分のやりがいとなるケースもあります。
以上より、「ロールモデルを見つける」ことは、やりがいを持つために今できることと言えます。
3) 試験勉強にはげむ
3つ目のやりがいを持つために今できることとしては、「試験勉強にはげむ」ことが考えられます。
やりがいを持つためには、公認会計士として最低限の基礎知識を持っておく必要があります。
専門家としての基礎スキルもないままに、公認会計士としてやりがいを感じることは難しいです。
そのため、公認会計士試験の勉強に励むことが、専門家としての基礎スキル向上につながり、実はやりがいを感じる上で大切なこととなるのです。
基礎スキルがないと社会に貢献することも、専門性を追求することも、高い報酬を貰うこともできません。
まずは試験合格を目指して、勉強に励みましょう。
以上より、「試験勉強にはげむ」ことは、やりがいを持つために今できることと言えます。
3. 終わりに

公認会計士のやりがいについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
公認会計士のどの点にやりがいを感じるかは人それぞれですが、やりがいのある仕事であることは間違いないです。
公認会計士となるために、1日1日の勉強を大切にしてください。
4. まとめ
◆専門性の追求。
◆高水準の報酬。
◆海外での活躍。
◆キャリアの幅。