公認会計士試験は何歳までに合格すればいい?30歳だと遅すぎる?

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公認会計士を目指すにあたって、誰しも必ず一度は気にするのが「年齢」。

言うまでもなく、合格時の年齢が若ければ若いほど、何かとメリットが大きいです。

では具体的に、何歳までに合格すれば良いのでしょうか?

そこで今回は、公認会計士と年齢の関係について、以下の順に解説していきます。

【実際の事例】
私の監査法人時代の同僚の、入所時の年齢を公開します。
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【年齢の面で考慮すべきこと】
合格者の平均年齢、監査法人や会計事務所に入るための年齢、会計士のキャリアと年齢の関係について解説します。
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【具体的な年齢別条件】
30歳以下、30代、40歳以上の各年齢で合格する場合に、必要となる条件についてお伝えします。
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【早く合格するための秘訣】
早く合格するためのコツについて、4つ紹介します。
【筆者の情報】
・公認会計士のマツタロウ
・監査法人時代はリクルーターを経験
・前職で公認会計士講座の責任者を担当
・大手監査法人→経理部に出向
 →教育×ITベンチャー→自営業

 

 

1. 私の同僚の入所時の年齢

私の同僚の入所時の年齢

1) 私の入所時の年齢

私自身は大学3年生から本格的に公認会計士試験の勉強を始めて資格浪人の後、『25歳』の時に公認会計士試験に合格することができました。

合格後、大手監査法人に就職した私自身の実体験からも言えることですが、少なくとも25歳の合格であれば、公認会計士として活躍する上で、大きな問題はないです。

ちなみに、大手監査法人に勤務したのちに、20名程度のベンチャー企業に転職して、その後は自営業として働いています。

 

2) 同僚の入所時の年齢

では、公認会計士と年齢の関係を見るにあたり、まずは実際の事例を見てみましょう。

ここでは、私が所属していた大手監査法人の同僚20名の、『入所時の年齢』を公開しますので、ご自身と比較して参考にしてみてください。

(人の入れ替わりが激しく、常時一緒に働いていたのは5~10名程度でしたので、ここでは私が一定期間関わった20名の年齢を公開しております。)

・22歳、職歴なし、同期
・22歳、職歴なし、後輩
・22歳、職歴なし、先輩×3人
・23歳、職歴なし、同期×2人
・23歳、職歴なし、後輩
・24歳、職歴なし、同期×3人
・24歳、職歴なし、先輩
・25歳、職歴なし(私です)
・25歳、職歴なし、先輩
・26歳、職歴なし、後輩
・27歳、職歴なし、同期
・27歳、職歴あり、後輩
・30歳、職歴あり、後輩×2人
・40歳、職歴あり、先輩

あくまで私の周りだけのデータですが、職歴なしの人の最高齢は『27歳』でした。(後述する通り、実際は27歳以上の職歴なしの人でも、大手監査法人に入っている人はいます。)

 

2. 年齢の面で考えるべきこと

年齢の面で考えるべきこと

1) 合格者の平均年齢は?

公認会計士試験合格者の平均年齢は、以下の通りに推移しております。

 

試験年度 合格者の平均年齢
2023 24.5歳
2022 24.4歳
2021 24.5歳
2020 25.5歳
2019 25.2歳
2018 25.0歳
2017 26.3歳
2016 26.2歳
2015 27.1歳
2014 26.8歳
2013 26.2歳

 

年によって多少のバラツキはありますが、25歳前後が1つの目安となります。

参考までに、2023年度試験合格者の、年齢別分布を以下に掲載しておきます。

 

2023年公認会計士試験年齢別合格者調

 

2) 大手監査法人は何歳まで入れる?

それでは、公認会計士試験合格後に多くの人が就職先として検討する、大手監査法人は何歳まで入れるのでしょうか?

当然公に年齢制限を課している大手監査法人はありませんが、より年齢が若い人の方が採用されやすいのは、1つの事実です。

私の周りやリクルーターをやっていた時の経験から、おおよそですが、以下を目安に考えてみてください。

・職歴なし:30歳まで
・職歴あり:40歳まで

もちろん例外はたくさんあり、かつ、職歴と一口に言っても多様な職歴が考えられますが、1つの目安にはなるかと思います。

また、余談ですが、監査法人内の各監査チーム同士でも、新人の取り合いは発生するため、より若い人の方が引く手あまたになる可能性が高いです。

しかしこの点に関しては、正直なところどの監査チームが自分に合っているのか?というのは、実際に働いてみないとわからず、かつ、自分で選択できる余地も少ないため、あまり気にする必要はないかと思います。

 

3) 大手監査法人以外は何歳まで?

それでは、公認会計士試験合格後に、大手監査法人以外に就職する場合の年齢の目安は、どの程度なのでしょうか?

まず、試験合格後の大手監査法人以外の就職先の候補としては、以下が考えられます。

・中小の監査法人
・会計事務所
・税理士事務所
・一般事業会社の経理部

公認会計士として登録するためには、「2年以上の実務経験」を満たす必要があり、上記の会社や職種であれば実務要件を満たせる可能性が高いです。(何の業務をやるかで実務要件に該当するか否かが異なるため、絶対に満たせるとは言えません。)

そもそも上記のような会社に会計士試験合格者の求人があるのか?と思われるかもしれません。

この点、例えば日本公認会計士協会無料職業紹介所が運営する求人情報サイトである「JICPA Career Navi」を見ると、いくつも求人が掲載されています。

各求人の年齢の目安については、以下をご参照ください。

(職歴なしを想定しております。職歴ありの場合はかなりバリエーションがあるため、ここでは割愛させていただきます。)

・中小監査法人:35歳まで
・会計事務所:40歳まで
・税理士事務所:40歳まで
・事業会社の経理部:30歳まで
・現職の経理部に転属:40歳まで

ただ、上記はあくまで目安であり、例えば中小の監査法人や会計事務所・税理士事務所などは人数が少なく、チームワークを大切にするところもあり、年齢よりも人柄を重視する場合もあります。

また、既に上記のいずれかに2年以上従事している場合は、既に実務要件を満たしているため、上記の選択肢にこだわらず就職先を選ぶことができます。

 

4) 会計士のキャリアと年齢

ここでは、会計士試験合格後のキャリアと年齢について、参考までにお伝えさせていただきます。

希望のキャリアと年齢の関係についてある程度頭に入れておけば、何歳までに試験に合格する必要があるか、逆算できるかと思います。

 

① 監査法人でパートナーになる

大手監査法人内で出世してパートナーになるタイミングは、40代が多いです。

マネージャーまで8年程度、そこからおよそ8年、つまりは入所から16年程度かけてパートナーになるケースがモデルケースとして想定されます。

ただ、同じ部署内の同期の数・上司との相性・担当してきた業務・個人の実力・法人の方針など、多様な要素から出世できるか否かが決まるため、パートナーまで何年かかるかは人それぞれです。

 

② 転職する場合

公認会計士のスキルが大きく関係する業界や職種の場合は、30代であれば問題なく転職できるかと思います。

具体的には、経理部や中小企業・ベンチャー企業のCFO、会計財務業務を中心とするコンサルティング会社などが想定されます。

40代でも、人柄やスキルがマッチすれば、転職は十分可能です。

一方で、公認会計士のスキルがあまり関係しない業界や職種の場合は、30代でも苦戦する可能性があります。(年収を下げれば話は別ですが。)

余談ですが、私が監査法人からベンチャー企業に転職したのは、29歳の時でした。

詳細につきましては、「公認会計士の転職体験談!「バカじゃないの?」と言われた転職」をご参照ください。

 

③ 独立・起業する場合

独立開業や起業する場合は、年齢は関係ありません。

もちろん若い方がバイタリティがあり、頑張れるという事実もありますが、40代だろうが50代だろうが、会計士として独立開業して頑張られている先生方もいます。

 

3. 会計士試験合格は何歳までに?

会計士試験合格は何歳までに?

前置きが長くなりましたが、それでは具体的に、公認会計士試験に何歳までに合格すれば良いのでしょうか?

各年齢別に条件を見ていきましょう。

 

1) 30歳までなら職歴なしでもOK

30歳までなら、前述の通り職歴がなくても、大手監査法人に入れる可能性は十分あります。

また、仮に大手監査法人に入れなくても、実務要件を満たせるいずれかの法人や事務所に就職できるかと思います。

そのため、30歳までに合格できる見込みがあるのであれば、年齢はあまり気にせず勉強に専念すべきです。

 

2) 30代の場合の条件

試験合格が30代になりそうな場合は、以下の条件のいずれかに該当していることが望ましいです。

・5年以上の職歴あり
・監査法人内での出世に興味なし
・将来は独立開業を考えている

特に30代前半であれば、会計士として活躍できるキャリアの選択肢は十分ありますので、年齢が気になるのは理解できますが、やはり勉強に専念すべきかと思います。

30代後半の場合は、次に説明する40歳以上の場合の条件も、参考にしてみてください。

 

3) 40歳以上の場合の条件

合格時の年齢が40歳以上の場合は、正直なところかなり厳しい戦いとなります。

職歴があることは前提として、例えば以下のような点が条件として考えられます。

・会計事務所につてがある
・現職の経理部に転属できそう
・現職で経理など会計関連職に従事

40歳以上の場合は、会計事務所や税理士事務所、あるいは監査法人のつてを利用して、就職することが考えられます。

また、現職で公認会計士の資格を活かしながら、キャリアアップしていくことも考えられるでしょう。

一方で、合格見込みが40歳以上となる場合で、上記のいずれにもあてはまらない場合は、他の道も検討した方が良いかもしれません。

 

4. 早く合格するにはどうすればいい?

早く合格するにはどうすればいい?

今が何歳であろうと、公認会計士を目指すと決めたのであれば、早く合格するに越したことはないです。

そこでここでは、早く合格するためのちょっとしたコツについて、簡単に4つ紹介していきます。

 

1) 期限を決める

1つ目の早く合格するためのコツとしては、「期限を決める」ことが挙げられます。

具体的には「3年以内に合格しなければあきらめる!」と決めることをおすすめします。

、、、長くない?と思われたかもしれませんが、「公認会計士試験の勉強時間は3,000時間?私は3倍必要でした」でお伝えしている通り、現実問題として合格までにかなりの時間が必要となります。

無理に最短合格を狙っても、凡人の場合は必ず失敗し挫折するので、初めから短すぎず長すぎずの期間を設定した方が得策です。

ただ、矛盾しているようですが、あくまで毎回本気で受かる気で、もう後がないつもりで受けてください。

1回1回本気で受験することを3年繰り返せば、合格を勝ち取ることは十分可能です。

以上より、「期限を決める」ことは、早く合格するためのコツと言えます。

 

2) とにかく早く勉強を開始する

2つ目の早く合格するためのコツとしては、「とにかく早く勉強を開始する」ことが挙げられます。

当たり前ですが、1日でも早く勉強を開始した方が、合格の可能性は上がります。

年齢や勉強方法を気にして情報収集に明け暮れ、気付くと1ヶ月経ってしまった、、、というのは論外です。

この場合1ヶ月だけ勉強期間を損しているように見えますが、実際はそのせいで直近の試験1回分の合格率が下がり、ひいては1年分の期間を損することになりかねません。

悩んだところでどうせ正解はわかりませんので、とりあえず勉強を開始してみてください。

以上より、「とにかく早く勉強を開始する」ことは、早く合格するためのコツと言えます。

 

3) 予備校を即利用する

3つ目の早く合格するためのコツとしては、「予備校を即利用する」ことが挙げられます。

そもそも公認会計士は独学での合格が、ほぼ不可能です。(一部の非凡な人を除きます。)

予備校の料金は非常に高く、支払いに躊躇する気持ちはわかります。

ただ、合格するために予備校は必須であり迷う時間が無駄なので、公認会計士試験の受験を決意したら、即申し込んでください。

後述する5つの予備校であれば、どこで勉強しても合格できる可能性は十分ありますので、予備校を利用することや予備校選びに迷わないでください。

以上より、「予備校を即利用する」ことは、早く合格するためのコツと言えます。

★費用と合格者数を比較!
公認会計士講座の元運営責任者が、費用と合格者数の観点から、以下の5つの公認会計士スクールを比較してみました。

・CPA会計学院
・TAC
・大原
・LEC
・クレアール

詳細については「公認会計士スクールを費用と合格者数で比較!元講座運営者のおすすめは?」をご参照ください。

 

4) 可能限り全ての時間を勉強に捧げる

4つ目の早く合格するためのコツとしては、「可能限り全ての時間を勉強に捧げる」ことが挙げられます。

大学生であれば大学の授業以外、社会人であれば仕事の時間以外のすべてを、勉強に捧げてください。

これは比喩でも何でもなく、文字通り全ての時間を勉強に捧げてください。

中途半端に遊んで合格時期が1年延びる、あるいは合格できなくなるくらいなら、3年と割り切って、その間は勉強し続けてください。

私も3年程度ずっと勉強し続けたので、これがいかに大変なことか理解しています。

ただ、公認会計士試験に少しでも早く合格するためには、これくらいやるのが当たり前なのです。

以上より、「可能限り全ての時間を勉強に捧げる」ことは、早く合格するためのコツと言えます。

 

5. 終わりに

公認会計士と年齢の関係についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

年齢によってキャリアが制限される可能性は、確かにあります。

ただ、年齢を気にしたところで、あなたの年齢が急に若くなるわけではありません。

公認会計士になると決めたのであれば、年齢のことは一旦忘れて、勉強に専念した方が賢明です。

 

6. まとめ

Point! ◆30歳までなら職歴なしでも基本的には問題なし。
◆30代は職歴ありor監査法人にこだわらないキャリア。
◆40歳以上の場合はつてがある、あるいは現職で資格を活かす。

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